全日本学生選手権(インカレ)が開幕した。4日間かけて行われるこの大会では毎年、学生日本一を決める熱戦が繰り広げられる。初日は男子グレコローマンスタイル(グレコ)の試合が行われ、早大からは5人が出場。宇井大和(スポ2=和歌山・新宮)、松本直毅(スポ2=神奈川・横浜清陵総合)、齋藤隼佑(スポ3=群馬・館林)の3人が2日目に進出した。一方で、59キロ級の小田修一郎(スポ2=大阪・関大高)はフォールまであと一歩のところに持ち込んだが、6-14で1回戦敗退。71キロ級の野本州汰(スポ1=群馬・館林)は不戦勝により2回戦からの戦いとなったが、開始2分でテクニカルフォール負けとなった。
98キロ級の松本は1回戦、2回戦ともに相手のパッシブで得点を重ねていく。1年前は体力が持たず攻め切れない部分があったが、「前に常に出ているような状況だったんで、良かった」と太田拓弥監督が語ったように、成長を感じさせる試合運びで勝利をつかんだ。また、8月頭に行われていた世界ジュニア選手権で経験を積んだ宇井は66キロ級に登場。2、3回戦ともにバックからの投げ技で相手を圧倒し、貫禄のテクニカルフォール勝ちでベスト16進出を決めた。
持ち前のパワーを存分に発揮した宇井
75キロ級には齋藤が登場。1回戦では投げ技を2回決め9-1で勝利を収める。続く2回戦では、第1シードの櫻庭功大(拓大)を相手に両者一歩も譲らない戦いとなった。双方とも技を仕掛けにいくがテクニカルポイントには至らず、第1Pを1-1で終える。何とか技を決めたい第2Pだったが、残り1分の時点でパッシブを取られ1-2とされてしまう。もう後がない齋藤はバックを狙って一気に攻め込むと櫻庭が場外へ逃避して2ポイントのコーションに。そのまま3-2で試合は終了し、齋藤はガッツポーズで喜びをあらわにした。
第1シードを破り、祝福を受ける齋藤。この勢いで頂点まで上り詰めたい
実力を持った3人が快勝し、このまま波に乗りたい早大。「チーム内としての相乗効果っていうものが必ずある」と太田は考える。グレコの3人は優勝してチームを鼓舞したいところだ。またあす以降、フリースタイルと女子の試合も始まる。初日の勢いをそのままに何人の早大選手が表彰台に上れるのか期待したい。
(記事 平松史帆、写真 皆川真仁、杉野利恵)
※グレコローマンスタイルは8点差がつくとテクニカルフォールで試合終了となる
結果
男子グレコローマンスタイル
▽59キロ級
小田 1回戦敗退
▽66キロ級
宇井 4回戦進出
▽71キロ級
野本 2回戦敗退
▽75キロ級
齋藤 準々決勝進出
▽98キロ級
松本 3回戦進出
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コメント
太田拓弥監督
――インカレ(全日本学生選手権)初日、3人がベスト16に残りましたが、いかがでしたか
負けた2人はやっぱりまだまだ力と自分のポイントを取るかたちっていうのがなくて、そこをもう1回しっかりやらないといけないのかなと思いました。(ベスト16に進んだ)3人ともグレコ(グレコローマンスタイル)を力入れて練習しているだけあって、特に隼佑(齋藤、スポ3=群馬・館林)が優勝候補の選手に最後の最後でポイント取って勝ったことはあしたにすごく勢いついたかなと思いますね。
――小田選手(修一郎、スポ1=大阪・関大高)は前半健闘したように見えましたが
押さえてるところで思わず足を触ったらだめですね。自分の足でも。もちろん相手の足触ったらだめなんですけど、押さえてるときについつい自分の足を手で触っちゃって、結局そこでスタンドになっちゃったんですね。あのまま、フォール体勢で、もうあと少しでフォールだったので、ちょっともったいなかったのと、その後の展開も組んでから先に仕掛けなかったり、相手の間合いの方が多かったですね。とにかく、いいかたちになったら先に仕掛けろっていうことを練習でも試合のときでも常々言ってるんですけども、ちょっと相手の方が先手先手にきてたところと、まあまだまだ力が足りないですね。州汰(野本、スポ1=群馬・館林)にしてもそうなんですけど。まだまだやっぱりグランドでひっくり返されるっていうことは明らかに力の差がある証拠なので、もう1回しっかりフィジカルの面から鍛え直さないといけないのかなと思いますね。
――野本選手はフィジカルが課題だと
そうですね。それと、自分の取るかたちってものですね。
――松本選手(直毅、スポ2=神奈川・横浜清陵総合)はパッシブでポイントを重ねていきましたが
やっぱり自分で取るかたちっていうのを。前に常に出てるような状況だったんで、良かったんですけども。ただやっぱりテクニカルポイントっていう自分で攻撃して相手をひっくり返したり、テイクダウンっていう流れがなかったんで、そこをもっともっと重点的にやらないといけないのかなと思いますね。
――昨年のインカレから松本選手が成長したのはどのような部分でしょうか
後半の部分でもバテて結局コーション付かずに負けるっていうケースがあったんですけども、そこでもしっかり押し勝って、組み勝っていたんで、そこらへんは成長してるかなと思いますね。
――宇井選手(大和、スポ2=和歌山・新宮)はまだ余裕を感じさせました
そうですね。やっぱり大学日本一(全日本大学グレコローマン選手権優勝)になってるんで、その力強さっていうのはありましたね。
――あしたのグレコの残りの試合に向けて
とりあえずグレコの初日、2日(目)でいい勢いをつけようって話は試合前にしてましたし、こないだの世界選手権で山梨学院大の選手が3番と、日体大の学生が優勝っていうかたちで。そういったチームって必ずこのインカレでいい成績残すっていうのが、たとえばオリンピックで日体大のOBが活躍して、日体大の学生もその影響を受けて活躍するっていうのが結構あったりもするんで。チーム内としての相乗効果っていうものが必ずあるんで、まず山梨学院大と日体大をしっかり倒して、上にいこうというような話を試合の前にしたんですけど。初日いいかたちで終わったんで、間違いなくグレコローマンスタイルは日体大を倒さないといけないので、隼佑も大和も直毅もしっかり日体大の選手に勝って、チームとしての勢いをつけて、女子と(男子)フリースタイルにつなげていくような内容にしてもらいたいなと思いますね。
――女子については、香山選手(芳美、スポ4=東京・安部学院)たちが出場しますが
芳美も十分優勝する実力持ってますし、あとの3人も合宿の成果だったりとか、前期で出た反省をこの大会に出してもらえたらいいかなと思いますね。
――最後に、きょう齋藤選手が良かった部分というのはどういったところでしょうか
常に前に出てましたし、相手が左差しをすごく嫌がってたので、それが最後の場外際の逃避にもつながっていたと思います。とにかく相手が嫌がることを続けてやった結果、最後の最後でああいったかたちにつながったんじゃないかなと思うんで、相手が嫌がることを自分がやろうとしていくことを徹底すれば、必ずいい結果ついてくると思いますね。そこが良かった点じゃないかなと思います。