【特集】スキー部1年生対談 第3回 クロスカントリー部門 岩佐奏葉×神幸太朗

スキー

 1年生対談の最終回はクロスカントリー部門。岩佐奏葉(スポ1=北海道留萌)と神幸太朗(スポ1=北海道留萌)。北海道留萌高校出身で高校時代から一緒に練習されてきたお2人にお話を伺った。

※この取材は8月19日に行われたものです。

「切磋琢磨できる環境がある」(岩佐)

――お互いに紹介をお願いします

岩佐 (神さんは)北海道の真狩村という南の方の出身で、結構小さい時からクロカンをやっていて、私が知ってる中学生ぐらいの時はもうかなり速いなというイメージがありました。高校も一緒だったんですけど、すごく真面目で練習はいつもすごくしっかりやっているし、仕事もするし。できる男だなって感じです。

 岩佐さんは札幌出身で、同じ(北海道)留萌高校で3年間一緒に練習した仲です。バイアスロンという競技もやっていて、バイアスロンの方でも世界大会に行ったり、合宿に行ったりしていて、世界でもすごい活躍している選手だと思います。

――お互いに初めて会ったのは高校入学ころくらいですか

 はい。

――その時の印象と今違うところはありますか

 最初に会ったのが学校ではなくて、スキー部で別で設けてもらった場所で会いました。そんなに鮮明には覚えてないですけど、積極的に話しかけてくれてるのに自分はうまく話せなかったイメージがありました。でも今はもう3年間一緒にいて大学も一緒なので、1番普通に話せる関係かなと思います。

岩佐 最初はすごい真面目だなというイメージがあったんですけど、話していると意外とユーモア溢れるという印象が今はあります。

――入学する前から元々知っている先輩の方はいらっしゃいましたか

 同じランナー(クロスカントリー)部門の小池駿介(スポ2=北海道・富良野)さんです。駿介さんは同じ北海道出身で、高校の時も月に1回くらいは一緒に練習させてもらった先輩です。

岩佐 私は4年生のランナー部門の佐々木美紗(スポ4=北海道・富良野)さんです。同じバイアスロンをやっていて、大学に入る前から一緒に大会などでも競わせてもらっているお世話になっている先輩です。

――スキー以外の特技はありますか

 絵を描くことです。教室に通っていたとかではないんですけど、趣味で油絵のセットを買ってもらって油絵を描いたり、水彩画を描いたりしてます。

岩佐 スキーをする前に水泳を結構やっていたので、水泳は得意かなと思います。

――今はどのような練習をされていますか

 クロスカントリースキー専用の道具、ローラースキーというものがあるんですけど、コンクリートとか道路の上で練習することができて、冬に近い感覚でスキーにのることができる練習をしたり、ランニングやウエートなどをメインにやっています。

――その際に意識されていることはありますか

 フォーム作りというのが1番大切だと思っていて、世界でも海外の選手と同じように戦うためには効率のいいフォームを身につけることが大切だと思うので、それは1番意識してやっています。

――岩佐さんは今どのような練習をされていますか

岩佐 ほとんど一緒でローラースキーとウエートトレーニングだったり、あとはボールを持ったランニング系だったり、ウォーキング系。私はバイアスロンをやっているので、それに加えて射撃のトレーニングも一緒にしています。

――その際に意識されていることはありますか

岩佐 今は大会期間なのでスピード練習が多いんですけど、今ランナー部門は女子の人数が多くて切磋琢磨できる環境があるので、常に周りを意識しながらスピード練習をして、自分の状態を維持できるように練習をしています。

――スキーを始めたきっかけを教えてください

 小学生の時に始めたんですけど、夏は野球をやっていました。野球は冬になると活動はしないので冬にできるスポーツがあればいいなと考えていて、地元の小学校にあったクロスカントリースキーを始めました。夏は野球をして、冬はクロスカントリースキーをするというのがきっかけです。野球は小学生までで終わったので、そこからずっとクロスカントリースキー1本でやっています。

