新星躍動!1年生が2人優勝

レクリング

 ことしで22回目を迎えるJOC杯ジュニアオリンピック。早大からは17歳から20歳までのジュニアの部に1年生と2年生計11人が出場した。今回は大学入学後の初戦に臨んだ1年生が活躍。フリースタイル(フリー)50キロ級で藤川聖士(スポ1=埼玉栄)、フリー66キロ級で多胡島伸佳(スポ1=秋田・明桜)が優勝した。

 「優勝しか見ていなかった」という言葉通り、1回戦から快進撃を見せた多胡島。タックルがよく決まったほか、守りでも相手のタックルから切り返してバックをとる場面が多く見られた。決勝は1ピリオド(P)を落としたが第2Pを取り返すと、第3Pはローリングや投げで大量得点を獲得して、優勝を果たす。フリー66キロ級は田中幸太郎前主将(平24スポ卒)や昨年の天皇杯全日本選手権で3位になった保坂健(スポ3=埼玉栄)など早大が毎年のように好選手を輩出している階級だが、その流れにまた1人新星が加わった。

落ち着いて力を発揮した多胡島

 藤川の準決勝の相手は野村勇志(神奈川大)。藤川が高校で2度対戦しいずれも敗れている天敵だ。試合はきょうも先にポイントを取られる苦しい展開となる。しかし、「強い先輩との練習が自信になった」とそれ以降はポイントを連取。投げ技を効果的に決めて勝利を収めた。決勝は高校生を難なく破り、試合後には笑みを浮かべて喜んだ。

素早い攻めを見せた藤川

 1年生が好成績を収めた一方で、2年生は「最低でも1人優勝」という太田コーチのプラン通りとはいかなかった。しかし、昨春の新人戦王者、櫻庭正義(日体大)と3Pまでもつれる試合をした洞口幸雄(スポ2=岐阜・岐南工)や女子51キロ級で3位に入った金子和などは試合内容に光るものがあった。これからは「勝利にこだわってほしかった」(太田拓弥コーチ)というように、勝利へのあと一歩の詰めが必要となる。

 男子にとっては今季初戦となった今大会は2選手が優勝し、いい形での滑り出しとなった。この若い力の突き上げが部内の競争激化、そして団体戦での結果につながる事だろう。ことしのレスリング部の目標「団体戦三冠」に向けて、まずは5月のリーグ戦が最初のヤマ場だ。

(記事 三尾和寛、写真 荒巻美奈、三尾和寛)

結果

▽ジュニアの部、男子フリー

50キロ級 藤川 優勝

55キロ級 青木祐聡 (スポ1=岐阜・岐南工)   3回戦敗退

60キロ級 吉川航平 (社1=秋田商)        3回戦敗退

  同    丸山大三郎(教1=埼玉・早大本庄)  3回戦敗退

  同    黒澤翔  (スポ2=茨城・鹿島学園)  3回戦敗退

66キロ級 多胡島 優勝

74キロ級 今村聖  (スポ2=群馬・太田商)   3回戦敗退

84キロ級 洞口 3回戦敗退

  同    堀江一馬 (社1=富山・高岡商)    1回戦敗退

96キロ級 土赤耕陽 (スポ1=山形商)       1回戦敗退

▽女子

51キロ級 金子和  (社2=群馬・大泉)      3位

コメント

太田拓弥コーチ

──優勝した2選手の戦いを振り返っていかがですか

持ち味を全試合通して出したことが優勝につながったのではないかなと思いますね。

――持ち味とはどういったところですか

藤川の場合は常に動いて動いてチャンスをうかがってタックルに入っていく点、多胡島の場合は体の柔らかさであったり、タックルのスピードであったり、もつれた時に必ず上になっているというような点です。ただ(多胡島の)決勝戦だけは悪かったかなと。ちょっと緊張があったのかなという感じでしたけど、最後は0-3になった状態でも1ポイント取ってグラウンドで返すというのは、本当に自分の力があるという証拠だと思いますね。

