全日本学生個人選手権。基準記録を上回っている選手のうち上位10選手のみが参加できる、レベルの高い大会だ。早大からは1・2年生を中心に10人がこの大会に出場し、4人が優勝、2人が2位という結果になった。その他の選手もしっかりと記録を残し、今後に向けて大きな意味合いを持つ一戦となった。
知念勇樹はふらつきがみられるなど、本調子発揮とはならなかった
男子はエースともいえる木村勇喜(スポ2=兵庫・明石南)、知念勇樹(スポ2=大阪・関西第一)の二人が入賞。男子62㎏級に出場した木村は、疲れ故かやや抑えた重量設定で臨んだ。前半となるスナッチは初回以外失敗であったが、苦手意識のあるC&Jを全て成功で終え、2位で表彰台に上った。結果は247㎏で全日本ジュニア選手権から3㎏減。全日本ジュニア選手権では世界ジュニア選手権の出場がかかっていたこともあり、「気持ちの入り方が違った」とメンタルの課題を挙げながら次戦を見据えた。男子69㎏の知念勇樹はトータル262㎏で優勝。スナッチでは1㎏差で2位となるも、C&J1本目で150㎏挙上を成功させ優勝への距離をぎゅっと縮める。重量増加で優勝をより確実なものにしたい知念勇樹だったが、2、3本目を失敗。圧勝とは言い難い終わり方となった。
大会新記録に挑む戸田
女子は流石というほかない結果であった。これまでも早大ウエイトリフティング部を勝利に導いてきたエースたちが表彰台へ上った。48㎏級に出場した鈴木梨羅は2位となってしまったが、安嶋千晶(53㎏級:スポ4=茨城・大子清流)、戸田妃乃子(69㎏級:スポ2=福岡・九州国際大附)、柏木麻季(75㎏級:スポ4=京都・鳥羽)は金メダルを誇らしげに輝かせた。もっとも鈴木は、今回スナッチ・C&J・トータルの全てで大会新記録を更新した4年生の選手を相手にトータル12㎏差という大健闘。来年は鈴木が優勝をつかみ取るだろう。「(実力の伸びを)ひしひしと感じていた」という安嶋は、全日本学生選抜選手権で更新したスナッチの自己新記録を更に超えてみせた。安嶋同様、調子の良さを感じていたという柏木は優勝、尚且つ全試技成功という結果。成功を重ねてリズムを作っていくと、スナッチ3本目は94㎏を挙上し、スナッチの大会新記録を更新した。流れにのりC&Jでも大会新記録に挑戦。C&J2本目、111㎏の重量設定で記録を塗り替えると、3本目では114㎏挙上を成功させてより重い大会新記録を打ち立てた。トータルは208㎏。トータルにおいても大会新記録を更新した。
この試合を、この入賞をどう振り返るか。それは選手によって変わってくるが、全体として良い調子に乗れていると言える。次に控える試合は全日本選手権、そして東日本大学対抗選手権と、いよいよシーズンが本格的に動き出す。彼らならば、この勢いに乗って激動のシーズンを駆け抜けてくれるだろう。
(記事、写真 伊東穂高)
結果
▽男子
62㎏級
木村勇喜 スナッチ110㎏(3位) C&J137㎏(2位) トータル247㎏(2位)
69㎏級
知念勇樹 スナッチ113㎏(2位) C&J150㎏(1位) トータル263㎏(1位)
生頼啓暉 スナッチ104㎏(8位) C&J136㎏(6位) トータル240㎏(8位)
77㎏級
田中裕也 スナッチ116㎏(8位) C&J145㎏(9位) トータル261㎏(8位)
94㎏級
岡村幸尚 スナッチ120㎏(9位) C&J152㎏(10位) トータル272㎏(11位)
▽女子
48㎏級
鈴木梨羅 スナッチ68㎏(2位) C&J95㎏(2位) トータル163㎏(2位)
53㎏級
安嶋千晶 スナッチ75㎏(1位) C&J91㎏(2位) トータル166㎏(1位)
58㎏級
本澤瑞紀 スナッチ68㎏(7位) C&J83㎏(8位) トータル151㎏(8位)
69㎏級
戸田妃乃子 スナッチ86㎏(1位) C&J108㎏(1位) トータル194㎏(1位)
75㎏級
柏木麻季 スナッチ94㎏(1位) C&J114㎏(1位) トータル208㎏(1位)
