いよいよあす、12月21日から3日間にわたって開催される天皇杯全日本選手権(天皇杯)の火ぶたが切って落とされる。ことしの天皇杯はリオデジャネイロ・オリンピック競技大会日本代表選手選考会も兼ねており、非常にレベルの高い戦いが繰り広げられることが予想される。また、早大からは計10名もの精鋭たちが出場権を得た。この一年目標に掲げていた『チーム全体の底上げ』を見事に具現化したと言えるだろう。以上から、注目度は最高潮を迎えているのは間違いない――。
第1日目は男子フリー61キロ級に内閣杯全日本大学選手権(内閣杯)3位の吉川航平(社3=秋田商)、65キロ級には春の新人戦で優勝した米澤圭(スポ1=秋田商)が出場。女子の60キロ級には昨年3位の香山芳美(スポ2=東京・安部学院)、63キロ級には全日本社会人選手権優勝の髙橋海寿々(スポ1=東京・大森学園)と、ワセ女の奮闘にも注目が集まる。
翌日の第2日目は70キロ級に多胡島伸佳(スポ3=秋田・明桜)が出場。学生二冠王のきょねんから一転、奮わない成績が続く今季の多胡島だが、ここで男を見せ名誉挽回を果たせるか。同階級に出場するのはもう一人、内閣杯で2位に輝いた伊藤駿(スポ1=京都・網野)。また、重量級の97キロ級に登場するのは洞口幸雄主将(スポ4=岐阜・岐南工)。ケガのブランクはあったものの内閣杯で2位につけ、ラストイヤーで初の全日本挑戦権を得た。4年間のすべてをぶつけてほしい。
最終日は全日本学生選手権(インカレ)で活躍した選手たちに期待だ。57キロ級に伊藤奨(スポ2=長崎・島原)黒澤翔(スポ4=茨城・鹿島学園)、74キロ級に今村聖(スポ4=群馬・太田商)が、インカレの勢いそのままに牙を剥く。74キロ級は早大OBや早大入学予定の高校生も出場し、混戦必至。「一試合一試合を大事にして、一つでも多く勝ってほしい」(太田拓弥コーチ)。早大戦士たちよ、闘志を燃やせ。
(記事 寺脇知佳)
コメント
――天皇杯の展望は
山方監督(平4年卒=福岡・築上西)
春の明治杯全日本選抜選手権もあまり人数を出せなかったので、天皇杯に出れるように頑張ってくれ、と言っていて。その中でことし天皇杯に出るメンバーは10人というレベルになっているので、一年間の底上げということができてきているのかな、ということは感じています。今度の天皇杯というのはリオのオリンピックの予選大会への出場権がかかっている試合なので、本当にみんな目の色を変えてくるでしょうし、階級を変更して出てくると思うので、きょねんの天皇杯よりもレベルは上なんだろうな、と思います。その中で自分がどれだけのことをやれるか、と。一試合でも多くやってほしいな、と思います。
太田拓弥コーチ
オリンピックの予選というのは本当に特別なんで、僕自身が選手として携わってきたのは1992年のバルセロナオリンピックの予選からで、そかから約20数年経ってるんですけど、オリンピックの年だけ強い選手だったり、オリンピックの年だけ勝てなかったりだとか、あといきなりポーンとスター選手みたいに出てくる選手も本当にまれにいるんですよ。そういうことを考えると誰にでも平等にチャンスはあると思いますね。オリンピックの予選って本当に特別な全日本なんですよ。ほとんどの選手がオリンピックの予選で現役を引退していくわけなんですね。負ければ最後、という試合が続くので、すごい緊張感の中で試合できるというのは選手たちにとってプラスアルファのことしかないんですよ。まずそういったレベルの高い試合に出場できる、そして緊張感のある中で試合ができる、また勝ったり負けたりで得るものもある。出場できるメンバーがこんなにいるので本当に一試合一試合を大事にして、一つでも多く勝ってほしいですね。経験値がつくので。できれば表彰台にあがって、1位、2位に入ってオリンピックのトライアルに出てもらいたいですね。