第3回は、男子フリースタイルの4年生2人に女子部員2人を加えた異色の対談。今年度主将を務めた島谷侃(スポ4=秋田商)、副将を務めた山崎祥平(商4=茨城・土浦日大)、世界の舞台も経験している片岡梨乃(社3=千葉・日体大柏)と伊藤海(社2=京都・網野)の、天皇杯全日本選手権(天皇杯、全日本選手権)へ懸ける思いとは。
今年を振り返ると
明治杯全日本選抜選手権で吉元玲美那(至学館大)と対戦する伊藤。吉元は優勝するためには必ず倒さなくてはならない相手だ
――まず、名前の五十音順で他己紹介をお願いします
伊藤 梨乃さんは普段練習とかすごい真面目に取り組んでいるんですけど、練習から外れたらめっちゃ面白い方で、1個上の先輩なのですが、毎日一緒に帰ったりして、いい意味で親しみやすいという感じがあります。
島谷 いい意味でなめている?
伊藤 なめてはないのですが、上下関係なくはないですが、レスリング以外のこともお話します(笑)。
片岡 侃さんとは小さい頃地元が一緒というのもあって、その時は侃さんはおとなしいイメージで、自分もおとなしい方で、普段からしゃべるということはなかったと思うのですが、こうして大学まさか一緒になって、ここ1年はマット外でもご飯とか行く機会が多くて、レスリングに対しては真面目で一生懸命なのですが、それ以外の部分でも話しやすくて、キャプテンとしてこの1年チームをまとめてくれて、侃さんには感謝の気持ちがあります。東日本(東日本学生秋季選手権)の時とか全員が全力で侃さんの応援をしていて、どれだけみんなが侃さんに感謝の気持ちがあるのかということをすごい実感しました。
島谷 山崎は同期なのですが、いい意味でオンとオフの切り替えがいいというか、やる時は真剣にやるのですが、例えば練習ではマットの練習以外でも自主的に筋トレをやったりだとか、やる時はかなり集中してやるのですが、オフの時はしっかり休んで、逆に自分たちがやっている時でも休むというか、それはいい意味でオンオフの切り替えがしっかりできているのかなと思います。やる時は人一倍やるのですが、やらない時は自分で休む日というのを決めているので、自分で考えながらやっているんだろうなとは思います。
山崎 海ちゃんは笑顔が明るい子だなという印象が一番強いです。明るい子だなという印象があるのですが、練習になるとひたむきに努力しているイメージが強くて、第一印象としてあったのが、入学前にレッグリフトを240キロくらい上げるという話を聞いていて、女子の50キロ級でそんなに上げる子いるんだという力持ちの印象がすごくあったのですが、実際入ってきてウエイト見せてもらったら240まではいかなかったですけど、結構な重量を上げていて、噂通りの力持ちだなと思いました。
――最近ハマっていることはありますか
伊藤 ずっとなのですが、ドラマとか映画を見るのが好きで、最近はネットフリックスで佐藤健と満島ひかりが出ている『ファーストラヴ』というドラマがあるのですが、それを最近見てめっちゃ感動して、そうやって定期的にドラマとか映画はよく暇なときに見ます。
山崎 スターバックスにまたハマり始めました(笑)。
――きっかけは何ですか
山崎 知り合いに無料クーポンをもらってそれで久しぶりに行ってみるかとなって。1年生の頃はよく行っていたのですが、2、3、4年と行ってなくて、久しぶりに無料クーポンを使って飲んでみたら結構うまいなと思って、そこからハマるようになりました。
――おすすめはありますか
山崎 期間限定なんですけど、前はフラペチーノとか甘い系を飲んでいて、最近は大人な味と言いますか、ジョイフルティーラテという紅茶のやつですね。
――島谷選手、片岡選手はどうですか
島谷 最近はゲームにはまっていて、去年まではゲームとか全然入れてなかったのですが、最近入れてみたらハマってしまって、やっているのがパズルのゲームと街づくりのゲームです。パズルも街づくりするゲームも、ハートを回復するのに結構時間がかかってしまうので、あんまりコスパ良くないゲームなんですけど、暇な時間にやったりしています。
