【連載】『令和3年度卒業記念特集』第35回 村上和亮/ホッケー

男子ホッケー

未来の早稲田のために叩き込んだ「当たり前」

 今年の早慶戦では、悔しい敗戦となってしまった早大男子ホッケー部。宿敵・慶大に敗れてしまったが、試合では、早大伝統の粘り、チームワーク、そして4年生の意地を多くの観客に見せてくれた。コロナ禍で活動にも制約がかかる中、今期のチームを引っ張ってきた村上和亮主将(政経=東京・早大学院)。スポーツ推薦がなくなり、個の力が、どうしても歴代のチームと比べて低下していく中で、村上は「将来的に早稲田が優勝するまでの長期的な計画の一端を担いたい」と語り、これまで以上に“当たり前”を突き詰めていった。そんな村上のホッケー人生を振り返る。

 中学まではサッカー部だった村上、勉強も部活動も高いレベルで挑戦したいと思い、受験勉強に励み早大学院に進学した。この早大学院で村上はSNS上でホッケー部の先輩と出会い、ホッケー部に入部する。男子校らしくワイワイと活動するのは楽しかったと村上は振り返る。ホッケー部に入部してから半年で、試合へも出場するようになり、頭角を現していった。「自分の代では結果を残せなかった」と村上は言うが、ホッケー選手としての土台は、この3年間で築かれていったことは間違いない。

 早大に進学した村上は、先輩のプレーに驚かされる。今でこそ早大ホッケー部は、早大学院の選手が多く所属している。しかし当時は、スポーツ推薦で来た選手も数多く所属しており、初対面で技術・経験で大きく上回る選手を間近で見ることができたことは、村上にとって大きな刺激となった。しかし、村上は入学直後に骨折が見つかり手術を余儀なくされる。そこから6か月間ホッケーをすることができなくなってしまい、大学入学早々にケガで出遅れてしまい、焦りやもどかしさを強く感じていた。それでもケガから復帰した後、FWとして試合に出場した際は、貪欲にやることを意識して、レギュラーを勝ち取っていった。

 早慶戦で慶大選手と激しくボールを奪い合う村上

 最上級生となり副将となった村上だが、春季リーグ終了時点で、黒川理希主将(先理=東京・早大学院)の大学院入試等の関係で、主将に就任した。春季リーグでは早大は下位に沈み、選手たちがうまく歯車がかみ合わなかったと口々にした中で、村上は主将としてホッケー以前の“当たり前”の徹底を部員たちに求めた。挨拶や声出し、用具の整理整頓等、一人一人に“当たり前”を徹底させていき、チームの雰囲気を引き締めた。それでも結果が中々ついてこず、村上も正直最後の2ヶ月は辛かったと回想する。しかし「自分が1年後2年後5年後10年後の早稲田大学ホッケー部の基盤を作りたい」と、早大の“当たり前”の基準を高めることを最後まで目指した。

 ホッケー部を引退した村上は、日本1位の目標を掲げる後輩たちに「自分の取っている行動が、関東1位、日本1位を目指す上で適切なのか考えてほしい。」と言う。この1年、試合で結果が振るわず苦しみ続けた早大ホッケー部。ホッケーでの技術は勿論、村上が求め続けた“当たり前”の基準を高めて、部の目標である日本1位、そして今年度敗れた宿敵・慶應にリベンジを果たすために、村上が基盤をまず作った。この基盤を元に後輩たちは、2022年度で躍進できるか。早大ホッケー部の今後の活躍に注目だ。

(記事 伊勢崎晃)