昨年は関東大学女子リーグ戦(リーグ戦)で優勝し、優勝候補として臨んだ全日本大学選手権(インカレ)。しかしながら、結果は2回戦敗退。リーグ6位の筑波大にまさかの逆転負けを喫した。そこからチームを再建してきたのが今年の4年生だ。高校時代はインターハイ、ウィンターカップの出場経験が豊富な強豪校からやってきた選手が揃っており、昨年から早稲田の主軸としてプレーしてきた選手ばかり。そんな選手たちが集まっていたにも関わらず、今年1年間は結果が出ず苦しみ続けた。
まず春に行われた関東大学女子選手権(トーナメント)では、ベスト4までは勝ち進んだものの、上位3校との総当たりの試合では全く手が出ず完敗。連戦を戦って行く中で、早稲田の選手層の薄さを痛感した。そして9月から始まったリーグ戦。前半はC中田珠未(スポ4=東京・明星学園)が代表選抜でいない中、順調に勝ち進んだ。しかし、中田がチームに合流し、全員で上位3校と戦っていこうという場面で、拓大、東京医療保健大にまたしても完敗。特に東京医療保健大との2戦目には100点ゲームで力の差を見せつけられ、選手たちの心が折れた。
3連敗の後、暗い雰囲気の選手たち
そんな中でも「インカレに向けて戦っていかなきゃ」と自ら奮起したのも4年生だ。東京医療保健大との試合後、4年生だけで集まって話し合いをした。プレーヤーだけでなく、チームを支えるベンチメンバー、スタッフなどそれぞれが思いを打ち明ける。そこで改めて自分たちの目標を確認し、一つになって戦おうという意志が固まった。
そして臨んだインカレ。全員が声を掛け合って、楽しそうにプレーしている姿がそこにはあった。もちろん全員が万全の状態で臨むことはできなかったかもしれない。それでもボールに対して必死に食らいつく姿、最後まで絶対に諦めない姿を表現し続けた。勝負の世界には結果が付き物なので、最後まで関東の上位3校に勝てなかったことやインカレがベスト8で終わってしまったことは選手たちとって悔しかっただろう。それでも「見ている人に感動や笑顔を届けたい」(内山未悠主将、社4=愛知・桜花学園)という思いは観客に届いているに違いない。少なくとも私はその内の一人だ。来年からはBリーグなどで引き続きバスケットをする選手や一般企業に就職する選手などそれぞれの道を進んでいく。だから早稲田でプレーしたことに誇りをもってこれからの人生を歩んでいってほしい。
最後は笑顔を見せる4年生
(記事、写真 瀧上恵利)
コメント
1年間チームを引っ張り続けた内山主将
F内山未悠主将(社4=愛知・桜花学園)
――日本一を目指していたインカレで、3回戦で敗れてしまった今の率直な気持ちを教えてください
今はとても複雑な気持ちですね。悔しいし、こんなところで終わりたくないし、まだまだこのチームで試合したかったです。でもこの1年間本当に苦しかったと思うのですが、みんなが本当によく頑張ってくれました。チームメイトには感謝しかないです。
――きょうの試合を振り返っていかがですか
1ピリの出だしで離されてしまって、それが結局最後の点差にもつながっていたと思います。プレーの面ももちろん差はあったのですが、最後までボールをねじ込む気持ちやリバウンドを取り切る気持ちの部分の差だったのかなと思っています。自分たちに気持ちがなかったわけではないのですが、相手の方が上でした。
――ずっと課題にあげていたリバウンドに関してはいかがですか
インカレが始まってからもずっと課題として上がり続けたままで、みんなで修正しようとは言っていたのですが、なかなかできませんでした。コート上のメンバーしかそれを表現できないのに、たくさんアジャストしてくれたり、ビデオを撮ってくれたりしていたベンチメンバーはすごく歯がゆかったと思います。気持ち次第で取れるリバウンドを取れず、ただ見させてるだけだったのが一番申し訳ないです。みんなの思いをコートで表現できなかったのが悔しかったです。
――第2Qで2点差まで迫った中、追いつけなかった要因はなんでしたか
ディフェンスだったかなと思います。点差を詰めたところで、もう一回ディフェンスを徹底してリバウンドを取り切って、速い攻めにつなげることができませんでした。せった状態の時にしっかりつながってここを守ろうという意識が緩んでしまった隙に、点差を離されてしまったと思います。それでも1試合を通してベンチとコートがつながっていられて、プレーをしていて楽しかったし、心強かったです。そこは全員に感謝したいです。