片岡 海ちゃんと被るのですが、映画を見ることで、恋愛系とかも普通の女の子が見るようなのも好きなのですが、それよりもホラー系だとかサスペンス系とか、普通の人には気持ち悪がられそうなゾンビとかも好きです(笑)。
――今年を振り返っていただきます。まず今年1年に点数をつけるとすると、何点になりますか
伊藤 点数でいくと50点で、理由としては今年1年ケガが多い年で、4月にクイーンズカップ(ジュニアクイーンズカップ)で肘のじん帯を切って、それが治ったと思ったら6月に明治杯(明治杯全日本選抜選手権)で膝のじん帯を切ってという感じでずっとケガの年だったのですが、それだけで考えると20点、30点くらいなのですが、ケガをしたからこそ他の足りない部分にも気づけたし、トレーニングいろいろな人に協力してもらってリハビリとかもして、フィジカル面でもこの1年は強化できたんじゃないかなという意味で20点からちょっと上げて50点です。残りの50点は、ラストの天皇杯でどれだけ成果を出せるかっていうので50点にしました。
島谷 僕はギリギリ赤点回避の36点です。去年まではずっと57キロでやっていて、去年の秋に61キロに上げて今年は4月から61キロメインでやると決めてやってきたのですが、結果としては全然勝てなくて悔しい1年になりました。最後の選手権(東日本学生秋季選手権)だけは何とか勝てて天皇杯への権利も得られたので、その部分では赤点は回避して1つ収穫があったかなと思います。でも自分的には納得のいかない試合が多かったのでそういう点数になりました。
山崎 試合の成績で見たらそんなに点数は高くないのですが、レスリングを楽しんでできたかなという面で言えば100点と言いたいです。最後の年なので、100点で。なぜかと言われたら、インカレとかはちょっと自分の中で調整がうまくいかなくて悔しさの残る試合になったのですが、11月の内閣(全日本大学選手権)の時は体調とかコンディションを整えて出ることができて、5月のリーグ戦(東日本学生リーグ戦)の時に負けちゃった年下の子にいい内容で勝つことができて、決勝はボコボコに負けてしまったのですが楽しんで自分がやりたいようにできたので、良く終われたのかなという感じで100点です。天皇杯へ向けてまた頑張っていきたいと思います。
片岡 自分は去年の1年が0点だとすれば40点くらいかなって。理由としては去年は肩を痛めていたというのもあって、あとは組み合わせが良くなくて表彰台に登れないことが多く、自分的にレスリングに対してマイナスの気持ちになってしまっていた年だったのですが、それに比べて気持ち的にも試合で戦う感覚とメンタルが戻ってきたし、あと一歩のところがいけないという試合も多かったのですが、試合していて楽しいなという感覚や練習したことが出せる感覚が戻ってきたので40点かなと思います。
――今年最も印象に残っている試合は何ですか
島谷 僕が一番印象に残っている試合はリーグ戦(東日本学生リーグ戦)の時の拓殖大学とやった時の試合です。自分の試合だけじゃなくて全体を見た時に、みんなの実力を出せれば勝てる試合だったというのと、僕の相手は結構強くて僕自身は勝つことを頭に入れていなかったというか、僕が勝たなくてもみんなが勝ってくれると思っていたらまさかの3-3で回ってきて、僕が勝たないとチームが負けるみたいな状況で回ってきて、結果的には拓殖の子に僕が大差で負けてしまって早稲田の負けというのが決まって。チームの負けなのですが、結果的には僕の負けでチームの負けが決まったので、チームの思いを背負って戦った試合でもあったので、その分悔しさも大きい試合になったかと思います。
