【連載】天皇杯直前特集『Color』 第5回 多胡島伸佳×山﨑弥十朗

レクリング

 早大を支える2人のエース、多胡島伸佳(スポ4=秋田・明桜)と山﨑弥十朗(スポ1=埼玉栄)。料理という共通の趣味を持ちながらも、レスリングについて語り合うことが多いそう。世界で戦う2人ならではのレスリング哲学と共に天皇杯全日本選手権(天皇杯)への意気込みを伺った。

※この取材は11月18日に行われたものです。

Wのエース

笑顔で話す多胡島

――まずこのお互いに対談をやるということでどういう印象ですか

多胡島 これあれでしょ?新旧エースでしょ?

山﨑 まあまあそういうことになりますかね。

多胡島 お古だから。

山﨑 お古とか言わないでくださいよ(笑)。

――普段はよく話しますか

多胡島 まあでも、レスリング的な話が成立するっていうのがあるかもしれないですね。

山﨑 私生活ではあんまり。

多胡島 プライベートではあんまり関わろうとは思わないですけど。

山﨑 ええええっ。言い方気をつけてくださいよ、嫌われてるみたいになりますからね(笑)!

一同 (笑)。

多胡島 プライベートで何か共有するようなことはないですけど(笑)、まあレスリング的なことは。

山﨑 言い方が悪い〜(笑)。まあレスリングのことは結構話しますね。

――どういった話をするんですか

多胡島 情報共有的な。海外の選手の話とか。今日誰と誰の試合見て、こうでこうだったね、みたいな。おまえきょう帰ったらそれ見とけ、みたいな。

山﨑 見て次どうだったみたいな。

多胡島 そう。見て、あれこっちのほうが良くない?みたいな。

山﨑 でもやっぱりこうのほうがいいかも、みたいな。

――お互いの印象は、知り合う前と後で変わった部分はありますか

山﨑 そうですね、最初は怖かったですね(笑)。最初に会ったのが高3の12月の全日本合宿で。もう、オーラが(笑)。あ、ワセダの先輩なんだなと。でも元からちょっと変わってる人って聞いてたんで(笑)。で、あとあと会ってみたら確かに変わってる人だったんですけど、いい先輩ですね。

多胡島 僕はもともと、高校生のときから半分有名人みたいな感じで、よくテレビとか出てたんで、澄ましてんだろうなと思って(笑)。で、実際会ったときの第一印象は、うわ、なんかこいつ、地味で素朴だな、と。もっとなんかオーラが出てると思ったんですよ。あれ、みたいな。

――好青年みたいな感じですか

多胡島 好、、青年かなあ、、。

山﨑 まあまあ。

多胡島 まあまあまあまあ。

山﨑 まあまあ、そういうことにしときましょうよ。

――テレビとかもこの道場に来たりするんですか

多胡島 そうですね、たまに来たりして。そのときはいつも多胡島さんが画になるんで、写させてもらって(笑)。

2人の印象は

山﨑は地味で素朴という印象をもたれるそう

――先ほども多胡島選手は「変わった人」とありましたが、以前太田拓弥コーチも「トチ狂ってる」と言っていて

多胡島 (笑)。それさ、どう思う?言っていいことじゃなくない(笑)?それってさ、名誉毀損だよね。勝手に人のことトチ狂ってるとかさ(笑)。

山﨑 いやいや、でもでも。否定はできないってのは正直ありますよ(笑)。

多胡島 トチ狂ってる(笑)。キチガイじゃんそれただの(笑)。

――考え方が、とかですか

多胡島 いやー、どうなの?

山﨑 いや、そうですね。考え方、トチ狂ってはないですけどぶっ飛んでますね。狂ってはないですね、飛んでます。

多胡島 たぶん、大衆に迎合するのが嫌なんですよね。だから少数のほうにいっちゃうし、例えば多数派が合っているようなことを何とかひっくり返したいなっていうのをモチベーションに、1人のほうに歩いて行っちゃうというか。普通にやって普通にうまくいくんじゃおもしろくないんで。

――なるほど、、、

山﨑 、、、どうですか(笑)?

一同 (大笑)。

山﨑 いや、びっくりしますよね。びっくりしますよ。

――逆に山﨑選手は太田コーチに何か言われますか

山﨑 いや何も。何も触れられない。何ですかね、地味なんですかね。地味で素朴なんですかね(笑)。それ寄りですね。地味で素朴。

――お2人は何か趣味とかありますか

多胡島 あれだろ?料理。

――意外ですね!

