【連載】天皇杯直前特集 『10魂』 第1回 洞口幸雄主将×伊藤駿×米澤圭

レクリング

 計3回にわたって天皇杯全日本選手権(天皇杯)に出場する計10選手にインタビューを行った。栄えある第1回目を飾るのは、名門・早大レスリング部の主将を務めた洞口幸雄(スポ4=岐阜・岐南工)、1年生ながらチームの主力として活躍した伊藤駿(スポ1=京都・網野)、米澤圭(スポ1=秋田商)の3選手だ。今季の振り返りからプライベート、それぞれの天皇杯への意気込みまでをたっぷり語っていただいた。

※この取材は12月1日に行われたものです。

ルーキーイヤーとラストイヤー

目を輝かせて語ってくれたフレッシュなルーキー2人

――まずはこの一年間の振り返りからお願いします

洞口 僕は今季の初めにケガをして入院してしまって、リーグ戦(東日本学生リーグ戦)もインカレ(全日本学生選手権)も出られなくて。キャプテンとしては情けなかったてますね。全グレ(全日本大学グレコローマン選手権)、内閣(内閣総理大臣杯全日本大学選手権)では試合に出ることができ、内閣では結果を残すことができたのでその点はまあ良かったかな、と。とりあえずは良かったな、という一年でした。

米澤 自分は、大学最初の一年ということで勝てればいいなと思ってたんですけど、リーグ戦で全勝できたりインカレも3位に入賞できたりして、自分が思っていたよりも結果を残すことができたので、まずまずの結果で良かったかな、と思ってます。

伊藤駿 早い一年だったなと思ってますね。前期はリーグ戦でも負けてしまったり、新人戦(東日本学生春季新人選手権)でも優勝を逃してしまったりとあまり活躍できなかったんですけど、後期は内閣でも入賞して新人戦では優勝することができたので、すごい良かったなと思います。

――お話にもありましたが、米澤選手は春のリーグ戦、新人戦で活躍され、いい大学生活のスタートとなったのではないでしょうか

米澤 そうですね。大学の戦い方は高校の戦い方とはまた違ったものが多くていろいろ学ぶことができたので、これからも大学の戦い方を学んでいきたいなと思います。

――高校と大学のレスリングで違うところとはどんなところですか

米澤 基本的に組み手やがぶりといった細かい技術がうまいな、と思いましたね。

伊藤駿 大学の方が技術のレベルが全然高いので、かなり練習していかなければいけないな、と思いました。

――洞口選手のケガとはどんなケガだったのですか

洞口 腰のヘルニアです。

――ケガをしている期間でつらかったことはありますか

洞口 リーグ戦前だったので単純につらかったですね。痛いし(笑)。もちろん試合に出られないし、レスリングできないし、大変でしたね。

――試合に出られない中で主将として心掛けたことはありますか

洞口 周りが支えてくれたので、情けないなとは思っていましたけど、みんなやってくれるから大丈夫だろうと信じていましたね。

――入院していた期間は4年生の方が仕切っていたのですか

洞口 そうですね。4年生が練習も仕切ってくれたり。みんなが頑張ってくれました。

――全グレの後に「(内閣杯では)主将の意地を見せたい」とおっしゃっていましたが、意地は見せられましたか

洞口 できました。・・・できてたよね?

伊藤駿 あとちょっと(笑)

洞口 え、できてたでしょ?(笑)

伊藤駿 はい、できてました(笑)

洞口 多分できていたと思います。できてたでしょ?

