山﨑が優勝!早大から6名が表彰台に

レクリング

 世界ジュニア代表、アジアジュニア代表を決めるJOCジュニアオリンピックカップ。日本代表を選ぶ大会なだけに、気迫あふれる熱戦が繰り広げられた。早大勢ではフリースタイル(フリー)74キロ級で山﨑弥十朗(スポ1=埼玉栄)の優勝を始め、同じくフリー74キロ級で伊藤駿(スポ2=京都・網野)とフリー60キロ級で吉村拓海(スポ1=埼玉栄)が2位に、フリー66キロ級で米澤圭(スポ2=秋田商)、グレコローマン74キロ級で齋藤隼佑(スポ2=群馬・館林)、グレコローマン66キロ級で宇井大和(スポ1=和歌山・新宮)が3位と6人が表彰台に上る活躍を見せた。

★吉村、大学デビュー戦でうれしい2位に

準決勝終了後、ガッツポーズを見せる吉村

 フリースタイル(フリー)60キロ級、準々決勝は伊藤奨(スポ3=長崎・島原)と吉村拓海(スポ1=埼玉栄)のワセダ対決となった。互いの手の内を知っているだけに双方ともなかなか技を繰り出せず膠着(こうちゃく)状態が続く。第2ピリオド(P)にバックポイントを奪った吉村が同門勝負を制した。準決勝では勢いそのままに序盤から積極的に攻め、投げ技とローリングでポイントを重ねていく。「もつれ際で上になるなど、ポイントを稼げたところがよかった」と本人も述べたように、相手の粘り強い攻撃にも冷静に対応。リングサイドの仲間たちからの熱いアドバイスと声援に後押しされ、12-9で勝利をつかんだ。迎えた決勝では、準決勝後すぐの対戦による疲れも相まってか、吉村自身も課題にあげた組み手がうまくはまらない。相手の勢いに押し切られ最終スコア3-1で敗戦。優勝こそ逃したものの、準優勝という結果に「素直にうれしい。実力以上の力と結果が出せたと思う」とうれしそうな顔を見せた。

(記事 太田萌枝 写真 杉野利恵)

★米澤、3年連続の3位に終わる

米澤は高い壁を打破できず

 ことしこそ、優勝へ。ここ2年悔しい思いをしている米澤圭(スポ2=秋田商)が最後の世界ジュニア出場権をかけて男子フリースタイル(フリー)66キロ級に出場した。米澤は準々決勝までのすべての試合をテクニカルフォール勝ちと順調に勝ち進んで行く。迎えた準決勝。相手は昨年と同じ藤波勇飛(山梨学院大)。第1ピリオド(P)で背後を取られると、そのままローリングポイントを許してしまう。なんとか耐えるものの、その後バックポイントを許した後に回され、0-10に。第2Pまで持ち込めずに、テクニカルフォール負けを喫した。藤波という高いハードル。世界ジュニア銀メダリスト越えた先には世界が待っている。

(記事 杉野利恵 写真 大石藍)

★ワセダ同士での決勝に!山﨑が制す

表彰台に上る山﨑(左)と伊藤駿

 今大会最も注目を浴びるルーキーの大学デビュー戦だ。世界ユース優勝を始め国際大会で実績を残す山﨑弥十朗(スポ1=埼玉栄)。昨年内閣杯全日本大学選手権で2位の伊藤駿(スポ2=京都・網野)と共に男子フリースタイル74キロ級に出場した。山﨑は準決勝までを苦戦しながらも要所でポイントを取り切り、順当に勝利を収める。伊藤駿も準々決勝までをテクニカルフォールまたはフォールで勝ち進む。準決勝では反則の少ないプレーで決勝へと駒を進めた。決勝ではワセダ同士での試合に。第1ピリオド(P)をお互いが探り合う形で終える。試合が動いたのは第2Pだった。山﨑が背後を取ったのを皮切りに技を決めていき、7-0で優勝を決めた。この試合で山﨑が2年連続の世界ジュニア選手権代表に、伊藤駿はアジアジュニア選手権代表に内定。それぞれの優勝を目指し、切磋琢磨(せっさたくま)する。

(記事 杉野利恵 写真 太田萌枝)

