すばらしいゲームだった。全日本大学選手権(インカレ)3位決定戦、早大は愛知学泉大に86-70で勝利し、8年ぶりにメダルを手にした。出だしから『早稲田のバスケ』で圧倒し、相手に主導権を渡さなかった。昨年、一昨年と2年連続インカレで敗れた愛知学泉大にリベンジを果たした。大会を通してチーム全員で戦い続けた早大は、最高の笑顔で今シーズンを終えた。
F今井美沙樹(商4=山梨・富士学苑)のスリーポイントで先制すると、足を使った積極的なディフェンスで相手にいいシュートを打たせない。早稲田のペースをつくり、一気に点差を広げた。22-14で第2クオーター(Q)に入ると、点の取り合いになる。G河村くるみ(教4=神奈川・座間)が粘り強いリバウンドとスリーポイントで流れを引き寄せると、早稲田が優勢に。しかし第2Q半ばに相手のシュートが決まり始め、再び点取り合戦が始まり、つかず離れずの展開となる。そのまま7点差でハーフタイムを迎えた。
チームに勢いを与えた河村
第3Q序盤はファールがかさみ、点は取れるものの、相手を止められない時間が長くなる。しかし、F栗田有子(スポ4=東京・明星学園)のオフェンスリバウンドで流れをつかむと、栗田のバスケットカウント、G江村優有(スポ1=愛知・桜花学園)のスリーポイント、Gフェスターガードヤヤ(スポ2=宮崎・小林)のバスケットカウントと、連続得点。なかなか広げられなかった点差を16点差まで広げて、第3Qは終了した。勝負を決めたい早大に対し、愛知学泉大は必死で追いすがる。第4Qでも点の取り合いに持ち込まれ、なかなか突き放すことができない。しかし終始安定した実力を見せたスターティングメンバーと、要所で勢いをもたらした交代メンバー、全員で得点し続けた早大が逃げ切り、86-70で勝利した。
ベンチでもコートでもムードメーカーだった栗田
この大会で7人の4年生は引退となる。G神山夢来主将(スポ4=埼玉栄)はこの試合を「一番自分たちのチームらしさが出たので、終わり方としていい締め方ができた」と振り返った。これまでのインタビューで、選手たちが口々に話した「楽しむ」という言葉。他のどのチームよりもコートで、ベンチで、試合を楽しみ続けた。言葉通りの『日本一のチーム力』で勝ち取ったインカレ3位だった。「本当に最高のチームです!」(今井)
(記事 冷水睦実、写真 宮島真白)
第73回全日本大学選手権 12月11日 (vs愛知学泉大) | |||||
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1Q | 2Q | 3Q | 4Q | 合計 | |
早大 |
22 | 17 | 24 | 23 | 86 |
愛知学泉大 | 14 | 18 | 14 | 24 | 70 |
◇早大スターティングメンバー◇
G#11 神山夢来主将(スポ4=埼玉栄)
C#7 大原咲織(スポ4=東京成徳高) F#34 今井美沙樹(商4=山梨・富士学苑) G#3 フェスターガードヤヤ(スポ2=宮崎・小林) G#23 江村優有(スポ1=愛知・桜花学園) |
MIP賞 フェスターガードヤヤ
得点王 フェスターガードヤヤ
優秀選手賞 江村優有
3PT王 江村優有
クリーン・ザ・ゲーム賞 早稲田大学
コメント
G神山夢来主将(スポ4=埼玉栄)
――今の率直な気持ちを教えてください
まず勝ち切れてうれしいというのと、一番自分たちのチームらしさが出たので、終わり方としていい締め方ができたのではないかと思います。
――4年間を通して得たものはなんですか
一番得たものはやはりチームで戦うというところです。早稲田はスター選手が揃っているわけでもないけれど、チームだからこそ強いというところを学びました。インカレを通してチーム全員で良いところをそれぞれが出して勝ちを目指していくというところを学びました。チームのために何ができるかというのを常に考え続けてこの4年間やってきたし、それが表現できたと思うので、それがこの4年間で得たことです。
――後輩に向けてのメッセージは
早稲田のバスケは応援したくなるというのを周りの人から言ってくださることが多かったのですが、それは自分たちが楽しんでいるからこそ見ている人も楽しんでもらえていると思います。そのようなチームを今年ちゃんとつくれたというのを見てほしいです。でもそれは4年生だけの力ではなくて、1、2、3年生の力もあったと思うので、そこは自信を持って来年からも応援されるチームであり続けてほしいなと思います。
――結果として期待しているところはありますか
もちろん1位を目指してほしいけれど、それよりも大事なものがあると思います。やることをやっていれば結果として1位になれると思います。「1位になって」という言葉は重荷になってしまうと思うのであまり言いたくはないです。みんならしく楽しんでほしいなと思います。
――インカレは有観客での開催となりましたが、応援してくれた方へのメッセージをお願いします
やはり上からの拍手や応援はすごくうれしかったです。なによりも自分たちのバスケを生で見てくれるというのがうれしかったです。周りの人たちの応援あってこそのこの結果だと思うので、やっぱり有観客最高だなって思いました!
