インカレ最終日。米澤が連覇を達成!

レクリング

 4日間に渡り行われたインカレ(全日本学生選手権)もついに最終日。前日に続き男子フリースタイルの試合が行われた。早大からは3回戦に勝ち進んだ8選手が出場。65キロ級の米澤圭(スポ3=秋田商)が優勝し連覇を果たす。一方で山﨑弥十朗(スポ2=埼玉栄)と伊藤駿(スポ3=京都・網野)は2位、他の5人は惜しくも表彰台を逃す結果となった。

 65キロ級の米澤は、インカレ連覇を懸ける戦いに挑んだ。「自分から攻めるのを意識した」と述べたように、3試合連続のテクニカルフォールで勝ち進む。準決勝では第1ピリオド(P)から攻めあぐねたが、相手のパッシブとバックで制する。そして挑んだ決勝。第1Pは互いに様子をうかがい合う。第2Pでは米澤にポイントが入り始め、試合が大きく動いた。場外を取られるなど相手からの反撃もあったが、なんとか持ちこたえて6-5で勝利し、優勝。連覇を成し遂げることができたものの、「積極的な攻めができていなかった」と振り返り、課題の残る試合内容となったようだ。

苦しみながらも地力を見せ、連覇を成し遂げた米澤

 昨年のインカレで74キロ級の王者となった山﨑は、86キロ級に階級を上げ2階級制覇を狙う。3回戦、準々決勝はテクニカルフォールで相手を制し、準決勝では1ポイントの差を逃げ切った。しかし「自分のレスリングができなかった」と、階級変更の影響を感じていたようだ。決勝では第1Pで立て続けに5ポイントを奪われる。反撃を試みるものの、失点を取り返すことができずに敗退。2階級制覇を目前で逃した。70キロ級には伊藤駿が出場した。けがを抱えながらも、準決勝では接戦を制し、今大会の目標に掲げていた通り決勝に進出。しかし試合開始直後から右足を取られるなど、相手のペースで試合が進んでいく。第1Pの終盤にはフォール目前のところまで持ち込むが、連日の試合からくる疲れが響いたのか決めることができない。そのままポイントを返すことができないまま、バックに続きアンクルホールドを奪われ、惜しくも2位に終わった。

決勝は完敗に終わった山﨑。この悔しさを次につなげる

 伊藤奨主将(スポ4=長崎・島原)は、57キロ級に出場。「調子は悪くなかった」という伊藤奨は3、4回戦を相手にポイントを与えずに勝ち進む。しかし、準々決勝の相手は第1シードの強敵。アンクルホールドをこらえることができずにテクニカルフォールで敗退し、表彰台に手が届かなかった。同じく57キロ級には岩澤侃(スポ2=秋田商)も出場。けがからの復帰戦を優勝で飾りたかったところだが、4回戦で相手に圧倒され、テクニカルフォール負けとなった。74キロ級の野本州汰(スポ1=群馬・館林)は、3回戦で相手にポイントを与えずに下す。反対に4回戦ではポイントを奪うことができずに敗退したが、グレコローマンスタイルの2回戦敗退という結果を上回るベスト8入りを果たした。反対に、グレコで3位となった松本直穀(スポ2=神奈川・横浜清陵総合)と齋藤隼佑(スポ3=群馬・館林)は3回戦で敗退した。

 ことしのインカレでは、早大から男女ともに1人ずつの優勝者を出した。しかし太田拓弥監督は「ちょっと厳しい内容であった」と分析している。10月からは、全日本グレコローマン選手権や内閣杯全日本大学選手権など大きな大会が続くことになる。今回、選手は各々の課題を得たことだろう。これらを克服し、太田監督が目標に掲げる総合優勝を達成したい。

(記事 赤根歩、写真 杉野利恵、平松史帆)

※フリースタイルは10点差がつくと、テクニカルフォールで試合終了となる

結果

男子フリースタイル

▽57キロ級

伊藤奨 ベスト8

岩澤  4回戦敗退

▽65キロ級

米澤  優勝

▽70キロ級

伊藤駿 2位

▽74キロ級

野本  ベスト8

▽86キロ級

山﨑  2位

▽97キロ級

齋藤  3回戦敗退

松本  3回戦敗退

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コメント

太田拓弥監督

――米澤選手(圭、スポ3=秋田商)が接戦をものにして優勝しましたが、決勝戦を振り返っていかがですか

試合前にも山梨学院大が絶対調子いいってかたちで言ってて。至学館もまあそうですけども。やっぱりグレコ(グレコローマンスタイル)は日体大、フリースタイル(フリー)は山梨、女子は至学館っていうのが、やっぱり強かったなというのは改めて思いましたね。乙黒(圭祐、山梨学院大)とも結構何試合かやってるんですけども、もっと大差で勝ってたのが、ちょっと距離縮められたかなっていうのが印象の内容だったですね。それでもまあ良くしのいで、1点差で勝ち切れたのは良かった点じゃないかなと思いますね。