★グレコローマン部門、名門復活の兆し

投げ技を決める齋藤

 ここ数年全日本大学グレコローマン選手権で思うように成績の振るわない早大。グレコローマン部門では66キロ級の宇井大和(スポ1=和歌山・新宮)、74キロ級の齋藤隼佑(スポ2=群馬・館林)の2人が3位入賞を果たした。宇井は準々決勝にて第1ピリオド(P)でバックポイントを取られ5-0で折り返す。第2Pでは体力が尽き始めた相手に投げ技を決め、形勢逆転。7-5の逆転勝ちで準決勝へと進んだ。準決勝では相手ペースの試合となり、第1Pでテクニカルフォール負け。大学デビュー戦を3位で終えた。また齋藤はダイナミックな投げ技を決め、勝ち進んでいく。迎えた準決勝では、第1Pから激しいポイントの取り合いに。後半に齋藤はビックポイントを取る大技を決めながらも相手にあと一歩及ばず。第2P開始1分13秒でテクニカルフォール負けに。太田拓弥コーチは試合を振り返り、「やりようによっては全日本大学グレコローマン選手権(全グレ)」でも優勝できるメンバーがそろいつつある」と語る。11月に行われる全グレが待ち遠しい。

(記事 杉野利恵 写真 寺脇知佳)

結果

ジュニアの部

男子

フリースタイル

▽60キロ級

吉村                   2位

伊藤奨                  準々決勝敗退

橋本星良(人2=茨城・土浦日大)     2回戦敗退

岩澤侃(スポ1=秋田商)         棄権

▽66キロ級

米澤                   3位

▽74キロ級

山﨑                   優勝

伊藤駿                  2位

▽96キロ級

松本直毅(スポ1=神奈川・横浜清陵総合) 準々決勝敗退

グレコローマンスタイル

▽66キロ級

宇井                   3位

▽74キロ級

齋藤                   3位



女子

▽55キロ級

小林奏音(スポ2=長野・佐久長聖)    準々決勝敗退

コメント

太田拓弥コーチ

――2日間を振り返っていかがですか

正直あともう1人、2人優勝して欲しかったというところが本音です。他の大学も練習がしっかりとやれているなかで、チームの雰囲気も内容も練習でやってきたことを出せていたことが、全体として良かったなと思います。

――早大同士での試合もいくつか見られましたが

上級生の意地で勝って欲しかったですね。練習でも勝てているので、伊藤駿(スポ2=京都・網野)に関しては大学選手権(内閣杯全日本大学選手権)で2位となっている選手ですし、ここ最近は練習でも伊藤駿の方がおしていたので、試合になるとどうなるのか分かりませんでしたし、弥十朗(山﨑、スポ1=埼玉栄)が1回戦からずっと動きが悪かったので、もっと泥試合にはなるかなと思っていました。新しい力が入ってきたというのはうれしいことなのですが、その芽をつぶすのが上級生の役割なので、そういった意味では上級生には、ふがいないことはありませんでしたが、勝って欲しかったのが本音ですね。全体的には試合の内容もやろうとしていることが伝わってきましたし、こういった形で改善していけば次につながるというのが見える試合をしてくれたので、全体的には内容も含めて良かったのではないかと思います。

――近年の早大はフリースタイルでの活躍が目立っていましたが、グレコローマンで齋藤隼佑選手(スポ2=群馬・館林)、宇井大和選手(スポ1=和歌山・新宮)の3位入賞についてはいかがですか

過去にグレコ選手権(全日本大学グレコローマン選手権)で2位になったということもあります。フリーとグレコ(グレコローマン)をこれぐらいのレベルで上位に入る選手にならないと、レスリングの幅も広がらないですし、弥十朗や拓海(吉村、スポ1=埼玉栄)も同じなのですが、グレコのスタイルをもっと覚えれば競技の幅も広がります。そういったことを僕が現役時代もグレコの練習をしていましたし、グレコで勝つことによってプラスアルファになりますし、またグレコの選手と組むことによって、組み手やさばきなど細かいものを覚えたりできます。そういった意味できょう齋藤と宇井が二人とも3位というところで、正直もうあと一伸びしてほしかったところですが、日体大はグレコ専門にやっているチームなので、なかなかあと一歩勝てませんでしたが、やりようによってはグレコ選手権でも優勝できるメンバーがそろいつつあるので、しっかりグレコも練習して、レスリングのできる幅であったり、グレコをやることによってプラスアルファなことが多いので、そういった形でグレコも強化していきたいなと思います。

