17〜20歳の選手で争われたジュニアの部に、早大からは3人が出場。金子和(社3=群馬・大泉)がチャンスをものにし、優勝をつかんだ。一方、1年生の須崎麻衣(スポ1=千葉・鎌ヶ谷)と香山芳美(スポ1=東京・安部学院)はほろ苦いデビュー戦となった。また、今大会に合わせて世界学生選手権代表トーナメント(男子2階級)が行われた。多胡島伸佳(スポ2=秋田・明桜)が出場したが、惜しくも準決勝敗退となった。
早生まれで出場機会を与えられた金子。今大会はチャンスだと分かっていた。迎えた初戦。前半から積極的な攻撃が光る。低い上体を保ち、好機をうかがう。タックルを仕掛け、バックポイントを奪う。相手に流れを渡さない。組み手もさえていた。1ピリオド(P)2分50秒でテクニカルフォール勝ち。準決勝も相手に1ポイントも失うことなく快勝。決勝へと弾みをつけた。
金子は積極的な攻撃が光った
決勝戦でも金子はこれまで通りの積極的な戦う姿勢を貫く。先制ポイントを奪われるも動じない。相手のアクションタイム失敗により、同点に持ち込む。2P1分20秒に4ポイントの大技を決め、逆転に成功。終了間際に同点に追いつかれたが、コーションの差で優勝を果たした。
多胡島は世界学生選手権代表トーナメントに出場した。対戦するのは昨年12月の大会で7ポイント差を付けられ敗れた砂川航祐(日体柏高教)。果敢に攻撃を仕掛けるが、うまく返されてしまう。バックポイントに続けてローリングを決められ、徐々に点差が広がっていった。結果的に敗れはしたが、以前よりも相手に「内容的にグッと近づいた」と太田拓弥コーチは評価した。
多胡島はリベンジを果たせなかった
1年生の須崎は2回戦敗退、香山は準決勝敗退と悔しい結果に終わった。しかし、本来の持っている実力は確かだ。今大会で見えた課題を修正し、次戦に臨んでほしい。また金子は優勝したことで、世界ジュニア選手権の代表権を獲得した。男子だけではなく、女子の活躍からも目が離せない。
(記事 高畑幸、写真 三尾和寛)
結果
▽女子
▽48キロ級 須崎 2回戦敗退
▽51キロ級 金子 優勝
▽59キロ級 香山 準決勝敗退
金子は世界ジュニア選手権代表内定
男子
▽フリースタイル70キロ級 多胡島 準決勝敗退
コメント
山方隆之監督(平4人卒=福岡・築上西)
――須崎麻衣選手(スポ1=千葉・鎌ヶ谷)、香山芳美選手(スポ1=東京・安部学院)のデビュー戦となりました。2人の印象はどうですか
高校を卒業して間もなく大学の入学式が終わった時期で、もともと練習には参加していました。少し思い切った部分がなかったと思います。高校時代は力で勝てた点が、大学では力だけでは勝てないこと。基本的な部分ですが、本人たちも分かってくれたと思います。試合は負けましたが、決して負ける試合ではなかったですね。逆に勝てる試合だったと受け止めています。次のJOC杯(JOC杯ジュニアオリンピックカップ)までは短い期間ですが、見直しや修正はできると思うので、やってほしいなと思います。
――優勝された金子和選手(社3=群馬・大泉)についてはどうですか
早生まれだったので、今大会に出場することができました。試合前にもチャンスだと言っていました。それで優勝したので、チャンスをものにしたことは褒めたいです。ただ、気が緩んだわけではないと思いますが、最後はもしかすると試合が逆転されてしまう可能性のあった内容でした。優勝しても反省する点があることは本人が一番分かっていると思います。そのような意味で次につながる大会でした。
――世界学生選手権代表トーナメントに出場した多胡島伸佳選手(スポ2=秋田・明桜)についてはどうですか
本来、世界学生選手権とはインカレ王者、学生の頂点に立つ者が出場する大会です。今回は階級の関係でプレーオフの出場権が得られました。チャンスと言えばチャンスでした。ただ、大学チャンピオンになる資格はなかったかなと思います。出場できれば、経験を積めるので良いことです。しかしまだ2年生ですし、学生王者になって選考会なしで代表に選ばれるための糧としてもらいたいです。
太田拓弥コーチ
――須崎麻衣選手(スポ1=千葉・鎌ヶ谷)は試合中、押されている印象がありました
組み手、タックルの取り方、体力的な部分を含め、まだまだ練習するところがたくさんあります。そのようなところをしっかりやっていけば勝てるようになるかと思います。タックルに入るタイミングなどは良いセンスを持っています。組み合ってから体勢を崩す方法など、課題は見えてきたので良かったです。
――香山芳美選手(スポ1=東京・安部学院)は相手と組み合い、上体を低くしてから次の動きが出ませんでした
攻撃に有利な体勢にしたにもかかわらず、ポイントを取り切れなかったですね。逆にポイントを奪われたりもしました。基本的な動作、パワーで押す癖を直し、基本的なことを徹底していけば良いと思います。2人とも真面目な選手なので、そういう点は心配していません。
――金子和選手(社3=群馬・大泉)の試合内容についてはどうですか
スタンドでも終始優位な試合展開を終始していました。自分から攻めていった結果、相手に返されて奪われたポイントは仕方ないです。ただ、リードした場面では守りのレスリングになってしまいました。タックルに入る体勢、気持ちの面でも攻める姿勢が現れたものではなかったです。最後の失点は余計でした。
――多胡島伸佳選手(スポ2=秋田・明桜)についてはどうですか
多胡島は無理にタックルに入ったり、中途半端な姿勢から技を掛けようとして相手に返される場面がありました。対戦した相手は昨年12月の天皇杯全日本選手権大会で敗れた相手で、0—7で負けています。しかし今回は内容的にはグッと近づいていると思います。課題は見えたので、JOC杯(JOC杯ジュニアオリンピックカップ)や全日本学生選手権に向けてしっかり調整していければと思います。
金子和(社3=群馬・大泉)
――優勝した気分はどうですか
自分で最初は逆転で負けたと思っていて(笑)。会場も盛り上がっていましたし。コーション差というルールで勝っていたのですが、改めて自分のだめなところが出てしまったと思っています。反省の多い試合でした。
――決勝を振り返っていかがでしょうか。途中までは優勢でした
途中までは自分のかたちで勝っていましたね。最後40秒くらいから安心してしまって守りに入ったら最後に投げられてしまったのですが、そこまでの試合は振り返ると良かったかなと思います。
――反省というのは詰めの部分ですか
そうですね。最後までというのはすごく学びました。またJOC杯(JOC杯ジュニアオリンピック)がすぐあるのでそこでしっかり学んだ事を生かして頑張りたいと思います。
――JOC杯と、世界ジュニア選手権に向けての目標は
早生まれだから出られていて、周りはほとんど年下なのでまずはしっかり勝つこと。それから今回みたいに内容もこだわって自分の動きでポイント取って勝てる試合をしたいです。
――昨年はいなかった女子の後輩が入ってきたことに関してはいかがですか
素直にすごく嬉しいです。去年は入ってきてくれなくて、どうしようかなと思っていました。2人入ってきてくれて、人数が多い方が盛り上がりますし、練習相手が増えて良い練習ができていると思います。
――刺激になっているということですか
そうですね。2人ともセンスもありますし、すごく強いので、そこから学ぶこともあって嬉しい限りです(笑)。