多胡島 料理トークするかもしれない。料理の本とか貸したりして。

山﨑 はい、そうですね。寮入って、料理とか大学生になったししたいなと思って。で、多胡島さんよく料理するんで、その中で見てなんか真似しようかなみたいな。結構ギョウザとか一緒に作ったりしたり。

――多胡島選手は何を作るんですか

多胡島 結局僕、自分の好みにピンポイントなものしか食べたくないんで、たとえばパスタ食べるにしてもペペロンチーノでも辛いのが食べたいとか、そういうのがあるからそれじゃないと食べたくないんで、だったら食べない方がいいんで。よく考えたら自分で作ったほうがよくない?って。で、作り始めましたね。

――得意料理はありますか

多胡島 うーん、基本何でも作れますね。

山﨑 得意っていうか、塩辛いものが好きですね。夜食とかに出てくる系が自分は好きですね。たまに部屋帰るとキレーに盛り付けされたものがあるんですよね。多胡島さんが作ってるんですよ。

――他にも料理する部員さんはいますか

多胡島 まあ、ダシとってる人まではいないかな。

山﨑 (笑)。ダシまでそんな本格的に自分もやらないですよ(笑)。

多胡島 まあ自己満だから。それやってるのがいい、みたいな。あ、俺ダシとったの食べてるわ、みたいな。他の人より充実してるわ、みたいな(笑)。

――あと、こないだの特集のときもこの道場で欅坂46の曲がかかっていたり、吉川航平主将(社4=秋田商)も去年の対談で乃木坂46のTシャツを着てきたり、レスリング部は乃木坂46が流行ってるんですか

山﨑 あー(笑)。僕は好きですね、欅坂46。

――多胡島選手はそんなにですか

多胡島 いや、好きですよ。単純に、犬見るのと同じで、可愛いものとか綺麗なものを見るのは好きですね。

山﨑 癒されますよね。あー可愛いわーって。

――音楽はいつも道場でかかってるんですか

山﨑 はい。1年生セレクトでかかってますね。

多胡島 1年生の仕事になってるんでね。

――他に最近レスリング部内で何か面白いことはありましたか

山﨑 うーん、根本的に言えない、、、ついおとといくらいも(笑)。

多胡島 あれは言っちゃダメなやつ(笑)。言えない(笑)。

山﨑 うーん、昨日は火事にあったし。寮が火事にあったんですよ。ボヤ騒ぎで済んだんですけど、消防車来て、パトカー来て。あれ、いなかったですよね?

多胡島 うん、いなかった。

山﨑 大変だったんですよ。

多胡島 面白い話なんかあったっけ。

山﨑 やー、全部言えないですよ(笑)。

多胡島 あれじゃない?おまえが転んで顔面ぶつけた話。

山﨑 うん、それも言えないですね(笑)。

多胡島 それも言えないな。

山﨑 面白い話なあ、、、。

多胡島 、、、。やっぱりこういうときにすぐ出てこないからダメなんだよな。

山﨑 そう。それがちょっとウケない理由。

多胡島 こういうときにレスポンスいいと、たとえばテレビ何回も呼ばれんだよ。

山﨑 持ちネタ必要ですね。

多胡島 このままじゃ『踊る!さんま御殿‼︎』(日本テレビ)呼ばれねえぞ。

――いつか楽しみにしてますね

多胡島 あれほんとに、おもしろくないとすぐ呼ばれなくなるみたいですよ。おもしろいとどんどん呼ばれるけど。吉田沙保里さん(ALSOK)もおもしろいじゃんあの人。

山﨑 こわいっすね、、。

多胡島 んじゃそれを踏まえて(笑)。あの話!あれめっちゃおもしろい。

山﨑 あれですか!どれどれどれ?

多胡島 言って言って言って(笑)。

山﨑 えええ、ムチャ振りですか?えっと。うーん、何ですか。ほんと全部、言えないですね、、。

多胡島 言えないね。ちょっとここカットでお願いします(笑)。言えるやつ何もないですよ。

山﨑 新聞的にアウトですよ?

