今年で第80回という記念の年を迎えた早慶定期戦。3年ぶりの有観客試合となった今大会は、大勢の観客が集まる東京・代々木第二体育館で行われた。早大は先制点を決めリードするものの、思うような試合展開ができない状況が続き、流れをつかめない。早大らしいプレーができないまま、33-28の5点差で試合を折り返した。しかし、後半に入るとG江村優有(スポ2=愛知・桜花学園)を中心に一気に早大のペースを取り戻す。連続得点で、第3クオーター(Q)終了時には40点差と突き放した。続く第4Qもそのままの勢いで点差を広げ、96-47で勝利を収めた。
ドリブルで切り込む江村
試合開始直後、早大は江村のレイアップシュートで先制する。しかしその後は慶大のディフェンスに阻まれシュートを決め切れず、攻めあぐねた。第2Qでも慶大の粘り強いディフェンスにより、早大のミスが続く。どちらも譲らない一進一退の攻防で、中盤は互いに点を取らせない。早大は慶大のタイムアウト直後、G利川晴菜(文構2=埼玉・早大本庄)がスリーポイントシュートを決め、流れをつかみかけたが、その後3連続で慶大にスリーポイントシュートを許してしまう。早大が望む試合展開をできないまま、5点差で試合を折り返した。
「日本一を目指している中で、これでいいのか」(G境美潮、スポ4=神奈川・座間)と、もう一度気を引き締め直して迎えた後半、一気に早大の流れに変わった。第3Q開始早々、望月綾乃(スポ1=東京・実践学園)がスリーポイントシュートを決め、幸先の良いスタートを切る。さらに江村を中心にディフェンスを固め、慶大に点を与えない。第3Q終了時には72-32と40点差をつけた。第4Q中盤ではC中野雛菜(スポ2=神奈川・東海大相模)が3連続でシュートを決めるなど、早大は第3Qの勢いそのままに得点を重ねる。後半に入って立て直した早大が、96-47で勝利を収めた。
スリーポイントを打つ境
観客を入れて3年ぶりに行われた今試合。選手に限らず、多くのファンも待ち望んでいた伝統の一戦だった。早大は早慶戦の連勝記録を伸ばして35連勝。「このチームはまだまだ伸びしろだらけで、もっと上を目指せる」とF桂蘭主将(スポ4=愛知・桜花学園)が語るように、次に控える関東大学女子リーグ戦では、さらにパワーアップした姿が見られるだろう。
(記事 濵嶋彩加、写真 栗田優大、野中美結)
第80回早慶定期戦 7月2日 | |||||
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1Q | 2Q | 3Q | 4Q | 合計 | |
早大 |
16 | 17 | 39 | 24 | 96 |
慶大 | 12 | 16 | 4 | 15 | 47 |
◇早大スターティングメンバー◇
G#35 境美潮(スポ4=神奈川・座間)
C#12 松﨑玲那(社2=愛知・桜花学園) C#22 中野雛菜(スポ2=神奈川・東海大相模) G#23 江村優有(スポ2=愛知・桜花学園) F#32 江頭璃梨(スポ2=宮崎・小林) |
コメント
桂蘭主将(スポ4=愛知・桜花学園)
――今の率直な気持ちは
コロナ禍で3年ぶりに有観客で試合をさせていただくことができて本当に心から嬉しいですし、勝つことができてほっとしています。
――今日の試合に向けてチームで話していたことは
とにかく自分たちのバスケットをやろうと言っていました。3年ぶりに有観客で、本当にたくさんの人たちに見てもらえる機会はなかなかないので、その環境に感謝して、楽しんで全員でやろうと話していました。
――前半に競ってしまっている中で、タイムアウトやハーフタイムでどのような話が出ましたか
前半は自分たちのバスケができてないというのがありました。相手は合わせのプレーがとても上手に決まっていた一方で、自分たちは個々の一対一とか(のプレーが多く)、チームで戦っているという感じがなかったので、そこを修正していかなきゃいけないという話をしました。そういう技術的な面と、あとは気持ちで勢いに圧倒されてしまっていました。観客の方々の声援も今までにない感じだったので、みんなも気持ちのコントロールが難しかったと思うのですが、自分たちのバスケをやろうという声かけをしていました。
――3年ぶりの有観客でしたが、応援は力になりましたか
