2日間かけて行われた東日本学生秋季新人戦。今大会で優勝した選手には12月の天皇杯全日本選手権(天皇杯)の出場権が与えられる。初日はグレコローマンスタイル、2日目にはフリースタイルが行われた。フリースタイルに出場した島谷侃(スポ1=秋田商)と山崎祥平(商1=茨城・土浦日大)の2人が優勝。グレコローマンスタイルとフリースタイル両方に出場した小西拳(スポ2=岩手・盛岡工)はグレコローマンスタイルで惜しくも準優勝となった。
57キロ級で出場した島谷は全5試合を戦い抜いた。フリースタイルを戦うのは約1年ぶりであり、大学に入ってからは初めて。しかし、初戦からテクニカルポイントを獲得し攻めの手を緩めず勝ち進んだ姿は怪我のブランクを感じさせなかった。決勝の舞台でもテークダウンを2度決め相手を突き放し勝利。「同期に追いつけるように」と試合後話していた島谷だったが、久々のフリースタイルの実戦で優勝を果たすという島谷の高い実力が存分に発揮された大会であった。97キロ級で出場した山崎は準決勝からの登場となった。すでに約2週間前の全日本大学選手権で130キロ級での天皇杯出場権を得ている山崎だが、本来の自分の階級である97キロ級で獲得するため今大会臨んだ。結果は準決勝と決勝ともに10ー0のテクニカルフォール勝ち。得意のテークダウンからローリングへの流れで勝負を決めた。さらに両試合とも1分ほどで決着し、まさに圧勝といえる内容であった。
大会を通じてテクニカルポイントを獲得した島谷
グレコローマンでは130キロ級で出場した小西が予選から安定した試合運びを見せた。テークダウンをしっかり決め、準決勝ではテクニカルフォール勝ち。順調に決勝へと進んだ。決勝では1ー1と途中まで均衡状態が続いたが、パッシブのチャンスで逆に相手に攻め込まれてしまい、4点の大技を決められてしまった。「結局は自分のミスから始まって相手のポイントにつながってしまった」とここでの反省を述べた小西。初の全日本の舞台まであと一歩、惜しくも届かなかった。フリースタイルではグレコローマンスタイルで戦った相手に敗北。思うように自分の攻めをすることができなかった。
パッシブから返せずこの後相手に大技を決められてしまった
島谷と山崎が今大会で優勝し天皇杯への切符を掴んだ。この結果から1年生は今回優勝の2人に加え、東日本学生春季新人戦で優勝した鈴木歩夢(スポ1=埼玉栄)の3人全員が天皇杯へ出場することとなった。若い力が躍動するなか、3年生以上が出場する秋季選手権では3人の戦士が臨む。より多くの早稲田の戦士が大舞台への切符を手にすることができるか。
(記事、写真 北﨑麗)
小西(左)と島谷(右)と不在の山崎の賞を持つ鈴木
結果
グレコローマンスタイル
▽130キロ級
小西 準優勝
フリースタイル
▽57キロ級
島谷 優勝
▽97キロ級
山崎 優勝
▽125キロ級
小西 1回戦敗退
コメント
小西拳(スポ2=岩手・盛岡工)
――まずグレコローマンスタイルの試合についてお伺いします。準決勝まで安定した試合運びだった印象ですが、ご自身で振り返っていただけますか
そうですね、自分の中でも1回戦ではポイントをとられる気はなかったので、体力温存しながら展開をつくれました。自分の押していくスタイルでしっかり点数とれてテクニカルフォールで勝てたので良かったと思います。
――テクニカルフォールで勝てた要因は何ですか
しっかり相手のことを動かして。自分もプレッシャーかけてたんですけど、相手が押し返してきたときに崩したりとかちゃんとできたので、そこが点数をとれた要因かなと思います。
――決勝を振り返っていただけますか
相手からとられたポイントもあったんですけど、結局は自分のミスから始まって相手のポイントにつながってしまったので、そこがちょっとツメが甘かったのかなと思います。そこがなかったらまだ展開があって勝てるチャンスもあったんじゃないかなと思います。
――そのミスというのは具体的にはどのようなミスですか
2ピリオド目でパッシブからグラウンドをとった後に、グラウンドを返せなかったんですけどそのときにアップまで待てばよかったのに無理に返そうとして自分のクラッチが外れてしまって、自分がよろけたところを詰めてきてそのまま4点の技をくらってしまったので、そこで1点でも流していけば残り2分で展開も変わってきたのかなと思います。
――今日は昨日のグレコローマンで戦った相手との試合でしたが、フリースタイルの試合を振り返っていただけますか
グレコローマンをよく練習していたんですけど、グレコローマンで得意としてる押しが全然上手くいかなかったことと、自分のやりたいことが定まってなかったのもあってなかなか得点につなげられなかったのが痛いところかなと思います。
――定めていくこと、方向性について何か決まったことはありますか
自分グレコローマンが得意なので、フリースタイルでも押して。あと体重も持っていなくて階級では小さい方なので、しっかり横について押していくというのを展開していけばフリースタイルでも少しずつ勝っていけるのかなと思います。
――来年から上級生になりますが、上級生になってからチームでどのように活動していきたいと思っていますか
今まで先輩方にひっぱってもらって強くしてもらってきたので、自分も練習態度などでひっぱっていけるように自分から率先して練習に取り組んでいきたいと思います。
島谷侃(スポ2=秋田商)
――優勝おめでとうございます!
ありがとうございます!
――今の率直なお気持ちは
とても嬉しいです。
――今大会の目的は天皇杯への出場でしょうか
そうですね、でも自分は3月に怪我をしてフリースタイルの試合がもう1年以上ぶりだったので、自分の実力がどれだけ通用するのか確かめるというのと、同期の2人が天皇杯確実だったので追いつけるようにその資格をとろうと頑張りました。
――フリースタイルの試合は大学入って初めてでしたが、大学での試合と今までで変えた部分はありますか
高校までとスタイルを大分変えて、高校までは攻め急いじゃうスタイルだったんですけど、大学に入ってコーチ陣や先輩方に落ち着いて組み手をするというのを教わって。今日は結構組み手に集中してできたし、負けててもそのスタイルを貫いたので、それが良かったかなと思います。
――今大会は通してテクニカルポイントを重ねられたと思いますが、ご自身ではその点はどのように思われていますか
ポイントをとれたんですけど、自分はこれという技があまりないので、結果に満足せずにこれから確立できるように練習を頑張っていきたいなと思います。
――これからの大学生活を通して行いたい戦い方や勝ち方はありますか
まずは自分の得意技を1つつくるというのと、組み手で相手を圧倒できるようなレスリングできるようになりたいなというふうに思っています。安楽龍馬さん(スポ2=山梨・韮崎工)がそういうのが上手いので先輩に教わりながら頑張りたいと思います。
――今回1年生全員で天皇杯への出場を決めました
自分は前期怪我をして大会何も出れなくて後期で取り返すしかないというか、大分遅れをとってしまったので、この大会は絶対優勝しようと思っていたので、まだ同期とは実力差があるんですけど、やっと近づけたかなというのはあって嬉しいですね。
――最後に、初めての全日本に向けてひとことお願いします
出る人は皆自分より格上の選手で1試合目から厳しい試合になると思うんですけど、自分のやってきたことを出せるように。悔いのない試合ができるように頑張っていきたいです。