岩佐 クロスカントリーをやる前にアルペンスキーをやっていました。北海道のタレント・アスリート発掘という事業があって、バイアスロンがその事業の中にありました。今まで自分もスキーをやっていたので、そこに興味があってバイアスロンで応募して受けたら合格して、そこからバイアスロンを始めたというかたちでクロスカントリーも始めました。アルペンスキー自体は年中くらいから始めました。

――競技面における強みは何ですか

 ピークを合わせた大会では勝ち切ることができる、勝負強いところが1番の長所かなと思います。

――これまで1番勝負強さが発揮されたなという場面はどんな場面ですか

 高校3年生の12月にあった全日本の大会です。その大会は世界大会の選考会でもありました。 12月だとシーズンの最初の方で、例年であればシーズンの中盤に合わせて調整していましたが、それを前倒しして、12月に自分の全てを出し切れるような調整をコーチと一緒にして、その大会で世界大会の出場権をつかめたことです。1番良かった、自分の長所が出たところかなと思います。

――元々メンタル面や調子を合わせる能力は高い方ですか

 全部の大会にフォーカスするのは難しいので、自分のメンタルも合わせられるところにいくつかピークを合わせてやっているかたちが自然になっている感じかなと思います。

――岩佐さんはご自身の強みはどんなところだと思いますか

岩佐 私はスプリントが得意です。シーズンの中でもスプリントの大会はなかなか少ないですが、その中でもスプリントの大会はいい結果を常に残せているかなと思います。

――スプリントが得意な要因はありますか

岩佐 私は身長があるので、体を大きく使いながら長距離ではそのピッチを維持することができないんですけど、スプリントではピッチを意識して、プラス大きい走りにしてという感じで、身長を生かした走りができているのがいいかなと思います。

「何かを与えられるような人間性を身につけたい」(神)

――ここまでのスキー部での生活を振り返っていかがですか

 1年生なので寮の仕事があるんですけど、その仕事も1年生みんなで協力しながらできているので、そういう仕事とかも含めて楽しい大学生活ができているかなと思います。

――練習の質的にはいかがですか

 前期はあまりうまくトレーニングできなくて軽い故障もあり、継続的な練習がうまくできなかったので、その点では高校の方がしっかりと毎日練習できていたのかなと思うんですけど、これからもう1回1からやっていきたいと思います。

――授業や課題との両立ではいかがですか

 課題の量はそんなに多くないのでできるんですけど、やっぱり高校とはリズムが違うというか、大学では授業も不規則に入っているので、空いている時間に練習するっていうのはちょっとまだ慣れてないかなという感じです。

――岩佐さんはここまで振り返っていかがですか

岩佐 1年生の仕事も結構あって忙しかったり、授業がたくさん入っていたりしていますが、その面でどっちも充実した生活ができています。練習も大学生は時間があるので、すごく自分のペースでできているのが今はすごくいいなと感じています。時間があるので遊びも入れつつ、リフレッシュしながら楽しい大学生活を送れているかなと思います。

――高校と大学の生活スタイルはどちらの方が好きですか

岩佐 大学の生活の方が好きです。

――岩佐さんは自由時間が多い方が得意ですか

岩佐 そうですね。自分で時間を作って自分のペースでやる方が好きです。

――早大を選んだ理由を教えてください

 今たくさん大学が日本にある中で早稲田にはスキーを専門に研究している藤田善也監督(平19スポ卒=北海道・旭川大高校)もいらっしゃって、それが1番大きかったかなと思います。

岩佐 女子の入れるスキー部の大学は少ないんですけど、その中でも早稲田大学はバイアスロンをやっている先輩もいて、クロスカントリーも強くて走力もバイアスロンも成長できる環境があったので、スキーをする面ですごくいいなと判断し入学しました。

