あと一歩が届かなかった。全日本大学選手権(インカレ)ベスト4を懸けた重要な一戦の相手は強豪・筑波大。インカレ連覇を狙う早大にとってヤマ場であり、何としても負けられない試合であった。立ち上がりから先制を許すも、その後は両校の意地がぶつかり合い試合はシーソーゲームに。最終クオーター(Q)までデットヒートを繰り広げるも、最後の最後まで着実にチャンスをものにした筑波大に及ばず。最終スコアを64-69とし、インカレ連覇という悲願を達成することはできなかった。
強豪とはいえ関東大学女子リーグ戦(リーグ戦)では白星を挙げている相手。立ち上がりから流れを引き寄せ、早大ペースに持ち込むことが期待されたが簡単にはさせてくれなかった。いきなり先制点を許すと、続けて24秒オーバータイムを取られてしまう苦しい展開に。ディフェンスで相手のファウルを誘うも、インサイドで思うように得点を挙げられない。しかし、16-21と追う展開でスタートした第2QでC今仲杏奈(スポ2=大阪薫英女学院)が躍動する。連続9得点を挙げると、F関根彩乃(教4=千葉・昭和学院)が放ったミドルシュートで初めて逆転に成功。筑波大がすかさずタイムアウトを要求し立て直しを図るも、早大は勝利への執念を見せルーズボールに飛び込むなど果敢なプレイを見せる。終盤にF加藤臨(スポ3=山形市立商)が3連続シュートを沈め33-29とリードを保ったまま前半を終えた。
シュートやリバウンドなどで、加藤の活躍が見られた
このまま流れを引き寄せたい第3Q。早大は粘り強いディフェンスやリバウンドで好機を演出するもシュートがリングに嫌われてしまい、なかなか得点につながらない。F萩尾千尋(スポ2=愛知・桜花学園)がスリーポイントシュートを沈め、悪い流れを断ち切るかと予感させたが、相手にリバウンドを取られる場面が増え攻め手に欠けてしまう。このQの得点を7点に抑えられてしまい、40-45と5点ビハインドで迎えた最終Q。ようやく今仲が約6分ぶりにフィールドゴールを決めると、SG酒井愛(社4=神奈川・金沢総合)やG田村未来(スポ3=愛媛・聖カタリナ女)も応戦し、徐々に点差を縮めていく。我慢の展開が続く中での残り4分、3点差まで縮めた早大は田村から放たれたスリーポイントシュートが華麗に決まり同点に追いつく。女王としての意地がここぞという強さを見せつけた。しかし筑波大も黙ってはいない。すぐに点を取り返すと、確実にシュートを沈めていく。ノータイムで田村がスリーポイントシュートを再び決めるもフリースローの権利を連続で与えてしまい、あと一歩及ばず。64-69と悔しい敗戦となった。
酒井は得点、リバウンド共にチーム最多を記録したが、4年生として悔しい結果となってしまった
「もう日本一になれるチャンスがなくなってしまった」(田村)。試合終了のブザーが鳴り響いた瞬間、選手たちは肩を落とし目には涙を浮かべた。リーグ戦を制し勢いに乗っているいま、再び今大会で頂点に輝くことを誓っていただけに、ここでの敗戦は非常に悔しいものとなった。しかし、立ち止まっているわけにはいかない。この悔しさを晴らすため、そして最終日を笑顔で迎えるために。残り2試合、最後まで全員が一丸となって突き進んでいく。
(記事 黒田菜々子、写真 渡部歩美、東哲也)
第67回全日本大学選手権 11月26日(vs筑波大) | |||||
---|---|---|---|---|---|
1Q | 2Q | 3Q | 4Q | 合計 | |
早大 |
16 | 17 | 7 | 24 | 64 |
筑波大 | 21 | 8 | 16 | 24 | 69 | ◇早大スターティングメンバー◇ |
SG#31 酒井愛(社4=神奈川・金沢総合) G#22 田村未来(スポ3=愛媛・聖カタリナ女) F#18 関根彩乃(教4=千葉・昭和学院) F#7 加藤臨(スポ3=山形市立商) C#24 今仲杏奈(スポ2=大阪薫英女学院) |
|||||
◇主なスコアリーダー◇ | |||||
