学生2冠王者の米澤、銀メダルに輝き「自信が付いた」

レクリング

 天皇杯全日本選手権(天皇杯)の2日目は、男子フリースタイル(フリー)65キロ級に米澤圭(スポ2=秋田商)、グレコローマンスタイル(グレコローマン)75キロ級に齋藤隼佑(スポ2=群馬・館林)が出場。学生2冠王の米澤は順当に勝ち進み、銀メダルを獲得した。齋藤は2回戦を2-3で競り負け、ベスト8となった。

 今月第2週目の東日本学生秋季新人戦でグレコローマン75キロ級を制した齋藤。初の天皇杯出場権を獲得し、満を持しての参戦だ。1回戦は開始1分過ぎで先制し、6-1で勝利。2回戦もバックポイントで先制点を取るが、すぐに背後を取られて同点に追い付かれた。後半には場外に出され、2-3の劣勢となる。最後まで粘りを見せたものの、1点のビハインドを盛り返すことはできなかった。負けはしたものの、学生チャンピオン相手にも互角に戦えるようになった今試合を見ると、確実に力が付いてきていると言えよう。フリーにも強い齋藤の、パワーアップした3年時に期待したい。

1回戦で投げ技を決める齋藤

 フリー65キロ級学生2冠王者の米澤は圧巻の実力を見せた。準決勝では相手に片足をと取られる危なげな場面もあったが、巧みにかわして3-0で前半を終える。後半も場外際の攻めから逃げ切ると、5分53秒では相手のタックルを逆手に取り、最後まで得点を与えることのないままテクニカルフォール勝ちを決めた。迎えた決勝戦ではカウンターを得意とする鴨居正和(自衛隊体育学校)にひるんでしまい、思うように仕掛けられない。終始攻めあぐね、交互にパッシブが与えられる展開に。結果は1-2の惜敗に終わった。「強引にでも取り切れる力が足りなかった」(米澤)と振り返るように、勝ち切るためにはカウンターの攻略がカギとなってくるだろう。

決勝戦での米澤

 米澤、齋藤は共にこの1年間培った成果を発揮し、次につながるかたちで今年度最後の試合を閉じた。天皇杯最終日はオリンピック2大会連続出場の高谷惣亮(ALSOK)も出場するフリー74キロ級に、早大のホープ・山﨑弥十朗(スポ1=埼玉栄)が牙をむく。また、この1年間早大レスリング部を引っ張ってきた吉川航平主将(社4=秋田商)の引退試合など、見どころ満載。熱い戦いを最後まで見届けたい。 

(記事 寺脇知佳、写真 平松史帆、寺脇知佳)

表彰台に上る米澤

結果

▽男子フリースタイル

65キロ級 米澤 2位

▽男子グレコローマンスタイル

75キロ級 齋藤 ベスト8

コメント

太田拓弥コーチ

――米澤圭選手(スポ2=秋田商)の試合を振り返っていかがでしたか

準決勝に関してはよく相手の攻撃をしのいで自分で点を取って、勝ったのは良かったところですね。ただ決勝はちょっとお互い攻めあぐんでいたというか、相手がカウンターレスラーだったので、あそこでも強引にいける力を身に付けないと、勝ち切れないのかなと思います。テークダウン取れないとやはりダメですよね。慎重になりすぎていて、組み手、フェイント、右差し、という流れの1個1個がつながっていませんでしたね。組み立ててつなげていければ、勝てるチャンスがあると思います。もったいない試合だったかなと思います。

――実力差はあったのでしょうか

いや、力の差はなくてどっちが勝ってもおかしくなかったと思います。もっとお互いに攻めてほしかったですね。向こうはカウンター攻撃であとは守る一方でしたから。ただ要所だけ右を差されていたので、それが印象悪くてコーションを受けてしまいましたね。

――齋藤隼佑選手(スポ2=群馬・館林)の試合はいかがでしたか

まずこのレベルにまで出場できたというのはこの1年よくやったと思いますし、その次の試合も負けはしたんですけど1点差だったんで力は確実についてきているなと思います。同級生が今回決勝に2人いきましたし、ちょっと置いてかれている感じはあったんですけど、来年は追い付ける位置まできてるなというのは感じましたね。ケガとかもあったなかで体も大きくなりましたし、フリースタイルもできますし来年以降どっちも強くして、ことし以上の成績が残せるという手応えは本人もつかんだんじゃないかなと思います。

