『打倒四強』を掲げ、この1年間戦い続けた女子部。全日本学生選手権(インカレ)では立命大に敗れ『四強』を崩すことが出来なかった。インカレでの反省を踏まえ、入念な準備を重ねた早大。今季最後となる『四強』への挑戦に、全てをぶつけるためだ。相手は関東で圧倒的な力を誇る王者・山梨学院大。関東学生秋季リーグ3試合を終えて、得点62失点0。この驚異的な数字が強さを物語っている。試合は相手に主導権を握られ苦しい展開に。早大はDF陣が踏ん張り、幾多のピンチをしのいだが、結果は0―5。王者相手に力及ばず『打倒四強』の夢はかなわなかった。
試合序盤からボールを支配される苦しい立ち上がり。再三ピンチを迎えたが、FB片柳陽加主将(スポ4=栃木・今市)らDF陣が相手に食らいつき、決定機を与えない。しかし前半9分、素早いドリブルでの突破を許し先制点を献上。攻撃の手を緩めない山梨学院大に、PC(ペナルティーコーナー)から追加点を狙われたが、GK南有紗(スポ4=埼玉・飯能)の好セーブで窮地を脱した。形勢逆転を図った早大は、カウンターを仕掛けるが、パスが乱れ思うような攻撃が出来ない。さらにはPCからの失点が重なり0―3に。厳しい状況が続いたが、センターライン付近でインターセプトに成功。FW稲田くるみ(スポ4=佐賀・東明館)が敵陣へと駆け上がり、MF的場朱音(教2=滋賀・伊吹)が狙いを澄ましスティックを振り抜く。ボールは惜しくも枠を外れ得点には至らなかったが、選手たちには勝利への執念がみなぎっていた。
好守を連発した南
後半に入っても相手のペースで試合は進み、早大は自陣でのプレーを余儀なくされた。FB片倉優季(スポ2=山形・米沢商)、FB瀧澤璃菜副将(スポ3=岩手・沼宮内)らが、粘り強い守りを見せたが立て続けに得点を奪われ、次第に遠のく王者の背中。一矢報いたい早大は、MF南家未来(教1=京都・立命館)のインターセプトから反撃を試みるも、相手のディフェンスラインを突破出来ず、試合終了。選手たちは悔しさをにじませ、小雨降るグランドをあとにした。
山梨学院大を相手に堅守を見せた瀧澤
「1番悔しかった」(片柳)。打ち破れなかった『四強』の高きカベ。『打倒四強』の夢は後輩に託すこととなったが、この経験は必ずや糧となり、さらなる飛躍をもたらすことだろう。そして目前に控える秋季リーグ順位決定戦。相手は宿敵・駿河台大だ。「相性が悪いというか難しい相手」(南)と、今季2度の対戦があるが、どちらの試合も勝利を逃している。だが、4年生はこの試合が引退試合となり、有終の美を飾るためにも絶対に負けられない。3度目の正直で勝利をつかみ、今季を笑顔で締めくくってほしい。
(記事、成瀬允 写真、榎本透子、元田蒼)
関東学生秋季リーグ | ||||
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早大 | 0 | 0-3 0-2 |
5 | 山梨学院大 |
コメント
FB片柳陽加主将(スポ4=栃木・今市)
――試合を終えての率直な感想はいかがですか
悔しかったです。春の時は、秋があるインカレがあると思えていたんですけど、きょうは最後の最後で負けたらやり直しが出来ないということで、負けないようにという気持ちはいつもと変わらないんですけど、1番悔しかったです。
――きょうが今シーズンで4強を倒すラストチャンスになりました
『打倒4強』だったので、インカレで立命大と戦えて、その後にきょうの山梨学院大だったので、立命大との試合の反省を踏まえて戦えるかなとも考えていて、目標を達成出来るチャンスがあったので、勝つ気持ちはすごくあったんですけど、負けてしまいました。
――立命大戦の反省をどのように今試合でいかしましたか
まずDF面では、立命大戦でPCを多く取られてしまったので、サークルの前でしっかりと止め切ることと、マークを徹底的にやっていこうと意識してやっていて、FW面ではしっかりチャンスを作るということで、MFがしっかりとボールを散らして前につないで、マイボールでサークルに行ったときにPCで終わらせたり、シュートを決め切るということで、チャンスをいかし切るように意識しました。
――失点はありましたが、粘り強い守りが見られました
山梨学院大は他のリーグ戦で戦うチームよりも、日本代表の選手がいたりレベルが高いので、チャレンジャーの気持ちでしっかりとついて行くことから、基礎を大事にしようという気持ちが強くなったので、抜かれないようにということだったり、1対1でしっかりとチェックを出すということが頭に入っていたので、共通理解を持って守れたことが、粘りにつながったのかなと思います。
――きょうは選手間での声の掛け合いが目立ちました
相手のポジションチェンジが早かったので、マークが離れてしまうことがあったと思うんですけど、そういった時にしっかりと声かけが出来ていたことで、誰がどこに付くのかを把握出来たりだとか、周りに対する声かけが多かったので、マークのばらつきはあまり無かったので、全体的に動けていたのかなと思います。
