レスリング競技では数少ない団体戦の大会である、東日本学生リーグ戦が5月18~20日の3日間にわたり開催された。この大会は、新型コロナウイルスの影響で2020、21年と中止になっていたため、3年ぶりの開催であった。早大は、1日目の予選リーグで法大、神奈川大、国士館大と対戦し、3勝で決勝リーグへと駒を進めた。しかし、2日目は日体大に0-7と完敗すると、拓大からは3-4という僅差で敗れた。一矢報いたい3日目は、山梨学院大と対戦。最後まで粘りを見せたものの、惜しくも3-4で敗戦となり、全体4位という結果でこの大会を終えた。
1日目は、4大学ごとに4つのグループに分かれての予選リーグが行われ、その結果に基づいて2日目以降の順位を決定する決勝リーグを戦うこととなっていた。早大は、法大、神奈川大、国士館大とともに予選Dグループに配属された。今大会の初戦となった法大戦では、若干の硬さがあったものの、1つも落とすことなく7-0で勝利し、順調なスタートを切った。続く神奈川大戦では、最初の65キロ級の藤田颯(スポ3=埼玉・花咲徳栄)が開始46秒でテクニカルフォール勝ちを収めると、続く山路健心(社1=和歌山北)、山崎祥平副将(商4=茨城・土浦日大)もテクニカルフォール勝ちを収め、最終的に6-1でこの試合も勝利する。この日最後の試合は、国士館大との一戦。法大、神奈川大よりもメンバーがそろっているチームだけに、すべての試合が3点差以内という接戦となったが、6-1で勝利を収めた。これにより、早大はグループを1位で通過することとなり、他のグループを同じく1位で通過した日体大、拓大、山梨学院大と、1-4位を決定する決勝グループに進んだ。
ガッツポーズを見せる尾西
2日目は、決勝リーグの2試合が行われ、日体大、拓大と対戦した。1試合目の相手は強豪の日体大。何とか食らいついていきたい早大だったが、結果として0-7と、1人も勝つことができなかった。それでも、テクニカルフォール負けを喫したのは1人のみで、計良涼介(スポ2=埼玉・花咲徳栄)、山倉孝介(スポ3=千葉・日体大柏)、島谷侃主将(スポ4=秋田商)は1点差での敗戦だったため、非常に惜しい試合内容であった。2試合目は拓大と対戦した。山倉が不戦勝となり、続く2人目の山路が一進一退の攻防を制した。このまま勢いに乗っていきたいところだったが、藤田と尾西大河(スポ1=佐賀・鳥栖工)が敗戦。70キロ級の計良が勝利し先に王手をかけたものの、山崎副将、島谷主将が連敗し、この試合も3-4で敗戦となった。
相手と組み合う島谷主将
3日目は、決勝リーグの1試合が行われ、山梨学院大と対戦した。前日に2敗を喫しており、一矢報いたい早大。1人目のズート麟(政経1=東京・アメリカンスクール・イン・ジャパン)は序盤から果敢に攻めたものの、11-0で敗れた。続く2人目は島谷主将。1ポイントを先取されたものの、バックポイントを奪い逆転。同点に追いつかれたものの、ビッグポイントのあった島谷主将が勝利した。流れに乗りたい3人目は尾西。3点をリードされたものの、諦めることなく攻め続け、残り30秒でバックポイントを奪ったが反撃もここまで。2-3という僅差で敗れた。最後の70キロ級を欠いているだけにもうこれ以上負けることができないが、続く深田雄智(スポ3=千葉・日体大柏)、山倉が白星を収め、勝利への望みをつなぐ。6人目は山崎副将。右膝を負傷した状態でも、相手のソビィットアビレイに屈することなく組み合い続けたが、0-3で敗戦した。7人目の70キロ級は不戦敗となり、決勝リーグを全敗で終えることとなった。
山梨学院大戦で敗戦が決まり、肩を落とす山崎
3年ぶりの開催となった今大会。優勝を狙っていた早大としては、4位という物足りない成績に終わった。島谷主将が「実力差は僅差だった」と述べたように、選手は最後まで全力でプレーしたものの、あと一歩及ばなかった。それでも次の大会へ向けての収穫も確実にあった。けがや他大よりも部員数が少ないことで、出場することができる選手が限られている中でも、各階級で出場した選手それぞれが自分の持っているものを出すことができたことである。特に、ルーキーながらすべての試合に出場した尾西は、決勝リーグでは白星を手にすることはできなかったものの、1-4位の決勝リーグ進出へ大きく貢献した。次戦は、6月16~19日にかけて開催される明治杯全日本選抜選手権である。社会人選手も出場するこの大会で、胸を借りるつもりで思い切って戦ってほしい。