――米澤(圭、スポ2=秋田商)選手の3位という結果についてはいかがですか

藤波(勇飛、山梨学大)は全日本でもトップレベルの選手なので、正直このハードル、去年と同じように負けたのですが、圭もしっかり強化して体も一回り大きくなったので、後半勝負の泥試合であれば面白い展開になるかなと思っていました。やはり体ぢからや大きさなども含めて相手が一枚二枚上手でしたね。

――東日本大学リーグ戦に向けての意気込みをお願いします

ここ2年間、7位と不本意な形なので、まずは決勝リーグに上がること。決勝リーグで総合優勝を狙えるチームにようやくなりつつあります。残り20日を切っていますが、チームで一丸となって総合優勝できるように、新しい戦力も入ってきていますし、吉川(航平、社4=秋田商)、多胡島(伸佳、スポ4=秋田・明桜)ら4年生がしっかり引っ張っているようなチームでないと、絶対に優勝はできないので、この2人に引っ張っていってもらって、メンバーから外れた部員も裏方に徹して、やれば十分に優勝を狙えるので、チームの雰囲気もすごく良いですし、4年ぶりの総合優勝を狙えるように、頑張りたいと思います。

伊藤奨(スポ3=長崎・島原)

――この試合への目標と意気込みは

目標は決勝まで行ければ国際大会への資格があるので、それが目標だったのですが、ダメでした。

――試合を振り返っていただいていかがでしたか

1、2回戦は相手との差があって、自分がやりたいことができました。同門で自分も相手もやる技が分かっていて硬直した状況のなかで僕はタックルに入って取れなくて、逆に取られたというのは勝負の差だったと思いますが、入ってからの処理が課題ですね。

――準々決勝では吉村(拓海、スポ1=埼玉栄)選手との同門対決になりましたが、いかがでしたか

お互いにやる技も分かっていて練習もずっとやっているので、強いことも知っていますし、自分の力を出し切ろうと思ってやったのですが、取りたいときに取れなかったですね。

――昨年に比べ上半身が強化されたようにうかがえますが、冬に強化などはされましたか

体重は冬で1キロ2キロばかり増えたのもありますし、学生の大会は57キロ級なのですが、今回は年齢別の大会なので階級のカテゴリーがちがって60キロ級なので、いつもより減量は少なかったので、ちょっと大きく見えたかもしれませんね。

――きょうの試合で見つかった課題はありますか

課題はタックルに入ってからの処理と、自分から取りに行く技がまだ少ないかなというところですね。

――次の試合に向けての意気込みを教えてください。

次はリーグ戦(東日本大学リーグ戦)になると思いますが、吉村と同じ階級なので自分が出られるかは分かりませんが、自分が出た場面では勝ってチームに貢献できるように頑張りたいと思います。

伊藤駿(スポ2=京都・網野)

――この大会にはどういった意気込みで臨まれましたか

JOC(ジュニアオリンピックカップ)には昔から出ているのですが、今年が最後なので優勝を目指してやっていました。

――決勝は早大対決となりましたが、いかがでしたか

早大同士で良かったのですが、後輩相手に勝ちきれなくて情けないなと思いました。

――きょうの試合を振り返って、良かった点と課題をそれぞれお願いします

良かった点は1、2回戦だったらグラウンド返したり得意な技が決まったのですが、悪かった点は競った相手になると得意技もバタバタして出なかったところで、そういった部分を直していきたいです。

――次戦に向けての意気込みを教えてください

次の試合はリーグ戦(東日本大学リーグ戦)なので、できるだけチームに貢献できるように頑張っていきたいと思います。

齋藤隼佑(スポ2=群馬・館林)

――この大会にはどのような意気込みで臨まれましたか

チャンスだと思ったので、頑張ろうという気持ちで臨みました。

――準決勝までテクニカルフォール勝ちを重ねて順調に勝ち上がりましたが、調子はいかがでしたか

調子は良かったですね。

――準決勝での敗因に思い当たることはありますか

ディフェンス力不足と力不足が一番の理由だと思います。

――きょうの試合を振り返って、良かった点と課題をそれぞれ教えてください

良かった点はそんなに思い浮かばないのですが、課題点は筋力不足とグランド防御の強化ですね。

――3位という結果をご自身でどう受け止めていますか

決勝進出を視野に入れていたので悔しいですね。

――次戦に向けての意気込みをお願いします

この悔しさをバネに頑張りたいと思います。

米澤圭(スポ2=秋田商)

