春の雪辱を果たし、白星で締めくくる

男子ホッケー

 ついに、関東学生秋季リーグの最終戦を迎えた。5位決定戦に臨んだ早大の相手は、宿敵・慶大。春の対戦で慶大に敗れた早大は、全日本大学王座決定戦の出場権を譲り渡し、涙をのんだ。「どうしても勝ちたい」と、因縁の相手との再戦に闘志を燃やすMF宮口和樹主将(スポ4=滋賀・伊吹)。試合は70分で決着がつかずSO(シュートアウト)戦へ。観客が固唾(かたず)をのんで見守る中、GK山本健悟(社2=滋賀・伊吹)の好守が勝利を呼び込み、5位で秋季リーグを戦い終えた。

 慶大のセンターパスで前半が始まる。試合序盤、相手の素早いドリブルに苦しみPC(ペナルティーコーナー)を献上。暗雲が立ち込めたかに思われたが、DF中嶋錬(スポ2=島根・横田)が好守を見せ、ゴールを割らせない。しかし前半13分、ゴール前の混戦からボール押し込まれ、相手を追う展開に。反撃を試みる早大は、宮口が攻撃の起点となり敵陣に攻め込むが、なかなか得点に至らない。その後も決定打に欠け、点差を縮められないまま、前半終了を迎えた。

好守を連発した山本

 勝負の後半。何が何でも得点を奪いたい早大は、果敢に攻撃を仕掛けた。しかし、得点の糸口をつかめず、無情にも時計の針が進んでいく。それでもアグレッシブなプレーを続け、リズムを作ったエンジのユニフォームは、後半27分にPCのチャンスから、DF是澤勇志副将(文4=東京・早大学院)が値千金の一打を放ち同点。試合を振り出しに戻した。勢いそのままに逆転を狙ったが、一歩及ばず後半を終えて1-1。勝負の行方はSO戦へ持ち越された。

 迎えた運命のSO戦。5名のシューターが獲得した点数よって勝負が決まるSO戦では、GKとシューターに並外れた集中力と、判断力が求められる。早大は、FW糸賀俊哉(スポ3=島根・横田)、FW関修平(商3=東京・早大学院)、FW清水拓登(スポ1=滋賀・伊吹)がシュートを決め、相手にプレッシャーを与えると、GK山本が好守を連発。「見せ場を作ってくれた」(山本)と、決して気負わず、勝負強さを発揮した早大が3―2でSO戦を制し、秋季リーグ最終戦を白星で締めくくった。

熱戦を制し、歓喜の輪が広がった

 春の悔しさを胸に、夏の鍛錬を重ねこの日を迎えた早大。前半リードを許し、少数精鋭の早大にとって苦しい展開となったが、逆境を乗り越え白星をつかんだ。「ナイスゲームだった」(是澤)と、確かな手応えをつかんだが、喜んでばかりはいられない。11月5日に開催される早慶定期戦が目前に迫っている。伝統の舞台で連覇を達成するためにも、全日本学生選手権(インカレ)へ弾みをつけるためにも、絶対に負けられない一戦。リベンジを誓う慶大を再び破り、秋空の下、天高く拳を突き上げる。

(記事、成瀬允 写真、榎本透子)

関東学生秋季リーグ
早大 0-1
1-0
(3SO2)
慶大
コメント

原聡監督(昭59卒)

――リーグ戦の最終戦を迎えるにあたって、試合前どのような言葉を選手にかけましたか

リーグ戦の最後ですけれども、あさってにまた慶大と戦うので、ここでしっかりとした試合をしないといけないので、勢いをつけるためにも勝ちにいこうと声をかけました。

――慶大との対戦にやりにくさはありましたか

春もそうですし、あさってもそうだと思うんですけど、慶応対ワセダとなると、いつも以上にやってくるので、相手はスピードもあって、きょうもみんな走り回されたんじゃないかなと思います。

――チャンスを作りながらも、なかなか点に結びつきませんでした

実力と言えば実力だし、その時のちょっとした調子とかでも違ってくるので、いかにチャンスを作れるかが重要で、もうちょっと点を取りたかった反面、点を取られるかもしれなかった試合だったので、慶大の最後の粘りがあったと思います。

――その中で、PCからの得点を決めました

狙い通りではもしかしたら、ちょっと違うかなと思うんですけれども、リバウンドを取るというのが点を取る形の1つですし、そこでしっかりと是澤がつめたところが良かったですし、みんなにそういう意識があったから得点になったと思います。早慶定期戦では、もっと練習の成果を出していきたいと思います。

――SO戦に向けて準備されたことはありましたか

普段から練習をしているので、その通りに出来るか、技術のレベルとメンタルの部分を含めた総合力が必要になるので、やってみないと、とは思うのですが、GKが頑張っていましたね。

――2日後に早慶定期戦が控えますが、そこへの意気込みをお願いします

きっちりと勝ちたいとみんな思っているだろうし、慶応さんも同じ思いだと思うので、負けないように頑張ります。

MF宮口和樹主将(スポ4=滋賀・伊吹)

