大学生も出場可能な女子フリースタイルに早大から3選手が出場した。55キロ級の臼池優月(社1=茨城・鹿島学園)は初戦をラストポイントで勝利したが、続く準決勝と3位決定戦で敗れ4位に。直近の2大会で好成績を挙げていた58キロ級の小林奏音(スポ3=長野・佐久長聖)は最後までポイントを奪えず初戦で敗れた。唯一、決勝に進んだのが60キロ級の香山芳美(スポ4=東京・安部学院)。開始早々に先制点を奪ったが、後半に逆転を許して惜敗した。それでも強敵相手に善戦し、1回戦敗退に終わった先月の明治杯全日本選抜選手権(明治杯)から復調した姿を見せた。
先月、明治杯で3位、東日本学生女子選手権で優勝と今季の飛躍を予感させた小林だったがこの日は最後までポイントを奪えなかった。開始20秒でバックを取られて先制を許し、その後も攻めの姿勢は失わなかったが技は決まらず。終了間際にバックを取りにいったが無念のタイムアップ。チャレンジを申請したが判定は変わらず敗れた。臼池も初戦、バックで先制を許したがすぐさま同点に追い付き前半を折り返す。後半、序盤に逆転されて再び追う展開となったが、粘りのレスリングで追加点は許さなかった。その後、残り1分10秒を切ったところでバックを奪い、4-4とする。同点のままスコアは動かず試合終了となったが、規定上ラストポイントを奪った臼池の勝利となった。準決勝、3位決定戦はともにフォール負けを喫したが、終始積極的なプレーを貫き、今後につながる大会となった。
積極的なレスリングを見せた臼池。今後に期待がかかる新戦力だ
明治杯でまさかの1回戦敗退に終わった香山だったが、この日は本来の実力を発揮した。準決勝は開始直後に先制。その後も得点を重ねて1分54秒でフォール勝ちを収め、決勝に駒を進めた。決勝の相手は昨年の世界選手権代表で、かつて切磋琢磨した高校時代の先輩・坂野結衣(警視庁レスリングクラブ)だったが、「緊張することなくできた」と香山はひるむことなく攻めていった。開始18秒にバックを取って先制し、主導権を握って前半を終える。しかし後半に入ると攻撃が対応されるように。同点に追い付かれると、さらに残り48秒でバックを取られて逆転を許し、惜しくも優勝を逃した。それでも国内トップレベルの実力を改めて証明し、次戦の全日本学生選手権(インカレ)での完全復活に期待を抱かせた。
強敵に食らい付いた香山。インカレで完全復活なるか
優勝者こそ出なかったものの、各々が自分の追求するスタイルの確立へしっかり歩んでいるのを感じさせた大会だった。選手同士でこまめにアドバイスを送り合うなど全員が実力を伸ばせる環境が整っている。今回出た課題克服に取り組み、来月末のインカレでは頂点をつかみたい。
(記事 皆川真仁、写真 本野日向子)
※フリースタイルは10点差がつくとテクニカルフォールで試合終了となる
結果
女子フリースタイル
▽55キロ級
臼池 4位
▽58キロ級
小林 2回戦敗退
▽60キロ級
香山 2位
コメント
太田拓弥監督
――小林選手(奏音、スポ3=長野・佐久長聖)が惜しくも初戦敗退という結果になりましたが
こないだもあんな感じで最後もつれたところなんとか勝ったんですけど、最後ポイント入ってるかなと思いましたけど、ポイントにならなかったので、ちょっともったいない試合かなというふうに思いますね。差し手からの展開とか、徐々に自分の攻撃スタイルというのが見えてきたので、そこらへんについては良かった点かなと思います。
――クラッチを組めと再三おっしゃっていましたが
差した後に組んで投げるか、引き落としてがぶってっていうようなかたちを取っていけば自分のポイントになってたのかなと思います。
――臼池選手(優月、社1=茨城・鹿島学園)は4位という結果でしたが
まだまだ力が無いですね。いろんな技術力、基礎体力そこらへんしっかりやらないと勝ち切れないかなと思いますね。
――姿勢として、積極性であったりは見えたと思いますが
