ことしもついに全日本大学王座決定戦(王座)が開幕した。雨が降りしきる中で行われた1回戦の相手は、関東第2代表の東農大だ。試合は序盤から両者譲らず一進一退の攻防が続く。しかし徐々にペースをつかみ始めると、前半22分にMF小澤眞帆(教3=埼玉・飯能)が豪快なゴールを奪った。さらに後半にも2点を追加。一方守備陣も、相手に攻め込まれる時間帯をなんとか守り切り無失点に抑える。3-0で勝利を収め、あすの準々決勝へと駒を進めた。
悪天候の中、序盤は互いに決定機をつくることができない時間が続いた。それでも徐々に自分たちのリズムをつかみ始め、FW瀧澤育未(スポ3=滋賀・伊吹)を中心に攻め立てていく。試合が動いたのは、前半22分だった。小澤がサークル内でスティックを振り抜くと、ボールはゴール上段へ。豪快な一発が決まり、先制点を獲得。その後追加点を狙いたいワセダだったが、終盤は東農大に攻め込まれてしまう展開に。それでもGK南有紗(スポ2=埼玉・飯能)を中心にペナルティーコーナー(PC)のピンチをしのぎ、前半を1-0で折り返す。
PCのピンチをしのぐ守備陣
迎えた後半は我慢の展開となった。「マークのずれが生じてしまった」とFB八木澤江里主将(スポ4=栃木・今市)が語るように、相手のパスカットからカウンターを許すなど、危ないシーンをつくられてしまう。それでも八木澤を中心にゴールを死守し、同点弾は許さない。すると後半17分、PCのこぼれ球を瀧澤育が落ち着いて決め、2-0とする。さらに30分にも瀧澤育が中央からネットに押し込み、追加点を挙げた。少ない好機をものにして相手を突き放し、見事完封勝利。勝負所での強さを見せつける試合となった。
追加点を奪い喜ぶ選手たち
「とても大きな自信になったと思う」(安岡裕美子監督、平16卒)。防戦が続く場面も多くあった中で、無失点に抑えたことは大きな収穫だろう。次なる対戦相手は天理大。昨年、王座の初戦で敗北を喫した強豪校だ。「フィジカルもストロークも強い」と八木澤が語るように、苦しいゲーム展開が予想される。守備を固め、いかにカウンターからチャンスをつくることができるかがカギとなるはずだ。「チームワークを生かして勝ちたい」(瀧澤育)。チームの目標として掲げているベスト4へ。あす、早大は正念場を迎える。
(記事 大森葵、写真 難波亮誠)
全日本大学王座決定戦 | ||||
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早大 | 3 | 1-0 2-0 |
0 | 東農大 |
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コメント
安岡裕美子監督(平16卒)
――3-0での勝利となりましたが
まずは勝ててよかったです。春リーグ(春季関東学生リーグ)でやっていないチームだったので、見ていることは見ているのですが、対面してプレーしていなかった分だけ入りが甘かったかなとは思いました。しかし先制点を取れたことが大きくて、流れも持っていたので良かったと思います。
――前半のうちに得点を挙げて、気持ちに余裕ができたのではないでしょうか
そうですね。キーになる小澤(MF眞帆、教3=埼玉・飯能)が決めてくれたのが大きかったですね。落ち着いて試合を進めることができたと思います。
――後半も自分たちのペースでした
プレッシャーがかかったところでボールを取りきってから、スペースがある分パスなりドリブルなりで攻めていけたところが良かったのかと思っています。
――終始、好守備があり、選手たちは際に強かったと思いましたが
練習のときからサークルの前で止め切るということは徹底してやってきたので、その成果が出たのだなと思っています。
――攻め込まれる場面も多かった中で、完封勝ちできたということは選手たちにも自信になったのではないでしょうか
とても大きな自信になったと思います。このチームは崩れることが少ないという点が良いところなので、声かけやチームワークで次の試合にも挑んでほしいと思います。
――次の天理大戦へ向けて
天理大は春にやった山梨学院大と似ています。まず守備を固めて、攻撃は必ずチャンスは来ると思うので、そこでシュートを打ち切るということを徹底してやっていきたいと思います。
FB八木澤江里主将(スポ4=栃木・今市)
――王座(全日本大学王座決定戦)1回戦となりましたがどのような意気込みで臨みましたか
私たちの目標がベスト4以上なので、とりあえず1回戦は突破をしようという意気込みで今まで練習をしてきました。なので、1回戦突破を目標にやってきました。
――きょうの試合を振り返って
雨の試合だったのですが、前半は攻めることができていたので、私たちのワセダのホッケーができていたかなと思います。
――前半は攻めている印象がありましたが
立ち上がりが結構苦手なチームだったのですが、きょう見てみて前半が強いなと思いました。これからも前半(の強さ)を生かしていって、最初に点数を決められればもっと良いチームになるなと思いました。
――一方で後半は守備の時間が増えたと思いますが、後半の守備面はいかがでしたか
マークのずれが生じてしまって、ボールが止まってしまう場面もありました。私は一番後ろなので、今後自分のマークに責任を持って前を動かせたらなと思います。
――その中で2得点を奪えたことは大きかったのではないでしょうか
そうですね、大きかったです。
――雨の中での試合となりましたが影響はありましたか
今まで雨の中でもこのような状況に備えて練習をしてきたので、そういう面では雨でも心配はなかったです。
――春季リーグ戦(春季関東学生リーグ)から王座までの間にチームとしてどのような点を強化してきましたか
王座までメンタルトレーニングや筋トレなど、自分自身を鍛えるために色々なシステム的なことを加えて取り組んできました。結構厳しいこともあったのですが、みんながついてきてくれて、王座を迎えることができました。
――チームの調子はいかがですか
私たちの目標が『Thinking Hockey』で、考える力をつけるということで、自ら考えて行動することを目標としてきました。ですが、みんな遠慮しがちで相手にものを言えない子もいました。(その部分を)メンタルトレーニングでトレーニングすることができていたので、王座までにみんなで意見を交換し合うことができました。そういった意味で、雰囲気良く試合ができたと思います。
――次は昨年、王座の1回戦で敗れた天理大との戦いとなりますが、意気込みをお願いします
下剋上という意味で、天理大をはじめ関西の大学はフィジカルやストロークも強いので、自分たちのホッケーができるように、まずは自分の役割をしっかり持って、守り気味になってしまうと思いますがカウンター狙いでいきたいと思います。
FW瀧澤育未(スポ3=滋賀・伊吹)
――全日本大学王座決定戦はどのような意気込みで臨んでいますか
一個上の江里さん(FB八木澤主将、スポ4=栃木・今市)たちにとって最後の大会ですし、自分たちが持ち上げていかなくてはならないと思いました。全力で戦っていこうと思います。
――2、3点目を決めましたが攻撃面を振り返って
本当は1点目から自分で取らなくてはいけないんですけど、眞帆(MF小澤、教3=埼玉・飯能)が1点目決めてくれて気持ち的にも安心して落ち着いてプレーできました。眞帆のシュートが無かったら(私の)シュートも入ってなかったと思います。
――3点目はどのような状況でしたか
味方が突いた球がたまたま足に当たって本来なら反則だったのですが、(プレーは)続いたので。決めることができました。
――守備面に関しては
守備は後ろに任せていて、自分はカウンター狙いで後ろを信じて待っていました。
――試合を総合的に振り返って
いつも初戦崩れてしまうことが多いのですが、きょうは良い試合ができたのかなと思います。
――準々決勝に向けて
きょねん負けた天理大なので、すごく強いのですがチームワークを生かして勝ち、4位を目指していきたいです。