――入学前に想像していたこととのギャップはありましたか

 想像通りでした。電車で映画を見に行けたり買い物に行けたりするので、北海道にいた時と比べると周りにたくさんあるなという感じでした。

岩佐 私はもっと練習がしにくい環境なのかなと思っていました。やっぱり関東なので、走ったりローラー(スキー)ができる環境がないかなと思ってたんですけど、狭山湖でロングのランニングができるし、校内でローラーもできるし来てみたらすごく練習しやすい環境だなと思いました。

――尊敬する方や目標にしている方はいらっしゃいますか

 プロ野球のイチローさんと大谷(翔平)選手が目標としている選手です。イチローさんはインタビューやテレビ番組での言葉がすごく自分に刺さって、そういう言葉とプレーで人に感動とか、何かを与えられるような人間性を身につけたいなと思います。大谷選手は野球というスポーツをすごく楽しんでいるように見えて、そういう楽しさ、真剣にやるところもあれば、その競技自体を楽しんでいるというのが、自分はそのような選手になりたいと思っていて、憧れの選手です。

――普段から野球を結構見られるんですか

 そうですね。小池さんが野球ファンで球場まで連れて行ってもらったり、甲子園を見たりしています。

――岩佐さんはいかがですか

岩佐 とくに1人っていう人はいないんですけど、自分の中でスキーだけじゃなくて普通に社会の中でも尊敬されるような人間性を持った選手になりたいなと思っています。スキーだけやっていても社会ではやっていけないところがあると思うので、スポーツだけじゃなくて、人間としても成長できる大学生活を送りたいですし、人間形成も含めて大学で学んでいきたいなと思っています。

――逆にライバルだと思っている選手はいらっしゃいますか

 東洋大学の自分と同じ1年生の選手がいて、池田遼一さんと方なんですけど、自分と同じナショナルチームに入っていて、ジュニアのナショナルチームで一緒に合宿したり、大会に出たりしているので、1番のライバルかなと思います。

――ずっと競い合ってこられたんですか

 そうですね、中学校の時は負けてます。ずっと負けていて、高校に入ってやっと勝ったり負けたりという感じでした。

――岩佐さんはいかがですか

岩佐 先輩なんですけど、4年生の佐々木美紗さんです。ジュニア世代の女子でバイアスロンをやっているのが私と美紗さんぐらいで、シニアの選手と戦うことも多いんですけど、その中でもやっぱり近い存在ですし、選考会などでも1番のライバルになってくるので、大会の場面などでは常に意識して参加してます。

――今シーズンの目標をお願いします

 今シーズンは、世界ジュニア選手権で15番以内が目標です。

岩佐 クロスカントリースキーではインカレ入賞が目標で、バイアスロンでは世界ジュニア30番以内を目標にしています。

――4年間を通しての目標をお願いします

 大学3年生の冬にあるオリンピックに出場することが1番の目標です。

岩佐 私も大学3年生のミラノオリンピックを目標に練習しています。それまでにW杯や世界選手権に出場して、自分のポイントや日本の出場枠を広げて、自分でも出場しやすい環境を作って、大学3年生の選考会でその枠を勝ち取りたいなと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 堀内まさみ)

◆岩佐奏葉(いわさ・かなは)

北海道留萌高出身。スポーツ科学部1年。2021年度全日本選手権優勝。ハマっていることは韓国ドラマ鑑賞。最近見ておもしろかった韓ドラは「女神降臨」。クロスカントリースキーとライフル射撃が組み合わされたバイアスロンを専門としている岩佐選手。そのダイナミックな滑りと射撃技術に注目です!

◆神幸太朗(じん・こうたろう)

北海道留萌高出身。スポーツ科学部1年。2022年度全日本ジュニア選手権クラシカル優勝。ハマっていることはライブに行くこと。最近はSaucy Dogのライブに行ったそうです!好きなアーティストは、フェスで聞いて好きになったVaundy。勝負強い神選手の今シーズンの活躍に期待です!