またも個人優勝者なしで団体5位 「悔しい試合になった」(島谷主将)

レクリング

 11月19・20日の2日間にわたり、大阪・堺市金岡公園体育館を会場に全日本大学選手権が開催された。今大会は男子フリースタイルのみが行われ、各階級の順位に応じて付与される得点の合計を競う団体戦である。早大からは、57キロ級に山口太一(スポ2=東京・自由ヶ丘学園)、61キロ級に藤田颯(スポ3=埼玉・花咲徳栄)、65キロ級に島谷侃主将(スポ4=秋田商)、74キロ級に深田雄智(スポ3=千葉・日体大柏)、79キロ級に山倉孝介(スポ3=千葉・日体大柏)、86キロ級に玉岡颯斗(スポ3=群馬・館林)、97キロ級に山崎祥平副将(商4=茨城・土浦日大)、125キロ級に北脇香(スポ1=山梨・韮崎工)がエントリー。大学対抗は、総得点35.5点で5位という結果だった。

 最軽量級の57キロ級には山口が出場。初戦(2回戦)で向田旭登(専大)とぶつかる。第1ピリオドで2点を先取されるも、すぐに2点を返し同点に追いつく。第2ピリオドでは、攻めはしたものの、ポイントを取り切ることができず、相手に2点を奪われる。そのまま最後まで追いつくことはできず、2-4で惜敗した。山口は敗者復活戦に回ったものの、そこでも勝ち上がることはできなかった。

初戦で相手と組み合う山口

 61キロ級は、島谷主将と藤田の2人がいるが、8月の全日本学生選手権(インカレ)で準優勝を収めた藤田を起用した。藤田は順調に勝ち上がり、準決勝で田南部魁星(日体大)とぶつかる。第2ピリオドに入ったところで連続失点し、0-11のテクニカルフォールで敗戦した。その後3位決定戦に回った藤田は、佐藤大夢(中大)をテクニカルフォールで下し、3位に入った。

3位決定戦で相手を回転させ得点を重ねる藤田

 チーム事情により65キロ級に出場した島谷主将は、初戦(2回戦)で荻野海志(山梨学院大)とぶつかる。「フィジカルの差を感じた」と振り返るように、第2ピリオドに入り失点を繰り返し、1-6で敗戦となった。敗者復活戦に回った島谷主将は、敗者復活戦を勝ち上がり、3位決定戦に進む。3位決定戦では森川海舟(拓大)と対戦。第1ピリオドこそ0-2と互角の戦いを見せたが、終盤に大量失点し、1-12のテクニカルフォールで敗戦。5位で今大会を終えた。

3位決定戦で失点しないよう耐える島谷主将

 74キロ級は、昨年のインカレ王者で、今年6月の明治杯全日本選抜選手権でも3位に入賞した深田。初戦(2回戦)から準決勝までをすべてテクニカルフォール勝ちで決勝へと駒を進める。決勝の相手は高田煕(日体大)。開始早々、相手を場外に出し1点を先取する。その後追いつかれ1-1で迎えた第2ピリオド。最後まで攻め続けた深田だったが、最後に相手を持ち上げようとした際にフォールを取られ、敗戦となった。

決勝を戦う深田

 79キロ級は、今年のインカレで同階級を制した山倉。山倉は初戦(準々決勝)をテクニカルフォール勝ちで突破すると、準決勝では山田脩(日体大)と対戦。インカレの決勝では山倉に軍配が上がったが、今回は1-3で山田に軍配が上がった。敗れた山倉は3位決定戦に臨み、清水大輔(明大)をテクニカルフォールで下し、3位で表彰台は死守した。

準決勝で相手と組み合う山倉

 86キロ級は普段はグレコローマンをやっている玉岡。1回戦で奥井真吉(国士館大)と対戦するが、終始攻められる展開となり、0-10でテクニカルフォールでの敗戦を喫した。

1回戦で相手の攻撃をかわそうとする玉岡

 97キロ級の山崎副将は、初戦から準決勝まで全試合を無失点かつフォールかテクニカルフォールという圧倒的な成績で決勝に進む。そして迎えた決勝の相手は吉田アラシ(日大)。山崎副将は、「強い相手でも前半ガンガン攻めて点を取って、テクニカル(テクニカルフォール)で」勝つというプラン通りに積極的に攻めたものの、なかなか得点を奪えない。それどころか4点を奪われ、0-4で第1ピリオドを折り返す。第2ピリオドに入っても、相手の牙城を崩すことはできず、0-10のテクニカルフォールでの敗戦となった。

決勝を戦う山崎副将

 最重量級の125キロ級は1年生の北脇が出場。北脇は初戦(2回戦)を勝ち上がると、準々決勝で西大悟(周南公立大)と対戦する。序盤に8点を失い、第2ピリオドに入り2点を返して一矢報いたものの、2-8で敗戦となった。

初戦で相手と組み合う北脇

 山崎副将と深田の準優勝をはじめ、8人中6人が8位以内に入賞し、大学対抗5位で今大会を終えた早大。しかし、個人での優勝者はゼロで、さらにおのおのがもう1つずつでも順位を上げていれば、大学対抗での表彰台も見えていただけに、悔しさの残る結果となった。そして、今大会をもって島谷主将が率いる早大レスリング部は幕を閉じ、新体制に移行することとなる。新チームでは、今年味わった喜びと悔しさを糧にして、さらなる高みを目指していくだろう。また、12月末には国内最高峰の戦いである全日本選手権が控えている。東京五輪メダリストを含むトップレベルの選手が集まるこの大会。出場権を持つ選手たちは、残された期間で万全の準備をしてほしい。