そうですね。自分のスタイルというのが徐々にこう見えてきたので、そこらへんは良かった点かなと思うんですけど、ただまだまだ力が足りないんで。やられる技も「腕決め」っていうようなちょっとレベルの低い技にかかってしまっているので、やっぱり腕力を付けないといけないのかなとは思いますね。いろんなことをやらないといけないですね。
――香山選手(芳美、スポ4=東京・安部学院)は決勝惜しくも敗れました
選抜(明治杯全日本選抜選手権)の時には良くなかったですけど、今回は五分以上の戦いができて。2ラウンド始まってすぐの展開でポイントになってれば、もう普通に勝てたような内容だったのでまあもったいない試合だったかなとは思いますね。ただやっぱり自分のかたちっていうのが見えてきたので、そこらへんについては良かった点かなと思います。
――香山選手は明治杯が終わってからどのように指導されましたか
自分のかたち、どういったかたちでやっていくのかというところの反復練習ですね。
――次はインカレ(全日本学生選手権)となりますが
今回の反省をしっかり生かして、全員が上位入賞できて、全日本(天皇杯全日本選手権)の出場権を獲得させたいなと思います。
香山芳美(スポ4=東京・安部学院)
――決勝戦は惜しい試合になってしまいましたがいかがでしたか
決勝の相手は高校生の時にパートナーとして練習してきた先輩で、世界選手権の代表にも去年なってる人だったんですけど、試合するのは2年生の時の天皇杯(天皇杯全日本選手権)ぶりで、私自身が試合あんまりいい成績が出てなかったので、正直ここまでできるとは。そう言ったら駄目なんですけど、ここまでできると思ってなかったのと、試合自体は明確な改善点というのが見つけられた試合だったので、この大会ではこの結果でしたけど、インカレ(全日本学生選手権)とか天皇杯(天皇杯全日本選手権)に向けて、次につながる試合にはなったかなというふうに思います。
――初戦いい勝ち方をしましたが明治杯(明治杯全日本選抜選手権)からどのように立ち直りましたか
明治杯は就活があったりとかで、あんまりモチベーションも高くなく、あとすごいガチガチに緊張してしまいました。いつも年下の選手とやるときは多いんですけど、それでほんとに動けなくて。今回も初戦、一切やったことない相手だったんですけど、一度明治杯で1回戦で負けてるので、気楽な気持ちでやろうっていうふうに切り替えてやった結果がああいう感じで。決勝戦も初戦が1回終わっているっていうのもあるんですけど、ほんとに緊張することなくできたので気持ちの面で変わったっていうのが大きいと思います。
――決勝戦は序盤かなり攻め込んでいるように見えましたが
1ピリオド目と2ピリオド目だと相手も、監督からの指示で差しをしつこくやれっていう指示が出ていて、相手も確かに嫌がっている部分があったので1ピリオド目はそれが結構できたっていう点で。2ピリオド目になってからやっぱり相手も対応してきて、その対応されたときに、次もう1つもう1つ。ほんとに最後の最後で振りとかが効いてきてたので、そういうのをもっと序盤からいろんなパターンを出せるようになると、もうちょっと攻められたのかなというふうに思いますね。
――2ピリオド目、同点にされた場面を振り返っていただけますか
結構気付いたら入られてたっていうのが大きくて。やっぱり練習であそこまで入られてあそこから粘るっていう練習っていうのが、自分と競る感じの練習パートナーがなかなかいなくて、そういう面でできていない部分が大きいので、ただ山口剛コーチ(平24スポ卒=現・ブシロード)とかからそういった部分の技術的な改善面っていうのは試合後教えてもらったので、今後また練習でやっていきたいなというふうに思います。
――技術的な改善面というのは
やっぱり足を触らせてから。実力差があると触られても、練習とかだと切られるか力で男子に取られるかっていう練習が多いので、競る相手のときに足を触らせてからどう対応するのかっていうのをこれから技術面でやっていきたいなというふうに思います。
――最後にインカレ(全日本学生選手権)の目標を
1年生と3年生(の時)はもう初戦負けっていうことで、2年生のときに優勝できているので、ことしインカレ最後の年になるのでしっかり優勝して、終わりたいなというふうに思います。