米澤 まあ、できてたと思います(笑)

洞口 できていたと思います(笑)。(意地を)見せられました。

――伊藤駿選手も内閣杯で2位となりましたが、2位になった感想はいかがですか

伊藤駿 自分でも決勝に行くと思っていませんでしたし。組み合わせが良かったというのもあるんですけど、活躍できたので良かったです。

――リーグ戦、全グレ、内閣杯。これらの団体戦での成績を評価していかがですか

洞口 リーグ戦はきょねんと一緒の7位だったのですが、僕は出ていない立場なのでみんな頑張ってくれたな、と思います。全グレは全然駄目で、監督(山方隆之監督、平4人卒=福岡・築上西)とかコーチ(太田拓弥コーチ)からも喝を入れられて。それでも内閣で4位になってみんな頑張ったな、と思いますね。

――内閣杯の結果は上出来という感じなのでしょうか

洞口 上出来というわけではないんですが、ことしの目標が『チーム全体の底上げ』なので、底上げという部分ではできたかな、と思います。

――1年生は大学に入って初めての団体戦を経験したと思うのですが、団体戦ならではの雰囲気はありますか

米澤 高校の団体戦は経験していたのですが、チームの盛り上がり方とかがそれとは全然違って。1年生だけど勝たなきゃっていうプレッシャーも感じましたね。リーグ戦ではチームとしてはあまり望ましい結果ではなかったんですけど、個人的には全勝できたのでそこは良かったかな、と思います。内閣杯では1回戦で負けてしまってかたちに残せなかったので、チームに貢献できず4年生に申し訳ないという気持ちがありましたね・・・。

洞口 嘘つけ(笑)

米澤 いや、本当ですよ!(笑)

伊藤駿 自分が1年目からレギュラーになることが決まったんですが、盛り上がり方も高校生の時の団体戦と全然違くて、本当にプレッシャーに押しつぶされそうになっていたところを先輩からフォローしていただいて。負けてしまった試合もあったのですが、いい経験ができたなと思いますね。内閣は2位になってポイントを多く取れたので、チームに貢献できて良かったな、と思います。

――洞口選手は4年目ですが、1年生の頃と気持ちに違いはありますか

洞口 少しはありますね。リーグ戦がやっぱり一番緊張するんですよ。全グレも内閣も試合に出られていなかったので、結果を残さなきゃって思って、すごく緊張しましたね。

――1年生のお2人は団体戦と個人戦でどちらが緊張しますか

米澤 リーグ戦が一番緊張しましたね。全部の大学が「ワー」という感じで、普通の試合とは変わった雰囲気なので、味わったことのない緊張感を感じましたね。

伊藤駿 自分も同じでリーグ戦が一番緊張しました。

洞口 ・・・あれ、おまえ(態度が)硬くなりすぎじゃね?

伊藤駿 ・・・頑張ります(笑)

――試合の時は緊張しますか

洞口 僕はめっちゃしますね。かなりします。緊張するでしょ?

米澤 しますよ。

洞口 おまえはあんまりしないほうじゃない?

米澤 ああ見えて、かなりしてますからね(笑)

――試合前のリラックス法はありますか

洞口 俺は何やってもリラックスできないですね。緊張して全然足が動かない、みたいな。そんなんですね、いつも(笑)

米澤 自分も他の人から見ると普通に見えているらしいんですけど、すごく緊張していて、一言もしゃべらなくなる感じで。リラックス方法は全然ないんですけど、とりあえずずっと水飲んでます。

伊藤駿 自分もいつもめちゃくちゃ緊張して・・・

洞口 お前ほんと?(笑)

伊藤駿 はい(笑)。顔色が悪くなったり手が冷たくなったりして、解消方法は・・・ないです。

――普段の生活の中で、発表などでは緊張しますか

洞口 普段の生活ではあんまりしないですね。

――試合になると緊張する、って感じですか

洞口 そうですね、試合になるとですね。やっぱりそれだけ真剣にやっているということなんで、試合になると怖いです。

学年の垣根を超えて

兄弟のように揃って笑う、仲の良い3人

――早大レスリング部の印象はいかがですか

洞口 結構自由で、みんな楽しくて仲がいい感じですね。練習中はしっかりやるという感じで。

米澤 やるときはやるという感じですよね。

――上下関係は厳しくはないんですか

洞口 厳しくないです、全然。こいつら見てれば分かります(笑)

米澤 いやもういじめられて(笑)

洞口 いや、いじめてないでしょ!逆ですよ(笑)。こいつらはいま猫被ってます。

――練習中、洞口選手からアドバイスをもらうことはありますか

洞口 結構してると思うんだけどな?