「(天皇杯は)取らなきゃいけない試合」(山﨑)

今回の対談は道場で行われた

――ではレスリングの話に移ります。ことしを振り返っていかがでしたか

多胡島 僕の場合は、結果から言えば奮ってないというか。正直、大学2年生のときができ過ぎてたかなっていうのがあって。それをなかなか乗り越えられなくて。ことし1年だけ見たら少し物足りないかなという印象ですね。

山﨑 自分の中では、天皇杯(天皇杯全日本選手権)はまだですがことしは十分やったかなと。インカレ(全日本学生選手権)で1位になって国体でも1位で。とれると思ってなかったので正直。あと明治杯全日本選抜選手権(明治杯)で2位をとれたんで、大学1年にしてはでき過ぎてるかな?とは思ってます。

――ことし一番印象に残った試合は

山﨑 そうですね、うーん、まあ負けた試合なんですけど、その明治杯の決勝ですかね。ラスト4秒で負けたんですけど、それが結構印象に残ってて。なんで負けたかなと。ビデオ見ても、逃げ方間違えたなとかいろいろ考えさせられて。その負けが今回のインカレとかにつながったんで、ことし一番印象に残ってます。

多胡島 僕も負けた試合なんですけど、うーんどっちだろうな。こないだの内閣杯(内閣杯全日本選手権)とインカレの藤波くん(勇飛、山梨学院大)とやったやつなんですけど。あの2人今やったらどうなんだろうねみたいな、たぶんみんな思ってて。で、いざインカレでやってある程度競った試合して。次やったらわからなくない?みたいな風潮ありつつ、次やったらどうなるんだろうっていうのが自分の中での期待と不安が入り混じった中で、やっぱり本当に上のレベルになってくるとそういう単純な問題じゃなくて。7-4だったのがじゃあ時間経って縮まるかっていうわけじゃないんだなっていう。勝負の厳しさが分かったっていうか。そういう意味で印象に残ってるし、一選手としてすごく良い刺激になったかなと思ってます。

――ことしのワセダのチームはどういう印象ですか

多胡島 要するに僕が1年生から3年生まで見てきた4年生像と対極にあったからそれはそれなりにやり方を工夫しないといけないなと。4年生が先頭に立って引っ張っていかないといけないっていう認識をある意味捨てて、引っ張るというよりはむしろ助けてくれという感じでうまく後輩を取り入れて組織全体でまとめるっていうちょっと変わったかたちで組織づくりをした部分はあったから、そういう意味で縦のつながりがあったのは良かったのかなと。

山﨑 自分は、このチームはすごい考えさせられましたね。練習中でも考えさせられることが多くて。高校と違ってやらされるんじゃなくて、自分でやる練習っていうのがメインで。やっぱり考えてるだけあって、自分勝手じゃなくてチームでやってるのが大きいですね。

――入学前とで印象は違いますか

山﨑 入学前はサバサバしてて自分勝手にやってんのかなって感じがあったんですけど、こんなにも練習中に笑い合いながらやってるんだみたいな。楽しいチームですね。

――試合の時にセコンドに付く人はどのように決めているのですか

多胡島 僕が付きたいのかどうかという話ですね。僕は結構難しいことを言うので、それを実際実行できる選手になると限られてくるので、自分が言ってそれを実行することによってプラスに働くであろうなという人に、僕は僕である程度その人の事を考えてプラスになるなと考えたときには、どうしたらいい、と聞くようにしてます。

――山﨑選手の試合の時に多胡島選手がセコンドについているイメージがあります

多胡島 本当に大事なときは俺がつくようにしてる。

山﨑 第2セコンドは安心できる人がいいですね、希望としては。

――太田コーチがセコンドからすごく檄(げき)を飛ばす人と飛ばさない人がいると聞いたのですが、いかがですか

多胡島 たぶんそれはコーチがそれだけ言える人と言えない人ですね(笑)。つまり、こいつにはレスリングの技術的に俺の方が勝ってると思ったら言って、もしかしたら何か考えてる、これ俺が言ってもなぁ
と思ったら言わない。

――太田コーチが全日本コーチになられて、全日本合宿でもワセダの練習でもコーチと一緒だと思いますが、いかがですか

山﨑 全日本コーチになって初めてのミーティングの時、すごくミーティングが長かった。まだやるの、もう練習の時間だよ、みたいな。張り切ってましたね。相当うれしかったんでしょうね。

多胡島 1回僕、コーチと一緒に遠征に行ったんですよ。でも他の選手に、「いかに不仲なのかよくわかる。本当に仲悪いんだね。本当に同じ所属の選手とコーチなのかなと思った」と言われて。たぶん向こうが僕とあんまり接したくないから、たぶんこいつめんどくせーって絶対に思ってる。