(記事、写真 齋藤汰朗)
※掲載が遅れてしまい、申し訳ありません
結果
▽予選リーグ
1回戦 ○早大 7-0 法大
○86-125キロ級 北脇(不戦勝)-
○50-57キロ級 尾西 12-2 木村
○70キロ級 計良 2-1 穴田
○65キロ級 ズート 10-6 仁木
○74キロ級 山路 12-1 寺地
○86キロ級 玉岡 10-0 石橋
○61キロ級 島谷 10-0 大舘
2回戦 ○早大 6-1 神奈川大
○65キロ級 藤田 10-0 鈴木
○74キロ級 山路 10-0 小林
○86-125キロ級 山崎 10-0 高橋
○86キロ級 山倉 8-0 山口
○61キロ級 島谷 10-0 高田
●70キロ級 ズート 0-10 関下
○50-57キロ級 尾西 9-5 日比野
3回戦 ○早大 6-1 国士舘大
○61キロ級 島谷 11-8 徳比嘉
●65キロ級 藤田 0-3 諏訪間
○74キロ級 深田 9-8 大関
○50-57キロ級 尾西 8-5 小川
○70キロ級 計良 8-6 内山
○86-125キロ級 山崎 5-4 目黒
○86キロ級 山倉 2-0 奥井
▽決勝リーグ
1回戦 ●早大 0-7 日体大
●50-57キロ級 尾西 0-11 竹下
●70キロ級 計良 6-7 高田
●86キロ級 山倉 1-2 高橋夢
●65キロ級 藤田 0-9 堤
●74キロ級 深田 1-10 高橋海
●61キロ級 島谷 1-2 宇戸平
●86-125キロ級 山崎 1-5 伊藤
2回戦 ●早大 3-4 拓大
○86キロ級 山倉(不戦勝)-
○74キロ級 山路 5-4 小林
●65キロ級 藤田 4-9 萩原
●50-57キロ級 尾西 2-2 塩谷
○70キロ級 計良 11-8 三多見
●86-125キロ級 山崎 2-3 三浦
●61キロ級 島谷 0-12 森川
3回戦 ●早大 3-4 山梨学院大
●65キロ級 ズート 0-11 荻野
○61キロ級 島谷 2-2 森田
●50-57キロ級 尾西 2-3 塚岡
○74キロ級 深田 5-1 佐藤
○86キロ級 山倉 6-1 五十嵐
●86-125キロ級 山崎 0-3 ソビィットアビレイ
●70キロ級 -(不戦敗)青柳
コメント
島谷侃主将(スポ4=秋田商)
――3日間の大会を振り返っていかがですか
優勝を狙えるメンバーがそろっていたのですが、けが人がすごく多くて。この大会はチーム力が試される試合が続いたのですが、苦しい場面でもみんなで励まし合って、結果目標を達成できなかったのですが、チーム力や団結力が試合の要所要所で垣間見れたので、その点は良かったかなと思っています。
――決勝リーグでは苦しみましたが
日体大戦は7-0で負けてしまったのですが、1試合1試合を見てみると1点差の試合が本当に多くて。7-0という客観的に見たら差が開いたスコアだったのですが、そこを詰めていけば絶対に勝てると思ったので、実力差は僅差だったと感じました。
――今大会での収穫はありましたか
初めての団体戦ということで、けが人が多い中で2番手の選手や1年生が出るということがあったのですが、2番手の選手や1年生の活躍が大きいなと思いました。1番手が出られない中でも、このように実力を発揮できたというのは、実力がチームとしてついてきているということなので、僕がけん引するチームというのはあと半年で、11月の内閣杯で終わってしまうのですが、そこまで僕がこのチームを引っ張って、もっと全体が強くなって、内閣杯で団体優勝できるように頑張りたいと思います。
――次の大会は明治杯全日本選抜選手権ですが、意気込みをお願いします
シニアの大会で、優勝している選手もいっぱいいるので、そういう選手は優勝を狙って、初めて出る選手もいるので、シニアとの実力試しというか、いい経験が積めれば良いかなと思います。