後期初戦となった全日本女子オープン選手権。早大からは55キロ級に臼池優月(社1=茨城・鹿島学園)、58キロ級に小林奏音(スポ3=長野・佐久長聖)、そして60キロ級に第1シードとして香山芳美(スポ4=東京・安部学院)が出場した。前期の反省を生かして結果を残し、いいスタートを切りたいところだったが3人はいずれも決勝の舞台に進むことができなかった。
早大勢で最初に登場したのは小林。初戦、パッシブを取られて先制を許してしまう。しかし、すぐにバックを取って逆転に成功すると、その後も着実にポイントを重ね、6-1で勝利を収めた。2回戦では強敵を相手に点差を広げられたが、終盤には積極的な攻めを見せるなど健闘。随所に成長を感じさせた。2回戦から登場した臼池も、あわやフォール負けの体勢まで追い込まれるなど前半に6点のビハインドを背負ったが、前半の終盤から後半の序盤にかけて盛り返しを見せる。左足を取ってからバックを取るかたちで後半2度ポイントを奪い、4-6と2点差に迫った。しかし反撃はここまで。追加点は奪えず、さらに相手に3点を奪われ4-9で敗れた。
随所に成長を感じさせる小林
第1シードとして準決勝から登場した香山もまさかの敗北を喫した。快勝して決勝に向けて弾みをつけたいところだったが、主導権を握りながらも前半の得点は1点のみ。それでも後半31秒に相手を場外に押し出し、さらに59秒にはバックを取って4-0とする。これで勝負あったかに思われたが、残り47秒にテークダウンで失点。そこからローリングでの連続失点は防ぎ、なんとかリードは保った。その後も相手の猛攻をかわしていたが、終了間際にバックを取られる。これで4-4の同点となり、規定によりラストポイントを奪った相手に軍配が上がった。
再三、有利な体勢をつくったがポイントを重ねられなかった香山
3人とも思うような成績は残せず、タックルの処理など課題も残るが、臼池、小林は「自分の攻撃をこんなふうに身に付けていけば、試合で勝てるっていうのが少し見えた内容だった」と太田監督が語ったように、勝利をつかむスタイルの確立に一歩前進した。香山は、きょうは相手の執念に屈したが今後は国際大会も控えており、気持ちを切り替えてほしい。まだ後期の戦いは始まったばかり。課題を克服し、次なる戦いに備えて再スタートを切りたい。
(記事 皆川真仁、写真 杉野利恵)
結果
▽55キロ級
臼池 2回戦敗退
▽58キロ級
小林 2回戦敗退
▽60キロ級
香山 準決勝敗退
コメント
太田拓弥監督
――小林選手(奏音、スポ3=長野・佐久長聖)は、初戦1点を失ってから逆転勝ちとなりましたが、入りとしてはいかがだったでしょうか
もっと確実にポイントを取れるように、ちょっともつれのところを意識して今練習に取り組んでたり、処理のところで取り組んでるんで、もっと楽に勝つような内容にしてほしいなとは思いますね。
――インカレ(全日本学生選手権)が終わった後、女子選手にはどういった声を掛けていましたか
全体的にやっぱりタックルの処理のところでもたついて(ポイントを)取れない、また返される、潰されるっていうケースが多かったんで、その処理のところを重点的に練習に取り入れようということになって。特に、タックル入った後に高い位置になるように、まあ低くなればなるだけ失点する確率っていうのは上がってしまうんで、早いところ処理するっていうことを意識させるようにはしてたんですけども、なかなかやっぱり相手もしっかり研究して練習してるところなので、そう簡単には、この女子オープンもここ数年レベル相当上がってきてるんで勝ち切れなかったのが1つの要因かなと思いますね。
――小林選手の2試合目はいかがでしたか
奏音も実力はついてきてるなとは、見てとれるんですけれども、やっぱり確実にポイント取るっていうものを身に付けさせないと、誰にでもこの技でポイント取るっていうものを身に付けないと。まあ全員に言えることなんじゃないかなと思いますね。
――敗れた試合は終盤積極的にポイントを取りにいきましたが
そうですね、前半もう少し失点を抑えてれば、もう少し確実にポイントを取っていれば、もう少し競った試合だったと思うんですけども。実力はついてきたなっていうのは見てとれるんで、その点に関しては優月(臼池、社1=茨城・鹿島学園)も奏音も良かった点かなと。自分の攻撃をこんなふうに身に付けていけば、試合で勝てるっていうのが少し見えた内容だったんで、その点に関してはまあ負けましたけど良かった点かなと思います。
――臼池選手の今後の課題は
やっぱりタックルの処理と、どうしても腕力、筋力が絶対的になさすぎるんで、そこらへんはもう一回しっかりやらせないといけないのかなと思います。
――前半の終了間際から後半にかけて盛り返しましたが、技術面での成長は
