1、2年生の腕試しの場となる東日本秋季新人戦(新人戦)に、早大からは8人の選手が出場。早大の初優勝で幕を閉じた10日前の内閣杯全日本大学選手権(内閣杯)から良い流れで臨みたいところであったが、最高順位がフリースタイル(フリー)Aグループ74キロ級・今村聖(スポ2=群馬・太田市商)の2位と厳しい結果に終わった。
フリー74キロ級で2位に入った今村
内閣杯60キロ5位の黒澤翔(スポ2=茨城・鹿島学園)が今大会を回避し、洞口幸雄(スポ2=岐阜・岐南工)も棄権したために、今村は出場した中で唯一の2年生。「タイトルが欲しかった」(今村)と語った通り、初戦から攻める姿勢を見せ続けて決勝まで勝ち進む。しかし決勝は1ピリオドの2分過ぎに、1本のタックルからすかさずアンクルホールドによるローリングに入られてテクニカルフォール負け。この攻撃以外は互角の戦いをしていただけに悔やまれる試合となった。1年生では96キロ級の土赤耕陽(スポ1=山形商)が春に続いて3位入賞。4月に行われたJOC杯ジュニアオリンピック王者の66キロ級・多胡島伸佳(スポ1=秋田・明桜)には優勝の期待がかかったが、こちらも準決勝敗退で3位に終わった。
2、3日目に行われたグレコローマンスタイル(グレコローマン)にも7人の選手が出場した。1、2年生にはグレコローマン専門の選手がおらず、「課題を見つけてほしいということと試合経験を積むこと」(太田拓弥コーチ)に重点を置いた試合。結局、青木祐聡(スポ1=岐阜・岐南工)と堀江一馬(社1=群馬・高岡商)の3回戦進出が最高順位となった。この敗戦から見えた課題を克服することで、さらなる成長が望まれる。
グレコローマンは堀江らの3回戦が最高成績
今村は「夏頃から良くなってきた」(太田拓弥コーチ)という評価通りの内容のある戦いを見せた。また多胡島も同年代での国内トップレベルに居続けていることを証明する試合であった。しかし優勝者が出ないという結果には不満が残る。早大の黄金世代を引き継いでいくには、ここ一番で勝ちきる力が必要だ。
(記事 三尾和寛、写真 田島光一郎、三尾和寛)
結果
▽フリースタイルAグループ
55キロ級 青木 3回戦敗退
藤川聖士(スポ1=埼玉栄) 3回戦敗退
60キロ級 吉川航平(社1=秋田商) 4回戦敗退
丸山大三郎(教1=埼玉・早大本庄) 1回戦敗退
66キロ級 多胡島 3位
74キロ級 今村 2位
84キロ級 堀江 3回戦敗退
洞口 棄権
96キロ級 土赤 3位
▽グレコローマンスタイル
55キロ級 青木 3回戦敗退
60キロ級 丸山 2回戦敗退
吉川 1回戦敗退
66キロ級 多胡島 1回戦敗退
74キロ級 今村 1回戦敗退
84キロ級 堀江 3回戦敗退
洞口 棄権
96キロ級 土赤 1回戦敗退
コメント
太田拓弥コーチ
――厳しい結果となりました
優勝者がいなくて不甲斐ない結果でした。
――フリースタイルで準優勝の今村聖(スポ2=群馬・太田市商)選手はいかがでしょうか
夏ぐらいから実力がちょっとずつついてきたかなと思いますし、六大学リーグ戦で負けた法大の相手に勝つことができたりもして、粘り強くできたかなと思います。決勝に関してもワンチャンスでやられてしまいましたけど、前半の1、2分はいい勝負していましたし、そこらへんがまだまだ課題だと思いますが、この1、2年生は全日本(天皇杯全日本選手権)出られなかったらジュニア(JOC杯ジュニアオリンピック)まで大きな大会が無いのでこの3、4か月で体をもう一回作り直して来年度の試合に向けて頑張らせたいかなと思います。
――専門外の選手ばかりだと思いますがグレコローマンスタイル(グレコローマン)の方はどうでしょうか
グレコローマン専門の選手がいない中でこういう結果になったとは思うのですが、グレコローマンでも学ぶことは多いです。多胡島(多胡島伸佳、スポ1=秋田・明桜)などはフリーの試合でもそうですが、くっつかれて左を起こされて自分の攻めが無くて負けてしまったので、そういった弱いところを、グレコローマンをやることで克服してほしいというのが意図としてあります。グレコローマンをやることで課題を見つけてほしいということと試合経験を積むという2つのことがあっての出場なので、内容は伴いませんでしたが1つ2つ気づいてくれればそれがプラスになるかなと思います。
今村聖(スポ2=群馬・太田市商)
――2位という結果をどう捉えていますか
素直に優勝したかったなと思います。
――大会前の目標は優勝だったということですか
そうですね。今回は2年生が自分1人しか出場していなかったので、上級生として優勝しなくてはならなかったと思います。そして最後の新人戦だったので、タイトルが欲しかったです。
――決勝戦を振り返って
動きは良かったのですが、相手の技が綺麗に決まりすぎてしまい、防御するにもできませんでした。そういう状況になっても次は打開できるようにこれから練習して、同じ手でやられないようにしたいと思います。
――自分の攻撃は通用しましたか
組み手では通用していたと思います。あとはさらに細かいところを詰めていく、例えば不意の攻撃にも耐えれるようにしていきたいです。
――来シーズンに向けて一言お願いします
今大会の感覚を忘れないようにして、それをベースに練習を積み、表彰台に上がれるように頑張りたいと思います。
多胡島伸佳(スポ1=秋田・明桜)
――3位という結果は
周りから見た時に優秀するレベルには達していたと思うので、3位という結果は物足りないだと思います。
――試合内容を振り返って
自分の悪いところがはっきり出ました。
――反省点はどういったところでしょうか
入学から差されてからの対応というのを改善点でずっとやってきて、春の新人戦も差しからで負けて、期間を置いて秋でどれくらい変わっているかということだったのですが、改善している部分もあればまだまだ足りていない部分もあるので次につながる内容ではあったのかなと思います。
――次の天皇杯全日本選手権に向けて一言お願いします
新人戦は第1シードということもあって比較的受ける立場で試合をしたのですが、天皇杯は思い切ってどんどんレベルの高い人とやれるので思い切って試合したいと思います。