今回は天皇杯に出場する伊藤駿(スポ2=京都・網野)、齋藤隼佑(スポ2=群馬・館林)、米澤圭(スポ2=秋田商)の2年生トリオにお話を伺った。ボケ担当、ツッコミ担当とそろいトークが盛り上がる中でも、レスリングについてもしっかりとした口調で話していただいた。
※この取材は12月13日に行われたものです。
「やることは1つ」(伊藤駿)
ことし最後の試合で優勝を目指す伊藤駿
――今季の試合を振り返っていかがでしたか
齋藤 自分はことし1年ずっと勝てなくて最後の新人戦(東日本学生秋季新人戦)でやっと勝てたというかたちなので、終わりだけ良かったかなと思います。
米澤 自分はことしの初めにあったJOCジュニアオリンピックカップ(JOC)ではあまり良い成績が出なくて、ことしの目標は学生タイトルを取ることが目標だったので、インカレ(全日本学生選手権)でタイトルを取ってその後に内閣杯(内閣総理杯全日本大学選手権)でタイトルを取って、ことしの目標は果たせたので自分的には良かったかなと思います。
伊藤駿 インカレはケガで棄権したんですけど、それ以外のことしの試合はなんだかんだでメダルは取っているんですけど金メダルが1個もなかったので、そこが反省点ですね。何かが足りないという感じですね。
――伊藤駿選手と言えば、JOCの決勝で山﨑選手(弥十朗、スポ1=埼玉栄)と当たり、明治杯全日本選抜選手権(明治杯)の準決勝では多胡島選手(伸佳、スポ4=秋田・明桜)と当たり早大対決が多かった印象があります
伊藤駿 どっちも負けましたね。悔しいです。
――明治杯3位というのは、どのように思われていますか
伊藤駿 正直、その時はメダルを取れると思っていなかったのが取れたので。3位決定戦も正直、強い選手との対決だったのですがラッキーパンチがたまたま当たって、あ、勝てたなという感じですね。
――その後のアジアジュニア選手権でもメダルを獲得されました
伊藤駿 3位ばっか。海外で試合したこと自体初めてだったので、正直自分がどのくらいの位置にいるのか勝てるかどうかもまったく分からない状態で言ったので。ジュニアというのもあったんですけど、戦えたかなとも思えます。イランが強かったんですけど、それ以外はけっこういけるかなと思えるような感じでした。
――初めての国際大会は日本の試合と何か違うところはありましたか
伊藤駿 正直楽しかったとい方が大きいです。初めてなので周りからも勝てというプレッシャーがなかったので、自由にやれたところはあります。国内ほどのプレッシャーはなかったのでやりやすかったです。
――全日本大学グレコローマン選手権(全グレ)では日体大の高橋昭五選手相手に勝たれましたが、全グレはいかがでしたか
伊藤駿 奇跡です。ことしの運使ちゃったかなと思うぐらい。今思うと運使いすぎてもったいないことしたなと思います。内閣杯の組み合わせで(運を)使いたかったです。
――組み合わせが悪いとおっしゃられてた内閣杯はいかがでしたか
伊藤駿 しんどかったです。組み合わせが悪いというのは、1回戦から全員知っている選手だったんで、バテバテでした。肝心なところで勝ち切れなかったので反省するべき点が多かったなと思います。
――米澤選手は東日本学生リーグ戦(リーグ戦)で2年連続全勝でしたが、振り返ってみていかがですか
米澤 リーグ戦は大学で1番大事な試合なので、4年生の先輩のためにもみんなのためにも負けられないなと気持ちもありました。樋口黎選手(日体大)とやるときは、オリンピック選手とやるのかと思って正直まったく勝てる気はしなかったんですけど、いざ試合したら意外と点数も取れて、いけるなと思って勝てて良かったです。
――インカレと内閣杯で学生2冠を達成されましたが、2年生で学生2冠を達成するというのは多胡島選手と同じですよね
米澤 はい、そうですね。
伊藤駿 さすが同部屋やな。
米澤 同部屋なんでそういうところも似てきちゃったのかな。
――学生2冠を達成されたことでプレッシャーなどはありますか
米澤 そんなプレッシャーに感じてないですね。負けても次勝てばいいやぐらいに思っているので。
――齋藤選手は減量をされなくなってから結果を残し始めたという感じなのでしょうか
