敗戦するも、際立つ粘り強さ

男子ホッケー

 3年ぶりに上位リーグへと駒を進めた早大。順位決定予選では、今季いまだ負けなしと快進撃を続ける山梨学院大が相手となった。前半から激しい攻撃を仕掛ける相手に苦しめられると、後半10分にペナルティーコーナー(PC)から得点を奪われ、1―0のスコアで敗戦。決勝戦への出場はかなわず、早大は3位決定戦に進むこととなった。

 早大のセンターパスで試合開始。序盤はボールの奪い合いとなり一進一退の攻防で進んだが、第2クオーター(Q)に入ると様相は一変。強力なオフェンス陣を擁す相手が牙をむいた。力強いストロークでサークル内へ打ち込まれるなど4度のPCを献上。防戦一方の苦しい展開を余儀なくされる。それでも、少数精鋭の早大は息を切らしながら何とか耐えしのぎ、前半にスコアボードが変動することはなかった。

GKが一時退場の中迎えたPC

 迎えた後半。依然として攻勢が続く相手を前に、ここまで好守を連発しチームを救ったGK山本健悟(社3=滋賀・伊吹)。後半10分にもアグレッシブに前方へ飛び出し好セーブ。難を逃れたかに思われた。しかし、審判はイエローカードを守護神に向け一時的な退場を宣告。さらにはPCの権利が相手に与えられた。思いもよらぬ苦境に立たされた早大。「必死に守るということしか考えなかった」(DF齊藤湧大、スポ3=栃木・今市)と、シューター目掛け果敢に飛び出す早大ディフェンス陣。しかし、懸命に進路をふさぐスティックをよそに、放たれた白球は鋭く突き刺さり大きな1点を刻み込んだ。ついに均衡は打ち破られ、追う展開に。さらにこの2分後にもPCを奪われるなど再三のピンチを迎えた。だが、早大は粘り強く相手に食らいつきスコアを変えさせなかった。迫り来る相手に決してゴールを割らせず、最小失点で相手を押さえ込む。そして、最終Qへ望みをつないだ。決勝戦へ進むには得点を奪うしか術はない。少ないチャンスの中で果敢に敵陣へと襲いかかるFW糸賀俊哉主将(スポ4=島根・横田)、FW清水拓登(スポ2=滋賀・伊吹)。しかし、その背に手が届くことはなく、無情にも試合終了を告げるブザーが鳴り響いた。

果敢な攻めをみせたFW清水

 敗戦を喫したものの数的不利な状況や、幾多のPCの局面で粘り強い守りを見せた早大。「ディフェンスの部分では成果が発揮できた」(糸賀)と、今試合を振り返る一方で潰さなければならない課題も見つかった。泣いても笑っても次戦で春は終わりを告げる。だからこそ、再び対峙する明大には負ける訳にはいかない。何としても3位をつかみ取り、笑顔で春を締めくくりたい。

(記事 成瀬允、写真 喜柳純平、石井尚紀)

結果
TEAM 1Q 2Q 3Q 4Q TOTAL
早大
山梨学院大
コメント

原聡監督(昭59理工卒)

――どのように相手を崩そうと試合に臨まれましたか

崩すことよりも守る中でカウンターを狙って、こちらが崩しにいく練習もしていますけども、現実的にはそういった期待よりも相手のボールを前でプレスをかけて、出来るだけ高い位置で取って、速い攻めでシュートをすること、ショートコーナーをとることで1点、2点を取って守るというのを考えていました。

――粘り強いディフェンスが多く見られました

今年のチームはレベル的に言えば今までと比べて、それほど高くないとは思うんですけど、1つ1つのプレーを真面目にやっているので、それが結果的に粘り強さにつながっていると思います。

――イエローカードで人数が少ない場面で戦いを余儀なくされる場面もありました

人が減っても守りの場面では、相手と同数か1人少ない人数で守るということで、その分攻めの人数が減ってしまっていたという時間帯でした。

――要所要所で攻める場面も見られました

数少ないチャンスを決めなければいけないんですけども、攻める方は10回攻めて10回成功する訳ではないので、その数を増やしていかないといけないのかなと思います。

――次戦への意気込みをお願いします

本当は決勝戦に行きたかったのですが、3位と4位とでは響きが全然違うので、1つ上を目指して研究をしていきたいと思います。いずれにしても昨年の下位から今年上位を狙うチャレンジャーなので、しっかりと研究して準備していきたいと思います。

FW糸賀俊哉主将(スポ4=島根・横田)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

山梨学院大はすごく攻撃が強いと聞いていたので、それに対しての対策を東京農大戦後からやってきました。ディフェンスの部分では成果が発揮できたかなと思うのですが、攻撃の部分で体力面であったりイエローカードで人数が少なくなってしまいなかなか攻めきれなかったというのが率直な感想です。

――攻撃のプランはどういうものを考えていましたか

きょうの試合のように攻め込まれる場面が多くなるというのは想定をしていました。自分たちは右攻めというのを強みにやってきたのでそれを実践していけば少なからず攻撃のチャンスはあると思っていて、右攻めからペナルティコーナー(PC)をとってPCを決めるというのがプランとしてありました。実際にはなかなかPCを取らせてくれなくて、そこは悔しいところです。

――果敢に攻めながらも1点が遠かった要因は何でしょうか

前線までボールを運ぶことはできたのですが、そこから単体での攻撃になってしまい体力面からもボールを持っている人へのフォローが足りなかったりやイエローカードで1人少ない状態が多かったことが要因かなと思います。

――順位決定戦への意気込みを聞かせてください

2015年以来の上位での戦いになるので、今まで着実に練習でつけてきた力を発揮できるように今日でた課題をしっかり修正していきたいです。強いワセダを皆さんにお見せできるように残り3週間しっかり練習に取り組んでいきたいと思います。

DF齊藤湧大(スポ3=栃木・今市)

――試合前の戦術などはありましたか

相手の技術の方が上なので、攻め込まれることを想定して、ディフェンスの練習を最近は多く練習していました。その結果もあって、結構守れていたと思うのですが、後半自分たちの人数が少ないこともあって足元をすくわれたといいますか、失点してしまいました。ただこれはチーム全体の責任だと思います。今後も継続してディフェンスの練習をしていきたいです。

――キーパーが抜けた場面を振り返って

あれはキーパーのせいではなくて、自分たちがディフェンスの受け渡しをできなかった結果キーパーが抜けることになってしまいました。そこから、必死に守るということしか考えてなかったのですが、正直あそこから失点を1で抑えられたことは良かったと思います。

――最少失点で抑えられたことは収穫ですか

そうですね。

――粘り強いプレーも目立ちました

粘り強いディフェンスなど根性的な問題もあるのですが、やはり自分たちは人数が少ないので練習をするとなると、回って来ることも多くなり、練習量も増えます。そこの部分で練習の成果が出てきてDF依田(星也、商2=東京・早大学院)や、2年生の選手もいますが、成長し1失点で済んだのかなと思います。

――これでリーグ戦は2勝1敗1分となりました。

そうですね。今回初めての負けとなりましたが次に繋がる試合になったと思います。次は法大と明大の負けた方と戦うことになりますが、勝てば3位となるので、そこを目指して頑張って練習していきたいです。