――決勝戦、場外逃避で逆転を許した後も落ち着いてるように見えましたが

でもその後の取られ方も悪かったですし、あのポイントがなければひょっとしたらっていう展開にもなってたんで。もっと、あの点差になってももう1つ取りにいく力強さっていうのが必要かなと。そういった力強さがないと、国内でもトップになれないと思いますし、世界でも通用しないなと思いますね。まあ本人重々感じてるとは思うんですけど。

――終盤の粘りといった面ではどうでしょうか。準決勝もやや危ない場面がありましたが

粘りといっても、やっぱり対外国人のことを考えたら、あそこで取り切られちゃうんで。あそこはもう失点をしないで、しのいでほしかったですね。欲を言えば。

――山﨑選手(弥十朗、スポ2=埼玉栄)は決勝戦なかなか攻めさせてもらえませんでしたが

そうですね、やっぱり1階級上で。でも優勝できる力は持ってると思ってたんで、あの階級にエントリーしたんですけども、チームの事情っていうこともあって、大学選手権(内閣杯全日本大学選手権)に関しては86(キロ級)で出場させる予定なんで、それでどれぐらいやれるかっていうところで試合に出したんですけども。まだまだやっぱりあのレベルで勝ち切れないっていうところが、課題として残ったかなというふうに思いますね。

――伊藤駿選手(スポ3=京都・網野)は(決勝戦で)途中フォール勝ちをしそうな場面もありましたが

でもちょっとまだ差がありましたね。圧倒的に負けてしまったっていうような内容だったんで。大学選手権優勝するためにはあの選手に勝たないと恐らく総合優勝できないと思うんで、しっかり大学選手権に向けて、やっていきたいなと思いますね。

――伊藤駿選手の体力面はいかがだったでしょうか

引っ掛ければ強さって持ってるんですけども、やっぱりちょっと後半バテたっていうところは、もっともっと練習量だったり、走り込みだったり、そういった量、質を上げていかないといけないのかなと感じましたね。

――伊藤奨選手(スポ4=長崎・島原)は好調のようでしたが、第1シードの選手に敗れました

やっぱりリーチあって手足の長い選手なんで、ちょっと相手の方がいい距離感でレスリングしてたのがタックルとグランドの流れに取られてしまって。もっともっとコンタクトして、くっついていくような展開を持っていけば、もう少し違った展開になってたと思うんですけど。ちょっとその距離感の違いで、相手の方が一枚も二枚も上手だったんじゃないかなと思いますね。

――岩澤選手(侃、スポ2=秋田商)はテクニカルフォール負けをしてしまいましたがいかがでしたか

動きから見てちょっと足がまだちゃんと治ってないっていうところと、ハム(ハムストリング)もちょっと痛めてたようだったんで、本来の侃の動きは全然できてないような状態だったですね。しっかりけがを治して、後期の大会に挑まさしたいなと思います。

――野本選手(州汰、スポ1=群馬・館林)はグレコに比べてフリーで良かった点はどこでしょうか

積極的に技を掛けていった展開ですね。投げだったりタックルだったり、奥井選手(眞生、国士舘大)に負けましたけど、積極的に攻めていきましたから、そこらへんは良かった点じゃないかなと思いますね。

――松本選手(スポ2=神奈川・横浜清陵総合)はきょうはテクニカルポイントは取れませんでしたがいかがでしたか

この1年で本当に収穫のあった選手の1人だと思いますね。去年フリーもグレコも1回戦で負けて、ポイント取るパターン、勝ちパターンっていうのがなかった中で、グレコは3位にもなりましたし、フリースタイルも内容もまあ悪くはなかったんで。優勝した選手にいい勝負してたんで、あと1年かけてしっかりトレーニング積めば、優勝も狙える位置まできたかなとは思いますね。

――4日間を通してチーム全体としての成績はどのようにとらえていますか

きょう試合に負けたメンバーにも話したんですけども、やっぱり新人戦(東日本学生春季新人戦)から、あと全日本選抜(明治杯全日本選抜選手権)から強い者との差があるっていうところで、ようやく直毅がそこからこう浮上してきて、上位の仲間入りしたんですけども、やっぱり下の者の這い上がりっていうものがないと、大学選手権の優勝はないってふうに言ってたんで。直毅が唯一上に食らい付いていけたんで、そこは良かった点だと思うんですけども、チーム全体として見たら、男子優勝1人、女子優勝1人っていうかたちで、ちょっと正直もう少し優勝者と上位入賞者出るんじゃないかなと思ってたんで、ちょっと厳しい内容だったんじゃないかなと思いますね。