――ここまで苦しかったシーズンだったと思います。1年間チームを引っ張ってきていかがでしたか
本当に苦しかったです。もうキャプテンを辞めたいと思ったし、バスケもやりたくないと思ったし、気持ちはやりたくても体がついてこない時もあったし、本当に苦しいシーズンでした。でもここまでやってこれたのは家族や応援してくれた方ももちろんそうなのですが、一番は同期の存在でした。ぶつかることもあったのですが、それでも日本一を目指してまとまってくれる同期で、それぞれ声をかけてくれるチームメイトでした。友里恵(安藤、スポ4=愛知・西春)がいつも声をかけてくれて、それがあったから自分もここで負けていられないと思えました。絶対に友里恵の笑顔が見たいという思いでインカレにずっと臨んでいました。結果が付いてこなかったのは残念で、この1年が終わってしまったんだなという思いなのですが、ここまでやり切ってきて、同期や後輩、スタッフさんたちに感謝したいし、楽しかったです。
――四年間早稲田でプレーしたきたことを振り返っていかがでしたか
自分自身は1、2年生の時に全然試合に出られなくて悔しかったし、全然楽しめていませんでした。それでも諦めずに取り組み続けて、3年生でスタートになって、リーグ優勝もしたのですが、昨年はあっけなくインカレで敗れてしまいました。それを経てすごく成長できたのかなと思います。1、2年生の時に出られなかった思いと、3年生になってスタートとしての責任を果たせなかったインカレを経験したからこそ、4年生でキャプテンになった時に自分のするべきことが分かりました。チームメイト全員を見渡して、みんなが一つになってバスケを楽しんでいるのかを感じ取ったり、細かい部分に全てつながっていました。だからこそ4年生の1年間はすごく楽しかったです。でもその楽しさは1、2年生の苦しい時期を経験したからこそだと毎日実感していて、監督や1〜3年の時の先輩方にも感謝の気持ちでいっぱいです。
苦しい場面で何度もスリーポイントを決め、チームを救ってきた細貝副将
F細貝野乃花副将(スポ4=愛媛・聖カタリナ女)
――今の率直なお気持ちを教えてください
インカレという独特な雰囲気の中で、こうしてたくさんの人に応援していただけたことは嬉しかったし励みにもなったのですが、結果として応援してくださった方々や両親、御父兄の方々含め、後輩も同期にも形として恩返しできなかったことはすごく悔しいです。試合内容をとっても納得いくものではなかったので、満足の行くインカレではなかったかなと感じています。
――きょうの敗戦の原因は何だと思われますか
自分たちのやってきたリバウンドやルーズボールのところが徹底してできなかったことが一番の原因かなと思います。
――後半の苦しい時間帯でご自身のスリーポイントシュートが連続で決まっていました
あの時は絶対に決めてやるという気持ちでした。正直インカレ始まる前からコンディションやシュートのタッチが全然合わなくて、不安ではなかったのですが、会場も変わり、インカレという雰囲気の中で、シュートを自分の思うように決めきれなかったことは個人としてとても悔しいです。チームとして自分のところにパスをしてくれた分、そのボールに思いをのせて、打たなくてはいけなかったのですが、打てていなかったのかなと思います。
――この1年間を振り返っていかがですか
私は長かったし辛かったなと思います。1年だけではないのですが、4年間いろんな思いがあってそれぞれやってきて、個人としては辛いことがたくさんあったと思っています。しかし、他の部活の人がきょうも応援に来てくれたり、同期や後輩の頑張っている姿を見ると、早稲田大学全てのいろんな人達のつながりで頑張れたというか、それが励みになったと感じています。そのつながりはずっと続いていくものだと思うので、今回形として恩返しできなかった分、また違う形で恩返しできると思うの0で、この出会いを大切にしていきたいなと思います。
――後輩達にメッセージをお願いします
