全日本学生選手権(インカレ)の激闘から2ヶ月弱。チームとしてシーズン後半の初戦となる団体戦・全日本大学グレコローマン選手権(全グレ)に早大は7人を擁し挑んだ。準決勝までの試合が行われた初日は宇井大和(スポ3=和歌山・新宮)と山﨑弥十朗(スポ3=埼玉栄)が勝ち進み、あすの決勝へと駒を進めた。一方で上位進出が目されていた齋藤隼佑(スポ4=群馬・館林)、松本直毅(スポ3=神奈川・横浜清陵総合)を含め、多くの選手が早々に敗退。総合優勝を目指す早大にとっては、満足とは言い難い結果となった。
軽量級の選手たちは苦戦を強いられた。60キロ級の坂井剛光(社2=福岡・小倉商)は第1ピリオド(P)にパッシブのペナルティによる不利な体制から投げ技を受け大きくリードを許す展開に。その後は粘りを見せたものの、第2Pに再び投げ技を食らい万事休す。フリースタイルを本職とする岩澤侃(スポ3=秋田商)もパッシブのペナルティからの投げ技とバックポイントを立て続けに奪われ、8−0のテクニカルフォール負け。力を出し切れずに大会を後にした。総合優勝を目指す上で、上位進出が期待された齋藤、松本だったが、両者共に実力のある相手を前に屈した。齋藤は1回戦で北條良真(神奈川大)と対戦。今年度のインカレ3位同士の顔合わせとなったが、自身が得意とする攻撃パターンをことごとく封じられ、奪ったポイントはパッシブによる1点のみ。最終的に1−6で敗戦し、不本意な初戦敗退となった。昨年の内閣総理大臣杯全日本大学選手権(内閣杯)王者との対戦となった松本もパッシブからの不利な体勢から4連続でローリングを回されてしまい、テクニカルフォール負けを喫した。
悔しい初戦敗退となった齋藤
グレコローマンスタイルのエース・宇井は投げ技を連発する終始圧巻のパフォーマンスを披露。初戦から準決勝まで1ポイントも奪われることなく、全てテクニカルフォール勝ちであすの決勝へ駒を進めた。太田拓弥監督も「100点満点の試合内容」と手放しで称賛した。本来はフリースタイルを専門としている早大のエース・山﨑は初戦、第1Pを3−0のビハインドで折り返したものの、第2P中盤に相手をデンジャーポジションに追い込むとそのままフォール勝ち。逆転で初戦を突破した山﨑は準々決勝をテクニカルフォールで勝ち進み準決勝へ。準決勝は接戦となったが、試合終盤にバックポイントで突き放し、4−1で勝利。危なげなく決勝進出を決めた。
宇井は得意とする投げ技を連発
この日の早大は明暗がくっきりと別れるかたちとなった。宇井、山﨑が快勝続きで決勝進出を果たした一方で、4人が初戦敗退という結果に終わった。「敗退したメンバーは(ポイントを)取るかたちっていうのがなかった」(太田監督)と『自身のスタイルの確立』、『チーム内の実力差』という課題が未だとして残る。これらの課題は1ヶ月後に行われる内閣杯全日本大学選手権を含む今後へ向け、可能な限り改善を図りたい部分だ。あすは宇井、山﨑の決勝に加え、敗者復活戦が行われる。総合優勝への見通しは暗くなったが、1つでも上の順位へ。早大の意地を見せたい。
(記事、写真 林大貴)
※グレコローマンスタイルは8点差がつくとテクニカルフォールで試合終了となる
結果
▽60キロ級
坂井 初戦敗退
▽63キロ級
岩澤 初戦敗退
▽67キロ級
宇井 決勝進出
▽72キロ級
齋藤 初戦敗退
▽77キロ級
伊藤駿(スポ4=京都・網野) 準々決勝敗退
▽87キロ級
山﨑 決勝進出
▽97キロ級
松本 初戦敗退
コメント
太田拓弥監督
――今大会はどのような目標を持って臨んでいますか
団体戦の優勝を狙える大会の一つでもあるので、総合優勝するということを目標としてきたんですけれども、残念ながらが決勝に進出したのは2人だけという結果で。松本が敗者復活戦に回ることになったと思うんですけど、そのほかのメンバーはちょっと(ポイントを)取るかたちっていうのがなかったかなと思いますね。
――去年に比べると多くの選手が出場していますが
基本的に、グレコを専門としてやっているのは松本、宇井、齋藤の3名しかいないので。それ以外のところはフリースタイルの選手で穴埋めするしかないチーム状況なので、フリーの選手を多く起用しました。
――専門としている3人のうち、松本、斎藤が初戦敗退というのは想定していなかった部分でしょうか
相手の実力ももちろんあって、優勝してもおかしくない選手に負けたかたちだったので。齋藤にしても松本にしても、もう少し点数を取る形っていうのがあれば勝てるチャンスはあったのかなと思います。紙一重のところだったのでもったいなかったですね。
――敗因はどこにあると思いますか
斎藤の場合は自分の攻撃が全て相手に防がれてしまいましたね。いいところを全部押さえられてしまって。松本の場合もグラウンドでチャンスの時にポイントを取れなかったのと、相手はフリーの選手だったので、もっとアクションをしていけば2回目のコーションも取れたと思うので、もったいなかったなと思います。
――決勝進出を決めた宇井選手と山﨑選手の戦いぶりはいかがでしたか
そうですね、弥十朗の場合は1回戦よく日体大の選手に勝ちましたし、先にポイント取られましたけど、よく追いついてフォールにしたと思います。それ以外の試合でも無難に勝ち進んでくれましたね。大和の場合は100点満点の試合内容だったので、あとはしばらく優勝から遠ざかっているので、なんとかあした、自分のかたちでしっかり優勝してほしいなと思います。