齋藤 そうなんですかね。本当に全然勝てなくて、一生勝てないんだろうなとか思いながらやっていて、どうせ勝てないなら減量しなくていいやと思ってやったら、なんか勝てちゃいましたね。
米澤 かっこいい(笑)。
齋藤 かっこいいのかな?(笑)。
伊藤駿 勝つ気はなかったけど、みたいな。
齋藤 いやいや、勝つ気はあったんですけど、減量しない方が体調も良くて戦えたかなと思います。
――全グレも5位で、3位決定戦は接戦でしたが、振り返っていかがでしたか
齋藤 ちょっとびびっちゃいましたね、相手がチャンピオンだったので。どうせ負けるんだろうな、と思って。
伊藤駿 ネガティブすぎやろ(笑)。
齋藤 ネガティブというか、その時まで勝てていなかったんで無理だと思っていたんですよね。
――新人戦では優勝されて天皇杯への出場権を獲得されましたが、新人戦を振り返っていかがですか
齋藤 新人戦が終わると天皇杯ということで、最後のチャンスかなと思って頑張りました。そうやって、米澤くんに試合前に言われました。
米澤 そうだっけ(笑)。隼佑が優勝したときはうれしかったですね。コーチ(太田拓弥コーチ)とかも大喜びしていて。
齋藤 そのぐらいびっくりしたということですね(笑)。
――大学2年目になって、レスリングをやる上で自分の中で進化した点などはありますか
齋藤 1年生や2年生の前半まではがむしゃらに攻めていればいいという考えだったんですけど、点数を取れたんですけど失点も多くてそれで負けてしまう部分もありました。夏が終わってそういう考えを直さなきゃいけないなというところで、点数は取りに行くんですけど抑えつつというのを意識してやっていました。
米澤 高校の時は単純にガンガン攻めるみたいな感じでした。タックル入ってバック取って、アンクルホールドばっかりやる感じだったんですよ。大学に入ってから攻撃と防御のバランスですかね、試合をやっていくうえで切り替えができるようになって、攻撃ばっかりやってるとばててしまうんですけど、大学に入ってからカウンターとかも覚えて、試合運びがうまくなりました。
伊藤駿 自分はたぶん何にも成長してないと思います、まじで。覚えた技もないし。
米澤 同じ武器を持ちながらそのまま強くなっているみたいな。
――齋藤選手、米澤選手から見て、伊藤駿選手は成長されていると思いますか
齋藤 人間的にですか
伊藤駿 人間的には一番成長しています。
齋藤 そのほかは特にないよね。
米澤 まんまです。レスリングもまんまです。
伊藤駿 ごり押しスタイルで。
――ことし強い1年生が入ってきたと思いますが、何か変わった点などはありますか
米澤 強い1年生が入ってきて、みんな強いし練習の雰囲気とかもそれなりにやりあえるので、雰囲気も盛り上がりますし、負けてらんないなという面もあるし、それでいい意味で刺激になって自分ももっと頑張らなきゃなという気持ちにさせられます。
齋藤 自分も同じで人数増えた方が練習も楽しいんで、去年よりも人数が増えてにぎやかに練習できています。
伊藤駿 練習相手として階級が近い山﨑弥十朗がいるという点で点周相手が増えたから良かったです。自分が2年生になって、今の4年生とは仲がいいので、寮生活が楽しくなったなと思います。プライベートでも遊びに行ったりするので楽しいですね。練習もちょっとは楽しくなったかな。
――来年は上級生になりましたが、リーグ戦など責任が増してくると思いますがその点はいかがですか
伊藤駿 やることは1つやんな。
米澤 1、2年生のときはリーグ戦のときは自分の出せるもの全部出せればいいやという考えも少しはあって、周りのことももちろん気にしてはいるんですけど、自分がとりあえず勝とうという気持ちでやっていました。早いんですけど、もう上級生になったんでチームを盛り上げながら自分も勝たなきゃいけないという感じになったんで、チームを盛り上げていかなきゃならないなという気持ちになります。
齋藤 来年はたぶんベンチなんで、温めておきます。
伊藤駿 さっきやることは1つと言ったんですけど、プレッシャーは大きくなると思うんですけど、やることは1つやな。
米澤 勝たないといけないね。
伊藤駿 勝ちます!