米澤 そうですね。スパーリング中などで細かい技術的なアドバイスとか、スパーリング終わった後にもここをこうした方がいいとか教えてくれますね。

伊藤駿 自分も結構あります。 先輩のなかでは目立ってアドバイスをもらっていますね。

洞口 おー、ありがとう!(笑)

――ワセダに進学を決めた理由は

洞口 高校生のときに練習に来たとき、雰囲気も良かったし、僕の上の代の人たちはみんな有名な人ばかりだったのでここでやりたいなと思って決めましたね。

米澤 自分も高校で合宿に来たときに、練習の雰囲気が良かったり高校生の自分にも気軽に話しかけてくれるくらいに先輩たちが優しかったり・・・あれっ、何言おうとしたっけ、忘れちゃった(笑)

伊藤駿 自分は高校の母校から1人しかワセダに行った先輩がいないんですけど、その人が大学で立派に卒業しているのを見ていいなと思ったのと、あとは自分の祖父がワセダ出身っていうのもあって昔から身近によく名前を聞く大学だったので小さい頃から行けたらなと思っていて、行けたので良かったですね。

米澤 あ!思い出しました。ワセダはやらされるよりも自分で進んで自由にやっていくという感じだったので、そういうのがいいな、って思って。自分としては人にやらされるよりも自分で進んでやったほうが絶対に強くなる気がして、そういうところがいいなと思いましたね。あとはレスリングを楽しくやりたいなと思ったので、ワセダにしました。

――みなさん地方出身ですが実家が恋しくなるときはありますか

洞口 します、します。

米澤 僕の実家は東京で高校だけが秋田なんで、別に、って感じですね。たまに秋田に顔を出しに行こうかな、とは思いますけど。

洞口 すぐ帰れるもんね。

米澤 そうです。電車使って30分くらいで帰れますね(笑)

伊藤駿 自分はあまり帰りたいとは思わないですね。地元は大阪なんですけど、高校から京都に出てきてるんで慣れてしまったというか。まあ帰らなくても大丈夫かな、って感じです。

米澤 ひどいな(笑)

洞口 帰りたくなるのは最近ですね。甥っ子が生まれたので。姉貴の子供が2歳ぐらいになって、会いたくて帰りたいですね。かわいいです。かわいいよね?

米澤 かわいいですね。もう、べた惚れ(笑)

――甥っ子さんは試合を見に来たりしてくれるのですか

洞口 天皇杯は見に来るらしいです。

米澤 挨拶しなきゃ。

洞口 だからこれは頑張らないと、と思って。彼が見る最後の試合だと思うので。

――練習でワセダならではの風習とかさありますか

米澤 アップが自由、とかですかね。

洞口 30分間自由にアップして、そこからスパーリングとかをしていますね。多分他の大学ではないですかね。試合前とかは自分たちのペースでアップとかしてますね。

――学年同士の仲はいかがですか

伊藤駿 はい。

米澤 即答だな。本当か?(笑)

洞口 ちなみに、みんなでメシに行ったことあるの?

伊藤駿 まだ行ったことはないですけど(笑)

米澤 もう1年になるのに(笑)

洞口 俺の代は仲いいですよ。プライベートはプライベートなんでみんなで集まるわけではないんですけど、誕生日にみんなでごはん食べに行ったりとか。プライベートはそれぞれみんなやりたいことやってますね。普段は練習でずっと会ってますし、寮でも会いますし。イベントがあるとみんなで集まる、って感じです。

――1年生と4年生とで学年を超えての交流はありますか

洞口 おまえらとは比較的遊ぶね。

米澤 はい。特に幸さん(洞口主将)とはよく遊びますね。よくしてもらっています。いい先輩です。

伊藤駿 自分が思う中ではいままで出会った先輩の中で一番いい人だと思いますね。

米澤 おー!ガチ照れのやつだ(笑)

洞口 ということです(笑)

米澤 照れちゃった(笑)

――寮生活ではどなたと一緒の部屋ですか

洞口 僕は3年の青木祐聡(スポ3=岐阜・岐南工)ですね。ちょっと頭おかしいやつです(笑)