得点 酒井愛、今仲杏奈:17得点 リバウンド 酒井愛、田村未来、関根彩乃:7リバウンド アシスト 酒井愛:6アシスト |
|||||
コメント
F関根彩乃(教4=千葉・昭和学院)
――2連覇を逃す結果となりましたが、敗れた大きな要因としては何が考えられますか
ディフェンスで奥手に回ってしまったことと、攻め気でありながら気負いすぎたのかシュートがなかなか決まらなかったなという印象です。
――ディフェンスに関して試合全体を通してどのような反省をお持ちですか
ピックのところでズレをつくらせて、そこからの得点が前半から後半までずっとあったなという印象です。
――試合全体を通して、なかなかリズムに乗り切れなかった印象でしたが
オフェンスではなかった時のディフェンスを守ってということをやりたかったのですが、結局ディフェンスの部分でもこけてしまってそれがオフェンスにもうまくつながらなかったと思います。個人的にも打ってはいたのですが、シュートがリングに嫌われてしまって決めることができなかったので反省です。
――これから2日間、順位決定戦に回ることになりましたがどのように調整していきたいですか
このチームでできる試合もあと残り2試合なので、きょうの気持ちを切り替えてあしたあさって戦っていきたいです。
G田村未来(スポ3=愛媛・聖カタリナ女)
――筑波大に負けてしまいましたが、いまのお気持ちをお聞かせ下さい
日本一を目標にやってきたので、ここで負けてしまったことはすごく辛いし、チームの皆の思いや4年生の思いがすごくあったのに、それを形に表せなかったのですごく悔しいです。
――どのようなことを意識して試合に臨みましたか
どんな相手でもやることは変わらないし、練習でもアジャストを沢山やってきたので、練習でやってきたことをしっかり出そうといつも萩原(美樹子、平17二文卒=福島・橘)ヘッドコーチが言っているので、 相手どうこうというよりもまずは自分たちがやるべきことをやるという気持ちで臨みました。
――チームとしての敗因は
いつも点を取る人が、自分もそうですが、点を取れなくて、やばいやばいという雰囲気のままいってしまいました。さらに誰かが良いプレーをしてこっちに波が来たときも、それに乗っかれるように続かなかったというのが悔しい点です。相手の勝ちたいという思いに対して自分たちが受け身になってしまったように感じて、自分たちのチャレンジャー精神を忘れていたかなと思います。
――前半はわずかにリードしていましたが、ハーフタイムにはどのようなことをお話しされていたのですか
前半にやられていたプレーに対しての対処方法、を萩原ヘッドコーチがこういうところはこう守ると言っていました。そこが後半もできていたら点数も変わっていたのですが、上手く修正できていなかったなという感じです。
――第4Qで同点のスリーポイントシュートを決めていらっしゃいましたが、振り返って
第4Qまでは自分のファウルトラブルのこともあって、試合に勝ちたいという思いよりもまずファウルしないようにというマイナスな印象でプレーしてしまっていました。でも第4Qになったときに萩原ヘッドコーチが「もうファウルとか気にしなくていいから思いっきりやってきなさい」と言ってくれて、そこから気持ちが吹っ切れたというか、こんなことを考えている暇があったらもっと頑張らなきゃって、そこからは切り替えてできました。それがもっと早いうちからできていたら結果も変わっていたのかなと思うとすごく悔しいです。
――本日の試合からチームが得たものとは
もう日本一になれるチャンスがなくなってしまったので、気持ちはすごく辛いのですが、このチームでプレーできるのもあと2試合だけなので、全員思い切って、良い形で終われるように頑張りたいです。
――次戦へ向けての意気込みをお願いいたします
試合に出ている人たちだけじゃなくて、試合に出ていないベンチの人や、応援席の子とかが皆一つになってサポートしてくれているチームなので、その人たちの思いも全部受け取って、コートでしっかりと表現できるように頑張りたいです。