山崎 侃が今言ったリーグ戦(東日本学生リーグ戦)と11月の内閣(全日本大学選手権)は結びつくのですが、今回の内閣(全日本大学選手権)の準決勝で当たった子がリーグ戦(東日本学生リーグ戦)で戦った時に僅差だったんですけど負けてしまった相手で、リーグ戦の時に自分が取らなくてはいけない階級だったのでそこで負けたのがずっと心残りというか、もやもやしていた部分があって。その後内閣(全日本大学選手権)で戦うってなってすごい気合い入れて試合に臨んで、ふたを開けたみたら2分くらいでテクニカルで勝ったという内容だったので、この状態をあの時拓殖戦で出していれば勝てたんだなと思うと悔しさもあったのですが、もやもやが晴れたといううれしさもあって、印象的だったなというのが内閣(全日本大学選手権)の準決勝でした。
伊藤 2つあるのですが、悪かった方が明治杯(明治杯全日本選抜選手権)の2回戦目で吉元(玲美那、至学館大)さんアンクル決められてケガして初めてあんなに痛いケガを経験して、試合内容も悪くてどん底に落ち込んで。その2カ月後の8月に世界ジュニアがあってそれには絶対出たいと思っていたのですが、お医者さんに「復帰までに2、3カ月かかる」と言われて、その計算でいくと試合に間に合わないとなって焦りとかはありつつもいろいろな人に支えてもらって、試合当日も打ち込みまでしかできていなくて、スパーリングも練習でできていなかったのですが、世界ジュニアで今年で1番いい動きができたので、それが印象的でした。
片岡 振り返れば優勝は1回しかしていなくて、それが一番うれしかった面では印象的です。最後取られそうだったんですけど、15秒くらいバック取られそうな体勢で守り切れて、試合ない人も応援に来てくれて、侃さんとかも上から大きい声で応援してくれたので、やっぱり応援の力ってすごいなとも思い、いい意味での印象に残っている試合です。その反対で悪い意味で一番印象に残っているのは、同じ相手なのですが、インカレの決勝で最後自分が負けていて、タックル入りにいって点数取れたと思って一瞬うれしかったのですが、ビデオ判定で足を踏んでいて結局負けてしまったという試合です。その時は自分が悪く、切り替えは早くできたのですが、優勝するつもりでいたのですごい悔しかったです。
挑戦者の気持ちで挑もうかなと考えている(島谷)
東日本学生秋季選手権の決勝を戦う島谷。この試合の勝利をもって、全日本選手権への出場を決めた
――それぞれのライバルの選手を教えてください
伊藤 まず、4回戦っているのに全部負けている吉元(玲美那、至学館大)さんにリベンジして、それはあくまでも通過点なので、その後にやっぱり優衣(須崎優衣、令4スポ卒=現キッツ)さんを倒さなければいけないので、やっぱりその2人ですね。
山崎 インカレの時に準決勝で負けてしまった同級生の伊藤飛未来(日体大)君です。天皇杯で当たる可能性があるので、最後引退する前に勝ってそのまま逃げたいなと思います。まず当たりたいですね。当たるところまでいって、そこで勝って終わりたいなと思います。
島谷 「いい意味で」倒さなくちゃいけない人はいないです(笑)。明治杯(全日本選抜選手権)には3年生の時と今年の2回出場したのですが、天皇杯に出るのは初めてなので、誰と当たってもすごい強い人なので、挑戦者の気持ちで挑もうかなと考えているので、「いい意味で」倒さなきゃいけない人はいないのかなと思います。
――61キロ級には早大から他に2人が出場しますが
島谷 僕は引退する身なので、僕の引退を面白い試合にしてほしいなと。どうせなら面白い試合で終わりたいなというふうには思うので、勝っても負けてもしょっぱい試合じゃなくて、ちゃんと点数の取り合いとかをして面白い試合だったなと思えるような試合にしたいです。
――片岡選手はどうですか
片岡 自分はこの1年間53キロ級だったのですが、最後の天皇杯は55キロ級に出るので、メンバーも今までやってこなかった上の階級の人が相手になるので、誰とどうこうというよりは、この1年やってきたことをすべて出して、全日本は表彰台に登れたことがないので優勝目指して頑張ります。
――階級を1つ上げた意図は何ですか
片岡 53(キロ級)はオリンピック階級で、先週ワールドカップもあってその時も2キロオーバーで、53キロ級なのですが55キロで。今の自分では全日本の表彰台に登れていないので、勝ちにこだわりたいというのが大きくて、非オリンピック階級の55キロ級で今回は頑張りたいと思ったからです。