米澤 自分は3年生の多胡島さん(伸佳、スポ3=秋田・明桜)ですね。また結構クレイジーな。

伊藤駿 自分は3年の藤川さん(聖士、スポ3=埼玉栄)です。こっちもかなりイカれた(笑)

――相部屋で生活していてなにか困ったことは

洞口 高校が一緒だったので仲が良くて。あいつなぜか魚を飼っているんですよ(笑)。それで電気をつけっぱなしで寝たりだとか。水の音がうるさいときとかもありますね。

――部屋はどのように決められましたか。

洞口 あれは4年が決めるんですよ。同じ学年でもいいんですけど、希望を出してこれぐらいでいいな、というふうになったら決まりですね。

――多胡島選手と米澤選手を一緒にした意図は

洞口 うーん、秋田だからか?

米澤 秋田つながりですよね。

洞口 おまえ(伊藤駿)は、頭おかしい同士、みたいな。

伊藤駿 入学前から頭おかしいと思われてたんですか?(笑)

洞口 俺は同じ高校出身同士、みたいな。後輩から希望があれば考慮される、みたいな感じですね。

――充実したキャンパスライフは送られていますか

洞口 送ってますね。レスリングがあるので他のみんなよりは楽しんでないとは思うんですけど、まあ何かしらレスリングつながりになってしまうので(笑)。でも楽しいですよ。

米澤 それなりに楽しいですけど、自分が入学前に思い描いていた大学生活とはちょっと違いますね(笑)。ちょっと落ちました。キャンパスの場所だとか(笑)。所沢キャンパス、ヤバいじゃないですか。ワセダなのかな、ここは、みたいな。そんな感じで落ちたんですけど(笑)、いまはそれなりに楽しんでいますね。本キャン(早稲田キャンパス)だったらワセダ感じますけどね(笑)

伊藤駿 僕も一言でいうと楽しいですけど、やはりレスリングをやっているので。朝練がなければ最高かもしれないです(笑)

――朝練は何時からやっているのですか

洞口 一番朝早いのは・・・。

米澤 5時45分?

洞口 そんくらいです、早いです。こう見えて苦労しているんですよ(笑)

――好きな授業などはありますか

洞口 俺はないです。授業つらいです(笑)

米澤 僕もないですね。1時間半の授業は長いしつらいし・・・眠い。寝ているか、携帯いじるか・・・。

伊藤駿 僕も同じで、ないですね(笑)

――洞口選手は4年生ということで、卒論は書かれているのですか

洞口 いや、まだ全然書いていないです。ヤバいです(笑)。でもまあ、本気出して1週間ぐらいで書こうかな、と。テーマは『体格によってタックルの成功率は変わるか』ですね。

――レスリングのプレースタイルと普段の性格とで、それぞれギャップを感じる場面はありますか

洞口 駿はプライベートではアホだし、でもレスリングのときはアホっぽいレスリングなのに強い、っていう。圭は・・・

米澤 そのまんまじゃないですか?俺。

洞口 こいつイケメンじゃないですか。だからイケメンっぽいレスリングするんですよ。テクニックでイヤらしい。プライベートでもイヤらしいので。

米澤 意味分かんないじゃないですか!(笑)

洞口 いや、変な意味じゃなくて。相手としてやりづらい。そしてプライベートでもイヤらしい。

米澤 なんでそんな適当にまとめるんですか!(笑)。駿は高校でやってきたスタイルが身についていて、すごく力があるんですよ。力強いパワーで取りにいくレスリング、みたいな。見たままですね。幸さんは、普段こんなにへらへらしてるのに、レスリングではどんどん相手を着実にバテさせて最後に仕留めにいく、というか。ギャップありますね。レスリングをしているときはかっこいいです。

洞口 してるときは、って何だ(笑)

伊藤駿 圭は幸さんが言ってたように、確かにイヤらしいかな、と(笑)。幸さんは生活面では結構ふざけてるんですけど一緒にいると本当に楽しい人ですね。けどいざレスリングになると目つきが変わって。尊敬できるかっこいい先輩です。

洞口 うわめっちゃかっこいいじゃん、それ。

米澤 うん、めっちゃかっこいい!