――10月には全日本大学グレコローマン選手権(グレコ選手権)もありますが、それに向けては

チーム全体のレベルアップを図って、グレコ選手権と大学選手権の方総合優勝できるように頑張らしたいと思います。

伊藤奨主将(スポ4=長崎・島原)

――ご自身のベスト8という結果について、どう思われますか

悔しいですね。悔しいっていうか、そこまではいかなきゃって気持ちがあって、1回やったことある相手で、その時もテクニカルフォールで負けてる相手だったんで。ただその時けがしてたんで、その時よりいい勝負ができるかなって思ってやったんですけど、結果普通にテクニカルフォールで負けたので、悔しいっていうのが1番大きいですね。

――以前ベスト8ぐらいで止まっているので、そこを超えたいとおっしゃっていましたが、そういった面ではどうだったでしょうか

やっぱりもう一つっていうか、ベスト4に入ってく選手はスタンドレスリング、立ってやる状態のレスリングも強いんですけど、やっぱりグラウンドいったときに何か1つ技があるみたいな。僕が負けた長谷川選手(敏裕、日体大)だったら、アンクル(ホールド)があったり。他の選手だったらローリングがうまかったりっていうのがあって。スタンドで技が1つあって、グラウンドで技が1つあるみたいなそういうイメージがあるんですけど、僕にはまだそこまで「これ」っていう技がなかったかなって感じましたね。

――3試合勝利しましたが、調子は良さそうに見えました

そうですね、調子は悪くなかったですね。なので、もっといい勝負ができるって思ってただけに、あの負け方はちょっともったいないっていうか、足が極まっちゃったんで、あそこで守ってればもうちょっといい試合になったのかなって思いました。

――チーム全体として4日間通しての結果はいかがですか

グレコ(グレコローマンスタイル)は隼佑(齋藤、スポ3=群馬・館林)と直毅(松本、スポ2=神奈川・横浜清陵総合)は3位に入って、大和(宇井、スポ2=和歌山・新宮)がもったいなかったなとは思うんですけど、直毅が入賞したっていうのはすごいいいことかなって思いました。女子も芳美(香山、スポ4=東京・安部学院)が順当に優勝して、奏音(小林、スポ3=長野・佐久長聖)の準々決勝の逆転負けがちょっともったいないなっていう感じで、あそこで勝って3位に入賞してほしかったなっていうのがありますね。フリーに関しては僕と侃が表彰台に上れたらもっと良かったのと、弥十朗(山﨑、スポ2=埼玉栄)も1階級上で出たんで、ちょっと力の差っていうかフィジカルの差があったかなって感じますね。

――今後のご自身の目標は

グレコ選手権(全日本大学グレコローマン選手権)は多分サポートに回ると思うんで、内閣(内閣杯全日本大学選手権)にレギュラー取って出れたらそこでチームに最後しっかり貢献して、それでチームとして僕の代は終わりなんで、そこでしっかり結果残して終われたらいいなっていうのと、個人的には天皇杯全日本選手権に出れるので、そこで1勝して引退したいなと思います。

伊藤駿(スポ3=京都・網野)

――今日の試合の目標はどうでしたか

組み合わせ的には厳しいかなと思っていたんですけど、とりあえず決勝にいきたいなと思って。決勝の相手は2年前に負けてる相手だったので、リベンジできるかなと思ったんですけど返り討ちにあいました。

――今回の大会、調子は良かったのでしょうか

動きは良かったんですけど、体がけがばっかりで。動けるかなとは思いましたけど、1日4試合5試合やると体力的にしんどかったですね。体力ないので。

――準決勝は点の取り合いでしたが、いかがでしたか

いつもなら普通に勝っている相手だったんですけど、日体大の選手とはけっこう当たっているので、今回はたぶん動きを研究されてきたなと思いました。動きが読まれていて手こずりました。

――準決勝は何度かタイマーが止まりましたが、どういう気持ちでしたか

もう休憩できるのでラッキーと思っていました。体力が本当にないのでありがたいと。

――決勝は惜しいところまではいきましたけど、どうでしたか

惜しいと言えば惜しいんですけど、普通に実力差あったのと、やはり練習量が全然足りないですね。

――片足を触らせて後ろに投げる技をリーグ戦(東日本学生リーグ戦)からよく使っていますね

あれはマイブームの技です。十八番です。

――レスリングスタイルを変えただとかはありますか

いや、そんなことはないです。何も考えていないので。そのままです。

――今回の試合で課題や収穫点は見つかりましたか

だいぶ動きが相手にバレているので、もうそろそろ変えないと本当に勝てなくなってくるなというのは感じましたね。組手とか、ただ飛び込むだけとか、準決勝みたいに警戒されて追い込まれてしまうので。真剣に考えていかないとダメかなと思います。

