プロ相手に善戦するも、惜しくも敗戦

女子バスケットボール

  きのうに続いて行われた皇后杯全日本総合選手権大会(オールジャパン)。2回戦で順大に圧勝し学生王者としての強さを見せつけた早大は、プロチームである新潟アルビレックスBBラビッツ(アルビレックス)と対戦した。プロを相手にどこまで通用するのか、選手たちはチャレンジャーとしての意識をもってこの試合に臨んだ。

 第1クオーター(Q)中盤まではC桂葵(社4=愛知・桜花学園)の得点などでシーソーゲーム。しかし終盤になるにつれてミスやファウルが相次ぎ、徐々に点差を離されていってしまう。そのままゲームの主導権を握られたまま試合は第2Qへ。ここでも早大のシュートはことごとくリングに嫌われ、なかなか得点することができない。5分が経過したところでようやくPG本橋菜子(スポ3=東京・明星学園)のシュートが決まり、約8分ぶりの得点をマークする。ここから一気に流れを取り戻したい早大だったが、アルビレックスの高い得点力の前に苦戦を強いられる。残り45秒でG田村未来(スポ2=愛媛・聖カタリナ女)がスリーポイントシュートを決めるも追随できず、18-31で前半を折り返す。

大黒柱として最後の働きを見せた桂

 迎えた後半立ち上がり、早大はF関根彩乃(教3=千葉・昭和学院)のミドルシュートや本橋のスリーポイントシュートなどで連続10得点をマーク。その後は相手のシュートミスにも救われ、リバウンドを次々と獲得し着実に得点につなげていく。第3Q終了時点で41-44と相手を追い詰めた。良い流れを維持したいまま迎えた第4Q序盤、桂がファウルトラブルでベンチに退く。再び流れはアルビレックスのものになりつつあったが、最後まで諦めずに懸命なディフェンスと積極的にゴールを狙う姿勢を見せる。最終的に52-66で試合を終え、惜しくも敗戦。3回戦で姿を消すことになった。

この円陣も今回が最後となった

 プロのチーム相手に屈することなく、一時は1点差まで追い上げる場面もあった。敗れはしたものの来季につながる試合であっただろう。「三冠を目指して頑張ってほしい」と語るG神﨑由香主将(スポ4=福岡・中村学園女)の思いは、今季の終了とともに後輩たちにしっかりと託された。

(記事 橘高安津子、写真 宮西祐香子)

第81回皇后杯全日本総合選手権大会1月3日(vs新潟アルビレックスBBラビッツ)
   1Q 2Q 3Q 4Q 合計

早大

10 23 11 52
アルビレックス 18 13 13 22 63
◇早大スターティングメンバー◇
G#22 田村未来(スポ2=愛媛・聖カタリナ女)
PG#15 本橋菜子(スポ3=東京・明星学園)
F#11 根岸夢(スポ3=東京成徳大)
F#18 関根彩乃(教3=千葉・昭和学院)
C#25 桂葵(社4=愛知・桜花学園)
コメント

萩原美樹子ヘッドコーチ(平17二文卒=福島・橘)

――きょうの試合を振り返って、感想をお願いします

途中本当によく追いついたと思いますし、そういう意味ではよく頑張ったかなと思いますけど、やっぱり局面局面で、学生ならではの甘さというのが出てしまって。そこがちょっと残念でしたね。そういう意味では、勝てないこともなかったんじゃないかな、と思いますね。

――プロチームが相手ということで、選手にはどのような指示をされていましたか

特に準備したことというのは実はそんなになくて。ただ、得点を取ってくるというのをしっかり守りなさいという練習はしてきたんですけど、ちょっとやっぱり出だしがね。自分たちのオフェンスが上手くいかなくて、それでちょっとディフェンスにも集中できなかったかなというのがちょっともったいなかったかな。

――第3Qで追い上げたきっかけというのは

一つはやっぱりちょっと前半が非常に重くて。選手が、このままで良いのかな、ってしっかり考えてくれたことと、あとは、オフェンスが上手くいかなくて、セットプレーが多くなっちゃっていたのね。その部分で、第3Qの出だしに、フリーランスで動かしてというところを言うようになってから、そこが上手く機能していった部分があるかなと思います。

――桂選手のプレーする姿を見ていて、いかがでしたか

本当に今シーズンを代表するようにというか、本当によく頑張ったなと思います。直前にちょっとけがしちゃったのが、本当にもったいなかったなと思っていて。あれさえなければ、もう少し違った展開もあったのかなと思っているんですけどね。まあそういったところも含めて、学生の甘さかな、という気がしますね。