最後に笑顔で集合写真に収まる部員たち

(記事 齋藤汰朗 写真 澤崎円佳、齋藤汰朗)

結果

早大 35.5点 5位

▽57キロ級
山口 2回戦敗退
▽61キロ級
藤田 3位
▽65キロ級
島谷 5位
▽74キロ級
深田 準優勝
▽79キロ級
山倉 3位
▽86キロ級
玉岡 1回戦敗退
▽97キロ級
山崎 準優勝
▽125キロ級
北脇 7位

コメント

島谷侃主将(スポ4=秋田商)

――大学対抗5位という成績を振り返っていかがですか

 惜しかった試合が何個かあって、特に山倉の準決勝だったり、深田の決勝だったり、山口太一の初戦だったり、全然勝てる試合で練習でやっていたことだったので、そういったところをしっかり勝ち切れれば、もう1つ2つ上の順位に行けたので、悔しい試合になったかなと思います。

――ご自身の1日目の1試合を振り返るといかがですか

 初めて65(キロ級)に出たんですけど、力の差、フィジカルの差があって、1ピリオド目はいい勝負ができたんですけど、2ピリオド目から体力の差があって、スタミナを削られて相手の圧を正面で受けてしまって、どんどん点数を取られてしまったので、やっぱり65(キロ級)はフィジカルの差があって厳しいなと感じました。

――2日目の敗者復活戦から3位決定戦までを振り返っていかがでしょうか

 3試合あって65(キロ級)ということもあって、体力的にすごいきつかったんですけど、最初の2試合はしっかり勝ち切れてそれは良かったんですけど、3位決定戦はリーグ戦(東日本学生リーグ戦)でもやっていて負けていた相手だったので、リベンジしたいという思いだったのですが、悔しい感じで終わってしまいました。次選手権(東日本学生秋季選手権)に出る予定なので、そこでしっかり勝って終われたらなと思います。

―今大会をもって引退となります。主将を務めてきた約1年間を振り返っていかがですか

 大変なことも多く、チームをまとめるというのはつらいこともあったのですが、終わってみたらいい経験だったな、やって良かったなと思います。早稲田でできたことがうれしいです。

――全日本選手権への出場権がかかる、東日本学生秋季選手権への意気込みをお願いします

  これで幼稚園から続けてきたレスリングが本当に最後で、長くても12月がレスリング人生最後になるので、まずは来週悔いの残らないようにしっかり勝って、天皇杯(全日本選手権)最後に出場していいかたちで終われたらなと思います。

山崎祥平副将(商4=茨城・土浦日大)

――決勝を振り返っていかがですか

 自分は体力がなかったので、準決勝の時みたいに強い相手でも前半ガンガン攻めて点を取って、テクニカル(テクニカルフォール)で前半で勝っちゃおうと思っていたのですが、何度か攻撃を防がれて、相手にポイントも取られちゃって、ああもうこれはだめだと思いました。諦めてはなかったのですが、相手が強いなと思いました。

――準決勝までは無失点かつフォールかテクニカルフォールという圧倒的な成績で勝ち上がりました。振り返っていかがですか

 1試合目は緊張していて自分の中で動きが硬かったかなと思うのですが、それ以降はガンガン攻めるという自分のスタイルが発揮できて、自分なりに学生としては最後にいい試合ができたかなと思います。

――4年間で最後の団体戦でした。早大レスリング部で過ごした日々を振り返っていかがですか

 レスリングに関する面だけじゃなくて、いろいろな面で苦労もあったのですが、そんな中でもチームメートやOBたちに支えてもらいながらレスリングを最後まで続けることができて楽しくてありがたかったなと思います。

――全日本選手権への意気込みをお願いします

 ここからはチームの練習に参加しないで自分のペースで調整できるので、最後に自分の考えられる最高のコンディションで天皇杯(全日本選手権)を迎えられるようにし、今回最後に負けてしまった吉田アラシ君ともまた当たるかもしれないので、次は勝てなくても、もっといい試合ができたらいいなと思います。

深田雄智(スポ3=千葉・日体大柏)

――個人では準優勝という成績でしたが、今大会を振り返っていかがですか

 組み合わせがわかったときに決勝まではいかないといけないなと感じて、決勝が勝負だなと思っていました。決勝で勝てなかったのは悔しいのですが、内容は悪くなかったと思うので、次につなげられたらなと思います。

――決勝は競った展開になりましたが、具体的にはどのような点が良かったですか

 ゲームプランが、自分が必ず先制点を取るということだったので、自分が先制点を取れたことは良かったかなと思います。後半も自分のペースで攻めることができましたし、得点につながらなかったのがアンラッキーだっただけだと思います。

――インカレでは2回戦敗退、U23の世界選手権も経験されましたが、その点についてはいかがですか

 スペインですごく良い経験をさせてもらって、精神的にも図太くなったというか、簡単に動じなくなりました。慌てることなく準備もできるようになったかなと思います。今後も生かせる経験の一つだと思います。

――全日本選手権に向けて意気込みをお願いします

 オリンピック予選が絡んでくるのですが、そこを目指せる器じゃないと思うので、楽しんで試合できたらいいかなと思います。