波乱のシーソーゲームを制せず

男子ホッケー

 初戦、東農大戦に敗北した早大。上位リーグ進出に向けて絶対に負けられない一戦に挑んだ。対する法大は昨年の春季関東学生リーグ戦(春季リーグ戦)1位を始め、着実に結果を残してきた勢い十分のチームだ。試合は拮抗(きっこう)した展開から前半終了間際に先制点を獲得する。前回の敗戦で抱いた不安を拭い去りたい早大だったが、後半、点の取り合いで同点に追いつかれた。勝ち越し点を狙うが、相手の速攻に対応できず逆転される。勝ち点3を逃し、春季リーグ戦制覇の夢はついえた。

 早大のセンターパスで始まった第2戦。開始早々、MF宮口和樹主将(スポ4=滋賀・伊吹)のクロスで先制のチャンスを演出するが、サークル内で合わせることができず得点には至らない。早大は8分と22分にペナルティコーナー(PC)を獲得。先制してペースをつかみたいところだが、いずれも枠をとらえることができない。法大も負けじと早大ゴールを脅かすが、GK山本健悟(社2=滋賀・伊吹)の守備が光った。今試合で大学初のフル出場を果たしたMF山下翼(スポ1=滋賀・伊吹)もサークル間際で攻撃の芽を摘み取り、守備に貢献。前線にボールを送り、攻撃にも積極的に参加する。互いに決定打が出ない、均衡状態を破ったのはFW清水拓登(スポ1=滋賀・伊吹)だった。法大のDF陣を単独で抜き去りシュート。東農大戦後、「点を取ってチームに勢いをつけたい」と語ったルーキーが有言実行の働きを見せた。

1年生ながらフル出場を果たした山下

 早大の1点リードで迎えた後半、追加点を奪取するため攻撃に奔走する。しかし、前半から戦い続けている選手たちには疲労が色濃くにじみ、徐々に足が止まり始めた。相手選手に追いつけず自陣で必死に守る場面が増える。21分、相手のPCをしのぎ、胸をなで下ろしたのもつかの間。ゴール際の攻防に屈し同点に追いつかれた。この失点を皮切りに、激しい点の取り合いが始まる。速攻を仕掛けた早大は23分にPCからDF齊藤湧大(スポ2=栃木・今市)がこぼれ球を押し込み逆転。再びリードを奪った。ところが25分には法大がGKの頭上を打ち抜くシュートでまたも同点に追いつく。たった3分の間に3点が動く波乱の展開。緊迫した状況を脱するべく両チームは攻撃の手を強めるが、後半終了間際、早大は法大の速攻に対応できず勝ち越しの点を入れられる。これが決勝点となった。試合終了のブザーが鳴り響き、肩を落とす早大の選手たち。怒涛(どとう)のシーソーゲームは法大に軍配が上がった。

攻守でチームに貢献した齊藤

 前半は早大のペースで進み、先制点も獲得した。しかし人数の壁は早大の前に大きく立ちはだかっている。体力の消耗が著しい後半には相手の動きに追いつけず、失点に結びついた。また、春季リーグ戦の結果は全日本大学王座決定戦(王座)の出場権に深く関わっている。今試合の黒星で1~4位を決める上位リーグへの進出が叶わなくなり、戦況はより厳しいものとなった。出場権が与えられる5位以内に入るために、残りの時間で課題を修正できるか。たった1度きりの夏のために、もう1試合も落とせない。

(記事 榎本透子、写真 元田蒼)

春季関東学生リーグ
早大 1-0
1-3
法大
コメント

原聡監督(昭59年卒)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

残念だったなと思います。先制して、リードしながら逆転負けしてしまったけれども、全般的にはよくやったと思います。ギリギリの人数のなかで、主力選手のケガでよくやったと思います。ただ結果は負けなので残念ですし、隙もあったのだと思います。大事なのは惜しかったなで終わってしまうと、同じことの繰り返しになってしまうので、今日惜しかったところをどうしたらよいのか、というところに繋げて改善できるかどうかがチームの力になっていくと思います。