――いまチームのみんなにかける言葉はありますか
最後までついてきてくれてありがとうというのと、本当に楽しかったというのを伝えたいです。
――今日の試合を振り返っていかがですか
今日は最初から自分たちのリズムに持っていけたし、みんなが気持ちを出せていたと思います。後から入ってきた4年生のメンバーも流れを変えてくれるようなプレーが多かったと思うので、さすが同期と思ったし、その同期の姿を見て自分ももっとやらないとと思ったので、楽しかったです!
――大会全体を振り返っていかがですか
1回戦のところで相手も強くて、それでも自分たちのプレーをできたと思うし、1回戦、2回戦と上がっていくごとにチームがどんどん強くなっていくなという感覚があったのでトーナメントの戦い方としてすごく良かったんじゃないかなと思います。
――同期のみんなにかける言葉はありますか
この同期じゃなかったらやってこられませんでした。私も私生活でキャプテンらしいキャプテンではないからこそ、みんながそれぞれ考えてくれたし、自分の役割を全うしてくれて、今のチームがあると思うので同期には感謝です。欲を言うならば、あとの2人と最後コートに立ちたかったなと思います。でも、このチームのためにずっと戦い続けてくれた後輩の2人と、最後みんなで終われて良かったなと思います。
――4年間の早大バスケ部での生活を振り返っていかがですか
最初入ってからはけがが続いて悔しいことやうまくいかないこともたくさんあったけど、それでも仲間に恵まれてるなというのをずっと感じていたから、ここまで来れました。日本一になるという目標をずっと諦めないで追い続けて良かったなと思います。結果的に日本一にはなれなかったけれど、愛知学泉大は一昨年も昨年も負けたチームで、先輩たちの借りも返せたので、もういいです!終わりよければ全て良しという感じで、もう良かったです!
C大原咲織(スポ4=東京成徳高)
――今の率直な気持ちを聞かせてください
去年も一昨年も愛知学泉大に負けていて、絶対勝ちたいと思っていたのが勝てたのと、入りからずっと早稲田のバスケで、相手がオフェンスリバウンド強いことは分かってたから、とにかく頑張ろうと話してたことが1試合通してできて、早稲田のリズムで、相手に流れを与えずに、やりきれたのが勝てた理由だと思うから、本当にうれしいです。これ以上いいチームはないです!
――後輩にメッセージをお願いします
本当に頼もしい後輩たちで、チームとしてももちろん、下級生も入学当初とは全然違って、どんどん成長しています。もっと続けて日本一になってほしいし、留学生みたいなでっかい選手がいなくても、勝てるってことを証明してほしいです!
F今井美沙樹(商4=山梨・富士学苑)
――今の率直な気持ちを聞かせてください
本当に最高のチームです!自慢のチームです!!大好き!!
F栗田有子(スポ4=東京・明星学園)
――ご自身のプレーを振り返っていかがでしたか
試合出たときはやってやろうっていう気持ちで、フィンさん(大西真由監督、平20卒)に任された仕事を考えて動いたらリバウンド取れました。やるべきことを徹底できました。
――チームメイトへメッセージをお願いします
4年間楽しいことばっかりじゃなくて、苦しいこともあったし、やめたくなることもあったけど、頑張り続けて、仲間を信じていれば、神様は絶対見てるし、いいことあるなって思ったから、後輩には今よりさらに楽しくいいチームをつくっていってほしいなと思います。 同期もありがとう!この同期じゃなかったら辞めていたので本当に同期に感謝します。 出られないひとが出られないままで終わるんじゃなくて、一緒に戦ってきたからこそ、どっちの気持ちもわかるから、みんなが盛り上がって、一体感があってうちのチームの良さです。コミュニケーションもたくさんとるから、そこがいいところなので今後もベンチがうるさい早稲田をよろしくお願いします。
――最後に一言お願いします
誰にでもチャンスはあるから、最後まで自分のやるべきことを信じて徹底すれば、絶対に最後笑えるから、みんなには楽しんでほしいし、出ているメンバーも出ていないメンバーも関係なく、早稲田に誇りを持ってほしいです。
G河村くるみ(教4=神奈川・座間)
――率直な気持ちをお願いします
全然緊張とかじゃなくてチームの雰囲気も良かったし、今までやってきたことに自信を持てるだけの準備をしてきたから、自信を持って落ち着いてやれば大丈夫っていう気持ちでコートに立って、それが成果になって本当にうれしかったです。
――チームメイトへメッセージをお願いします
今年のチームは試合に出ていた人たちがもちろん輝いていたけど、対戦相手のアジャストのためにビデオを撮ってくれるところからマネージャーさんも動いてくれました。何よりもトレーナーさんが自分たちよりも長く体育館にいてケアしてみたいな、出られない子たちの思いがすごい強くて、それが出ている人たちにも伝わって、それがコートで表現できました。本当にうまい人達が活躍するだけのチームじゃなくて、そういうチームをつくれたことを誇りに思います。今シーズンそういうチームをつくろうとスタートしたから、それが代々木の舞台で表現できて本当にうれしかったです。
――最後に一言お願いします
4年間は本当に長いし、部活をやる子も減るから、辞めたくなることもあるけど、そこで頑張れたことは本当に自信になるし、仲間に励ましてもらえたことは最後こういう形でいいことになります。本当にうれしいことは一瞬だったかもしれないけど、その時のためにいろいろなきついこととか、だめにならないで続けてこられて本当に心から良かったと思います。仲間に感謝します。