4年生中心でチームを作ってきたのですが、後輩のみんながついてきてくれなかったら今のチームはないと思います。逆に4年生の至らないところもたくさんあったにもかかわらず、後輩が影でたくさん動いて自分たちの見えないところで支えてくれたので、すごく励みになったし、だからこそ申し訳ない気持ちでいっぱいなのですが、大学四年間は財産になると思うから、あと1年、2年、3年、あるけれど、悔いのないように頑張って欲しいです。
いつも笑顔でプレーし、チームを元気付ける安藤
F安藤友里恵(スポ4=愛知・西春)
――日本一を目指していたインカレで、3回戦で敗れてしまった今の率直な気持ちを教えてください
本当に日本一を目指してやってきたので、悔しい思いでいっぱいです。
――きょうの試合を振り返っていかがですか
出だしで自分たちがやってきたディフェンスやリバウンドのところで相手に主導権を取られてしまったことが一番大きなところでした。リバウンドを最後まで修正できずに終わってしまったのが、きょうの負けにつながったと思います。
――四年間早稲田でプレーして行く中でサポート役に回ることが多かったと思いますが、最後の試合はどのような思いで見ていましたか
本当に早稲田が好きで、このチームで勝ちたかったです。1年生の時からやってきた中で、個人としては試合に絡むことがなくて悔しい思いでいっぱいです。でも本当に「このチームのために」という思いだけで四年間やってきたし、インカレ期間中もこのチームで勝つことだけを考えてやっていました。
――ここまで共に戦ってきた同期のメンバーに対する思いを教えてください
本当に一人一人個性が強くて、しっかり自分を持っているメンバーでした。だからこそ、噛み合わない部分や通じ合えない部分もあったのですが、一人一人が勝ちたいという思いでバスケットに向き合っている姿は自分自身も刺激を受けていました。本当に頼もしい人たちだなと思っていました。とにかくこの9人がいたから自分はバスケ部を続けてこれたし、9人で最後笑いたかったなと思います。
――早稲田での四年間を振り返って
楽しいことよりも苦しかったり、結果が出なかったりしたことが多い四年間でした。ただその中でも自分が何すべきかとか何をしたらチームに還元できるのかを考え続けた四年間です。そうやって考え続けてやってきたことは自分の自信にもつながったし、逆にこの部活で悔しいと思ったことを次の自分につなげてやっていきたいなと思います。
――最後に後輩たちへのメッセージをお願いします
一年間4年生に付いてきてくれて、4年生を盛り上げようとしてくれたことを感謝しています。まず「ありがとう」と伝えたいです。一年は一瞬で過ぎていく時間だと思うので、1日1日を大切にして、誰も欠けることなくみんなでつながって、もう一回日本一に向けて輝いてほしいなと思います。
ガードとして味方を生かす攻めをし続けた岩田
G岩田千夏子(社4=岡山・明誠学院)
――最後の試合を終えて、今のお気持ちは
やり切ったなという気持ちが個人的には強いです。試合はもちろん勝ちたかったし、優勝を目指してやっていたので結果としては悔しい部分もあるのですが、全員が全力を出し切った結果だと思うので、達成感が強いです。
――インカレのここまでの試合を振り返っていかがですか
初戦からずっとリバウンドが課題になっていて、私たちの1年間の課題が克服できないまま来てしまったことは悔しい部分ではあるのですが、最初の2試合はきちんと勝つことができて、去年の結果を越えることができたのは良かったと思います。ここまで最後の大会にチーム一丸となって気持ちを一つに戦ってこられたことは本当に良かったなと思います。
――きょうの試合はサポートに徹しましたが、振り返っていかがですか
シュートの面で相手の方が一枚上手だったなというのが正直な感想で、苦しい場面でも決め続けていたのが向こうで、こちらはなかなか決めきることができなかったことが、敗因の一つだと思います。でも、自分たちも途中で追い返す波があったし、良いところもたくさん出たと思うので、コートに出ている5人が一生懸命頑張っている姿を見て、ベンチも一体となって頑張ることができたと思います。
――サポートや声掛けで意識していたことはありますか
どんな場面でも、次に頑張ろうとか次に取り返そうというふうに声を掛けて、一つのミスに対して引っ張らずに次に切り替えられるようにと思って声を掛けていました。
――早大での4年間を振り返って今何を思いますか
