学生レスリングの頂点を決める全日本学生選手権(インカレ)の幕が開けた。25日から28日までの4日間の日程で行われ、初日はグレコローマンスタイル(グレコローマン)の試合が行われた。早大からは8人の選手が出場。そのうち宇井大和(スポ1=和歌山・新宮)と堀江一馬(社4=富山・高岡商)があすに行われる準々決勝へと勝ち進んだ。
66キロ級の宇井は初戦こそ苦戦するものの、続く2回戦、3回戦ともに第1ピリオド(P)でテクニカルフォールに持ち込み快勝した。順調に勝ち進んだ宇井だが、4回戦では第1Pで一瞬の隙を突かれ、相手に投げ技を決められる。第2Pではさらに1点を追加され、5点を追う展開に。しかし苦しい状況でも宇井は積極的に技を繰り出していく。その結果、続けざまに点を獲得し同点に追いつく。試合時間残り1分で投げ技を決めた宇井は7-5と逆転に成功。勝利をもぎ取った。
第4試合では接戦を繰り広げた宇井
80キロ級には堀江が出場。堀江にとって初戦となる2回戦をテクニカルフォールで危なげなく突破する。3回戦は好機をつかめず、第1P前半はこう着状態が続いた。その後、相手に1点を先取されるが、すぐさま背後を取り2点を奪取。第2Pでは再びバックポイントで2点を追加し勝利を収め、ベスト8に進出した。主将の吉川航平(社4=秋田商)は相手の腕を取ることで、試合を優位に運び勝利を重ねていく。しかし、4回戦は果敢に攻め続けるも、なかなか得点にはつながらない。その間に相手に先制され、1点リードされたまま第1Pを終える。第2Pで巻き返したい吉川だったがその後も相手に2点を許してしまう。終盤に1点を返すも、自身の得意な形に持ち込むことができず、1-3で敗北した。
4回戦敗退となった吉川。復調をうかがわせた。
「強い相手にも自分の形を崩さないで、出し切れるようでないと優勝は厳しい」と太田拓弥コーチが語るように、インカレではいかに自分の形を貫けるかが勝利のカギとなってくる。2日目へと駒を進めた宇井、堀江両選手は自身のレスリングスタイルを出して戦ってほしい。あすは女子フリースタイルの試合も始まる。昨年のインカレで優勝している香山芳美(スポ3=東京・安部学院)らが出場。学生日本一の称号をかけた戦いはこれからが本番だ。早大勢の活躍に期待したい。
(記事 服平周、写真 寺脇知佳、平松史帆)
結果
男子グレコローマンスタイル
▽59キロ級 吉川 4回戦敗退 小田修一郎(スポ1=大阪・関大高) 2回戦敗退 橋本星良(人2=茨城・土浦日大) 1回戦敗退 ▽66キロ級 宇井 準々決勝進出 ▽71キロ級 齋藤隼佑(スポ2=群馬・館林) 2回戦敗退 ▽80キロ級 堀江 準々決勝進出 ▽98キロ級 土赤耕陽(スポ4=山形商) 3回戦敗退 松本直毅(スポ1=神奈川・横浜清陵総合) 1回戦敗退
コメント
太田拓弥コーチ
――全日本学生選手権前に和歌山県で合宿を行われたそうですが、手応えはいかがでしたか
毎年夏に僕の地元というのもあって和歌山県で合宿を8日間ほどやっています。複数の大学が集まって250人ぐらいで5試合分のマットを使って行いました。普段の練習相手以外のところで練習するというのは遠い場所に行って気持ちの変化もあると思うので合宿を行っています。いろんな練習相手と試合をしたり、砂浜や山で走り込んだりけっこうハードな事もやりました。
――きょうの試合を振り返っていかがですか
吉川航平主将(社4=秋田商)が最後惜しかったですね。全般的に押されていました。グレコローマンスタイルのルールだと押されてしまうと最後にコーションも付きませんし負けてしまうので、プレッシャーに押されて場外に出てしまったのが敗因ですね。齋藤隼佑(スポ2=群馬・館林)と小田修一郎(スポ1=大阪・関大高)と宇井大和(スポ1=和歌山・新宮)に関しては積極的に技をやろうとする、というところを見受けられたかなと思います。自分の形を突き詰めていけば勝てるチャンスが生まれてくるというのが見えた試合だったかなと思います。橋本星良(人2=茨城・土浦日大)はもっと試合の勝ち方を覚えた方がいいと思います。相手がバテてきて、こうすれば点数が取れるというところでちょっとミスが出てしまっています。松本直毅(スポ1=神奈川・横浜清陵総合)はレスリングのセオリーが全然できていないので、レスリングの形を作っていかなくてはいけないのかなと感じました。
――勝ち進んだ選手の試合は、自分のレスリングができていた試合が多かったのでしょうか
そうですね。吉川は腕を取ってから、宇井だったら差してからという展開が結果につながったと思います。どんな相手でも自分の形というのは最後に出ると思うので、強い選手を相手にしても自分の形を崩さないで、出し切れるようでないと優勝は厳しいですね。
――負けた選手のなかでも土赤耕陽選手(スポ4=山形商)や齋藤選手は強豪との試合になりましたがいかがでしたか
土赤は正直なすすべがありませんでした。齋藤は春先にケガなどありましたが、それがプラスになって体が一回り大きくなりましたし、負けましたが積極的に自分の形を出そうとしていたなかでの負けだったので収穫はあったのかなと思います。
――明日に向けて一言お願いします。
女子もここ数年相当レベルが上がってきているので、そう簡単には勝てないと思います。1番は芳美(香山、スポ3=東京・安部学院)にチャンスがあると思うので、しっかり勝ってもらって優勝してほしいと思います。奏音(小林、スポ2=長野・佐久長聖)も麻衣(須崎、スポ3=千葉・鎌ヶ谷)も力をつけてきているのが目に見えてきているので最低でも表彰台に上がって試合を多く経験してほしいと思います。あしたに進んだグレコの2選手はとにかく自分のやってきたことを信じてやってほしいです。勝ち負けももちろん大事ではありますが、やってきたことは出せるか出せないか。出したうえで勝ってもらいたいですし、出して負けたとしてもそれを経験として収穫にできると思いますし、とにかく今までやってきたことを出してほしいと思います。