ラスト30秒に泣く。1~4位決定戦に進めず

レクリング

 レスリング部が最も大切にしている団体戦の1つ、東日本学生リーグ戦が幕を開けた。昨年、優勝した山梨学院大から唯一の勝利を挙げたが、勝利数の差で3位となった早大。まさにリベンジの場であった。4チーム総当たり戦の予選Cグループで、初戦の神奈川大、東洋大と順当に勝ち進む。しかしこの日1番の山場である拓大戦ではラスト30秒に逆転される展開が続き、3-4で敗戦。早大はCグループ2位となり、あすから5~8位決定戦に挑む。

 初戦となる神奈川大戦では伊藤奨主将(スポ4=長崎・島原)がテクニカルフォール勝ちで幸先良いスタートを決めたが、2番手の61キロ級に出場した矢野富三家(スポ4=島根・隠岐島前)がまさかのフォール負け。その後は4連勝しチームとしての勝利は決めたが、最後の最重量級では松本直毅(スポ2=神奈川・横浜総合清陵)が得点を取れず負けてしまう。波に乗っていける試合とは言い難かった。2戦目の東洋大戦では勝ち星を1つも落とすことなく、無難に勝利を収めた。

個人3連勝を果たし、「W」サインをスタンドへ送る伊藤奨主将

 ついに迎えた拓大戦。伊藤奨は第1ピリオド(P)で相手にバックポイントを許してしまうが至って冷静沈着。第2Pで立て続けに背後を取り5-4と接戦を制した。このまま勢いに乗りたいところであったが、吉村拓海(スポ2=埼玉栄)が試合終了間際に場外に押し出されてしまい悔しい逆転負けを許してしまう。その後65キロ級の米澤圭(スポ3=秋田商)が「横綱レスリングみたいで盤石だった」と太田拓弥監督に言わしめる試合運びで勝利を手にした。70キロ級に出場した梅林太朗(スポ1=東京・帝京)も相手のパッシブでポイントを重ねて勝利し、早大の1~4位決定戦進出に王手をかけた。しかし、74キロ級で伊藤駿(スポ3=京都・網野)が何度もフェイントを掛けるも技を決め切れず、ラスト20秒で相手選手のポイントが決まり逆転負けを許してしまう。86キロ級には早大の新エース・山﨑弥十朗(スポ2=埼玉栄)が相手チームのエースと対決。お互いに探り合うような試合となったがパッシブの数で第1Pでは山﨑が優勢に立っていた。しかし第2P残り30秒で相手に背後を許してしまい逆転されてしまう。山﨑もラスト5秒で相手の背中にしがみつくも、体勢を崩すことはできずそのまま試合は終了した。最重量級の松本に試合の行方を託すこととなったが、相手選手にアンクルホールドを続けざまに献上しテクニカルフォール負けを喫す。7人合計、3-4で早大は涙を呑む結果となった。

敗戦後、肩を落とす早大選手たち。この悔しさを今後の試合にぶつけたい

 拓大戦ではラスト30秒での1点が、試合の勝敗を左右する結果となった。「絶対に勝ちたいという執念の差が少し出てしまったように感じた」(太田監督)。試合後、悔しい表情でマットを後にした早大戦士たち。しかしリーグ戦はこれで終わりではない。あしたからは5~8位決定戦が待っている。全勝で5位に入り、ことしの東日本学生リーグ戦を終えたい。

(記事 杉野利恵、写真 太田萌枝、皆川真仁)

結果

予選Cグループ 2位

1試合目 ○早大5-2神奈川大

2試合目 ○早大7-0東洋大

3試合目 ●早大3-4拓大

コメント

太田拓弥監督

――拓大戦、惜しくも敗れてしまいましたがいかがでしたか

拓大は毎年楽には勝たせてくれない大学なので気を引き締めて臨んだんですけども相手との気持ち的な部分、「絶対勝ちたい」というその執念の差が少しだけ出たのかなと感じましたね。

――相手の応援の影響はありましたか

いや、それはないと思いますけどやはり自分たちが、特にラスト30秒のところで消極的になりすぎたのが敗因かなと思います。

――拓大戦までの2試合はいかがでしたか

正直、神奈川大は2つ(2試合)落としてしまったので、その2つも少なからず拓大戦に影響も出たのかなというところです。今4年生の男子は2人しかいないんですけど、この2人が軸となっていくようなチームじゃないと勝ち切れないと再三再四、入学当初から言ってたんですけど結果2人のうち1人は試合で負けてしまって、57(キロ級)から急きょ61(キロ級)に上げざるを得ないというような状況になってしまったことも敗因の一つかなとは思いますね。東洋大との試合は相手もメンバーを少し落としてたので無難には勝てたんですけど。相手のほうが気持ちが一枚も二枚も上手だったのが(拓大戦の)ラストの30秒で出たかなと感じました。

――神奈川大戦の矢野富三家選手(スポ4=島根・隠岐島前)はいかがでしたか

組み手で追い込んでいるような状況の中でも勝ち切れなかったので、そこらへんも含めて今回勝ち切れなかった要因の1つかなと思います。

――拓大戦の初戦を伊藤奨主将(スポ4=長崎・島原)が逆転勝ちでものにしましたがどのように映りましたか

主将として彼は本当に良くチームをまとめてくれて、チームを引っ張ってくれた選手がああやって勝つことによってチームの雰囲気は盛り上がるので、そういった意味では一番最初の階級がしっかり勝ったことでチームがいい雰囲気になったなと思ったんですけど。その後に続く米澤圭(スポ3=秋田商)、梅林太朗(スポ1=東京・帝京)も本当に良く勝ちましたし、特に米澤圭は横綱レスリングみたいな感じで磐石だったかなと思いますね。太朗も1年生ながら相手の学生選手権2位の選手にしっかり勝てたことで、すごく自信になったんじゃないかなと思います。まあその後の展開ですね。

――先月のJOC杯のときに梅林選手はまだちょっとブランクがあるかもとおっしゃっていましたが今日はいかがでしたか

まだちょっとレスリングの組み立てっていうのは出来てないですけど、半年間のブランクがあった中でJOCもああいった結果(4回戦敗退)になって、今回は2試合出場してしっかり勝ってくれたのでそれはおそらく自信にはなったんじゃないかなと思いますね。

――吉村拓海選手(スポ2=埼玉栄)、伊藤駿選手(スポ3=京都・網野)、山﨑弥十朗選手(スポ2=埼玉栄)の3選手が1点差で敗れましたがやはり敗因は最後の30秒ですか

まあそうですね。あと簡単に足を触らせてしまってそれが全部テークダウンにつながっているところ。吉村拓海もラスト数秒でどうしても消極的になって下がってしまってあと数秒で勝ちだったのに場外に押し出されたといったところをやはりもっともっと練習の中でもやっていかないといけないのかなというのをすごく感じた試合の内容だったかなと思いますね。

――残り2日間試合が続きますがあす以降にむけて

もちろんリーグ戦というのは今日で終わりではないので、明日は専大、日大だと思うんですけどその2つにしっかり勝って5~8位決定戦で1位を取って今年のリーグ戦は終わりたいなと思いますね。