去年1年間けがをしてリハビリを続けていて、みんなと一緒にバスケをできない時期があったのですが、チームメイトのみんなが支えてくれたり声を掛けたりしてくれて、それがなかったら今こうやってバスケをもう1度できていなかったと思うし、本当にこの早稲田で関わったすべての人にありがとうと感謝を伝えたいです。
献身的なプレーでチームを支えてきた澁谷
F澁谷咲月(スポ4=大阪薫英女学院)
――早大での最後の試合を終えて、今のお気持ちは
すごく悔しいです。みんなで勝ちたかったし、試合に出ていないメンバーが本当に良くバックアップしてくれたからこそ、自分たちは戦えていたので、その子たちのためにも、応援してくれている人たちのためにも結果として表したかったです。本当に申し訳ないという気持ちと、悔しい気持ちが大きいです。
――きょうの試合を振り返っていかがですか
第1Qから最後まで、途中少し改善されたところもあったのですが、終始リバウンドのところで取られていたなと思います。リーグの課題がそのまま改善されずに出てしまったなという反省点があります。
――早大らしい走るプレーは体現できましたか
ディフェンスからオフェンスに切り替わる時にセンターがよく走ってくれてブレイクが出ましたし、ウタ(細貝野乃花・スポ4=愛媛・聖カタリナ女)やライ(船生晴香・スポ3=新潟・開志国際)が外回りのディフェンスを頑張ってくれて、そこからのブレイクもできたので、要所要所で早稲田らしいところは出せたかなと思います。
――チームに貢献するプレーを見せたいと事前対談などでおっしゃっていましたが、きょうのご自身のプレーについてはどう評価しますか
全部チームのために注いでやったつもりなのですが、結果勝ち切れなかったということは、体を張り続けるだけではなくて点数として表れる部分でもっとやらなくてはいけないことがあったのだと思います。でも、他の人を生かすということは自分の中ではできたかなと思います。
――リーグの期間は苦しんでいる印象でしたが、この1年間を振り返っていかがですか
この1年間本当にしんどかったです。でも結果的に、早稲田に入って本当に良かったと思ったし、この同期と会えたから今の自分がいるということもすごく実感しています。色々な人からバスケットの楽しさや難しさを教えてもらったからこそ、高校の時はもうやめようと思っていたのですが、また続けようと思えました。4年目は本当に苦しくて、自分が思うようなバスケットはできなかったのですが、全体を通したら学生時代のバスケットの締めくくりとして本当にいいものにできたと思います。
けがから復帰し、最後まで前を走り続けた中村
C中村美羽(社4=千葉・昭和学院)
――今の心境をお願いします
どうしても人生で一度も叶えたことのない日本一になりたくて、この大学にきて、結局準決勝まで進めず責任を感じているし、悔しいです。
――きょうの試合を振り返っていかがですか
きょうの試合は出だしが悪かっです。相手もシュートが入らなくて、こっちもシュートが入らず、向こうが波に乗った時に、こっちはまだ流れができていなくて、でもその中で点差を離されても追い上げられたことは良かったかなと思います。
――第2Qで2点差まで追い上げた場面を振り返ってください
2点差まで追い上げた時にいけると思って、そこからもずっと大丈夫大丈夫と思っていたのですが、そこで畳み掛けるべきだったのにそこで突き放せなかったのはすごく悔しいです。
――チームとして課題だったリバウンドはどうでしたか
気持ちで向こうが飛び込んできたのに対してこっちも受けてしまったし、1年間リバウンドが課題と言っていた中で、きょうもたくさん取られてしまいました。私はもうバスケットを続けないのでこの先につなげますとは言えないのですが後輩たちには頑張ってほしいです。
――インカレ全体を振り返っていかがですか
私は出場時間がすごく長くて、チームの中で一番出ていたのですが、きのうもおとといも正直タフだったし苦しかったですけど、やはり日本一になりたかったなという思いが強いです。
――早稲田での4年間を振り返ってください
3回骨を折って、靭帯を切ってたくさんけがをして苦しい4年間だったのですが、最後の年にいろんな人の支えがあって、最後の年にたくさんコートに立てて表現できたのはすごく楽しかったです。何より9人の同期と素敵な先輩後輩に出会えたことが人生の財産になったと思います。
早稲田をここまで勝利に導いてきたエース・中田