――攻めに転じる場面も見られましたが、攻撃面はいかがでしたか
攻撃はもっとサークルに行きたいなというのがあって、PCを取れなかったのでPCを取って攻められたらなと思いました。
――次戦の駿河台大戦への意気込みをお願いします
春にも秋にも勝てていないので、3度目の正直ということで勝って3位で終われるように、きょうの反省を踏まえながら強気で勝つ気でやっていきます。
FB瀧澤璃菜副将(スポ3=岩手・沼宮内)
――インカレから一週間経っての試合でしたが、どのような気持ちで臨まれましたか
今回の相手が山梨学院大だとわかってはいたのですが、台風で延びてしまって、その度に「今日もか、今日もか」となっていて、きょうはやっと試合できるという気持ちでした。インカレでは、立命大に負けてしまったので、立命大戦で出た反省、基本に戻って、マークを徹底するだとか、パスを強く出すとか、そういうところを意識しました。
――結果は0ー5というスコアになりました防げたミスというか、特にPCでキーパーが抑えてくれたボールを、ディフェンスがクリアしきれなかったのがすごく悔しいです。そこで2点は抑えられたかなと思います。あとの3点は、相手のポジション取りがひとりひとりすごく上手だし、テクニックもあったので、1対1で抜かれることはなかったけれど、抑えきれなかったなというのがあります。
――攻め込まれた場面で、守りの粘り強さがあったように思えました
とにかく隙があったらシュートを打ってくるチームなので、粘り強くいくことしかできないなと思っているし、そこが強みかなと思っています。シュートを打たれそうになってもシュートコースに入る、ボールに触ろうとする、詰めにいく。怖いけど、やらなきゃいけないと思ってやっていました。
――瀧澤さんご自身では、ドリブルでの前進も見られました
いやー、全然です(笑)。実感はないですね。後半、インターセプトのような形で上がったんですが、早めにパスすれば自分も楽なのに、ドリブルでボールを持ちすぎてしまいました。周りの声は、「後ろいるから、こっち出せ」とか聞こえるんですが、誰に出したらいいのか、判断ができなかったです。
――それは、相手の守りのプレッシャーもあったのでしょうか
そうですね、相手のプレッシャーが強くて。気圧されました。
――あすの試合は、4年生のみなさんにとってラストゲームになります。4年生への思いをお聞きしたいです
個人的には、先輩たちにひとりひとり思うところがあります。きょうは、GKの先輩(GK南有紗、スポ4=埼玉・飯能)が、「自分が一番最後のとりでとして守るから、一緒に頑張ろうね」と言って下さって。きょうも、4年生と戦える最後だと思って、あしたもあるけれど最後だと思ってやりました。それぐらい貢献したいと思っていました。きょうは、ちょっとマークを外してしまったりしたので、そこをあしたは徹底して、あしたは勝ちます!4年生さんに、華をもたせたいです。
――連日の試合になりますが
台風だからしょうがないかなという感じですね。割り切って。
――最後に、明日への意気込みをお願いします
点数を決めたいです。私もあわよくば点数を決めたいし、コーナーを取ってくれたら、ストレートで一本決めたいです。後ろからサポートして、なんとしてでも勝ちをもぎ取りたいです。
GK南有紗(スポ4=埼玉・飯能)
――『打倒4強』への最後のチャンスでしたが、今試合の意気込みは
インカレでは立命大に負けてしまって『打倒4強』が果たせなかったので、ここで勝って決勝に進むってことを4年生とチームでは話して、目標にしました。
――声を出している場面が多く見られました
(山梨学院大に対して)全然走り負けはしていないと思っていて、相手の方が上手な人は多いんですけど、みんなもそれに食らいついて、頑張ってカバーするのができていたかなと思います。でもその反面、試合中すごく声が少なくて、失点やPCを取られた場面で静かになってしまうことが多かったので、それが少し課題かな、と感じました。
――GKとして堅守も多く見られましたが
今までで1番緊張がなくて、思い切ったプレーで今までやってきたことを全部出そう、と自分で意識しました。落ち着いたプレーもったと思うんですけど、焦ってしまって(相手に)いいボールを出してしまって決められる場面が多かったと思っているので、あしたは焦ったプレーというか、危ない場面はもっと前で潰せるようにできればなと思いました。
――あすは駿河台大との対戦になりました
前回負けてしまって春リーグも引き分けで、相性が悪いというか難しい相手だな、と思っています。でも最後なので、気持ちで負けないで勝ちきりたいと思います。
――順位決定戦への意気込みをお願いします
4年間一緒にやってきた仲間とチーム全体を信じて、最後なのでみんなのミスも全部カバーできるように、自分が最後守り切って、自信を持ってみんなに攻めてもらいたいです。絶対に勝って、応援して下さる方々に結果で恩返ししたいと思います。