勝負の秋が始まった。春季関東学生リーグ(春季リーグ戦)では好成績を残したものの、全日本大学王座決定戦(王座)では実力を発揮できずに不本意な結末を迎えた早大。春の無念を晴らすべく、並々ならぬ意気込みで慶大との秋季関東学生リーグ(秋季リーグ戦)初戦に臨んだ。前半、数少ない好機をものにし、2得点を挙げる。後半は追加点こそ奪うことができなかったが、堅固な守備で相手の攻撃陣を封殺。2-0で慶大を下し、幸先の良いスタートを切った。
春のリベンジに向け大事な初戦に臨んだ
開始16分、いきなり試合は動く。FW糸賀俊哉(スポ1=島根・横田)が高い位置でボールを奪うと、相手の反則を誘いPC(ペナルティーコーナー)を獲得。ボールを受けたFB鵜飼慎之介(スポ4=福井・丹生)がゴール上段にシュートを叩きこみ、先制する。その後は互いに攻めあぐね、膠着(こうちゃく)した状態が続くが、迎えた31分。再びPCを得ると、今度はFW宮崎俊哉(スポ3=福井・丹生)がネットを揺らす。守っては、「慶大は気持ちでガンガンくるタイプなので、乗せないようにしっかりおさえるということを意識しました」(MF中村拓郎、社4=富山・石動)と、チーム一丸となって慶大を抑え込み、決定機をつくらせない。2-0とゴールをわらせることなく、無失点で前半を折り返した。
PCから得点を決め喜ぶ選手たち
前半とは一転、後半に入るとスコアは停滞。宮崎を中心に攻め立てるが、フィニッシュまで持っていくことができない。PCを獲得しサークル内からシュートを放つも枠を外してしまうなど、オフェンスにおいては肝心なところで精彩を欠いた。しかし守備面ではほころびを見せず、相手に付け入る隙を与えない。試合終了間際に慶大の猛攻を受けるも守り切り、ゲームセット。貴重なチャンスを見逃さずに決めた早大に軍配が上がった。
開幕戦を無事白星で飾ることができた。しかし、「相手の守りやすいところに自分たちからはまりにいってしまった」(宮崎)と、攻撃面の課題が浮き彫りとなった今回の試合。目標である全日本選手権出場を果たすためには、修正は必須だ。次戦の相手は王座で黒星を喫した山梨学院大。秋季リーグ戦最初のヤマ場であるが、自分たちの欠点を見つめ直し、チームとしての完成度を高めていけば乗り越えられるに違いない。
(記事 佐藤諒、写真 中村ちひろ)
秋季関東学生リーグ | ||||
---|---|---|---|---|
早大 | 2 | 2-0 0-0 |
0 | 慶大 |
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コメント
松本剛毅監督(平6卒)
――秋シーズンの初戦ということで試合を振り返っていかがですか
立ち上がりは開幕戦ということでお互い緊張をするものですから、立ち上がりを気をつけて早い段階で点を取ろうということでした。先制点をとることができましたので、非常に戦いやすい試合ができたと思います。
――ベンチからはどのような指示をされていましたか
もっとシンプルに、相手陣内でプレーするようにということで、ボールを前方に預けようという指示は出しました。
――夏の期間に強化したことは
チームの強化もさることながら、フィジカルの部分が上位校と比べて弱いので、そこの強化に努めていました。
――秋の目標を教えてください
秋はインカレ(全日本学生選手権)が一番大きな目標ですので、ここでベスト4に残って全日本選手権にことしこそ出たいと思います。
――次戦の山梨学院大戦に向けて
山梨学院大も春から強化してきていると思いますので、そう簡単には勝てないと思います。ただ、春には勝っていますので、ベストの状態で持っていければ必ず勝てると思うので、この一週間しっかりと準備をしてフィジカル面でもメンタル面でもベストで戦えるようにしたいと思います。
FB木村浩一郎主将(スポ4=栃木・今市)
――開幕戦ということでどのような意気込みで臨みましたか
秋のシーズンが始まる上で、一番大事な試合だったのでしっかりと1試合目で良いスタートが切れるように、ミーティングを重ねて勝とうという気持ちを持っていました。
――2-0での勝利となりましたが試合を振り返っていかがですか
守りもきっちりできていて、ペナルティーコーナー(PC)1本目で決める事ができたので、良い流れでできたのではないかなと思います。ですが、得点がとれない部分が少しあったので、次に向けてそこを変えていかなければなと思います。
――2得点ともPCからの得点となりましたが何か強化などしていたのですか
2本目はミスからだったので、それはそれで良かったのですが、特に(強化)はしていなくて、いつも通りという感じですね。試合で決めてくれたので良かったです。
――相手に決定的なチャンスは与えていませんでしたが守備の面はいかがでしたか
そうですね。ディフェンスで指示を出しながらやろうということで、連携して取ることができた部分もあったので、今回はすごく良かったのではないかなと思います。