――らいねんのチームに向けて意識していることはありますか

ことしの主力がほとんど残るので、桂、神﨑はいなくなりますけど。根岸、本橋、関根と。きょうなんか関根はほとんどプレーできていなかったので、そういった悔しさなんかも含め、それから今までの試合経験というのもらいねん必ず生きてくると思います。あとは桂のところをいかに、今いる今仲、林というメンバーで、らいねんもセンターが入ってくるので、その辺をどういうふうに作っていくのかというのがらいねんの私の課題になってくると思っています。十分らいねんも戦える素材はいると思いますので、さっきもちょっと言ったんですけど、先輩の記録を上回る気持ちで、らいねんに臨んでほしいと思います。

――最後に4年生に向けて一言お願いします

何かちょっと最後はけがなんかもあって不完全燃焼という子もいたとは思うんですけども、リーグ優勝、インカレ優勝というのは十分、今の4年生が頑張ってくれた結果であって、そこは本当に歴史に残していく、誇るべき伝統を作ってくれたと思っていますので、本当にありがとう、と伝えたいです。

G神﨑由香主将(スポ4=福岡・中村学園女)

――きょうの試合をベンチから見てどのような印象でしたか

最初の出だしで、相手の身体が強かったりする部分を打破するのがちょっと遅かったなと思って。最初はやっぱり実業団には敵わないかと思っていたんですけど、第3Qの出だしから対等に戦っていけたなと思います。でもやっぱりパスの1つだったり、リバウンド1本を実業団は見逃さないなというのを感じて、この敗戦を生かして来年詰めの甘さとかだったりを減らしていってほしいと思いました。

――今大会はキャプテンとしてどのような意識をもって臨みましたか

私ができることはベンチの子への声掛けだったり、試合に出ている子に外から見た目線での声掛けを意識して、最後キャプテンとしてみんなに背中を見せられるように、プレーでは引っ張れなかったんですけどキャプテンとしての仕事を全うしようと思いました。

――この4年間、様々なことがあったと思いますがいかがでしたか

ほんとあっという間だったなというのが率直な意見です。1年1年色んなチームのカラーがあって、先輩もいて後輩もいて、私自身の4年間はケガが多くて悩まされたんですけど、そのたびに成長することができて逆境をどのように乗り越えていくかだったり、悔しさから学ぶこともたくさんありました。最後もこうしてケガしてしまったんですけど、そこでもまた学べて、ケガしたのは自分の責任なので、みんなよりもっと多くトレーニングするべきだったというのがひとつ後悔です。でもケガをしている後輩とかがその姿を見て、ケガしていても外からの声掛けとかできることはたくさんあるということを学んで、来年以降につなげてほしいと思っています。

――今後バスケットボールを続けていく予定はありますか

最後ケガをしてしまって、このままじゃ終われないという思いがすごくあるので、どうなるか分からないし私の想いを周りが受け入れてくれるかどうかも分からないんですけど、今のところは続けていければいいなという感じで思っています。

――最後に後輩たちに向けて一言お願いします

この1年間キャプテンの私を支えてくれてありがとうということと、あと来年はぜひ三冠を狙って1日1日の練習の積み重ねだったり、仲間と協力する姿勢であったり、こんなにチームがひとつになって戦うことは人生においても少ない機会だと思うので、この時間を大切にして三冠を目指して頑張ってほしいと思います。

C桂葵(社4=愛知・桜花学園)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

きょうの試合を振り返るともっと勝負はできたかなと思います。オーさんにも言われたんですけど、学生の甘さっていうのが敗因かなと思います。

――前半は大きく点差が離れてしまいましたが、要因は

相手が実業団ということもあってかわかんないですけど、自分たちのバスケが全然できてなくて、特にオフェンスの部分でみんな消極的になっていたかなと思います。

――後半、一時は1点差まで詰め寄りましたが、後半改善したところは

オフェンスに動きが出てきて、私の部分だけじゃなくて周りが点数すごく取っていて、そういういろんなバリエーションのオフェンスができた時に点差が詰められたと思います。

――それでも最後追いつくことができませんでしたが、どこに差があったのでしょうか

本当に大事なところで私自身が2本ミスをしてしまって、シュートミスを含めてそこの部分で詰めが甘いなっていうのがあります。あそこでしっかりできてたらなという反省があります。

――相手が実業団ということでしたが、大学生チームとの差はありましたか

実業団の選手というのは勝負所がわかっているなというのはすごく感じました。

――この試合で引退となりますが、いまのお気持ちは

本当に幸せなバスケ人生でした。ことし1年特にそうですけど、3、4年ぐらいバスケやってきたんですけど本当に人に恵まれていたなと思って、人に恵まれたバスケ人生でした。みんなに感謝の気持ちを伝えたいです。