伊藤駿 あ、いまのカットで(笑)

一同 アハハ(笑)

――いつも減量は何キロぐらいされていますか

米澤 自分は高校のときに比べて階級を上げたので3キロぐらいなんですけど、普通に1日か2日で落としますね。普通の人から聞いたらびっくりされることがよくあるんですけど、レスリングをしている人はだいたいそんな感じで落としていますね。

洞口 僕はケガしてから階級を上げたので、全然ないですね。

伊藤駿 自分も高校から階級を上げたので、本当に2キロ3キロぐらいを前日とかに落としますね。

――減量方法は

伊藤駿 汗かきますね。

洞口 レスリングやれば1回の練習でかなり落ちるんで、夏場とかはほんと、2キロぐらいすぐ落ちるし。水飲んでも2キロぐらい落ちますね。

「自分のレスリング人生を懸けて」(洞口)

ラストイヤーのラストに燃える主将・洞口

――お話は天皇杯に移っていきたいと思います。天皇杯に向けて現在どのような点を強化していますか

洞口 僕は現役最後の試合なので、やってきたことを出せればいいな、という感じですね。悔いが残らないように思いっきりレスリングしたいです。

米澤 自分は最近は、自分が勝っている状況で残り30秒ぐらいに逆転されることがずっと続いているんですよ。なので天皇杯でももし競った場面になったら、残り30秒でどう対処していくか。勝っている場面での展開をもうちょっと身に付けていこうかなと思ってます。

伊藤駿 いままでレスリングをやってきた中で今回が自分の人生の中で一番大きな大会なので、一戦一戦を大事にして勝てるようにやっていきたいと思います。

――今回ワセダからは計10選手出場と、多くの選手が出場することになりましたがその点についてはいかがですか

洞口 底上げというのが目標と言っていたので、すごく底上げができてきていると思います。だよね?

米澤 はい、できてます!

洞口 みんなが頑張って底上げができたんで、良かったです。

――4年生は男子の選手全員出場ですが、その点についてはいかがですか

洞口 僕たちはいままで全然出られていなかったんですけど、最後の最後で4年の男子が全員出られて、ほんとにそれはうれしいですね。

――洞口選手は今後レスリングは続けますか

洞口 本気では続けないですね。でも社会人の大会とかに出てゆるく続けたいです。いきなりきっぱり辞めるとはできないと思いますね・・・。

米澤 大好きですね。

洞口 はい、大好きなんでね。未練はないですけど、レスリング大好きなんでゆるく続けたいですね。

――レスリングが大好き、というのはレスリングが楽しいからということですか

洞口 はい。僕は親父がレスリングの先生だったので、本当に小さい頃からやっていて。途中、高校ぐらいで嫌になって辞めたいなって思ったときもあったんですけど、やっぱり小さい頃からやっていたらそんなに簡単には辞められないし。気付いたら好きになってる、そんな感じですかね(笑)

――米澤選手、伊藤駿選手はレスリングは楽しいですか

米澤 勝っているときとかは楽しいなと思いますし、でもきついし嫌だなと思うこともあるんですけど、自分はレスリングでここまでやってきていて自分にはレスリングしかないな、と思ってるので。しかもここまできたらとことんやった方が無駄じゃないし、好きとか嫌いとか言うよりはとことんやってやろう、という感じですね。

伊藤駿 自分は高校のときにめちゃくちゃやらされていたというのがあって、大学では軽くやろう、って感じでやっていたんですけど、大学でやっているうちにやるからにはやろう、と思うようになりましたね。けど・・・、

米澤 けど、誘惑に?(笑)

伊藤駿 けど(笑)、ちょっと東京はいろいろ楽しいので、そっちに持っていかれることは結構ありますね(笑)

洞口 そこはもう、切り替えすれば大丈夫(笑)

米澤 うん、大丈夫、大丈夫(笑)