やっぱりタックルの処理でどうしても時間かかってしまって、ポイント取れるときはポイントもう早く取れればもっと勝てる内容だったんで、もう少し確実にポイント取れる、低くならない、高い処理でっていうところを改善していけば、結構あの階級でもリーチある選手なので、そういったところを改善していけば、良くなってくるんじゃないかなと思いますね。
――ポイントを取った場面で具体的に良かったところはどこでしょうか
ちょっと時間かかりましたけど、確実に高い位置に持っていってポイントにした点が良かったかなと思います。ただもっと早く取っていれば、6-2になった時点でまだ後半始まって間もなかったんで。あと前半の最後のとこでもポイント取れてたんで。あれが、たらればですけど6-2になって、後半の入ったところで6-4にしてれば勝てる内容だったんでちょっとポイントの取る時間帯だったり、アタックする時間がかかってしまったり、後半の数秒でああいう状況になってたりして。もう少し効率良く、時間も考えたうえでやっていけばもっともっと勝てる内容になってくんじゃないかなと思います。
――香山選手は初戦でまさかの敗戦となりましたが、敗因はどういったところでしょうか
やっぱり再三がぶりのチャンス、トータルで5、6回多分あったと思うんですけど、そのがぶりってやっぱり上から押さえつけてる状況なんで完全に上が有利なんですよね。そういう状況でポイント取れなかったっていうのが、敗因の一つでもありますし、油断したわけじゃないとは思うんですけども、後半に入って組み際でタックル取られて、その後も追い付かれましたけど、膝あそこで上げてけば、ノーポイントでタイムアップっていう状況になってたんですけども、諦めたっていうわけじゃないと思うんですけど、相手の方がやっぱり泥臭く、絶対勝ちたいっていう強い気持ちが上回ったかなとは思いますね。
――香山選手に関しては今後国際大会がありますが、どういった点を指導していきたいですか
まあ今から劇的にスタイルを変えることはできないと思うんで、やっぱり今ある武器をしっかりさらに磨くっていうところと、試合運びっていうのは経験はいっぱいしてると思うんで、試合運びをもっともっとうまくいけば、そういった海外の試合でも勝てるかなと思いますね。
――インカレの際も初戦少し苦戦したと思いますが、大会の入りという面で課題はありますか
前期出た課題を改善しようっていう姿は見えたんで、そこらへんは良かった点だと思いますけど、後期も同じように特にタックルの処理のところと組み手、そういったところを改善していけば、確実に勝てるようなレスリングがちょっとずつ見えてきてるんで、そこらへんを徹底していければなと思います。
――インカレが終わってから男子選手の練習の様子はいかがですか
オリンピックの階級も新しく出ましたし、オリンピックにみんなが挑戦するっていうような雰囲気で、みんな自分の階級はじゃあどこにいくのかとか、その階級のためにどういったことをやっていけばいいのかっていうのはみんなで色々と知恵を出し合ってやろうとしてるんで。伊藤奨(スポ4=長崎・島原)を中心に大学選手権(内閣杯全日本大学選手権)に向けてみんなで頑張ろうっていうような雰囲気はありますね。
小林奏音(スポ3=長野・佐久長聖)
――今日の試合での目標はありましたか
この試合が後期一番初めの試合なので、前期の反省を生かすことでした。前期で出た反省点がタックルを入った後の処理と、守らないで最後まで攻め切る、勝っていても最後また攻めるところを意識して試合に臨みました。
――今日の試合ではその意識されたという2点はどうでしたか
1回戦目はそれを意識して結構タックルの処理も攻めることもできたかなと思いました。2回戦目は何回かいい感じに入ったんですけど、取れなかったのでタックルの処理はまだかなと思いました。
――1回戦目では先制されましたが、焦りましたか
実際気付かなくて、私が2点取ったと思って点数を見たら相手に1点入っているのを見て気付いたので、何も焦ってないです。
――2回戦目の終盤では、取れるんじゃないかというところまでいけたかと思うのですが、いかがでしたか
取れそうで取れない、って感じでしたね。
――普段なかなか対戦しない社会人との試合は、何か違いますか
社会人まで続けている人は結構みんなレベル高いので、こういう大会に出ると強い人いっぱいいるなと思います。
――前期で出た反省点に加えて、きょう見つかった課題点などはありますか
自分の得意なかたちがあるんですけど、そのかたちのさらに先がないので、それを切られたときにどうするのかというのが課題かなときょう思いました。自分の得点源を増やします。
――社会人オープンでの目標を教えてください
社会人オープンは小規模な大会なんですけども、そういうところできちんと優勝を目指せたらいいなと思います。きょう出た課題を意識して練習して、社会人でさらに成長できればいいかなと思います。