初日、2日目と各階級で熱戦が繰り広げられたインカレ(全日本学生選手権)。大会3日目となるこの日は男子フリースタイル(フリー)が行われた。早大からは12人が出場し、連覇を目指す米澤圭(スポ3=秋田商)、山﨑弥十朗(スポ2=埼玉栄)ら8人が3回戦へと駒を進めた。
57キロ級の2回戦では、坂井剛光(社1=福岡・小倉商)が最後までポイントを取り切れず敗れたが、伊藤奨主将(スポ4=長崎・島原)と岩澤侃(スポ2=秋田商)が快勝を収めた。最後のインカレに並々ならぬ思いで臨む伊藤奨は素早い攻撃で開始15秒に先制し、試合を優位に進める。その後場外ポイントを奪われる場面もあったが、最後は3連続でアンクルホールドを決めて14-2でテクニカルフォール勝ち。岩澤も膝の故障明けとは思えないキレのある動きで相手を圧倒し、フォール勝ちを収めた。61キロ級の橋本星良(人3=茨城・土浦日大)、矢野富三家(スポ4=島根・隠岐島前)はともに1回戦で敗れたが、チームに諦めない姿勢は見せた。
けがからの復帰戦を快勝で飾った岩澤
65キロ級では第1シードの米澤が連覇へ向け好発進。相手の右足を取ってテイクダウンで先制すると、その後も相手をまったく寄せ付けず、1分55秒でテクニカルフォール勝ちを収めた。70キロ級に登場したのは宇井大和(スポ2=和歌山・新宮)と伊藤駿(スポ3=京都・網野)。宇井は1回戦を逆転勝ちでものにしたが、2回戦ではテクニカルフォール負けを喫した。今後はグレコローマンスタイル(グレコ)を本職としているからこその利点を生かしていきたいところだ。一方の伊藤駿はわずか50秒で圧巻のテクニカルフォール勝ちを収め、紛れもない優勝候補であることを証明してみせた。
74キロ級の野本州汰(スポ1=群馬・館林)は1、2回戦ともに序盤から得点を積み重ねて10-0でテクニカルフォール勝ちと、グレコで2回戦敗退の悔しさを払拭(ふっしょく)する戦いぶりを見せた。昨年優勝した74キロ級から階級を1つ上げ、86キロ級にエントリーした山﨑は階級変更の影響を感じさせることなく、2試合を危なげなく勝利した。ともにグレコで3位に入った97キロ級の松本直毅(スポ2=神奈川・横浜清陵総合)と齋藤隼佑(スポ3=群馬・館林)はフリーでも躍動した。松本は「ここ3日間で1番収穫のある選手」と太田拓弥監督が評したように、成長を感じさせるプレーを見せ、フリーでの目標に挙げていたテクニカルポイントを積み重ねて10-0でテクニカルフォール勝ち。齋藤は内閣杯全日本大学選手権に向けて普段より2つ上の階級での出場となったが、バックと投げ技で序盤からポイントを重ねてこちらも10-0でテクニカルフォール勝ちとした。
2試合をテクニカルフォールで勝利した野本。グレコの借りをフリーで返したい
階級変更した選手も完勝で勝ち進むなど、改めてチームの地力の高さを感じた。4日間のインカレもいよいよあすが最終日。1人でも多くの選手が表彰台に上り、天皇杯全日本選手権への切符をつかんでもらいたい。頼れる主将・伊藤奨を中心に一枚岩で早大戦士が頂点へ突き進む。
(記事 皆川真仁、写真 平松史帆、赤根歩、佐々木一款)
※フリースタイルは10点差がつくと、テクニカルフォールで試合終了となる
結果
男子フリースタイル
▽57キロ級
伊藤奨 3回戦進出
坂井 2回戦敗退
岩澤 3回戦進出
▽61キロ級
橋本 1回戦敗退
矢野 1回戦敗退
▽65キロ級
米澤 3回戦進出
▽70キロ級
宇井 2回戦敗退
伊藤駿 3回戦進出
▽74キロ級
野本 3回戦進出
▽86キロ級
山﨑 3回戦進出
▽97キロ級
齋藤 3回戦進出
松本 3回戦進出
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コメント
太田拓弥監督
――練習取材の時、調子がいいとおっしゃっていた伊藤奨主将(スポ4=長崎・島原)が快勝しましたが
きょうは1試合だけだったんですけど、いい動きしてたと思いますね。
――山﨑選手(弥十朗、スポ2=埼玉栄)はいかがでしたか
1階級上でも十分優勝できる力持ってるんで、きょうは1、2回戦だったんで、楽に勝ったかなと思いますね。
――坂井選手(剛光、社1=福岡・小倉商)は終盤テイクダウンを取れそうなところで取れませんでした
ちょっと処理のところで、腰に手を回したら勝てないっていう、もうセオリーがあるんですけども。それを何回もやってしまった結果、初歩的なミスを何回もやった結果があんな感じだったですかね。もったいなかったです。
