結果は振るわずも、最後の学生大会は有意義なものに

レクリング

  大会3日目を迎えた東日本学生秋季選手権。3年生以上が出場資格を持つ選手権の部に、坂井剛光(社4=福岡・小倉商業)と梅林太朗(スポ4=東京・帝京)が出場した。天皇杯に照準を合わせる梅林が準決勝で敗退するなど結果の面では振るわなかったが、内容の面では充実した大会となった。

★坂井、力を出し切り引退へ

 現役最後の試合を迎えた坂井。やってきたことを全て出し切り、試合を楽しみ、悔いなく終わりたいという気持ちでラストマッチに臨んだ。初戦、パッシブによる1点で先制し、さらに場外押し出しによる1点を追加。しかし「最初は落ち着かなかった」という坂井は、先にテークダウンを奪われてしまう。2-2の同点で迎えた第2ピリオド(P)、場外押し出しを狙ったところで相手のカウンターを受け、形勢が逆転。1点を追う坂井はラスト1分半から攻撃を仕掛けた。またも場外押し出しで同点に追いつくと、最後は足へのタックルを決めて逆転に成功。1年ぶりの実戦で勝利を収めた。しかし、2戦目は実力者を相手に苦戦する。最初はよく動けていたと両者拮抗(きっこう)した展開が続いたが、後半に入ると攻撃が失速。タックルを受けて足をホールドされると、相手はそのままフォールの体勢へ持ち込んだ。坂井は最後の粘りを見せフォール負けこそ逃れたものの、反撃は間に合わず。試合には敗れたが、最後まで力を出し切り、ここで引退を迎えた。

荒木大貴(専大)との2戦目を戦う坂井

 早大レスリング部で過ごした4年間を「自分のなかでも誇りに思う」とふり返った坂井。競技人生には一旦区切りをつけ、今後はちびっ子たちにレスリングの技術や魅力を伝えていけたらと笑顔で語る。これからは自らの経験を還元していくときだ。

★天皇杯に向け課題を再確認

  今大会を天皇杯全日本選手権(天皇杯)前の試運転と位置付け、本来の階級であるフリースタイル79キロ級にエントリーした梅林。1回戦目は序盤から着実にポイントを重ねていき、10-0でテクニカルフォール勝ちを収めた。続く準決勝、先に相手の消極的プレーを誘ったが、アクティビティタイムにテークダウンとローリングを決められ4点を失ってしまう。第2P、まずは場外押し出しで1点を返したものの、直後に相手の場外押し出しを受け、点差が縮まらない。梅林は攻撃を仕掛け続けたが、最後の最後に相手のカウンターを受け3-7で敗れた。昨年の優勝と比べると、今回は準決勝敗退と不甲斐ない結果に。しかし天皇杯を見据え、「自分の課題、現状がしっかり把握できた」と、この敗戦を前向きに捉える。

テークダウンを奪う梅林

 大会終了後、敗因について「自分の得意なパターンはバレている」とふり返った。3週間後に迫った天皇杯、目指すは優勝のみ。最高峰の舞台で勝ち上がるには戦術のパターンに「変化」を加えることが必要だと分析する。「1つ違う武器」を身に着けた梅林の戦いぶりに期待したい。

大会終了後の梅林(左)と坂井

(記事 鬼頭遥南、写真 市原健)

コメント

梅林太朗(スポ4=東京・帝京)

――今大会の位置づけは

天皇杯に向けての試運転、自分の本来の79(キロ級)という階級に向けて、今までグレコ(全日本大学グレコローマン選手権)と97(キロ級、内閣総理大臣杯全日本大学選手権)で出ていたので、帳尻合わせをするためにエントリーしました。試合も少なかったし出ておこうかなということで出たのですが、その中で自分の課題であったり現状がしっかり把握できた分、負けたことはいいことではないけど、そう思うしかないので。プラスに捉えて天皇杯では同じことをしないように、年末一番いいかたちで終われるように、この負けを生かしていけたらと思います。

――今日見つかった課題は何ですか </strong

自分の得意なパターンはバレているので、そこに1つ違う武器を付け加えることで本来の持ち味も生きてくるので。やっぱり同じことをしていても勝てないので、変化を加えていけたらと思います。

――天皇杯に向けて意気込みをお願いいたします

天皇杯は厳選された8人っていう中で、1回戦目から厳しい戦いになるのは目に見えているので、しっかりと1つ1つ勝って、メダルを獲るじゃなくて、決勝行く、金メダルを獲るという気持ちで残り1か月準備したいと思います。

坂井剛光(社4=福岡・小倉商業)

――今大会はどのようなお気持ちで臨まれましたか

最後の試合だったので今までやってきたことを全部出し切りたいというのと、単純に試合を楽しんで最後悔いなく終わりたいという気持ちで臨みました。

――試合をふり返っていかがでしたか

1年ぶりの試合ということもあり、最初はふわふわして落ち着かなかったのですが、1回戦やって、徐々に取り戻して2回戦に臨みました。最初は動きもよかったのですが、ちょっと足が動かなくなってしまって。でも自分的には最後まで力を出し切れたと思います。

――大会がなかった期間はどのような練習をされてきましたか

自分は帰省して実家のほうに帰っていて、そこで走ったり公園で筋トレしたり、体力が落ちないように基礎的な体力トレーニングをやってきました。

――今後、レスリングとはどのように関わっていくご予定ですか

自分的にはちびっ子とか小学生とかに教えたり、レスリングの魅力を伝えられたらいいなというふうには思っていて、そういうかたちで携わっていきたいなと思います。

――4年間をふり返っていかがでしたか

早稲田大学という強い人たちが集まるところでレスリングができたということは、経験できないような時間だったし、そこでレスリング生活を終えられたというのは自分のなかでも誇りだなと思います。早稲田大学には入れてレスリングができてよかったなというふうに、今改めて思います。

――後輩に向けて

自分はそんなに強い選手ではないので、技術的なこととか特に言う立場ではないのですが、本当に4年間ってあっという間で、それは普段生活していて気が付かないと思うので。改めて4年間というのはあっという間なので、1日1日を大切に後悔のないように、最後やり切ったと思えるように毎日過ごしてほしいなと思います。