――夏の間に強化したポイントなどはありますか
合宿をやって、人数が少ないので体力面や基本的なスキルをみんなで高めようという話をして練習に取り組んでいました。ことしは練習試合で遠くに行くということができなかったので、自分たちのグラウンドで合宿というかたちで走力や基礎的な部分を高めました。
――木村選手にとってもラストシーズンとなりますが、秋の目標を教えてください
やはり僕らの目標は全日本選手権出場なので、しっかりとチームをつくっていって出場できるようにしたいです。
――次は強豪の山梨学院大戦ですが意気込みをお願いします
前回(全日本大学王座)ボコボコにされましたが、春(春季関東学生リーグ)の時みたいにみんながベストの状態で挑めるようにしっかりと準備をして、勝ちにいきたいと思います。
MF中村拓郎(社4=富山・石動)
――初戦でしたがどのような意気込みで臨みましたか
初戦なのでとりあえず立ち上がりをしっかりしようと、得点を取るよりは失点をしないようにという感じでやっていました。
――夏に強化したことは
春リーグ(春季関東学生リーグ)で勝てた時はチームプレーができていたので、チームプレーの強化をより一層行いました。声掛けやディフェンスの時のどっちサイドにおさえるとかそういう細かいところまでやっていました。
――慶大の印象は
慶大は気持ちでガンガンくるタイプなので、乗せないようにしっかりおさえるということを意識しました。乗っちゃったら僕らでも止められないので。慶大は乗らせなきゃ大丈夫、という印象ですね。
――きょうの試合内容を振り返っていかがですか
前半からずっと攻められていたのですが、PCで点を取れてそこで流れを作ることができて良かったと思います。
――意識していたという立ち上がりなどは振り返っていかがですか
攻められる場面は多かったですが、やはり守れていたので立ち上がりは良かったのではないかと思います。
――2―0という得点についての印象は
攻めている時間も長かったのでもう1点、2点は欲しかったですね。
――ご自身はラストシーズンとなりますが、具体的な目標はお持ちですか
インカレで明大に当たることは決まっているので、明大をことし一度も倒していないので頑張って倒したいと思います。
――次は山梨学院大との対戦となりますが、意気込みをお願いします
王座でボコボコにされているのですが、春リーグでは1回勝っているのでしっかりそのイメージを持って挑みたいと思います。
FW宮崎俊哉(スポ3=福井・丹生)
――後期リーグが始まりましたね
そうですね。前期のリーグ戦の結果は良かったのですが、その後の王座の結果があまり良くなくて。最近チームの状態が良くなかったのですが、後期が始まってリーグ戦優勝という目標に向かってひとつになってきょうは試合ができたかなと思います。
――夏はどのような点を強化したのでしょうか
王座の時にできなかった基本的な技術やコミュニケーション能力を高めようということと、あとはそれに加えてフィジカルトレーニングを中心にやってきました。
――今回の試合でそれは発揮できましたか
個人的には、ベーシックスキルはまだ少し問題がありますが、一対一では自分の技術を発揮できたかなと思います。
――慶大と実際に矛を交えて受けた印象は
きょねんとか春の練習試合と比べて、僕がやった感じでは一対一の当たりがすごく厳しくなっていて、自分たちが思っている通りに個人個人ができたわけではなかった点が慶大は上手になっているなと思いましたけど、でもその分僕らも一対一の強さは磨いてきたので、それが今回の試合ではワセダが上になったので良かったです。
――手堅くセットプレーをものにして勝利をつかみました
PC(ペナルティーコーナー)は、うちはあまり得意ではないのですが、そういうセットプレーで点を取っていけると試合も進めやすくなるので、さらに磨いていきたいなと思います。
――PCの精度が前期よりも上がったように思われたのですが練習したのですか
前期とそんなに変わらないですけど、1点が欲しいときの気持ちの入れ方がみんな集中していたので、それが点につながったのではないかなと思います。
――2点目は宮崎選手が決めましたが振り返ってみていかがですか
本当は思いっ切り打とうと思ったのですが、身体が勝手に動いて(笑)。結果的に点が取れたので良かったなと思います。
――逆に後半は得点することができませんでした
疲れとかは誰も感じてないと思うのですが、点を取るのを焦り過ぎて前半は外から攻めたのに対して、後半は中から攻めようとして相手の守りやすいところに自分たちからはまりにいってしまったことが、後半に点が入らなかった原因かなと思います。それは来週の試合では改善していきたいなと思います。
――次戦へ向けて意気込みをお願いします
来週は春のリーグでは勝ったのですが、王座ではぼろ負けした相手で、いま一勝一敗の状態なのでしっかりと勝ち切っていきたいです。