――岩澤選手(侃、スポ2=秋田商)はけがからの復帰戦でしたが、いい動きでした。
そうですね。練習でも取り組んでる右差しからの展開が結構有効的にポイントにつながっていたんで。ちょっと膝のけが明けで、練習もちょっと動きあんまり良くなかったんですけれども、試合となるとしっかりスイッチ入って、いい動きできてたなとは思いますね。
――勝負強い選手ですか
そうですね。実力以上のものというか、練習よりも試合の方が強いタイプじゃないかなと思いますね。
――野本選手(州汰、スポ1=群馬・館林)は2試合を完勝されましたが、いかがでしたか
グレコ(グレコローマンスタイル)でふがいない試合だったんで、1、2試合勝って、少しは自信ついたんじゃないかなとは思いますね。
――橋本選手(星良、人3=茨城・土浦日大)と矢野選手(富三家、島根・隠岐島前)は初戦敗退に終わりましたが
星良の場合は、ちょっと実力が相手の方が上かもしれないんですけれども、まあそういった上って思うような選手でもどんどん自分の攻撃っていうものを出してほしかったですね。富三家も同じなんですけど、自分の攻撃をろくにしないうちに、相手に攻め込まれて負けてしまうっていうケースだったんで。これから、あした残ってる選手なんかにも話したんですけど、自分より実力が上って思ってても、試合は0-0からスタートなんでどうなるか分かんないですし、それをやっぱり自分の攻撃でまずは先制して仕掛けて、そのうえで勝ち負けってあると思うんですけど、とにかく自分のかたちっていうものを、相手が強かろうが弱かろうが積極的に仕掛けていってほしいっていうような話はさっきしたんですけども。
――矢野選手は後半に失点を重ねましたがどういった要因でしょうか
4-1で前半折り返したんですけども、後半すぐにポイント取れば6-1になって、ほぼもうあとは流して試合ができるような展開になってたと思うんですけど。その後も(ポイントを)取られてて、なおかつグランドも返されたんで。まあグランド返されたらやっぱり勝負にはならないですね。そこらへんが敗因の1つでもありますね。
――米澤選手(スポ3=秋田商)と伊藤駿選手(スポ3=京都・網野)はまだ余力十分といったところでしょうか
そうですね。もちろん優勝候補の2人なんで、こういった小さいブロックのところはもう圧倒的に勝って、強い選手ももちろんまだまだいるので、そこでもこう圧倒できる力を持ってると思うんで、しっかり勝たしたいなと思いますね。
――宇井選手(スポ2=和歌山・新宮)はグレコの選手ですが、フリー(フリースタイル)での課題はどういったところでしょうか
やっぱりグレコやってるのを全然生かしきれないというのは、これもう去年からのずっと課題なんですけど、変にフリーをやろうとして、グレコスタイルの展開をできてないっていうところが。あと苦手意識もちょっとあるのかなっていうような感じの動きをしてますね。ただ差すだけの展開、左を差して、そっからのポイントつなげるパターンとかがないのとか、相手がタックルきたところをグレコスタイルでがぶり返しで返すとか、そういった力強さを生かせるグレコスタイルのフリーをやればいんですけど。変にフリースタイルに、こだわってるわけじゃないですけど、小さい時からフリースタイルをやっていた選手なんで、中学ではやってなくて高校からまたグレコスタイルで練習をしてるような感じで。フリーの感覚っていうものを、小さい時の感覚でやってるんですよね。だからなかなか変にフリースタイルをちょっと知ってるだけに、フリーの動きをやろうとしてるのが垣間見えるんで、今後どういったかたちでグレコを生かしながらフリーをやるかっていうのはこれからも課題となっていくんじゃないかなと思いますね。
――松本選手(直毅、スポ2=神奈川・横浜清陵総合)はきょうはローリングなどテクニカルポイントを取りましたが
やっぱりグレコで3番になったっていうところとか、確実に一歩一歩階段を上がるように強くなってるっていうのはもう見て取れるんで、まあ去年の何もできなかった終わりっていうような試合の内容じゃなくて、自分のスタイルっていうものを分かったうえで、やろうとしてるんで。ここ3日間で1番収穫のある選手かなとは思いますね。
――齋藤選手(スポ3=群馬・館林)については
2階級上ですけども、大学選手権(内閣杯全日本大学選手権)であの階級で使うっていうこともあってあの階級にエントリーをさしたんですけども。やっぱりでかい相手でも物怖じせず、組んで倒す力持ってると思ってたんで、そのかたちがしっかりできた内容でもありましたね。