女王奪還だ。3日目を迎えた全日本学生選手権(インカレ)では、アルペンの男女で回転種目が行われた。男子は1年生の石島裕一郎(スポ1=北海道・札幌第一)が3位入賞を果たし、不振にあえぐアルペン部門の救いとなった。一方、女子は松本なのは(スポ3=北海道・札幌第一)の3位を筆頭に、石島瑶子(スポ4=群馬・尾瀬)、小南綾(スポ1=北海道・双葉)の3人が入賞に食い込んだ。これで女子は総合優勝も確定。2年ぶりに女王の座へと返り咲いた。
★ルーキーが躍進、 3位入賞
見事3位入賞を果たした石島裕。来年以降の活躍にも期待がかかる
大会3日目、アルペンでは回転が行われた。先んずる男子では、インカレ初出場となる石島裕一郎(スポ1=北海道・札幌第一)が見事3位に入賞した。
同じコースを2本滑走し、それらの合計タイムで順位を決めるスピード勝負。また、旗門の数が多いため、細かなカーブに対応する技術も必要となる。早大からは6名が出場するも、1本目で半数がフィニッシュできず。残る3人に活躍が託された。
そこで名乗りを上げたのはルーキーの石島裕だ。1本目を落ち着いてこなし7位につけると、2本目も好走を見せ3位に浮上。堂々たる入賞を果たし、チームと喜びを分かち合った。「どこまで行けるのかというのを楽しみに、挑戦していきたい」と今後の成長を見通した。
一方、押切凌(スポ4=北海道・札幌第一)は、納得のいかない17位で最後のインカレを終えた。悔しさを噛み締めるも、「これが今の実力かな」と受け止める。今年度アルペン部門チーフとして、チームの支柱となっていた押切。その頼もしい姿を追ってきた後輩たちが、スキー部をより強くしていくであろう。
(記事 大滝佐和、写真 山田流之介)
★3人が入賞し総合優勝を確定させる(女子部)
出場2種目で確実にポイントを稼いだ松本なのは
続いて女子アルペンでも回転種目が行われた。「今までにないまっすぐなセットだった」(石島瑶)1本目は、今年のインカレのスーパー大回転で優勝を達成した西村紗英(社4=長野・白馬)がラップタイムをマークする。さらに松本なが3位、石島瑶が7位につけるなど早大勢が上位を占める展開となった。しかし2本目、30番目のスタートとなった西村はコースの前半でDNF(DID NOT FINISH、途中棄権)となってしまう。それでも石島瑶と松本なが確実に入賞圏内でゴールし、早大に貴重なポイントをもたらした。さらにルーキーの小南も躍動。「頭がごちゃごちゃになっていた」と語る1本目では16位と振るわなかったものの、2本目で巻き返し10位に滑り込んだ。これで女子は総合優勝が確定。クロスカントリーのリレーを残し、2年ぶりの快挙を達成した。
これにてアルペンは全種目が終了。チームを離れる4年生たちが胴上げされた
試合後は応援部主導で『紺碧の空』の合唱が行われた。アルペンの4年生はこれで全日程が終了。競技を続ける者、この日のレースを最後に競技生活を引退する者、けがなどによって出場はなくても、サポートに回りチームを最後まで支え続けた者。四年間、早大スキー部として共に切磋琢磨してきた仲間たちが、これからはそれぞれ別の道へ進むこととなる。「あっという間」(押切)「もう1回インカレ出たいな」(石島瑶)。結果はどうであれ、四年生の表情は清々しかった。そしてバトンは託される。「来年は自分が頑張らないといけないな」(松本な)。頑張って――。先輩たちの思いを受け取り、新しいチームをつくっていく。
(記事、写真 山田流之介)
▽男子総合点
1位 日大 91点
2位 東海大 71点
3位 明大 46点
3位 中大 46点
7位 早大 18点
▽アルペン男子回転
3位 石島裕一郎(スポ1=北海道・札幌第一)1分31秒46
16位 中平賢郷(スポ4=青森・東奥義塾)1分33秒56
17位 押切凌(スポ4=北海道・札幌第一)1分33秒75
DNF 中川慎(スポ3=北海道・札幌第一)
DNF 今颯人(スポ2=北海道・旭川明成)
DNF 佐藤進太郎(スポ1=新潟・関根学園)
▽女子総合点
1位 早大 94点
2位 日大 66点
3位 東海大 57点
4位 日体大 28.5点
▽アルペン女子回転
3位 松本なのは(スポ3=北海道・札幌第一)1分31秒63
5位 石島瑶子(スポ4=群馬・尾瀬)1分31秒81
10位 小南綾(スポ1=北海道・双葉)1分34秒89
DNF 西村紗英(社4=長野・白馬)
DNF 大越沙耶(スポ2=東海大札幌)
コメント
押切凌(スポ4=北海道・札幌第一)
――レースを終えての感想は
はっきり悔しいですね。悔しいんですけど、ミスもあったりとかしたんですけど、後悔はしないレースができたので、これが今の実力かなという感じです。
――1本目が26位と、入賞を意気込んでいた回転でつまづいた感じがありましたが
コースのスタートもそんなに早くなかったので、コースが荒れているのも分かっていたし。それで出だしでリズムがちょっと合わなくて、ミスもして、そこから急斜面に入って一回内足に乗ってミスもしたんですけど、なんとかゴールしなきゃいけないなと。守っていたわけじゃないけど、気持ち的にちょっと攻めることができなくて、あの順位になったと思います。
――2本目に臨むとき、どのように気持ちを切り替えましたか
1本目はゴールしないと2本目がないので。守るわけじゃないですけど、2本目に賭けるっていう気持ちを出す部分も1本目はあって。2本目は守っても次があるわけじゃないので、いくしかないっていう気持ちを持ってスタートしました。
――大回転のときと比べて、雪質はいかがでしたか