ボケとツッコミと、
終始笑いが絶えなかった
――お互いについて思うことや普段とプレー中の印象で違うところなどあれば教えてください
伊藤 齋藤くんは、最近自分と全然飲んでくれなくなって。
米澤 あはは!悩み相談じゃん(笑)。
伊藤 はい、僕なんか悪いことしたかなって。後で個別に聞いといてもらっていいですか(笑)。
米澤 あー、何かあるね(笑)。
齋藤 いや、駿は俺の中では多い方ですよ。飲みに関しては。僕はそんなに飲まないんで。
伊藤 圭とはゲイかと思われてるくらいほとんど一緒ですね。よく寮でも2人で飲んだり、一昨日も飲んでたら気付いたら朝になってて(笑)。まあ彼はどう思ってるかわかんないですけど僕は仲良くしてもらってます(笑)。
齋藤 伊藤駿くんはネチネチしててめんどくさいですね(笑)。
一同 あははは!(笑)。
齋藤 まあ明るくていいやつで、練習中も場を和ませてくれる存在だと思ってますね。まあめんどくさいとこがなければ最高なんですけど(笑)。圭も普段ふざけてるみたいな感じなんですけど練習中だとパッと雰囲気変わるなと印象ですね。
米澤 ありがとうございます。駿はまあずっと一緒にいるんですけど、1日に数回くらい、「あーこいつアホだなー」って思う瞬間があるんですけど(笑)。
伊藤 ディスるやん(笑)。トイレ行ってきていい?(笑)。
一同 (笑)
米澤 まあまあまあ、そこが彼の良いところであって。面白い!みたいな。可愛い!みたいな。
伊藤 赤面になっちゃうな。
米澤 場を和ませてくれるような存在ですね。で、隼佑は、何だろうな。隼佑も結構ふざけるキャラなんですけど、
伊藤 どっちかというとツッコミ。
米澤 あー。
伊藤 どんなボケも拾う。
米澤 普段は、だるー。みたいな感じなんですけど、心の中では絶対、やってやろうみたいな感じがあるの俺は分かるんですよ(笑)。
伊藤 けど、保険かけてるんです(笑)。
米澤 そう、けどそこで負けてもいいように保険かけてる(笑)。
齋藤 圭なんか恥ずかしいところついてくるな(笑)。
米澤 俺は分かってるんですよ。だからこの3人のポジションを言えば、俺はこうやって後ろから見てて、駿がボケたのに隼佑が鋭くツッコんで、ワハハみたいな。
伊藤 何もしてへんやん(笑)。
米澤 俺は楽しんでる、みたいな感じです。
――他の部活で仲がいいところなどありますか
伊藤 仲良いですね。サッカー、バスケ、剣道、応援部とか。
米澤 寮が一緒なのが大きいですね。
伊藤 飲みに行くやつらもいるし。隼佑は?
齋藤 俺またちょっとグループ違うんですけど、クラスのやつらだったり寮だったら相撲部のやつらだったりとか。飲みに行ったり授業受けたり。
――授業はどういうのをとってますか
伊藤 とりあえず楽と言われたものを。
米澤 中国武術論!中国人の先生なんですけど。
齋藤 単位はとれんじゃないの?
米澤 毎回ノート写さなきゃいけなくて。
伊藤 多胡島さんにだまされましたね。空いてなくてどこも。結構選外になってて金曜3限何入れよ、みたいになってて。多胡島さんが俺これとってるからみたいな。簡単なんすか?って聞いたらただ授業聞いてノート毎回とれば単位くるよみたいな。ノートとるだけか、まあめんどいけどいいか、って授業行ったら最終レポート4000字みたいな。うわ、終わった、みたいな。
米澤 あと無断欠席したらめちゃめちゃ怒鳴り散らすんですよ。黙ってトイレ行っても、ドコイクンスカー!って。え、そんなに?みたいな。
伊藤 カタコトやからな、日本語。けど、中国武術の免許みたいなの持っててな。
米澤 そう、剣さばきがすごい。披露してくるんで。
伊藤 あれ結構強そうよな。レスリングじゃ勝てない(笑)。
――減量した後に必ず食べるものってありますか
米澤 飲み物なんですけど、絶対カルピス飲みますね。甘いのが結構好きなんで、とりあえずカルピス飲んで、そっから何食うか。まあパスタっすね。とりあえず胃に食べ物ぶち込んで、次の日お腹痛くなってあんまりアップできないっていうのがルーティンですね。
――多胡島選手がよくパスタ作るそうなんですが
米澤 食べたことはないですけど多胡島さん辛いものが好きで。夜中にハバネロをパスタにめちゃめちゃかけててそれで僕むせて起きちゃって。
伊藤 僕も、パスタのトマトソース作ったんだけど食べてみ、って言われて。それで食わされたのがそのハバネロのギネス認定されてるくらい辛いやつで。あれホンマ死ぬかと思ったマジで。辛いもの食べたらよだれ出てくるじゃないですか。それで洗面器で氷持って20分くらい水出してましたね。
米澤 えげつないですよね。
伊藤 だって、トマトソースって言われて信じるやん、みたいな。
一同 (笑)。
齋藤 減量しなくなってから、何食べてもいいなと思い始めて、『バキ』(板垣恵介作、秋田書店)でコーラ飲んだら良いみたいなことが書かれていてめっちゃコーラを飲むようにしてます。1.5リットルとか前日に飲んでエネルギーにしてます。