――得意技や自分自身の強みを教えてください
山崎 毎年言っているのですが、両足タックルです。飛び込みというか、相手といい距離を保ってそこから一気に懐に飛び込む両足タックルを自分は一番得意としていて、内閣(全日本大学選手権)の時もそれがうまく決まって倒せたので、天皇杯でもバンバンそれを使っておじけることなく相手を倒していこうと思っています。
伊藤 私は技というか強みなのですが、スピードと力が50(キロ級)の中では強みとしてあるかなというのがあって、今まではスピードに頼りすぎている、力に頼りすぎているみたいな、両方やればいいのにどっちかに偏ってしまう感じのスタイルだったので、今は天皇杯に向けてその両方を生かせるようなスタイルをできるように練習しているところなので、試合でも出せたらいいなと思います。
島谷 僕は技に自信がないというか、レスリングがうまくないので、いかに自分のスピードとフェイントで相手をだませるかというのが僕の強みかなと思います。
片岡 器用だったり、いろいろな技ができるというわけではないのですが、試合になった時にバック回ってグラウンドで決めるとか、負けている時に取りにいく気持ちの面では強くなれるので、試合で接戦になったときは、気持ちの強さを出せればいいかなと思います。
上下関係なく和気あいあいとした雰囲気(片岡)
インカレ決勝で惜敗し、涙を流す片岡。この悔しさを全日本選手権で晴らす
――島谷主将を中心とした今年の早大レスリング部はどんなチームでしたか
山崎 雰囲気は1年から4年まで和気あいあいとできるような感じで、ご飯も後輩と行ったりしますし、そういうところは緩いんじゃないかなと思います。練習中もレスリングは個人競技なので、先輩後輩関係なく技を教えてほしい人がいたら気兼ねなく聞きにいけるような関係なので、そういうところでは切磋琢磨(せっさたくま)できていると思います。
伊藤 今祥平さんがほとんど言ってくれたのですが、練習の面で言うと他のところと比べて自主性というか自分からこうしたいから技を聞きにいくという面をチームとして大事にしていると思うので、そこが魅力でもあり、いいところだなとは思っています。
片岡 いい意味で上下関係が全然なくて、いい意味でひとりひとりが自分を出せると思っていて、それが時にぶつかってしまうこともあるのですが、主体性があってレスリングではいろいろなタイプの選手がいるのですがそれを強みにいいチームにできているし、レスリング外でも上下関係なく和気あいあいとした雰囲気があって、キャプテンだった侃さんを中心にすごいいいチームだったと思います。
島谷 今年の早稲田はみんなしっかり自分を持っていて周りに流されないというがあって、他の大学だと指導者に言われたメニューをやるというのが一般的ですが、早稲田は学生主体でやっていかなくてはいけないという中で、練習後に自分で必要なことを自分でやったり、練習中でもみんながやるメニューとは別に個人でメニューを課している学生もいたりして、レスリングに対する意識も高いし、いい意味で自分の考えを持っている人々の集まりだと思います。
――伊藤選手と片岡選手は今年国際大会にも出場されました。そこで得たものはありますか
伊藤 自分はカデットでも世界大会を経験していて、コロナとかもあってジュニアの国際大会に出るのが初めてで、正直カデットのレベルは10-0ですべて勝てるような、国内に比べたら低い感じのレベルなのですが、ジュニアの大会になると海外の選手も日本の研究とかもしてレベルも高くなっていて、そう簡単にはポイントを取れないというのを試合を通じて感じました。もっと上のシニアとかのレベルになると、今戦っている人たちがもっと強くなって出てくるのだなと思うと、自分もそれに負けないで頑張らないとなと思いました。
片岡 ワールドカップで団体戦での試合だったのですが、国際大会が約3年ぶりで、日本人では簡単に取れるところを取らせてくれなかったり、同じレスリングなのですが、同じレスリングをしていないような感覚で。結果は勝てたのですが、またこういう舞台で戦うには国内のレベルで勝たないといけないので、すごくいい経験になったので、それを天皇杯につなげて、取り切るところは取る丁寧さが必要だなと思った大会でした。