――今日の試合の意気込みを教えてください。

今回はジュニアとして出場するのは最後の年だったので、自分としては優勝を目指していました。優勝したらフランスで行われる世界ジュニアに行けるので、そこに出場したかった気持ちが強かったです。自分の実力を出せば優勝できると思ったのですけど、うまくいきませんでした。

――試合を振り返ってみていかがですか

準々決勝まではいつも通りの自分の試合運びができていると思っていたのですが、準決勝でテクニカルフォールで負けてしまいました。その準決勝の相手が昔から戦っている相手で、一度も勝ったことがないのですけれど、今年もテクニカルフォールで負けてしまって、去年も準決勝で当たって同じような負け方をしたので、自分的には成長してないなと悲しくなりました。

――準々決勝までは順調にテクニカルフォールで勝ち続けていましたが、いかがでしたか

そこは勝たなくてはいけないところだったので、内容がどうこうと言うよりは準決勝に行くに向けて自分を高めていく試合でした。もちろん、一試合一試合を大事にはしているのですが、勝ち方はあまり気にしてないですね。

――3位という結果についてはどう思われてますか

僕は3年連続3位なんですよ。だからあんまりうれしくないです。

――今日の試合で見つかった課題や収穫はありますか。

準決勝の相手とは単純に体格差があって、力がまだ足りないと思いました。毎回試合が終わったら言ってるんですけど、力が足りないですね。技術面とかも圧倒されすぎて、技術差があるので、自分では分からないです。何回もボコボコにされているので、よく分からないです。

――次の試合への意気込みを教えてください

近いのがリーグ戦(東日本大学リーグ戦)なので、自分的には落ち込んでるのですが、なんとか早く切り替えて、リーグ戦ではチームに貢献できるようにしたいです。去年全勝したので、今年も全勝を目標に頑張りたいです。

宇井大和(スポ1=和歌山・新宮)

――この大会にどのような意気込みで臨んだか教えてください

大学に入って初めての大会なので、入賞できればいいなと思っていました。

――大学に入って初めての大学で、3位入賞という結果を収められましたがいかがですか

まだまだ力が足りないなと思いました。高校から大学で階級を上げたんですよ。だから全然体重が軽くてクセとかも階級に対して全然小さくて、力負けというか。技術だけじゃなく力も足りなかったかなと。

――3位という結果はその階級でもやっていけそうだなという自信にはつながりましたか

グランドまで持ち込めれば技を返せるのですが、それに持っていくまでの技術がまだまだ未熟だなと思います。

――きょうの試合で良かった点と課題があればそれぞれ教えてください

グラウンドに行ったときに自分の得意な技をしっかり出せた点が良かったと思います。課題はさっき言ったように、まだまだパワーが足りないのでしっかり体を大きくして力を付けたいと思います。

――次戦に向けての意気込みをお願いします

次はリーグ戦(東日本大学リーグ戦)で自分は出るか分からないのですが、リーグ戦優勝できるように貢献していきたいと思います。

吉村拓海(スポ1=埼玉栄)

――この大会への意気込みを教えてください

リーグ戦(東日本大学リーグ戦)に良い感じでつなげられればいいかなと。試合自体が結構久しぶりだったので試合に慣れていけばいいかなと思いました。

――大学に入って初めての大会で準優勝という結果を収めましたが、いかがですか

素直にうれしいです。実力以上の力と結果が出せたかなと思います。

――きょうは早大の先輩との対戦もありましたが、いかがでしたか

毎日スパークリング一発目でやっていて、私生活でも部屋で色々おしゃべりしてくれる優しい先輩なので正直に言うとあまりやりたくなかったですね。

――きょうの試合を振り返って、良かった点と課題をそれぞれ教えてください

良かった点は、もつれ際で上になったりとかそういう場面でポイントを稼げたところで、課題は決勝でやられたように組み手です。リーチが長い相手との間合いを潰す組み手が課題だと思います。

――次戦に向けての意気込みをお願いします

次はリーグ戦があるので、まず減量に向けてしっかり落として、試合に使ってもらえたら今回見つけた課題を無くして臨みたいと思います。