――次の試合はグレコ選手権(全日本大学グレコローマン選手権)でしょうか

たぶん出ると思うんですけど、階級はまだわからないので、去年3番だったので頑張ります。

米澤圭(スポ3=秋田商)

――昨年の全日本学生選手権に引き続き優勝を収められました。現在の率直なお気持ちを教えてください。

うれしいというよりかはほっとしました。

――それは、試合前の緊張からですか?

いや、やっぱり前年に優勝したっていうプレッシャーがあったので、ほっとしたという気持ちです。

――今大会に向けてはどのような練習をなさっていましたか

自分的には、結構攻めるレスリングを意識して練習しようかなと思っていました。でも、今回の大会は自分の思い通りにはいかず、このままではまずいと思ったので、いつも通りの自分のスタイルに戻ってやり抜こう、という気持ちで最後は戦いました。

――思うようにいかなかった、というのはどのような部分ですか。

自分から攻めるっていうのを意識していたんですけど、相手も研究してきていて、自分の取りたいところを取れなかったり、タックルに入ってもバレていたりすることが多かった部分ですね。それでちょっとジタバタしてしまいました。

――決勝戦の第1ピリオドでは攻めあぐねているようにも見受けられました。焦りなどはありましたか

決勝の前半には焦りはなくて、とりあえず組手で相手に仕掛けるチャンスを探っていました。後半からが勝負になるのかな、と考えていました。

――最後に相手からの反撃もありましたが、その時はどのように感じましたか

ちょっと後手に回りすぎて、危ない部分も多々ありました。それでもなんとかしのげたのは良かったんですけどね。

――では、優勝という結果を得ても何か課題が見つかったということですか

課題しかないですね。もっと自分で攻めて、点数を取りたかったです。

――今後も試合が控えていますが、目標などがあれば教えてください。

次は国体なので、県のために優勝して点数を稼ぐというのが前提の目標ですね。それだけでなく、これから下の世代の選手が追い上げてくると思うので、もっと自分のレスリングを進化させて、殻を破った新しいスタイルを習得したいです。

山﨑弥十朗(スポ2=埼玉栄)

――今大会の感想をお願いします

今回は、1カ月前に減量していて連続の減量は体に悪いと感じたので、1個上の階級で出たんですけど、1個上の階級のチャンピオンクラスになってくると自分が思っているほどにコントロールできなくて、感覚で戦おうとしていた部分があって、最初に失点したときに焦ってしまって、あまり自分のレスリングができなかったかなというのが反省です。

――階級は違いますが、昨年度優勝者としてプレッシャーはありましたか

そんなにプレッシャーはなくて、どちらかというと相手が4年生なので自分が2年生であまりプレッシャーは感じませんでした

――世界大会の疲れはありましたか

疲労はなかったです。

――昨日の試合は相手を圧倒して勝っていたイメージでした

久しぶりの上の階級だったので、自分の動きが確認できたという点ではスムーズだったと思います。

――きょうの最初の2試合はテクニカルフォール勝ちではありましたが、時間いっぱいを使っての勝利でした

最近はテクニカルフォールを狙うというよりは自分のスタイルを確立させるということを考えていて、時間がかかってもいいと思っていたのでそれほど時間は気にしていなかったです。

――準決勝を振り返っていかがですか

準決勝は何回もやっている相手で、接戦になるので今回はあっという間だなという感想でした。減量もしていなくて自分の本来の動きができたのでいつもの6分間とは違って。それでもその中で勝てたのは得るものがあったと思います。

――決勝はいかがでしたか

決勝はさっきの通り、感覚でいこうとしていたので自分の想像つかない展開とかになったときに対処できなかった、というのがあって。これが反省点です。自分のスタイルを確立させるためには勝つための段取りというか作戦というのが必要だなと感じたので。もっと試合前に相手を研究して作戦を練ろうと思いました。

――今回の収穫はありましたか

それこそ今言ったように作戦を立てる、相手を研究する、対策を練るという部分で試合前の準備が足りなかったなと思ったので、次はもっと自分の万全で臨めるようなかたちにしたいので準備したいなと思います。

――次の試合は

国体です。

――目標はありますか

去年国体で優勝しているので次はケガしないでお祭りのような大会なので楽しくできたらいいなと思います。