大きな盛り上がりを見せたスポーツの祭典から1ヶ月。第22回冬季オリンピック競技大会(ソチ五輪)に出場を果たした宮沢大志(新潟・十日町=スポ4)、渡部善斗(長野・白馬=スポ4)に大会の振り返りと、今後の意気込みを語っていただいた。
※この取材は3月26日に行われたものです。
実感した世界のカベ
世界一を目指し飛躍する渡部
――初めての五輪出場を振り返っていかがですか
渡部 ずっと緊張していたので、あまり覚えていないです(笑)。結果が求められていたので、不安は不安でしたし、楽しいといえば楽しかったです。緊張しているなあと思いながらやっていたので、緊張を解消しようとはしていなかったです。
宮沢 苦しかったです。ただその一言だけです。
――結果を受けて感想をお願いします
渡部 実力不足はなんとなく感じました。夏からやってきた部分ができなかったというのは、今シーズンの反省でもあるので、それは今後に生かしていこうと思います。
宮沢 結果に関しては底辺の底辺まで悪い結果を出してしまいました。歴史に残る成績を残してしまったので、今度は逆に良い方の歴史に残る成績を出せるように、根本的に変えていかないといけないと思います。自分の練習環境であったり、いまの全日本のチームの体制であったり、すべてを変えていかないと上り詰めていけないと思うので、本当に根本的な部分をゼロからもう一度作り直していきたいと思います。
――ソチ五輪での収穫を教えてください
宮沢 (オリンピックの舞台に)立ってみてわかったことは、W杯や普段の世界大会とはまた違った雰囲気があるということです。それを今回感じ取れたということは、次の平昌(オリンピック)に向けて良い経験になったかなと感じています。
渡部 4年間で1試合という、ピンポイントで結果を残すというのは簡単なことではないと思います。そこで結果を出すためには、通年を通して絶対的な実力がないと難しいかなと思います。運の部分が大きい競技なのですが、その部分を抜きにした部分の実力がもう少しないと勝負ができないかなという感じはしました。4年間は長いので、やれることをやろうと思います。
――五輪のどのような点が、他の世界大会と違いましたか
宮沢 選手個人個人で感じる部分は違うと思いますが、何とも言えない緊張感がありました。やっぱり各メディアからの注目度も違う中で、結果を残さなければいけないというプレッシャーが、オリンピックという大会自体の緊張感になっていて、それを味わうのと味わわないのでは全然違うと思うので、これを次につなげていきたいと思います。
――ソチ五輪で一番印象的だったことは
渡部 難しいですね…全部印象的でしたから(笑)。
宮沢 基本的に行動から何から、面倒くさいというか忙しいというか。セキュリティも今回厳しかったですし、メディア対応も普段のW杯に比べると数が圧倒的に違いました。
渡部 お祭りみたいでした。
宮沢 セキュリティが整ったお祭りみたいな感じです。
渡部 やたら厳しいお祭りって感じ(笑)。
――早大スキー部からお二人が出場されたということで、お互い刺激し合う部分はありましたか
渡部 同じスキー部から一緒に出るので、頑張ろうとは思いました。
宮沢 力でいえばコンバインド部門の方が優秀な成績を収めていますが、同期ですし、やっぱり負けたくないという気持ちはありました。でも本当に善斗の存在があったから、うちの同期は成り立っていたと思いますし、うちの同期は比較的成績がある方で、一人一人が高い志を持っていたので、最高に楽しかったです。本気で取り組んだからこそ楽しかったと思います。
――五輪期間中に早大スキー部の方と連絡を取られることはありましたか
渡部 インカレ期間中だったので、毎日結果はチェックしていました。お互いに試合中だったので特に声を掛け合ったりはしませんでしたが、結果を見ながら刺激し合っていたかなとは思います。
旅立ちのときを迎えて
世界を相手にリベンジを期す宮沢
――早大スキー部での4年間を振り返っていかがですか
渡部 楽しかったです。散々楽しかったです(笑)。
宮沢 ひたすら楽しかった(笑)。
渡部 良いメンバーに本当に恵まれました。
――ことしのチームはどのようなチームだったと思いますか
渡部 あんまり見ていないからなあ(笑)。
宮沢 それはある(笑)。
渡部 元気は良かったです。ちょっとブレーキが必要かなと思うぐらい元気でした。またらいねんは違う色を出してくれると思います。
宮沢 楽しいチームではあると思うのですが、楽しいだけでは終わらないでほしいです。とにかくスキーに集中していてチームがそれていくということはないと思うので、生活面というより練習面で、もう一つ質の高いチームを目指してほしいです。脇道にそれた人がチーム内にいた場合に、どういうふうにまとめていくかというのは、みんなで頑張ってそれぞれの色で作ってもらいたいですね。
――今後どのような練習を積んでいく予定ですか
渡部 シーズンが終わって、これから考えていこうかなという感じです。まだ終わってすぐでよくわからない感じなので、整理して落ち着いた頃にまた見えてくるかなと思います。しばらくはゆっくりしています。
宮沢 いままでは大学でコーチもつかないような状態でやってきました。今度は自分自身でお金を集めてやるので、テクニカルな面というか、万全な体制で、特にコーチに関しては海外のコーチの力を借りて、どれだけ新しいテクニックを身につけてシーズンに臨めるかやっていきたいと思っています。まずは自分の周りの環境づくりですね。
――後輩へのメッセージをお願いします
渡部 しっかりやれ!(笑)。
宮沢 迷わずいけ!いけばわかるさ。
渡部 ありがとう!(笑)。
――今後の目標をお願いします
渡部 世界一。今後というか、ずっと変わらないですね。
宮沢 僕もやるからには世界一を目指してやっていきたいと思います。
――ありがとうございました!
(取材・編集 副島美沙子、辻玲乃)
4年間を表す言葉を書いていただきました
◆宮沢大志(みやざわ・ひろゆき)(※写真右)
1991(平成3)年10月12日生まれ。クロスカントリー競技。新潟・十日町高出身。スポーツ科学部4年。ソチ五輪男子4×10キロリレー16位、男子団体スプリント13位(準決勝敗退)。地元初の五輪選手となった宮沢選手。自身の名前の一文字である『志』を4年間を象徴する漢字として挙げてくださいました。
◆渡部善斗(わたべ・よしと)(※写真左)
1991(平3)年10月4日生まれ。ノルディック複合競技。長野・白馬高出身。スポーツ科学部4年。ソチ五輪個人ノーマルヒル15位、個人ラージヒル35位、団体5位。「楽(らく)ではなくて、『楽しい』です(笑)。」と笑顔で色紙を書いてくださいました。