大阪府茨木市、立命大ホリーズスタジアム。2015年完成の青々とした美しいコートで、ついに早大が全日本学生選手権(インカレ)初戦を迎えた。対するは北海道・北信越代表としてインカレへ駒を進めた北大。準々決勝へ向けて弾みをつけたい早大は、思惑通り試合開始早々から北大を圧倒し、前半だけで8得点を挙げる。後半は点が決まらない時間も続いたが、結果11-0で勝利を収めた。早大は明日、ベスト4を賭けて『四強』立命大に挑む。
エンジを身にまとった選手たちが、試合開始のホーンとともにゴールラッシュで魅せた。1点目はMF南家未来(教1=京都・立命館)。敵GKを引き付けたFW井上燦(スポ4=福岡・玄界)からアシストを受け、ゴールへ冷静に流し込む。すると続けてPC(ペナルティーコーナー)からFB片倉優季(スポ2=山形・米沢商)、FB瀧澤璃菜副将(スポ3=岩手・沼宮内)、MF的場朱音(教2=滋賀・伊吹)が次々に決め、前半8分で4-0とリードを広げた。その後も12分にFW中村咲(教3=東京・成城学園)がリバウンドを押し込み、27分には井上のアシストからFW福井更紗(法3=東京・早実)。さらに的場、瀧澤がそれぞれドリブルでのサークルインから見事なシュートでゴールを奪い、計8得点で試合を折り返した。
積極的なプレーで攻め込む稲田
前半終了間際、早大は北大に対して立て続けにPCを与えている。結局は難なく防いで事なきを得たが、開始早々の勢いは少し失われているようにも見えた。そして迎えた後半。早速、5分にMF梅村雅子(人4=岐阜・可児)がゴールを奪う。計40分で9点。このままいけば15点以上も狙えるペースだった。しかし、ここから25分間、早大は得点を決めることができない。敵GKの好守に阻まれるなど、攻め続けながらも得点に繋げられない時間が続いた。それでも後半30分にFW稲田くるみ副将(スポ4=佐賀・東明館)が10点目を奪う。さらに32分には片倉がサークル内の混戦を縫うように敵をかわして11点目を決め、そのまま試合終了。後半の失速もあり完璧なゲームとは言えないが、それでも2桁得点の完封勝利で立命大戦へ弾みをつけた。
大量得点に笑みを浮かべる選手たち
この試合の印象は、なんといっても『全員ホッケー』。かねてから理想とする戦いをインカレの初戦で見せてくれた。登録選手19名のうち18名が出場。また、11得点を7人の選手で奪った。FB片柳陽加主将(スポ4=栃木・今市)が常々語る、「誰が出ても同じ戦力に」という言葉。地力で勝る相手だったとはいえ、その目標に近づいていることが感じられた。そしてついに迎える準々決勝は、立命大戦。近年のインカレは、『四強』と称される山梨学院大、天理大、立命大、東海学院大がベスト4を独占し続けている。早大は全日本大学王座決定戦で立命大に敗れており、また立命大は早大が関東学生秋季リーグで敗れた駿河台大を破って準々決勝へ駒を進めた。さらに試合会場はこの試合と同じく、立命大のホームグラウンドであるホリーズスタジアム。苦しい試合になることは間違いない。それでも選手たちが掲げる目標は『打倒四強』。明日こそ早大ホッケー部の、いや、学生ホッケー界の歴史を塗り替えてみせる。
(記事、安本捷人 写真、成瀬允)
全日本学生選手権 | ||||
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早大 | 11 | 8-0 3-0 |
0 | 北大 |
コメント
安岡裕美子監督(平16卒)
――初戦を迎えるにあたって心境はいかがでしたか
普段通りいつもの力を出せれば、勝てる相手なので、きょうはまず勝つことと、次のゲームにつなげられるように目的を持って臨みました。
――きょうの試合を振り返っていかがでしたか
最初から得点が取れたことが、きょうは良かったと思います。
――後半、なかなか得点が伸びない場面もありました
あしたに向けて試した部分もありましたし、全員が出られるようなチームを作りたかったので、みんなをプレーに出させてみるところで、ちょっと点数が伸びなかったかなと思います。
――選手を入れ替え、きょうは多くの選手が出場しました
ことしのチームは全員で戦うことを意識しているので、誰が出ても同じプレーが出来るようにということで、やっています。
――立命大戦への意気込みをお願いします
全員で守りも攻撃も出来るようにトレーニングしてきたと思うので、積極的にプレーが出来るように、していきたいなと思います。
FB片柳陽加主将(スポ4=栃木・今市)
――初戦を迎えるにあたっての心境はいかがでしたか
初戦は北大だったので、やったことのないチームだったんですけど、一応通過点ということで、立命大に向けて準備をするための試合ととらえて、意識をしながらプレーをしたんですけど、コートも変わってから初めて使うということもあって、ボールの跳ねだとかを感じ取りながら、コミュニケーションを取ってやろうと初戦に臨みました。
――立ち上がり、いい流れが早大にありました
スピードをつけないといけないなと思っていて、でも点数が決まっていたので、PCで終わらせるというか、シュートを打って枠外で終わってしまうよりかは、PCまで持ち込んで決め切ることが出来ていて、決定率も良かったことが要因かなと思います。
――一方で後半なかなか得点を奪えない時間もありました
自分たちでボールを持てるという相手だったので、持ちすぎてしまって、2人に囲まれてボールを取られるだったり、パスゲームが少なくなってきて、個人技でずっとやってしまったことで、サークル前でも取られることが多くなってしまって、パスで崩してサークル内にいけると、タッチとかで決めることが出来たと思うんですけど、個人技で突破しようという気持ちが強かったことが、影響したと思います。
――試合を振り返って、スコア面ではいかがですか
前半に8点決められていたので、後半も8点ぐらい決めたかったところがあるので、トータルで15点くらい取れたらなと思ってはいたのですが、前半に8点とれたことは良かったと思います。
――あしたに向けて弾みはつきましたか
スピードの面で相手に合わせていたので、あしたはポジション取りをしっかりしておかないと、リスタートの早いチームなので、つながらないと思うし、まだまだ改善点は見つかったと思うので、スピードの切り替えをしっかりやって、あしたに臨みたいです。
――立命大戦への意気込みをお願いします
きのう、立命大と駿河台大の試合を見ていたんですけど、ボール回しは早いですし、すごく上手なので、一人一人がやって来たことを出し切って、自信を持って試合に臨むということと、チャンスをいかに得点につなげられるかが、カギになってくると思うので、少ないチャンスでしっかり攻め切ることを意識して、勝ちにいきたいです。
FW稲田くるみ副将(スポ4=佐賀・東明館)
――いよいよ迎えたインカレでしたが、緊張などはありましたか
最初だったので緊張というよりはコートに慣れられるかなとか、そういうちょっとした不安のほうが大きかったです。
――11―0と大差での勝利になりました
北海道大学とは1回も当たったことなかったのですが、11点は結構な点数決められたので、そこはよかったのかなと思います。
――11点の中でも、様々な選手が点を決めたという印象があります
本当に偏ることなくみんなが攻めに参加しているという形が、みんながしっかり点を決められたことにつながったのかなと思います。
――いよいよ立命大との戦いになります。どう攻めていきたいですか
やっぱり四強と呼ばれているところなので。春は少ないチャンスをものにできなかったところがあったので、チャンスが少ない中でも数少ない中でも、PCであったり、しっかり点数を決めていったりしていきたいなと思います。