前回王者・天理大に善戦も及ばず ベスト8で終える

男子ホッケー

 4日、全日本学生選手権(インカレ)の準々決勝が行われた。1回戦、2回戦と順当に勝ち進んだ早大は、関西の強豪・天理大と対戦。試合は第1クオーター(Q)から拮抗(きっこう)した展開が続く中、11分、ペナルティコーナー(PC)からDF小比類巻周(政経3=東京・早大学院)のシュートが決まり先制に成功する。第2Qに逆転されてしまうが、第3Qの開始早々、MF加藤航太(政経3=東京・早大学院)の公式戦初ゴールで同点に追いつく。その後は再び点差を離されるも、粘り強く戦った早大。終わってみれば3―6と敗れはしたものの、優勝候補相手に最後まで健闘を見せた。

 早大のセンターパスで始まった第1Q。序盤から互いにロングパスやスクープパスを使い、攻撃の糸口をうかがう。均衡が破れたのは11分、早大がPCを獲得するとMF中島丞一郎(スポ3=富山・石動)のパスを受けた小比類巻がシュートを放つ。これが相手ゴールに突き刺さり先制に成功した。「プラン通り相手の立ち上がり、相手のエンジンがかかる前に先制点を取れた」(原聡監督(昭59理工卒))早大は、先制後も集中した守備を見せ第1Qをリードして終える。第2Qに入ると相手に押し込まれる時間が続くが、GK飯島圭佑(スポ1=栃木・今市)の好セーブもあり難を逃れる。しかし8分、9分と与えたPCを確実にモノにされ逆転を許した。

2回戦に続き、先制点をあげたDF小比類巻と得点を喜ぶ早大選手

 リードされて迎えた第3Q。立ち上がりにPCを獲得すると、FW平岩佑利(スポ4=奈良・天理)の鋭いパスに加藤が合わせ同点に追いつく。このまま逆転といきたい早大であったが、直後のPCを決められてしまい再び点差をつけられる苦しい展開に。さらに自陣でのパスミスから失点しリードを広げられる中、13分、PCを獲得すると小比類巻の今日2点目が決まり1点差に詰め寄る。しかし、第4Qは相手に攻め込まれる時間が続き、5分にPCから失点。同点、逆転へと向かうべく反撃の一手を打ちたい早大であったが、相手ディフェンスの牙城を崩すことができない。終盤に追加点を奪われるとそのまま試合終了。早大のインカレでの戦いはベスト8で幕を閉じた。

ファインセーブを連発し、チームを救ったGK飯島

 「良い試合はした」と原監督。その言葉通り、強豪・天理大を相手に自分たちが持てる力を発揮した。中島を中心とした速攻で相手陣内へ攻め入り、獲得したPCから狙い通り得点を奪えた。しかし「あと一歩が僕たちにはまだ足りなかった」と加藤。中盤以降、PCを中心にじわじわと差を広げられ、結果3点差をつけられた。原監督は敗因の一つにその「PCを簡単に与えてしまった」ことを挙げる。実際6失点中5失点が相手のPCから喫したものだった。強豪相手だからこそ「ちょっとでも隙を見せればやられてしまう」と唇をかんだ。それでも、流れの中からの失点を最小限に抑え、攻撃面でもこの日は3得点。秋季リーグ戦では得点力に苦しんだ時期もあった中、1回戦、2回戦を含め複数得点を取れたことはインカレ全体を通じての大きな収穫だ。短期間ではあったがチームとして大きく成長できたこのインカレ。早大の戦いは幕を閉じたが、残りのリーグ戦、そして宿敵・慶大との「早慶戦」にこの舞台で得られたもの全てをぶつける。

(記事 髙田凜太郎 写真 大幡拓登)

結果
TEAM 1Q 2Q 3Q 4Q TOTAL
早大
天理大
コメント

原聡監督(昭59理工卒)

――今日の試合を振り返って、率直な感想をお願いします

今日はとても残念ですね。ナンバー1チームとの対戦だったので、もちろん簡単にいくとは思っていなかったです。プラン通り相手の立ち上がり、相手がエンジンかかる前に先制点を取るとか粘り強く戦うとかはある程度できていました。ただ、プレーやペナルティコーナーの確実性といったところは太刀打ちできなかったという感じです。

――カウンター中心に攻撃は組み立てられていましたが、どのようなプランがありましたか

正直言って相手と選手のレベルや選手層が違うので、後ろからしっかり組み立ててというのは難しいところがありました。一方で、向こうの攻めのボールを守備のところではしっかり準備していたので、奪ってから短い時間、短い手数でゴール前まで行きました。それからPC、これはセットプレーで力の差を少なくできるところなので、そこに力を入れてきて点を取れたというのはやりたいことがある程度できたところだと思います。