――4年間の競技生活を振り返っていかがですか

萩原さんにすごく感謝しています。本当にヘボかったんですけど心身ともに、同期のみんなもそうですし先輩後輩たち、萩原さんや藤生さんがここまで育ててくれて、この4年間は私の人生の分岐点でした。

――最後萩原さんと4年生でお話もしていましたが、どのようなお話をされましたか

お疲れ様ということと、最後決していい終わり方ではなかったですけど、二冠ということでワセダの歴史に名は刻めたんじゃないかと言って頂きました。

――これで競技生活は終わりとなりますが、いまのお気持ちは

寂しいですね、やっぱり。すごく楽しかったです。

――悔いは残っていませんか

悔いはないです。やり切りました。最後このチームで引退を迎えられて本当によかったです。バスケ人生最後のチームがこのチームで本当によかったです。

――感謝している人はいますか

みんなに感謝したいですけど、一番はやっぱりオーさんですかね。私の人生変えてくれた人です。

――後輩に向けてエールをお願いします

ことし1年間こうしてやってこられたのも後輩たちのおかげなので、きっとあの子たちならいいチーム作れると思うので応援しています。ことしを考えずに、いまの3年生のチームを作って欲しいなと思います。

G田村未来(スポ2=愛媛=愛媛・聖カタリナ女)

――試合を振り返っていかがですか

実業団相手にこのチームで戦うのは初めてだったのですが、1ピリ目からワセダのプレーができたら良かったのですけど。最初は良かったのですが、出だしでちょっと自分たちのチャレンジャー精神みたいなのができなくて、こんなはずじゃないみたいな雰囲気が流れていました。そのみんなの思いとかを話し合ったりして共通理解ができたので、後半からの3ピリからの出だしは一気に自分たちのバスケットができて捉えることができたので、それが1ピリからできていたら良かったなと思います。

――後半にかけてどのように意識を持っていったのですか

みんなそれぞれが攻められるチームなんですけど、前半は攻められてなかったのでそこでもうちょっと自分たちの意見を言い合ったりしました。それで、全員が契機を狙えるチームで3ピリからは桂さん(葵、スポ4=愛知・桜花学園)だけじゃなくてみんなが攻め出して良い流れができたのだと思います。

――きのうの試合ではミスが多かったとおっしゃっていましたが、きょうはご自身を含めチーム全体としていかがですか

自分は前半で1本ミスしたときに、指示をもらって自分のミスの癖が多く見られたミスだったので、それは絶対続けないようにしようって意識していたました。なので、それからは目立ったミスは無かったのですが、チーム全体としては良いディフェンスをして良い流れ、というときに、オフェンスでミスしてしまったりというのが続いたので、そこをしっかりオフェンスでつなげていたら良かったなという心惜しい感じです。

――スリーポイントシュートの得点が多く見られた印象がありますがいかがですか

元々スリーポイントが得意なのでいつも通り撃ったのですが、きょうは特にみんな前半で調子が上がっていなかったから、自分が点を取ろうという思いが強かったです。なので、いつもより積極的に狙いにいった点が良かったのかなと思います。

――4年生とは最後の試合となってしまいましたが、どのようなお気持ちで臨まれましたか

最後になるかもしれない試合だったので、とりあえず楽しんでやろうと思ったのと、自分ができることを一生懸命やって4年生のためにも頑張ろうと思っていました。桂さんが足をケガされていたのもあって、いつも通りの際どいパスとかを桂さんのところに狙えなくて、気持ち的に不安があったのですが、それでも安定して点を取ってくれたりとか4年生としての意地をみせてもらったのでやっていてすごく楽しかったです。

――4年生に向けて一言お願いします

4年生は色んな個性があって、みんなそれぞれ違うキャラクターや頑張り方があって全員がみんなに愛されて自分が4年生としてやるべきことをやられていたので、だから明るくてみんなの個性が出あう良いチームになったんだなと思います。感謝の気持ちでいっぱいです。

――来季に向けてどのような選手やチームにしていきたいとお考えですか

この試合でもそうだったのですが、スリーポイント以外のシュートの確率がすごく悪いので、スリーポイントもそうだし、それ以外のシュートの確率をもっと上げるのと、集中していたらミスしないんですけどちょっとでも集中が切れてミスしちゃうっていうのが自分の性格なので、常に自分の気持ちを張ってミスしないというのを徹底したいです。らいねんからの4年生をしっかり支えられるように、自分も上級生になるのでしっかりとした強いプレイヤーになりたいなと思います。