1本目は表面だけが硬くて、何人か滑ったらすぐ割れてボロボロになっちゃうという感じで。掘れるにしてもきれいに掘れるわけじゃなかったので、スキーがずれていったりとか、そういう部分はGS(大回転)よりちょっと滑りづらかったかなというのはありました。
――30番目というスタート順は影響しましたか
1本目の順位は、スタート順(の影響)もあったと思います。1番スタートが1番で、2番が2番で。
――アルペンで入賞者が出ない状況の中で、アルペンチーフとしてチームに働きかけたことはありましたか。
インカレの中では個人個人やることが違うので、それは個人に任せていたんですけど、例えばインカレの前に合宿をやったりとか、そういう部分でみんながやりやすい環境で練習ができたっていうのはとても良かったと思っています。でもそれが結果に結びつくかつかないかっていうのは実力だけじゃなく運もあると思うので。今日は1人、1年生(石島)ですけど頑張ったので、自分は悔しいですけど、チーフとしてはうれしい部分もありました。
――最後のインカレを終えて、早稲田で過ごした4年間を振り返ると
みんな、あっという間って口を揃えて言うと思うんですけど、あんまり1年生のことを思い出せないくらい、上級生になるにつれて内容が濃くなっていったかなという感じがしています。
石島裕一郎(スポ1=北海道・札幌第一)
――きょうのレースでよかった点は
アルペンでポイントを取ることができたことですかね。今日までゼロ点だったので。1本目、自分のスタート前に2人途中棄権っていうのが無線とかで聞こえてきていて。『ゴールしないとだな』って思って。ゴールしなくてはいけないのだけど、入賞もしなくてはならないと思って、『いくしかない』って思っていきました。
――逆に反省点などはありますか
(ベストだったと石島瑶、松本なに言われ)まあ、落ち着いて滑れたと思います。
――初めてのインカレだったとは思うのですが、雰囲気などはいかがですか
他のレースと違って独特なので、めちゃくちゃスタートとかは緊張しました。
――まだシーズンは続くとは思うのですが、これからの目標などはありますか
この後予定では(ファーイーストカップの)ジャパンシリーズに出るので、今調子はいいと思うので、どこまで行けるのかというのを楽しみに、挑戦していきたいなと思います。
石島瑶子(スポ4=群馬・尾瀬)
――きょうの試合を振り返って、良かった点はありますか
ゴールして最低限の役割、ポイントを取れたことはまあよかったとは思うのですが、内容結果共にあまりいいものではなかったですね。そこに関してはすごく反省しています。
――内容が良くなかったというのは、具体的に言うと
滑りです。1本目は今までにないまっすぐなセットでした。そのまっすぐなセットに対して、攻めていけなかったので、結果1本目は7番目のタイムで。2本目も途中で失敗してそこからただゴールに滑り降りるだけになってしまったなっていう感じですね。
――きょうの雪の状態は大回転の時よりも良かったように思えるのですが、いかがでしたか
そうですね。大回転の時よりは良かったのですが、決して良くはない。すぐに壊れてしまう雪で。スタート順も大きく左右するような状況でした
――最後のインカレも終わりました。4年間のインカレを振り返ってみていかがですか
やっぱり楽しかったですね。 この時期には他にも重要なレースがあって大変で。インカレの楽しさをわかっていなかった時はありましたが、今となってはインカレ楽しいなって。もう1回インカレ出たいなって思うくらい楽しいレースでしたね。
松本なのは(スポ3=北海道・札幌第一)
――きょうの試合を振り返って、良かった点と悪かった点はありますか
GS(大回転)は1本で終わったので、自分の思うような滑りというか、完全燃焼できなかったところもあったので、(回転では)本当は攻めて勝ちたかったのですが、それができなかったのは反省点ではあるかなって思います。滑りの内容もあまりよくなかったです。が、しかし、今までは結構完走できないことがあったのですが、GSもSL(回転)も両方完走して、大学に貢献できたのは成長できた部分だとは思います。
――試合終了後、4年生を胴上げしていた時には涙も浮かべていらっしゃいましたが、チームを去る4年生たちをみて何か思うところはありましたか
さやのさん(須永、スポ4=北海道・札幌第一)は高校からずっとお世話になっていて。さやのさんはもともと結構速かったのですが、けがとかいろいろあって今回のインカレ、技術系は出れなくて。でもサポートを率先してやってくれて、「頑張って」って言ってくれて。高校からお世話になっていて、最初は自分が追いかけていた先輩が、そういう苦しいなかでもサポートしてくれたので…。瑶子さん(石島)とかはずっと一緒にいたのですが、瑶子さんの中ではきょうの成績とかあんまり良くなかったとは思うのですが、それでも毎年安定して入賞してくれて心強かったので、来年は自分が頑張らないといけないなって思っています。
――今後の目標などはありますか
今結構技術的にもレベルが上がってきていると思うので、来年いけるとこまでいって、最後はかっこいい感じで。勝って、日本のトップぐらいで引退したいと思います。
小南綾(スポ1=北海道・双葉)
――きょうの試合を振り返って、良かった点と悪かった点はありますか
良かった点は…。2本とも攻めることができた点ですかね。反省点は、1本目ちょっと熱くなりすぎて、頭がごちゃごちゃになっていたところがダメだったなって思います。
――初めてのインカレだとは思いますが、雰囲気などはいかがでしたか
独特でした。