――課題はスタミナ面でしょうか

選手も言っているのではないかと思うんだけれども、後半で足が止まってしまって、前半では追いついていたところが追いつかなくなって、そういったところは目に見えてきました。

――1年の印象はいかがですか

1年生は今ゲームに出ているのが2人と、今日ベンチに1人。ゲームに出た2人の期待という意味では、正規のメンバーの1人として、やってくれないと困るという期待をしています。

――次戦へのいきごみをお願いします

リーグ戦で連敗をしてしまって、リーグ戦の上位に入ることは出来なくなってしまったのですが、全国大会に出るためにはリーグで5位以内に入らなければならないので、残りは全て勝たないといけないです。次は頑張れば勝てるよ、という事ではなく、勝たなければならない試合なので、一方で必ず勝てることではないので、しっかりと次戦までに修正をしていきたいと思います。

MF宮口和樹主将(スポ4=滋賀・伊吹)

――今日の試合はどのような意気込みで臨まれましたか

初戦が黒星スタートだったので、この2戦目に負けると上位リーグには行けないということが決まっていました。なんとしても勝たないといけない、勝ちに行こうとチームで話し合って臨みました。

――前半と後半で、内容の違いはありましたか

前半は、ワセダのペースでボールを支配できていましたが、後半は人数不足もあって、体力面の課題が出てきてしまいました。そこから相手につけ込まれて、失点をするというパターンが見られて、それが敗因になってしまったと思います。

――1年生の2人(清水、山下)のプレーは、主将から見ていかがでしたか

まだ入りたてなので、まだ大学生と言うよりは高校生のプレーだなと感じています。日々、試合の経験を積むことによって、少しずつ大学生らしいプレーになってくると期待しています。

――ご自身では、前に進むプレーも多かったように見られました

前半までは、前にパスをつなごうという意識でした。後半になるとFWの足が止まるので、前にパスをつなげなくなります。そういう時には、キャプテンとして自分が前にボールを運んでチャンスを演出しないと、チームにチャンスが生まれないと思っています。チームの士気を高めようと思い、前線にボールを運ぶよう心がけていました。

――最後に次の駿河台大戦に向けて、意気込みをお願いします

もう上位リーグには行けませんが、次の3戦目に勝つと負けるとでは、今後の王座に向けての戦いが大きく違ってきます。3位で予選リーグを突破して、下のリーグでもいい結果が残せるように頑張りたいと思います。

MF山下翼(スポ1=滋賀・伊吹)

――リーグ戦2試合目にして初のフル出場を果たしましたが、今試合はどのような意気込みで臨みましたか

東農大に負けてしまって後がない状態で、法大に勝ったら上位リーグに進めるけど、負けてしまったら下位リーグで戦うことになるのでここは勝つしかないという気持ちで挑みました。

――攻守にわたって活躍していましたが、監督や先輩からの指示やアドバイスはありましたか

左サイドに出てきたら強く前に行けという指示がありました。あとは守備の時に、相手につっかからずに様子を見て、しっかりチェックできるところはチェックしろというアドバイスがありました。

――点をとったりとられたりと不安定な状況でしたが、気持ちの上ではいかがでしたか

点が決まったあとに決められるのは辛かったんですけど、そこをなんとか乗り越えて頑張りました。

――ここまで2試合を経験して、大学の試合と高校の試合の違いは感じましたか

スピード感ですね。パスの強さや精度とかも高校と全然違うなと思います。

――その違いにはうまく対応できていますか

いえ、全然。まだまだですね。

――進学先としてワセダを選んだ決め手は

将来スポーツ関係の職に就きたいので、それに関する勉強ができることと、高校の先輩である宮口主将がいたので、ぜひ一緒にプレーをしたいと思い選びました。

――伊吹高校の先輩の存在は大きいのですね

そうですね。先輩たちがいてくれたのでぜひ、と思いました。

――次戦、駿河台大戦への意気込みをお願いします

法大戦でいろいろと反省点が見つかったので、それを2週間以内でしっかり修正して、駿河台大には勝てるように頑張っていきたいと思います。