――まだ優勝者は出ていないという状況ですが

ミーティングでも言ったのですがことしの最後の締めくくりの試合なので、1人でも優勝者を出して来年につなげていこうという話をしたんですけど、なかなかどの階級もレベルが高いので簡単にはもちろん優勝はできないんですけど、とにかく負けてもいいので次につながる戦いをしてほしいかなと思いますね。あわよくば優勝する選手がいればいいですね。

――山﨑弥十朗選手(スポ1=埼玉栄)はいかがですか

高谷選手(惣亮、ALSOK)との勝負試合でしょうね。準決勝までは無難に勝てると思うので、奥井(眞生、国士舘大)との勝負かもしれないんですけど、ここ最近調子悪いんで、弥十朗がここ最近伸びていて手応えあるんで、しっかりそこで勝って、決勝戦で高谷とどこまでやれるか、正直僕の見た感じだといい勝負できるんじゃないかなという手応えを感じてます。

齋藤隼佑選手(スポ2=群馬・館林)

――初めての天皇杯(天皇杯全日本選手権)はいかがでしたか

当初の目標は1回戦突破だったんですが、実際それを達成したんですけど正直悔しいですね。

――試合を振り返って

相手の方が一枚うわてでしたね。最後の1分まで我慢してというのを考えてたんですけど、それもさせてもらえなくて。

――相手選手はどういう印象ですか

10月の全日本大学グレコローマン選手権でも戦った相手なんですけど、そのときの反省を生かして勝てればいいかなと思ったんですが負けてしました。

――課題は見つかりましたか

75キロ級でまだ力が足りないので、力をつけていくのが一番ですね。あとは組みにいくのが得意なので、戻ってくる相手にもしっかり組みにいくような技術を身に付けたいと思います。

――部員の試合を見てどういう印象ですか

やっぱりすごいなと思うのは同期の伊藤駿(スポ2=京都・網野)と米澤圭(スポ2=秋田商)で、二人ともメダル取っているんで追い付かなきゃいけないなと。

――最後に、3年時への目標をお願いします

来年もまた明治杯全日本選抜選手権に出ることができるので、そこでしっかりメダルとれるように、それを最初の目標にしたいと思います。

米澤圭(スポ2=秋田商)

――結果についての率直な感想は

2位という結果だったんですけど、目標は入賞だったので三位入れればいいかなって思ってたんですけど、決勝に行けるとは思ってなくて。自分の実力を出し切ってこの結果につながったんで、プラスに捉えてますね。

――試合を振り返って

敗因は完全に、距離をとられて、思うように自分の攻めをさせてくれなかったっていうのがあって。思ったよりも、攻めたらとれそうだなっていうのがあったんですけど、そこがちょっと相手のうまいところで。相手がいかに守ってても、強引にでもとりきれる力が足りなかったかなと。相手は攻撃したところを無理やりカウンターでくるんで、そのカウンターにびびってたっていう部分があったので攻めきれなかったっていうのも敗因の一つとしてありますね。準決勝は結構毎回やってる乙黒選手(圭祐、山梨学院大)だったんで、普段通りにやろうという気持ちで挑んで、多分相手も自分への苦手意識があるんで、そこをテクニカルフォールで勝ったんで、良かったかなと思います。

――後半足をとられてから立て直していましたが、何か意識しましたか

普段の練習からああいう体勢になってごちゃごちゃしてから強いっていう場面が多いんで、普段の練習があそこで出ましたね。

――決勝では少し慎重になってしまいましたか

そうですね、相手がカウンターがうまい選手だったので、周りからもカウンターに気をつけろって言われていて。自分でもそういうことを頭の中で結構意識していて、それが今回の負けにつながったかもしれないです。

――部員の試合を見てどういう印象ですか

初日は芳美さん(香山芳美、スポ3=東京・安部学院)と駿(伊藤駿、スポ2=京都・網野)が決勝に行って、隼佑(齋藤隼佑、スポ2=群馬・館林)も二回戦勝てなくないと思ってたんですけど惜しかったですね。みんな頑張ってたんで自分も頑張れました。

――最後に、3年時への目標をお願いします

ことしは学生2冠とか全日本で入賞するとか、結構自分的には自信のつくことができた1年だったので、1年からはトップレベルで頑張りたいですね。学生は取ったんで、次からはシニアですね。シニアでチャンピオンになれるくらいに頑張りたいですね。シニアで成績残した延長線上に世界があればいいなと。世界で勝てるようになります。