大会2日目を迎えた全日本大学グレコローマン選手権。この日、早大からは67キロ級に安楽龍馬(スポ3=山梨・韮崎工)、82キロ級に梅林太朗(スポ4=東京・帝京)、87キロ級に玉岡颯斗(スポ1=群馬・館林)の3人が出場した。「チャレンジャーのつもりで」臨んだという1年の玉岡は敗者復活戦を勝ち上がり5位入賞。安楽と梅林は準決勝で敗れて優勝のチャンスは逃したものの、3位入賞を果たした。チーム早稲田としては昨年より順位を1つ上げ、総合5位で大会を終えた。
全国高校グレコローマン選手権優勝の実績を持つ玉岡は大学生として初の公式戦に挑んだ。「最初は緊張して上手く動けなかった」と振り返るものの、開始30秒で2点を先制すると積極的に技を仕掛け、わずか1分でテクニカルフォール勝ちを収めた。2回戦の相手は昨年82キロ級で優勝している山田修太朗(山梨学院大)。実力者を相手に得点することができず第1ピリオド(P)で0-8と敗戦した。しかしその後山田が決勝に進んだことで、敗者復活戦への出場権を獲得。その2回戦では、パッシブ、ローリングとポイントを重ね、3点のリードで試合を折り返す。第2Pはパッシブによる1点を奪われたが、その後の攻撃を振り切り接戦をものにした。表彰台まであと一勝まで迫ったが、3位決定戦では相手に主導権を握られ、悔しくもテクニカルフォール負けを喫した。
優勝候補を相手にビッグポイントを決める安楽
67キロ級で出場した安楽はフリースタイルを専門とする選手だが、グレコローマンスタイルでも実力をみせた。準々決勝までの3試合で相手に奪われたのはパッシブによる1点のみ。優勝候補と意識していた国体少年3連覇の1年生・曽我部京太郎(日体大)との準々決勝では、第1Pにビッグポイントを決め相手を突き放すと、その後も攻めの姿勢を崩さず7-0で完全勝利。試合終了と同時にガッツポーズを見せた。しかし続く準決勝では今大会優勝の吉永信太朗(専大)を相手に0-10とテクニカルフォールで敗戦、3位決定戦へ回った。迎えた最後の一戦は序盤から激しい組み手争いが繰り広げられた。1点の先制を許すも、前半残り1分を切ったところでローリングを連続で決めて逆転に成功。後半も点の取り合いとなったが、残り1分20秒での4点技が決め手となり、8-4で勝利を収めた。優勝を逃したことについては悔いが残ったが、大会を通して「自分のスタイルを表現できた」と振り返る。
3位入賞を果たした梅林(左)と安楽主将
今年が大学ラストイヤーの梅林は初戦、素早い攻撃で開始直後に2点を先制。その後パッシブを取ると、うつ伏せの相手を持ち上げて回しさらに2点を追加。第1P残り30秒で相手に4点の投げ技を決められたが、「投げられたところから緊張感が徐々にほぐれていった」と振り返る。試合終了間際にテークダウンを決めて2点を加え、7-4で初戦を突破した。続く準々決勝では相手に5点のリードを許す展開に。しかし、ローリングやテークダウンで着実に点を重ねていき、最終的には10-5で試合をものにした。準決勝では昨年2位の山崎翔馬(九州共立大)と対戦。第1P中盤にパッシブを取られると、不利な体勢からローリングを4回連続で決められ、テクニカルフォールで敗戦を喫した。3位決定戦は両者テクニカルポイントを奪えず、拮抗(きっこう)した試合展開に。それでも場外押し出しやパッシブで点を稼いだ梅林が3-1で勝利。安楽と共に3位入賞を果たした。
今大会は出場した7人の選手のうち4人が表彰台にのぼった。「今できる動きをしっかりできた」(梅林)、「勝てるところはしっかり勝てた」(玉岡)と久しぶりの実戦にそれぞれ手ごたえを感じたようだ。しかし、個人、団体としても目指すはやはり「優勝」である。来月開催予定の内閣総理大臣杯全日本大学選手権は、今年度最後の団体戦。チーム早稲田で頂点を狙う。
(記事 鬼頭遥南、写真 長村光)
結果
▽67キロ級
安楽 3位入賞
▽82キロ級
梅林 3位入賞
▽87キロ級
玉岡 5位入賞
安楽龍馬主将(スポ3=山梨・韮崎工)
――久しぶりの公式戦でしたがどのような気持ちで臨まれましたか
久しぶりの実戦でみんなで結果を出したら今後のチームの意欲が高まるので、しっかり優勝を狙って臨みました。
――主将として意識されていたことはありますか
自分は専門がフリースタイルで今回はグレコ(グレコローマンスタイル)で。高校時代もグレコをやっていたので、フリー、グレコ関係なく主将という立場で、恥じるような姿を見せたくなかったのですが、負けて悔しいです。勝ち負けにこだわると悔しいので、悔しかったです。
――試合を通して良かった点は
自分のスタイルを表現できたことが良かったです。
――逆に反省点はありますか
準々決勝まで調子が良くて、準々決勝で優勝候補と試合をして勝ってしまって、そこの時点で少し油断をしてしまった部分があったかなと思います。