――秋季リーグの最終戦を迎えるにあたって、心境はいかがでしたか

連戦になるということで、最初に負けてしまうと後に響いてしまうので、まずは最初にしっかりと勝って、次につながる試合にしようとチームで話し合って、試合に臨みました。

――なかなか得点を決めきれなかった部分を振り返って、いかがですか

前戦には多くボールを運んだんですけど、決定率が低くて、決められるところで自分たちのチームが決められずに、苦しい試合展開になってしまったので、そこは反省すべき点なのですが、慶大相手にしっかりと攻められたところが、非常に評価すべき点だと思います。

――きょうの順位決定戦は春と同じく慶大が相手となりました

春に負けて悔しい思いをしたので、秋はどうしても勝ちたいと個人的にも思っていましたし、あさってに早慶戦があるということで、難しい試合運びになったと感じました。

――試合はSO戦までもつれました

まずはここでしっかり勝って、早慶定期戦への勢いになればいいなとみんなに話して、SOを任された選手は緊張しますが、頑張っていけと声をかけました。

――SO戦を振り返っていかがですか

主将として、最初に決めていい流れを作りたかったんですけど、結果は外してしまって、むしろ後輩たちが決めてくれたことで、チームにいい流れができたので、非常に感謝しています。

――GKの好セーブもありました

日頃からSOを練習していたので、試合になるとしっかりと止めてくれる心強いキーパーなので、感謝しています。

――2日後に迫った、早慶定期戦に向けて意気込みをお願いします

1日空いてすぐに早慶戦なんですけど、早慶の伝統のある試合なので、しっかりと勝ちきることがこの1年間の目標だと思うので、どんなことがあっても最後まで走りきって、勝利をもぎ取れるように、チーム一丸となって頑張りたいと思います。

DF是澤勇志副将(文4=東京・早大学院)

――今試合の意気込みは

あさってに早慶戦が控えていて、チーム内では「早慶戦が本番だし気分は上がらないよね」って話はしていました。でも試合始まったらみんな気持ちは入っていたし、前半はやられちゃったんですけど、後半は攻める時間も多くてナイスゲームだったかなと思います。できれば点差を広げて勝ちたかったですけど。

――春季リーグ戦に比べて慶大のプレッシャーが弱かったように感じましたが

こっちとしては(慶大の)プレッシャーが強いことを前提にやっていたので、サイドから縦のボールを増やしてやっていたんですけど、慶大がそれを読んでいたのかなと思います。多少引かれた部分はあるんですけど、その分こっちが攻める時間も多くなって、うまく対応できたのでよかったんじゃないかと思います。

――特に前半、チャンスをモノにできない場面が多くみられました

できれば前半で追いついて後半に臨みたかったんですけど、ハーフタイム中も悲観した雰囲気はなくて、みんな「追いつける」っていう気持ちがあったと思います。あさっては決めてくれると信じて、ポジティブにいこうと思います。

――ご自身の得点シーンを振り返っていかがですか

何をしていたか覚えてないんですけど、最初のシュートからボールがたまたま自分の方に転がってきて、うまいことDFの前に入ることができたので、空ぶることなくちゃんとたたけてよかったです。

――早慶定期戦への意気込みをお願いします

きょう勝ったとはいえ70分の結果では引き分けなので、4年間で最後の早慶戦ですし70分でしっかりと勝ちきれるように頑張ります。

GK山本健悟(社2=滋賀・伊吹)

――今試合の意気込みは

早慶戦前ということで、せっかく慶大とやれる機会があるのでここで相手のことを見て対策するっていうのと、慶大との試合は大切なので勝ち切ろうという気持ちで頑張りました。

――試合中積極的に声を出している印象がありましたが、GKから見た全体の動きはいかがでしたか

途中1点入れられて、すごい雰囲気が悪くなって大体しゃべらなくなるんですよ。そういうときにずっと声かけて、盛り上げようと思ってやっていました。

――前半の失点を振り返っていかがですか

DFの枚数が多くて、1人に対して1人(マークが)いたんですけど、行くだけで詰めきれてなかったんで相手が自由にサークルのゴール側に来てしまって。自分も本当は2人で挟もうかなって思ってたんですけどそれもできんくて。お互いのタイミングが合わなくて、フリーで(相手に)パスされて入れられたって感じですかね。

――SO戦は前から練習していたと伺っていますが

SO戦になったら誰が打つ、っていうのは前から決めてて、毎回練習終わりにみんなでやっていました。

――きょう突然SO戦になっても大丈夫だったんですね

そうですね。打つ人と動きくらいは確認してありました。

――実際きょう、SO戦になったときの心境は

「おう、まじかよ」みたいな(笑)。まさかくるとは思ってなかったんで、「あー、きたかー」みたいな。でも練習してたから決める側は大丈夫かなって思ってたんですけど、しょっぱな和くん(宮口主将)が外してくれて(笑)。俺の見せ場を作ってくれたのでよかったです(笑)。

――慶大の5人目を止めなかったらサドンデスに突入していましたが、そのときはどういう気持ちでしたか

「最後1本止めよう、これ最後やから止めよう」ってずっと後ろで言ってました。案の定俺の得意なコースにきてくれたので止められてよかったですね。

――2日後の早慶定期戦と、その先のインカレに向けて意気込みをお願いします

早慶戦は絶対に勝たないといけないと思っているし、チーム全体で早慶戦に向けてやってきた部分もあるのでここは絶対に勝とうと思います。インカレは1回戦目の北大は絶対に勝たないといけないし、2回戦で天理と当たるんで、ここはやってきたことを全部出して、悔いのないようにやるだけです。