全日本選手権へ向けて
山崎がライバルに挙げた伊藤飛未来(日体大)とのインカレでの一戦。全日本選手権でも強烈なタックルを見舞うことはできるか
――全日本選手権の話に移ります。それぞれの全日本選手権での目標を教えてください
山崎 これがレスリング人生最後の試合になるので、特に成績を求めるというよりかは、自分の強みを生かして後悔しないようなコンディションで挑めるように調整して、最後思い切りマットの上で戦うというのが目標ですかね。
島谷 僕もレスリングを幼稚園生くらいから始めて、今回が本当に人生最後のレスリングの試合になるので、出るからには勝ちたいのですが、勝ち負けにこだわりすぎず、楽しんで試合をしたいという気持ちが大きいので、今練習でやっていることを、緊張もあると思いますが、硬くならずにいつも通りの動きを試合で出して、点数がなく終わる試合ではなくて、点数を自分でしっかり取って楽しい試合にできたらなと思っています。
伊藤 目標は優勝で、誰もが須崎優衣さんが優勝すると思っていると思うのですが、そこを番狂わせというか、そこを覆すための練習は今までしてきたので、そう簡単に倒せる相手ではないのですが、今まで練習してきたことを200パーセントくらい出さないと勝てない相手だとは分かっているので、そこを頑張って優勝したいです。
片岡 1年の締めくくりの試合になるので、目標はもちろん優勝できるように頑張りたいのですが、優勝とか考えすぎず、楽しんでマットに上がる時が一番自分の力が発揮できると思うので、試合終わってから「もっとこうできたな」と後悔することがないようにしっかりいつも以上の力を発揮できるように、最後の1秒まで強い気持ちを持って勝ちにいきたいと思います。
――重点的に練習していることはありますか
山崎 秘密で(笑)。
島谷 僕は今さら筋トレを始めました(笑)。レスリングを今さらやっても変わるところは少ないと思ったので、どうせなら体の動きだけでも良くしようと思って筋トレを練習のスパーリングの合間とかにやっています。この前海ちゃんと一緒にバトルロープというロープを振るやつを1年ぶりくらいにやったら酸欠になって頭くらくらするくらい気持ち悪くなっちゃって。それくらい追い込んでいるので、天皇杯ではしっかり力を出せるんじゃないかなと思います。
伊藤 具体的なことは言わないのですが、特に重点的に今まで明治杯(全日本選抜選手権)で負けてから取り組んできたのは体づくりで、相手を崩すときに力に頼ってしまうというのがあって、そこを腕だけじゃなくて体全体で倒すみたいなうまい体の使い方みたいなのを重点的に取り組んできたので、明治杯(全日本選抜選手権)とは違った戦いができるのではないかと思います。
片岡 自分も10月くらいに膝をケガして試合を棄権したりもしたのですが、その期間から体幹だとか今まであまりやってこなかったような細かい筋トレもしっかりやるようになって、そのおかげで先週の試合でもフィジカル面では同じ階級では圧負けとかしなかったと思えたので、帰国したばかりですぐ試合なのですが、体調面とケガをしないこと、6分間の戦い方を自分で考えるなど、そういうところをしっかり考えて臨みたいです。
――試合前のルーティンがあれば教えてください
島谷 試合前に試合で使うシングレットなどをいい匂いの柔軟剤で洗うことです。試合中は汗をかいて臭いも臭くなるので、高い柔軟剤を使っていい匂いにしています。いつもは普通の高くない柔軟剤を使うのですが、試合前のシングレットとかを洗うときはちょっといいやつを使っています。
伊藤 何個かあるのですが、試合目だからとかじゃなくて、日頃から意識はしていないのですが、右利きで右構えというのもあって、シューズを履くときに必ず右足のひもから結ぶというのがあります。あと試合当日の朝は、特に天皇杯は冬で寒いのでよく体を温めるには内臓から温めた方がいいと言われていたので、当日の朝は自分でお湯を入れて、粉の紅茶オレみたいなのを必ず飲みます。あとマット上がる時にあるあるなのですが、腰割って屈伸して一呼吸してからマットの中心に行くというのは心掛けています。