本当に力になりました。シュートをするときも、シュートを決めた後も自分たちの(プレーの)ときにはとても鼓舞されて勢いに乗りやすかったのですが、逆に相手がシュートを決めると相手の観客も盛り上がってしまうので、その応援に左右されないように精神的にみんなでプレーしなきゃいけないという感じでした。
――チームとして1番の反省点と良かった点は
反省点は、出だしの悪さです。少しだけふわふわした気持ちではないですが、やはりみんなもあまり経験したことがない大舞台だったので、気持ちのコントロールは課題点だなと思います。良かった点は、3Qの追い上げです。チーム一つになってやってやろうというみんなの姿勢がとても見えたクオーターだったので、そこはチームとして収穫だと思います。今後は、その3Qの出だしを1Qの最初からやっていかなきゃいけないなと思います。
――夏への意気込み
このチームは、まだまだ伸びしろだらけで、もっと上を目指せると思うので、課題点はたくさんあるのですが、一つ一つ全員で解決していって、もっともっと強い早稲田を体現していきたいと思います。
境美潮副将(スポ4=神奈川・座間)
――今の率直な気持ちを教えてください
入りが悪かったけれど、最後に3ピリで自分達の流れを持ってこられたのは良かったと思います。
――今日の試合へどんな意気込みでしたか
今日の試合はもちろん早慶戦という大きな舞台でやらせてもらう感謝の気持ちと、このような状況下で盛大にやってもらえることに対して、自分のチームのマネジャーや周りのたくさんの人に感謝の気持ちを持って試合に臨みました。
――前半は競り合っている中で、タイムアウトやハーフタイムではどんな話が出ましたか
ハーフタイムでは自分達のできることをやっていない、日本一を目指している中でこのままでいいのかということを言われて、絶対このままではダメだ、3ピリから全員でもう一度気を引き締めてやっていこうと話をしました。ディフェンスから速攻という自分達の武器も前半はできていなかったので、そこも課題として話をしました。
――スリーポイントシュート見事でした。振り返ってみていかがですか
パスを出してくれた後輩がいたからちゃんと決め切ることができました。本当にナイスパスです(笑)。
3年ぶりの有観客で、応援は力になりましたか
1年生の時よりも人がいて本当にびっくりして、たくさんの人に見てもらえることはうれしかったし、本当に感謝です。自分達のコートの声が聞こえないくらい応援が聞こえました。
――最後に夏への意気込みを教えてください
このままでは自分たちの目標としている日本一には程遠いということはこの上半期の結果を踏まえてわかっていて、だからこそ、夏何ができるかが勝負だと思うので、毎日一つ一つ積み上げて、全員でまた力をつけて、リーグやインカレに向けて頑張っていきたいと思います。
江村優有(スポ2=愛知・桜花学園)
――試合を終えた今、率直な気持ちを聞かせてください
昨年初めて早慶戦をやって、その時は無観客でしたが、今年は有観客でやらせてもらって雰囲気も全然違って楽しかったです。
――今日の試合はどのような気持ちで臨みましたか
いつも通り、平常心でやるっていうのと練習してきたことを出すっていうことを意識して試合に臨みました。
――後半にかけて追い上げる試合展開でしたが、どのようなことを意識していましたか
1、2Qは各ピリオドの最初に出ていましたが、周りのチームメイトを使ってやろうと思っていました。後半からはしっかり攻めていって、いつも通り、自分のプレーは攻めて自分で点数を取りに行ってそこからアシストとかして周りを使うというふうに、ゲームプランを変えてやりました。
――初の有観客試合でしたが、応援は力になりましたか
有観客でやらせてもらって、慶大さんの応援もたくさんあって、早稲田の応援もたくさんあって、勢いがすごくて楽しかったですし、そういう環境でできるということに感謝の気持ちでいっぱいでした。
――夏に向けての意気込みをお願いします
次がリーグ戦になると思うのですが、昨年は3位でしたが内容が全然よくなかったです。内容の部分をしっかり重視して、ディフェンスはしっかり全員でやっていくのと、オフェンスはマッチアップで勝敗が決まると思うので、そのマッチアップの部分でスコアを取る技術が一番重要なスキルだと思います。そのスキルを個人的には磨いていって、一戦一戦しっかり勝ちに行けるように頑張りたいと思います。