山﨑 扱いづらい(笑)。

山﨑 扱いづらいから関わりたくないんだって。

多胡島 まぁ、言ったら言い返されちゃいますからね。

――ことし2月に多胡島選手はアジア選手権がありました

多胡島 海外遠征ことごとくくじ運悪くて。今回アジア選手権のときロシアで元々世界選手権で銀メダル取った選手がバーレーンに帰化してどうなるんだみたいな感じになって、抽選をやったら1回戦で当たって、負けて、3位決定戦まで行って、3位決定戦のイランが最初に4-おで勝ってて、そこからスタミナ勝負みたいな感じになってスタミナで押されまくって、たぶんあんなに試合でばてたの初めてだというぐらいで、最終的に競って負けたんですよね。国内だとそういう経験しないんで、日本にはない感じで。とはいえ、たかだかアジア規模の試合じゃないですか。アジアでこれじゃ世界ではもっとダメなんだろうなと先が思いやられるなと。

――山﨑選手は世界ジュニア選手権に出場されましたが、改めて振り返ってみていかがですか

山﨑 世界ジュニア選手権で1回目の相手がアメリカの選手で、去年、おととしと負けているんですよ。おととしが準決勝、去年が1回戦で。その選手に点数的にはだいぶ縮まってきているんですけど、最後の最後に負けるというかたちで、その選手はことし優勝して、自分も優勝できる力があるのかなと思ったんですけど、アメリカの選手の試合を見ていると、実力的にも体力的にも勝てないなと思って、ちょっと高校とは違うんだなと思いました。シニアに近づくにつれて周りの選手のレベルも上がってきて、同年代にアメリカの選手がいるという。まだこれ以上つらい練習をしなければいけないのかと思うとつらいですね。

――今後の世界での目標はありますか

多胡島 とりあえず僕は来月の世界選手権で、メダルを取りたいですけど、2020年をゴールとしたときの自分のキャリアアップのためにいい機会にしたいです。例えば世界選手権でボロボロにに負けても、そこで悔しさが生まれて、結果的に将来何か成果を残した時に、あのときの負けがあったから今がある、と言えるように。何かしら世界選手権で得て、飛躍していけるように。最近下降線な所もあるので、打破するいい機会になれるようにできればいいかなというふうに、世界選手権単体というよりも横の軸で見たうえでうまくいけばいいかなと思っています。

山﨑 目標はとりあえず世界ジュニア選手権なんですけど、来年出られるとしたら最高学年で1番年上なんですけど、そこで3位以内には入っておきたいなと。世界ジュニア選手権で活躍した選手が翌年やその年のシニアの試合でも活躍している感じがするので、そこに食い込めるようにまずは世界ジュニア選手権で結果を残したいと思います。

――アメリカではオリンピック金メダリストへの支給金が増額されたというニュースもありましたが、どう思われますか

多胡島 アゼルバイジャンとかオリンピックで金メダル取ったら2億円と家だからな。まぁ思う所は色々ありますけど言ったってしょうがないんで。おまえ、お金のためにやってるのかと言われたらどうする。

山﨑 日本では500万円でしたっけ。対等ではないような気は。

多胡島 決して良くはないよね。

山﨑 日本は名誉だけあげるみたいな

多胡島 日本なんて成績残したら足引っ張る人が出てくるから苦しくなるだけだよな。誰かが悪口言ったら、それこそ色々書かれるから(笑)。オリンピアンを見てると大変そうですね。スポーツ選手は清く正しく美しくみたいなところすごく言われるから。海外なんてタトゥーばんばんいれてる人とかいっぱいいるもんな。日本でそんなことしたらな。

山﨑 出場もできない。

多胡島 ヒゲ生やしたくらいでも下手したら言われるくらいだもんな。

山﨑 あ、ヒゲ言われます。

――多胡島選手は後輩に何か期待されることはありますか

多胡島 独創性を忘れないでほしいですね。やっぱり教科書通りのことって大事なんですけど、日本はそこに頼りすぎてるというか、基本通りにやれば失敗も許されるみたいな風潮があって、逆に他の人が右と言ってるものを左に行って負けたらものすごくたたかれるんですよ。でもそんなリスクを考えながらやっていっても中途半端で終わっちゃうから、みんなと違うことを選択するのはリスクはあるのだろうけれども、ちゃんとものの本質を見極めた上で大切なものであれば、ちゃんと自分1人で言って欲しいし、逆にそのようななかで他の人とどのように差別化していくのかということが、そういう考え方でレスリングを捉えるというのがすごく大事だと思うから、そこを忘れないでほしいですね。