山崎 この前の内閣(全日本大学選手権)からやっているルーティンなのですが(笑)、朝ごはんを試合で動けなくなると思ってあまり食べていなかったのですが、前回の内閣(全日本大学選手権)の時は計量失格するくらい朝ごはんを食べて、試合数が多くて、遅くまで試合があったのですが、ずっと動き続けられるようなエネルギー補給ができたのかなと思ったので、それを今後やっていこうと思っています。試合直前は、これも内閣(全日本大学選手権)の時からなのですが、潜水競技みたいなので、息を吐ききって吸い込み直すと血中の酸素の濃度が高くなるみたいなことを聞き、それをやってみたら使えるなという気がしたので、これも天皇杯でやってみようと思います。
片岡 試合当日に試合前だからどうこうというのはないのですが、最近は祥平さんを見習って直前までプロテインをしっかり飲んでいます。
山崎 そんなに飲んでねえよ(笑)。
片岡 今頃筋肉を付けるというのは無理だと思うのですが、祥平さんがリーグ戦(東日本学生リーグ戦)の時に直前にプロテインを飲んで試合に行っていたのが印象的で、そこは意識しています。あとは、ごみが落ちていたら拾おうとか、接戦になった時に運が味方してくれるように、私生活の行動は意識しています。
――最後に決意表明をお願いします
伊藤 まだ全日本で優勝したことがないので、今回からオリンピック予選が始まるというのもあって緊張もあるのですが、大舞台で今持っている自分の力をすべて出して、今年最後の試合を優勝で締めくくれるように、次のオリンピックにつなげるように頑張ります!
片岡 この1年でやってきたことを出し切って、今回は優勝するという気持ちを持って、今ある力をすべて出し切って気持ちで勝ちにいくというのが目標です!
山崎 全力タックル!
島谷 僕は人生最後の試合になるので、今までレスリングをやってきてまず千葉でやって、次に秋田でやって、最後に早稲田でやって、いろいろなところでレスリングをやってきたので、千葉の後輩、秋田の後輩、早稲田の後輩という関わってくれたみんなにいい試合が見せられるように頑張ります!
――質問は以上です。ありがとうございました!
(取材・編集 齋藤汰朗)
色紙に決意を書いていただきました
◆島谷侃(しまや・すなお)(※写真右)
2000(平12)年6月28日生まれ。男子フリースタイル61キロ級。秋田商高出身。スポーツ科学部4年。今年度主将を務めた島谷選手。全日本選手権出場を決めた東日本学生秋季選手権の決勝は、多くの部員が声援を送り、人望の厚さがうかがえました。自身の引退試合で、後輩に雄姿を見せてくれることでしょう!
◆山崎祥平(やまざき・しょうへい)(※写真左)
2000(平12)年12月20日生まれ。男子フリースタイル97キロ級。茨城・土浦日大高出身。商学部4年。今年度副将を務めた山崎選手。対談では、笑いを誘うような一言を発したり、スタバにハマっているという一面を披露したりするなど、試合中の真面目な表情とは違う姿を見せてくれました。引退試合ですべてを出し切ります!
◆片岡梨乃(かたおか・りの)(※写真中央左)
2001(平13)年9月9日生まれ。女子55キロ級。千葉・日体大柏高出身。社会科学部3年。今年は試合時間残り数秒のところで喜びも悔しさも味わった片岡選手。「優勝」にこだわるために慣れない55キロ級での出場となりますが、持ち味の「気持ちの強さ」で栄冠をつかみ取ります!
◆伊藤海(いとう・うみ)
2002(平14)年5月31日生まれ。女子50キロ級。京都・網野高出身。社会科学部2年。今年8月に開催されたU20世界選手権を制した伊藤選手。女子50キロ級は、東京五輪で金メダルを獲得した、早大の先輩でもある須崎優衣選手などライバルが多いですが、全日本チャンピオンへ向け、準備は万端です!