――立ち上がりに先制点を奪えたことはチームとして大きかったですか

もちろん先に点を取られるよりは取った方がいいので、(先制点は)取ろうと思って取れるものではなかなかないのですが、立ち上がりのところで向こうも様子見のところがあって、前に攻撃の主力選手を置いてボールを奪ってから敵陣に速くいくところを狙っていました。

――終盤にかけては点差を離されてしまいましたが、そこについてはどのような要因があったと分析されますか

結果論で言うと、失点もほとんどPC、セットプレーで崩されているわけではなかったです。そのPCを簡単に与えてしまった、与えなければその失点はなしにすることができたよねというところで、こういったチームはちょっとでも隙を見せればやられてしまうので、われわれが強敵に勝つためにはそういった(PCの)数を少なくしていくことが必要だと思います。

――秋季リーグ戦なかなか得点が取れない時期が続いた中で、今回のインカレでは複数得点の試合が続いたことは収穫でしたか

秋季リーグ前半も勝てない割に悪くなかったとは思います。先程言ったように、形として我々はじっくり作っていこうとやりたいけどできるところまで来てないので、少ない手数でボールを奪ったらそこから速く攻めるというところで、そこがシーズンの終盤になってようやくできてきたなと思います。

――ここから先、早慶戦などが控えていますがどのように準備をしていきたいですか

今日良い試合はしたのですが、早慶戦できっちり今日我々ができたことがまたできるんだと証明しないと何にもならないです。もちろん慶大の方も同じ気持ちで来ると思いますが、そこで負けずに早慶戦らしい試合をしたいと思います。シーズンの方も最後に残っています。順位を一つでも上げて、それが来年に向けて残るメンバーにつながると思うので、手を抜かずにしっかりやりたいと思います。

MF加藤航汰(政経3=東京・早大学院)

――今日の試合を振り返っていかがでしたか

 公式戦初ゴールを決められたので、それはすごく嬉しかったです。しかし、2失点分僕のせいだなというのがあって、それがマイナスで悔しいです。

――公式戦初ゴールとなった1点目を振り返って

 最初のパサーの選手が遅延行為をとられて退場になってしまって、対応が難しかったのですが、みんなが合わせてくれました

――関西の強豪である天理大に対してチームとして意識していたことや対策を教えてください

 この試合に勝てば社会人を含めた全日本大会の出場権を獲得できるので、とにかくこの試合に照準を合わせてやってきたのですが、勝てなかったです。

――この試合で得られた課題を教えてください。

 やっぱりあと一歩だなとみんな思っています。そのあと一歩が僕たちにはまだ足りなかったなと思っているので、来年こそは天理に勝てるように頑張っていこうと思います。

――インカレ全体を通じて得点を重ねる試合が続いていましたが、どのように感じていますか

 全員が出場できて、いろんな選手が得点できたというのがこの大会の収穫だと思っています。その成功体験をみんな大事にして練習に取り組んでいけたらなと思います。

――早慶戦、リーグ戦と続く中で、どのように準備して臨まれますか

 今日出た課題というのをもう一度しっかり洗い出して、それを一つ一つ潰していって、残りの試合全部勝つつもりで頑張っていきます。

GK飯島圭佑(スポ1=栃木・今市)

――今日の結果は惜しくも敗戦となりましたが、今大会通してどう振り返りますか

 初戦と2回戦はなかなか出番がなかったのですが、今日の試合に関しては強豪である天理大相手にチームとしてもよく戦えましたし、3点を取ったという結果に関しては取れるところは取ったのかなと思います。

――今日はビッグセーブもいくつかあったと思いますが、ご自身のプレーに関してはいかがですか

 PCでの失点は、天理大のフリッカーが青年男子日本代表でも打っているような実力者なので、そこは割り切ってチャレンジャーとして挑みました。ただプレーの中でゴールを決められたのは1点だけだったので、練習通りのプレーや自分の力を見せられたかなと思います。

――リーグ戦は結果が振るわなかった中で、今大会はチームとして大きな躍進を遂げたと思いますが、率直な感想を教えてください

 天理大と夏に合宿をした際にはボコボコにやられていて、早大は練習メニューも選手主体で考えているので、チームとして本当に成長したなと感じます。その成長が天理大相手に3点を取ったという結果につながったと思うので、この経験を早慶戦にも活かしたいと思います。

――早慶戦に向けて意気込みをお願いします

 リーグの慶大戦は2-0で勝つことができました。自分が出場するかはその時次第だとは思いますが、チームとしてはまた無失点で前回以上に得点をとって勝てるように、しっかりと練習して頑張っていきたいと思います。