――山﨑選手、多胡島選手の言葉を聞いてどのように思われますか

山﨑 ワセダらしいと感じますね。他のチームとは違う自由で独創的なところ、忘れちゃダメですね。

多胡島 じゃないと、ワセダに来た意味がないから。

山﨑 こんなに自由にできるところないですよね。自由ということはそれだけ考えられる時間も多いので。ただでさえレスリングスタイルがみんな濃くて生かしていきたいとなる。そのいき方のが大変ですけどね。

多胡島 大変だけどな、そっちのがやりがいはあるな。

――内閣杯で米澤圭選手(スポ2=秋田商)が学生2冠を達成されたましたが、何か声などは掛けられましたか

多胡島 いろいろおめでとうだとかも話したんですけど、個人的には、ないと思うけどすごい心配してるのは、大学2年の時の僕とまったく一緒なんで。僕みたいに3、4年生とこうなることないようにちゃんとキープしてもらいたいなと。今まで期待してなかったわけじゃないけど、これまで以上の期待を背負ってやっていくわけだから、そのなかでやってくというのは、今まで泥臭くやれてたところがやれなくなっちゃったりとか、普段のスパーリングとかでも失敗ができづらくなると言うか。点を取られちゃうと周りからの声もあって、細かいのところもあって。俺の練習中のアウェイ感半端ないでしょ。そうなるとこっちとしては失敗しないと覚えないこともあるから失敗を覚悟でやっても、そうなっちゃうとプライドが出ちゃって、となるともう自分のストライクゾーンでしか練習をしなくなっちゃうから、強くなれないんですよ。そういうのはどんどん出てくるから、乗り越えて行ってほしいなと思います。

――4年生まであと3年ありますが、どういう選手になりたいなどはありますか

山﨑 できれば周りを気にしない選手になりたいですね。周りを気にしちゃうんで。強くなると注目もされるし期待もされるんで、自分のスタイルを貫き通せる精神力をつけながら4年生になったらしっかりと始動もできるようにしていきたいです。

――天皇杯についてのお話しに移りたいと思います。天皇杯はそのような位置付けですか

多胡島 やっぱり1番格式高い試合だと思うし、ぼくのなかで特別なものなので、また時期も時期で本当に1年の締めくくりなので、1年いろいろネガティブなこととかがあっても、天皇杯で優勝したら、取り合えず後味良く1年を締めくくれます。逆に言えば、たぶんどんなに学生のタイトルを取って調子よくても天皇杯ダメだったら後味悪くなって終わるというのが僕の中ではあるので、特に大切にしたい試合ではありますね。

山﨑 天皇杯は乗り越えなきゃいけないカベというか、ことしで取らなきゃいけないなという感じしますし、明治杯で負けてもインカレで勝っているので、暫定ではトップにいると意識しているので取らなきゃいけないと思っている試合です。

――天皇杯への意気込みをお願いします

多胡島 僕の場合は連覇が懸かっていて、ただ今までの競技人生上、連覇が懸かった試合には弱いので、1回優勝しちゃうと満足しちゃう癖があって。ことし1年自分の精神的なもろさと向き合ってきたところがあるので、ここで何とか優勝できたら、ある程度もろさと向き合ってネガティブな思いをしてきたのが、ここでプラスになると思うので、何が何でも優勝して連覇したいなと思っています。

山﨑 さっきも言ったように勝たなきゃいけない試合ですし、どんな試合でもいいので泥臭くでもいいので、とりあえず優勝を目指して頑張ろうと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 寺脇知佳、杉野利恵)

○○募集中シリーズです!

◆多胡島伸佳(スポ4=秋田・明桜)(たこじま・のぶよし)(※写真左)

フリースタイル70キロ級。秋田・明桜高出身。スポーツ科学部4年。レスリング部のエースとして、大学4年間で数々の実績を残してきた多胡島選手。お酒が好きなようで、色紙には『飲み友募集中』と書いてくれました。多胡島選手と飲めば、奥深いレスリングの哲学を語ってくれるかもしれませんね!

◆山﨑弥十朗(スポ1=埼玉栄)(やまさき・やじゅうろう)(※写真右)

フリースタイル74キロ級。埼玉栄高出身。スポーツ科学部1年。レスリング部の次世代エース、山﨑選手は高校時代からテレビにもよく取り上げられていた有名人。その素顔は素朴な好青年でした。色紙に書いてくれた『彼女募集中』の後につけるハートマークを何度も練習していた姿が可愛らしかったです!