――特に印象に残った試合はありますか
日体大の曽我部(京太郎)選手、1年生で強いと聞いていて。その選手とはいい試合になるだろうと思っていて、胸を借りたつもりで思い切って臨みました。その試合では判定が紙一重だったので、自分に判定がきて恵まれていたと感じました。
――今回の成績をどのように受け止めますか
チームに影響を与えられたと思うと、点数で言うと50点くらい。11月に内閣(内閣総理大臣杯全日本大学選手権)があるので、そこでは主将という立場は関係なくしっかり優勝したいです。得意なフリースタイルなのでしっかり優勝します。頑張ります。
梅林太朗(スポ4=東京・帝京)
――久しぶりの実戦となりました。率直にどのように感じましたか
いつ試合があるか分からないなかでいつでも試合ができるように準備はしていたんですけど、自分がやっているフリースタイルではなくてグレコローマンスタイル(グレコ)の試合が最初の試合だったということで、これだけ間隔が空くとやっぱり試合って大変だなと実際にやって思いましたね。
――コロナウイルスの影響で、上半期は長い練習期間となってしまいました。その期間でご自身が強化した部分はどこですか
競技自体はあまり変わらなかったです。それ以外の部分、例えば食事について勉強をしたりヨガをしたり、いろんなことをやってみて自分に合うものを取り入れました。今回それが直結して活きるというよりは、それが土台となって支えになって、専門外のグレコの試合でも入賞できたと思います。
――今大会の位置付けは
天皇杯優勝するというのが1年の大きな目標なのですが、今回天皇杯前に実戦ができるということで。大学ラストイヤーということもあり、試しの部分と勝ちたい部分がともにありました。
――試しの部分は今回しっかりと試すことができましたか
動きのなかで試すことはできました。でも、まだまだ試合では全然出せていなかったので、もっと練習しなきゃいけないなと。練習でスパーリングを3、4本やるんですけど、今回4試合しかやっていないのに結構疲れていたし、練習量が足りないなと感じました。
――実戦の感覚は今大会を通して取り戻せましたか
久しぶりの試合かつ久しぶりのグレコということで、思った以上に自分が緊張していました。なので、一回戦はすごく硬くて。ただ、1回戦で投げられたところから緊張感が徐々にほぐれていきました。今できる動きをしっかりできたとは思います。
――最後に、これからの大会に向けてどのように課題を修正し、自身を強化していきたいと考えていますか
コロナで練習できなかった部分は間違いなくありますが、それはみんな同じことなので、体力づくりと身体づくりをしっかりして準備していきたいと思います。
玉岡颯斗(スポ1=群馬・館林)
――早大デビュー戦となりました。どのようなお気持ちで臨まれましたか
高校生のころとは違うので、1年生という身分なのでチャレンジャーのつもりでどんどん仕掛けていこうという気持ちで臨みました。
――高校と大学ではどのようなところが違うと感じましたか
体格も違うし、自分は重量級なのですが高校生より大学生のほうががっしりしているので、そういった人たちをどう組手で倒すかとか。技もやっぱり大学生のほうが上手いので、そういうところについて行けるように練習中です。
――大会がなかった自粛期間はどのような練習をされてきましたか
対人の組手はできなかったのですが、家で自主的に筋トレとランニングは毎日欠かさず行うようにして、体力だけは落とさないようにしていました。
――今日の試合を振り返って、良かった点は
最初は緊張して上手く動けなかったのですが、最初以外の残りの試合は緊張せず、自分の体を思ったように動かせました。思い切って仕掛けられるところは仕掛けられたところが良かったと思います。
――特に印象に残った試合はありますか
敗者復活戦2回戦の相手が強くて。自分が1つ技を返して逃げ切るというかたちだったのですが、相手の圧がすごくて必死だなと。自分の理想とする形ができたので印象的でした。
――逆に反省点はありますか
自分よりも強いとわかった相手に対して及び腰になってしまったのが良くなくて、その時に自分の実力を出すことができなかった点と、高校生の頃よりもっと技の精度を高めなければいけないなと。失敗が多かったので、そういうところを反省して次回に生かしたいです。
――今回の成績をどのよに受け止めますか
大学初の試合で勝てるところはしっかり勝てたのでまずまずかと。でも、目指すは優勝だったので力及ばずでした。60点くらいかなと思います。
――最後に次の試合への意気込みをひとことお願いします
今日の反省を生かして、もっと自分から攻めて、自分から技を仕掛けてポイントを取りにいけるようなレスリングを展開していきたいです。