――洞口選手はワセダで戦う最後の試合になりますが、さみしいなどと思うことはありますか

洞口 そうですね、さみしいですね。練習はきついですけど、全然まだまだやれるって感じなんで。最後なので頑張ります。

――伊藤駿選手が出場する70キロ級には多胡島選手がいらっしゃいますが、意識はしますか

洞口 バンバン意識してるよね。

伊藤駿 正直勝てないので、当たらないことを祈るだけですね(笑)

――同じチームに同じ階級の強い選手がいるということは刺激にはなりますか

伊藤駿 自分は1年生なので、それは気にせずにやれるだけやってみよう、と思っていますね。自分の実力を全部出してやれるだけやってみて、失敗したら次につなげられるように反省していきたいと思います。

――他のお2人は同じ階級に意識する選手はいますか

洞口 いないです。自分は最後なので特に意識はせずどんな相手にでも実力出せたらいいな、と思いますね。

米澤 (65キロ級には)強い人があまりにも多すぎて、意識するというか自分の持っている力を全部出すしかない、っていう。それだけですね。

――米澤選手はきょねんも出場されていますが、臨む意識に違いはありますか

米澤 きょねんは完全に高校生の戦い方、って感じだったので、きょねんとはまた違ったワセダの米澤圭を見せていけたらな、と思います。

洞口 ・・・これさっき書いてましたからね(笑)

米澤 いやいや書いてないですこれは!いま思ったことです。

洞口 さっき練習してたもんね(笑)

米澤 してないですよ!(笑)

――国内最高峰の舞台で、どんなプレーをしていきたいですか

洞口 自分らしいプレー、って感じです。とりあえずすぐに自分のかたちに持っていく、という感じでやっていきたいですね。

米澤 相手がみんな自分より格上の相手ばかりなので、泥くさく、粘り強いプレースタイルでどんどん点数を取りにいきたいと思います。

伊藤駿 自分も相手が強い人が多いと思うんで、チャレンジャーとして全力をぶつけられるよう頑張っていきたいと思いますね。自分はタックルが得意なんで、ひたすら攻めるということを意識していきたいです。

――最後に天皇杯に向けて、目標と意気込みをお願いします

洞口 学生最後の試合なので、自分のレスリング人生を懸けて、やってきたことを全部出していくことができればいいな、と思っています。頑張ります!

米澤 いくら相手が強くても、気持ちで負けたら終わりだと思うので、優勝目指していきます!リオ(リオデジャネイロ五輪)目指します。

洞口 かっこいいな、おまえ(笑)

米澤 気持ちで負けたら終わりなんで!

伊藤駿 自分もやるからには優勝目指してやっていきたいと思いますね。オリンピック階級ではなく人数があまり多くないので入賞できる可能性もなくはないと思うので、まずは優勝目指して頑張るというのと、今後につながるような試合展開をしたいと思います。頑張ります!

――ありがとうございました!

(取材・編集 杉野利恵、谷田部友香)

愉快で頼れる主将を中央に、両隣には主将に信頼を寄せるルーキー

◆洞口幸雄(ほらぐち・さちお)(※写真中央)

フリースタイル97キロ級。岐阜・岐南工高出身。スポーツ科学部4年。色紙には『レスリング大好き』と書いてくださった洞口選手。迷いながらも最後にかわいくハートマークをつけていただきました。重量級系マッチョな外見とのギャップが素敵です!

◆伊藤駿(いとう・しゅん)(※写真左)

フリースタイル70キロ級。京都・網野高出身。スポーツ科学部1年。洞口選手から、硬くなりすぎ、と指摘を受けた伊藤駿選手。それを受け、「人見知りなので緊張しています」と語っていました。プレーでは『馬力』100%の伊藤選手が見られることを期待しています!

◆米澤圭(よねざわ・けい)(※写真右)

フリースタイル65キロ級。秋田商高出身。スポーツ科学部1年。左利きの米澤選手。色紙にまっすぐ字を書くのに苦戦していた様子でした。それでも取材の受け答えと同様、丁寧に仕上げていただきました。高校生ながら天皇杯に出場した昨年から、『変化』した姿に注目です!