全日本学生選手権(インカレ)閉幕からわずか4日後の9月4〜9日にかけて世界大学選手権がブラジルの地で開催された。早大からはフリースタイル(フリー)65キロ級で米澤圭(スポ4=秋田商)、同じくフリー79キロ級で山﨑弥十朗(スポ3=埼玉栄)が出場。米澤圭が自身初となる国際大会優勝を飾り、山﨑も2位に入賞。早大を担う2人の戦士が世界を舞台に躍動を見せた。
★米澤圭、念願の国際大会初優勝を飾る
「参加人数が少なく優勝するチャンスも大きかったので優勝してやるという気持ちで」と意気込み臨んだ米澤圭。国際大会に苦手意識があったという米澤圭だが今大会では圧巻のレスリングを見せた。予選1回戦から準決勝まで無失点でのテクニカルフォール勝ちで決勝進出を決める。迎えた決勝では相手のパッシブによるペナルティで1点を先制すると、その後も片足タックルを決め2点を加点し3−0で第1ピリオド(P)を折り返す。第2Pにはカウンターから2点を返され1点差まで追い上げを許すも、両足タックルと場外へのテークダウンなどビックポイント技を立て続けに成功させ、13−2のテクニカルフォールで優勝を決めた。この大会で念願の国際大会での初優勝を飾った米澤圭。「自分のレスリングでも通用するという自信がついた。ここからもっと上のレベルの国際大会でも優勝できるように」。今大会の躍進を糧にさらなる飛躍を誓う。
★山﨑は課題の残る2位入賞
明治杯全日本選抜選手権、インカレといずれも決勝で惜敗し2位に終わっている山﨑。高い位置付けと定める世界大学選手権でその雪辱を果たしたい山﨑だったが、結果はまたも2位にとどまった。予選リーグでは1回戦でロシアの選手に0−6で敗れたものの、続く2回戦ではテクニカルフォール勝ち、3回戦を不戦勝で準決勝へ。「最後の数十秒勝負だと分かったので、そこで冷静に対処することができた」とロースコアとなった準決勝を2−1で制し、決勝進出を決めた。しかし予選で敗れていたロシアの選手との再戦となった決勝では0−10のテクニカルフォールで完敗。「同じ相手に2回も負けてしまい、修正能力を上げていこうと感じた」と山﨑。自身が課題に挙げた『セオリー』を確立し、次の舞台こそ表彰台の頂点へ登りたい。
(記事 林大貴)
※フリースタイルは10点差がつくとテクニカルフォールで試合終了となる
結果
男子フリースタイル
▽65キロ級
米澤圭 優勝(6選手中)
予選リーグ1回戦 ◯10(Tフォール)−0
予選リーグ2回戦 ◯ 不戦勝
予選リーグ3回戦 ◯10(Tフォール)−0
準決勝 ◯10(Tフォール)−0
決勝 ◯13(Tフォール)−2
▽79キロ級
山﨑 2位(9選手中)
予選リーグ1回戦 ●0−6
予選リーグ2回戦 ◯11(Tフォール)−0
予選リーグ3回戦 ◯ 不戦勝
準決勝 ◯2−1
決勝 ●0−6
コメント
米澤圭(スポ4=秋田商)
――今大会はどう行った位置付け、意気込みで臨んだのでしょうか
今大会は世界学生という事で自分の苦手な海外の選手との試合をできるだけ多く経験し、優勝をしてやるという気持ちで取り組みました。
――インカレの直後でしたが、疲労の方はありませんでしたか。また、影響することはありませんでしたか
疲労は少しありましたが、インカレで負けた悔しさ、反省を早く試合で改善したいという気持ちが強かったです。
――インカレで70キロ級で出場したことが何か生きた点はありましたか
70キロ級の左利きの選手に負けて、左利きの相手だとまだ自分のレスリングが出し切れなかったので、世界学生では左相手にはどの様に対応するか考え直すことができました。
――海外の選手相手に全てテクニカルフォール勝ちでの優勝となりましたが、その点で手応えを感じる部分はありますか
今まで海外の選手に苦手意識を持っていましたが。この大会を機に自分のレスリングでも通用するのだと自信がつきました。
――国際大会で初の優勝となりましたが、その点についてはどう感じていますか
参加人数が少なかったため優勝のチャンスも大きく、そこでしっかりタイトルを取れたのは良かったかなと思います。ここからもっと上のレベルの国際大会でも優勝できるように練習していきます。
――この優勝は、今後のレスリングにおいてどのような意味を持つでしょうか
この優勝が今後の自分の目標である東京五輪優勝に繋がる大会だったと言えるように頑張っていきたいと思います。
――今後、内閣総理大臣杯全日本大学選手権(内閣杯)などに向け個人、チームともにどうレベルアップしていきたいですか
インカレでも決勝進出者4人と全体的なチームのレベルもかなり上がってきています。これからもっとさらに活気のあるきついけど楽しい練習の雰囲気作りからやっていこうと思います。内閣杯ではまず、自分がしっかりと成績を残してチームを勢いづけていきたいです。
山﨑弥十朗(スポ3=埼玉栄)
――今回はどう行った位置付け、目標を持って大会に臨んだのでしょうか
世界学生ということで、自分の中で高い位置づけであり、優勝したい気持ちで挑みました。
――インカレの直後でしたが、疲労の方はありませんでしたか
疲労感は特にありませんでした。大きい大会では、連戦が予想されるので、そのような状況でも勝てるように今回はインカレ直後でも世界学生に挑みました。
――2位という結果についてはどう捉えていらっしゃいますか
優勝したい気持ちだったので満足するような結果ではありませんでした。同じ相手に2回も負けてしまい、修正能力を上げていこうと感じた試合でした。
――準決勝では接戦をものにしての勝利でしたが、振り返っていかがですか
トルコの選手は体力がなく、あまり攻めてこないタイプでした。最後の数十秒勝負だと分かったので、そこで冷静に対処し勝てたのは良かったと感じています。
――決勝では予選で敗れた選手にテクニカルフォールで屈したかたちとなりましたが、敗因や及ばなかった部分というのはどこにあるでしょうか
体の大きさが違いフィジカル面で負けてしまった。また、相手にいい位置を取られてしまい技をかけられてしまったのは失敗だと感じています。
――今大会で得られたものはなにかありますか
自分のベスト階級を認識することが出来たことと、自分のセオリーを決めようと思いました。
――今後、内閣杯や天皇杯へ向け、どうレベルアップしていきたいですか
まずは自分のセオリーを作っていくことです。攻め方や守り方、体の使い方をもっと体に覚えさせるようにしていきたいです。