伊藤駿 最近はまっているのが全グレからなんですけど、計量終わっていつも水分ばっか取っちゃってなんも食えんてなっちゃうんですけど、からあげくんのレッドがまじでうまい。あと寝る前に10円のお菓子のかばやきくんとワサビりのり太郎を5枚づつ勝って食べます。スモークたんとかも好き。
――試合前に緊張はされますか
伊藤駿 します。めっちゃします。
――去年解消法は見つからないとおっしゃられていましたが、見つかりましたか
伊藤駿 見つかっていません。2ラウンド目からは大丈夫です。
齋藤 緊張しますね。緊張して動かなくなるタイプです。
伊藤駿 出た、保険掛けてる。
齋藤 学生の試合だとか勝てる試合の方が緊張します。この前の新人戦は、自分バナナマンが好きなんですけど、この前も試合直前までイヤホンしてバナナマンのラジオ聞いてましたね。そしたら意外と緊張がほぐれました。
米澤 めちゃくちゃ緊張するし、レスリングやって解消法じゃ見つかってないです。
伊藤駿 してんの?してるけど動き変わらんやん。
米澤 試合の方が動きが良くなります。緊張感がちょうど良くなります。緊張してもいいやという感じですね。でも1回戦が1番動き悪いですね。
リベンジ
始めての天皇杯に挑む齋藤
――天皇杯に向けてどういったところなどを意識されて練習してますか
伊藤駿 特に意識はしてないです。減量がだるいな、と。
米澤 今持っているものを出すという感じですね。いかにどれだけ自分が持っているものを出し切れるかというのを。ことし最後の試合なので。
齋藤 始めての天皇杯なんで、自分の持っているものを全部出して頑張ろうかなと思います。
――レスリングをやる上で自分にとっての武器は何ですか
米澤 (伊藤駿は)高校で鍛え上げられたパワーみたいな。
齋藤 投げ技ですね。
米澤 思い切りの良さ。
齋藤 まぁまぁまぁ。そこらへんが投げ技につながっているかなと。
伊藤駿 圭は柔軟性やろ。
米澤 もつれたときが強いんで、体の柔らかさとかですね。
――天皇杯でライバルに思っている選手はいますか
伊藤駿 自分はいます。今回は多胡島さんが出ないんで、次に強いとしたら内閣杯で負けた専大の松尾(侑亮)だと思うんで、リベンジしたいなと思います。
米澤 自分は田中幸太郎さん(平24社卒=現阪神酒販)ですね。OBの先輩でもあるし、国体でまけたのでそのリベンジを果たしたいです。
齋藤 自分はできるだけ弱い人とやりたいですね。1回勝ってベスト8に残りたいです。頑張って勝てるかなぐらいの人と当たりたいです。1回は勝ちたいです。
――天皇杯ではどういうプレーをされたいですか
齋藤 自分は思い切りの良さが強みだと思っているので、いい意味で思い切りの良さが発揮できて相手に技が掛けれたらいいかなと思います。
米澤 体の柔らかさともつれたときの強さを生かして、会場を沸かせたいなと思います。
伊藤駿 自分はスタイルが単調で、パワーでタックルに入ってというのがばれていると思うので、1回目のアタックでグラウンド技で点を取って早く終わらせたいです。6分戦うとしんどくて次の試合が無理なんで、できるだけ早く終わらせたいです。
――天皇杯への目標と意気込みをお願いします
伊藤駿 自分の目標は多胡島さんが棄権すると思うんで、多胡島傪に「優勝しないともう一緒に飲まない」と言われているんで、頑張って優勝したいなと思います。
齋藤 自分の良さを発揮して1つでも多く勝ちたいなと思います。
米澤 実力的には自分よりも強い人が結構いるんで、現実的にメダル入賞でお願いします。
○○募集中シリーズはあしたへと続きます!
◆齋藤隼佑(さいとう・しゅんすけ)(※写真左)
グレコローマンスタイル75キロ級。群馬・館林高出身。スポーツ科学部2年。色紙の『飛鳥』という言葉には、乃木坂46の推しメン齋藤飛鳥さんの「飛鳥」という意味と、飛ぶ鳥を落とす勢いという2つの意味が込められているそうです!部ではツッコミ担当ということですが、対談中はいじられる場面も見られました(笑)。
◆米澤圭(よねざわ・けい)(※写真中央)
フリースタイル65キロ級。秋田商高出身。スポーツ科学部2年。色紙の『翼』は本田翼さんの「翼」という意味だそうです。ハロウィンではカオナシの仮装をされただとか。対談中では齋藤選手と伊藤駿選手のやり取りに大笑いする場面も多く見られました!
◆伊藤駿(いとう・しゅん)(※写真右)
フリースタイルスタイル70キロ級。京都・網野高出身。スポーツ科学部2年。部の中ではムードメーカー的存在だという伊藤駿選手。普段から親しいという同期2人との今回の対談では、大阪弁も交えてトークを盛り上げてくれました。色紙に書いてくれたのはやんちゃな伊藤駿選手らしい『単位募集中』。単位もメダルも獲得しちゃってください!