――他の1年生についてはいかがですか

大学で初めての大会で、持ち味を出せた者と、課題が残った者とそれぞれいると思うのですが、1年生は次につながるというか、内容的には良かったかなと思います。ただ2年生に関してはもう少し勝ちにこだわってほしかったです。ミーティングで話したのですが、このまま今の1年生が3年生、2年生が4年生となった時に3年生に頼るようなチームだと絶対に優勝はできません。だから今回の試合の反省点を踏まえて、1年生が元気がいいので、それにあおられるような形で自分たちもレベルアップしないと総合優勝は厳しいという話をしました。ただ、自分たちの良い面というのもわかっていると思います。優勝はできなかったですけど洞口あたりは悪くなかったですね。勝敗に関しては負けちゃったというだけで。最後のミスでやられてしまったという感じでした。

――金子選手などはどうですか。宮原選手にかなり迫りましたが

1ピリオド(P)がもったいなかったですね。1Pは勝っていた内容だったのですが、2Pの1点目2点目が悪いやり方をしてしまいましたね。あそこで簡単に1点取られて、また2点目も簡単にとられてグラウンド返されて、という流れじゃ絶対に勝てないので。やはり1ピリオドみたいな流れを2ピリオドでもやってほしかったですね。1Pは完全に勝ち内容だったのでそこは良い点だったのですが、最後の最後にタックル入って相手の下にいって守ってしまった。守るという気持ちがどこかにあったと思うので、そこで返されたかなと。そこが敗因ですね。

――次戦、東日本学生リーグ戦に向けていかがですか。

できれば3人、2年生が最低1人優勝して全部で3人優勝、でリーグ戦に乗り込もうっていう感じでいたのですが、1年生が元気よく優勝してくれて他の選手も試合内容が良かったので、上級生もきょうの試合で気持ちも引き締まったと思いますし、チーム全体もとしても最後に良い雰囲気で終われたのでリーグ戦につながると思います。

多胡島伸佳(スポ1=秋田・明桜)

──今大会、振り返っていかがでしたか

大学に入って間もない練習期間で積み上げてきたものが出て、高校の指導者の方とかに成長した部分を見せられたかなと、それが良かったです。

――今大会での目標は何でしたか

優勝しか見ていなかったです。

――調子はどうでしたか

練習通りでしたね。

――良かった点は

良かった点はタックルですね。積極的に2分間動き続けられたことが良かったです。

――太田コーチが決勝は緊張があったのではないかという話をされていましたが、決勝はいかがでしたか

むしろ決勝は気合いが入らなくて、緊張するように努力したのですが、2位で満足してしまうような気持ちがあったので、何とかして緊張させたいなという感じでしたね。

――逆に気が抜けてしまったのですか

気が抜けそうでした。

――そこはどう切り替えていったのですか

やはり優勝しなくてはいけない理由というのがあったので、それを思い出して優勝しなくてはいけないと。

――その理由というのは

優勝すれば世界ジュニア選手権出場なので、世界選手権に出るのと出ないのとでは違うので。出られるのは優勝した人だけなので勝とうと思いました。

――今後の目標は

(田中)幸太郎(平24スポ卒)先輩が世界ジュニア選手権で銀メダルだったので、それに次ぐような結果をとれるように引き続き練習していきたいです。

――リーグ戦などに向けて66キロ級はチーム内でもライバルが多いと思いますが、そういった点は

今回こういう結果を残せたのは、すごいレベルの高い先輩に揉まれてきた結果だと思います。そこで勝てるようになることが自分のためにもチームのためにもなると思いますし、リーグ戦の結果もついてくると思うので、1年生だからと考えずにチームの1人としてレギュラー目指して頑張っていきたいと思います。

藤川聖士(スポ1=埼玉栄)

──今大会振り返っていかがですか

全体的に足が動いている時はポイントを取れたのですが、止まった時には攻められたのでこれからは足を止めないように意識したいです。

――具体的に苦労した試合は

高校の時から勝てなかった選手がいて、その選手とやった準決勝ですね。あの選手とは2回やって2回共負けていたので。

――その選手に勝てた勝因は何ですか

大学に入って強い先輩とかといっぱい練習していて、それが自信になったというか、自信を持って試合に臨めたのでそれが良かったです。

――大学の練習はどうですか

つらいですけど楽しいですね。先輩は高校の時よりも強い選手がいっぱいいて、先輩に教わりながらできるので楽しいです。

――この春卒業したお姉さん、藤川千晶(平24社卒)さんからはなにか言われましたか

頑張って、と(笑)きょうは見に来てくれました。

――今後の目標は

一つずつ出る大会で勝って、最後には全日本などで勝ちたいです。