コメント
木村勇喜(スポ2=兵庫・明石南)
――今回の試合を振り返って感想を教えてください
得意なスナッチを2本落として、まあでも苦手なジャークを3本成功させることができて…まあまあです(笑)。
――前回の試合に比べ扱う重量が控えめでしたが、何故でしょうか
移動距離が長くて、新幹線で疲れました!!(笑)。あ、あと気持ちです!(全日本ジュニアのときは)世界ジュニアがかかってたので。今回特に先がかかってなかったので気持ちの入り方が違った、それが原因です。
――世界ジュニア選手権へ向けて、目標を教えてください
去年も経験して、他の国のレベルはわかっているので。今の自分では勝つことは難しいので、自分の自己ベストを更新できるように、トータルで255kgをとれる試合にしたいです。
――C&J3本目は苦しい挙上でしたが、その原因は何ですか
あ!失敗した!!って思って。肘が決まらなくて、失敗したな~と思いながらおさえてたら成功したので「よっしゃあラッキ~」と思いました。あれ絶対失敗だと思いました…(笑)。まあ普段からそういうのも多いので、肘がしっかり決まるような練習をしていきたいと思います。
安嶋千晶(スポ4=茨城・大子清流)
――この試合を振り返ってみて、感想等はいかがですか
スナッチとジャークで全く感情が違って、スナッチは本当に嬉しかったんです2kg新(記録)して。得意なのはジャークなのにまた今回もこけてしまったから…悔しいです。…ダメですね。
――今回のコンディションはいかがでしたか
結構良くて。スナッチ、ジャーク共に良かったんですよ。今回はいけるなと思って。前回も喜んでたじゃないですか。試合1㎏新だったから喜んでて。そしたらジャークを落としてしまったから今回はあまり喜ばずにジャークも行こうと思ってたんですよ。だから前みたいに「フゥ~↑」とかならずに、あんまり喜ばずにジャークをやってたんですけど内心めちゃくちゃ喜んでて。正直ジャークあまり集中できてなくて、軽いのに「どうすんだっけこれ」みたいになってて。集中力が続かなかったです。
――この大会の前から、自分でも実力の伸びはいましたか
そうですね…。割とジワジワと感じてはいました。
――この試合で、何に重点を置いていましたか
スナッチが苦手だから、一本目をとったらすごく気が楽になるので一本目しっかりとることを考えていました。
――――全日本選手権へ向けて、意気込みをお願いします
今回の反省をいかして、体力をつけること。スナッチ終わってもジャークでもしっかり動ける体力をつけることと、集中力つけることをあと1ヶ月しっかりとやって全日本では6本全部取りたいです。世界大学選手権の予選なのでそれに行けるように頑張ります。
柏木麻季(スポ4=京都・鳥羽)
――非常に良い結果となりましたが、感想はいかがですか
大会新記録はちゃんとやってついてくればいいかなと思っていたので、それよりも自己新記録をとったりとか、優勝できたことの方が嬉しかったですね。それで大会新記録がおまけでついてきたという感じなので、そのくらいの気持ちだったんですけど。自分ではそれ以上に自己新記録を目指していたので、それを達成できたほうが嬉しかったです。
――大会新記録を更新されましたが、調子はいかがでしたか
前から結構調子は良くて。だから大会新記録も狙っていこうという気持ちで臨みました。
――この試合へ向けて、どのような練習に取り組まれていましたか
サポーターをいっつもつけているんですけど、脚がそんなに強くないんですけど、そのサポーターを外して試合を見越した重量で練習をしたりとか、試合につながるような補強練習とかを出来るだけサポーターに頼らずにやって。地力を高めていけるように練習しました
――全日本選手権へ向けて、意気込みをお願いします
怪我もないので。この調子で記録もどんどん上がっていければいいかなと思います。全日本選手権につながるような試合が、今回できたんじゃないかなと思います。