全日本大学選手権(インカレ)準決勝、相手は関東大学女子リーグ戦(リ―グ戦)3位の東京医療保健大。リーグ戦で1点差ゲームを演じたこともあり一段とハードな展開が予想されたが、攻守に持ち味を発揮した早大が主導権を握り続けた。昨季阻まれた準決勝のカベを盤石の戦いで突破、大学バスケットの頂点へ視界は良好だ。
型にはまらない対応力が早大の特徴。第1クオーター(Q)、スクリーンプレーを多用する相手にも声を掛け合って臨機応変に守り、フリーで撃たせない。F根岸夢(スポ3=東京成徳大)がディフェンスリバウンドを何度も拾ってチャンスを奪い、わずか10失点に抑えた。攻めては好調を維持しているC桂葵(スポ4=愛知・桜花学園)を軸としつつも、根岸のカットインやF関根彩乃(教3=千葉・昭和学院)、G田村未来(スポ2=愛媛・聖カタリナ女)のスリーポイントシュートと的を絞らせず加点。冷静に、確実に、これ以上ないスタートをきった。
リーグ戦から大きく成長している関根
第2、第3Q、ファウルを重ね一時流れを失いかける場面もあったが、萩原美樹子ヘッドコーチ(平17二文卒=福島・橘)が「安心して見ていられた」と手放しに評価したほどこの日のディフェンスは安定、大きく崩れることはなかった。第4Q、後がない相手の激しいプレスディフェンスもガード陣が打開。一度も逆転を許さず、65-52で試合をものにした。桂は「一人一人がしっかり自分の役割を果たした」と振り返る。なかでも、関根は今大会ファウルトラブルで自分のプレーができず苦しんでいたが、この試合桂と並んでチームトップの得点数。復調をアピールし、良いイメージをつかんだ。
ガードとしてはもちろん得点力にも優れている本橋
あすはついに白鷗大との決勝戦。昨季のインカレ3位決定戦で敗れ、今春の関東大学女子選手権では辛くも1点差で勝利。リーグ戦で早大が唯一黒星をつけられたライバルでもある。まさに『因縁の対決』だが、桂は「変に気負ってもないし、変なプレッシャーも感じていない。あまり気張らずにいつも通りワセダ通りの試合運びをしていけたら」と自信をのぞかせる。泣いても笑ってもインカレ最終日。2014年大学王者が、あす決定する。
(記事 森健悟、写真 宮西祐香子、渡部歩美)
第66回全日本大学選手権11月28日(vs東京医療保健大) | |||||
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1Q | 2Q | 3Q | 4Q | 合計 | |
早大 |
21 | 14 | 19 | 11 | 65 |
東京医療保健大 | 10 | 11 | 13 | 18 | 52 | ◇早大スターティングメンバー◇ |
G#22 田村未来(スポ2=愛媛・聖カタリナ女) PG#15 本橋菜子(スポ3=東京・明星学園) F#11 根岸夢(スポ3=東京成徳大) F#18 関根彩乃(教3=千葉・昭和学院) C#25 桂葵(社4=愛知・桜花学園) |
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コメント
萩原美樹子ヘッドコーチ(平17二文卒=福島・橘)
――きょうの試合を振り返っていかがですか
選手が本当によく頑張ってくれたなと思います。医療さん(東京医療保健大)はオフェンスがすごく良くて、今回のインカレはキレキレだったので、私自身、あのオフェンスとか得点力を守れるかな、とちょっと心配だったんですけど。リーグ戦で当たっている分としては選手たちがよく対応してくれて。ちょっと新しいことに関しても、選手たちは試合の中で改善してくれて、本当によくやってくれたと思います。
――ディフェンスに関しては具体的に何か指示を出されたのでしょうか
そうですね。ディフェンスに関しては、試合前に具体的に支持はしたんですけど、うちは寮とかじゃないので、話は試合前にちょっとしかできないんですけど、それを選手がきちんと理解してくれて。それが上手くいかなかったら、ゲームの中で対処しなさいと言ったですけれど、それを彼女たちは、対応した。だからもう安心して見ていられました。
――具体的にはどのような指示を出されましたか
スクリーンがすごく多いので、そこはもしダメだったらスイッチしなさいと。そしてどっちかというとスイッチをしてミスマッチをつかれるというよりは、ガードのところでのドライブがあるので、ガードのドライブに関しては、センターが上で声を掛けて、ミスマッチを恐れないで、とにかくガードのドライブだけはスイッチして守るようにと。
――関根選手が好調でしたが
そうですね、関根はきょう当たっていたんですよ。本当にこのリーグ戦で成長してくれたので。このインカレに入ってからはちょっとファウルトラブルで、あまりリズムがつかめなかったので。でもきょうはよく頑張ってくれたと思います。
――決勝は白鷗大ということで、どう戦おうとイメージを持っていますか
白鷗さんは、うちに関してもそうなんですけど、お互いもう知り尽くしている相手なので、あとはその知り尽くしている部分を出し合いしながら、選手たちのガチンコの戦いになってくると思うので、私はその選手たちの力を出せるように、上手く話とかをしていければと。もう小細工とかそういうのはないので、それだけですかね。
――桂選手ところのセンターの戦いに関しては
そうですね、やっぱり馬さん(白鷗大)のところと桂のところです。桂もことし最後ということで非常に力入ってますし、神﨑(由香、スポ4=福岡・中村学園女)の分もね、ありますので。あしたは私も楽しみにしています。
――カギになるのは
ディフェンスだと思いますね。うちは今大会はディフェンスがよくてここまで来ているので、相手の得点源の林さん(白鷗大)ですとか、馬さんとか鶴見さん(白鷗大)をどういうふうに抑えられるかがカギになってくると思います。
C桂葵(スポ4=愛知・桜花学園)
――きょうの試合を振り返っていかがですか
本当に一人一人がしっかり自分の役割を果たした結果かなと思います。
――きょうは序盤からワセダらしいかたちが出ていたと思いますが
今まで言われていたコートの中で選手で判断して対応していくというのがすごくできていたのが、それがワセダらしさだと思うんですけどよかったなと思います。
――相手は型にはまったチームとおっしゃっていましたが、対決してみていかがでしたか
本当に負けられなかったというか、自由に自分たちの判断で向こうのシステムを勝っていけたのがよかったと思います。
――きょうはリバウンドもディフェンスもよかったと思いますが
みんなすごく踏ん張ってくれていて、下級生たちが頼もしくて心強かったです。
――ついにきょねんは来られなかった決勝の舞台ですが、この試合に懸ける意気込みはありますか
ことしはチームとしてあまりインカレという特別さが無くて、すごく普通な感じで練習通りやってきたことをやろうみたいな、変に気負ってもないし、変なプレッシャーも感じていないし、そういう雰囲気があるので、あした決勝なんですけどあまり気張らずにいつも通りワセダ通りの試合運びをしていけたらいいなと思います。
――相手は白鷗大ですが、印象はいかがですか
本当に馬(白鷗大)との対決で、最後なので。いま負け越しているので最後大逆転できたらいいなと思います。
――馬選手との対決でポイントになることは
ボールを持たせないことですね。ディフェンスがカギになると思うので、オフェンスは自分のところで攻める必要全くなくて、誰でも点数取れるので、自分がディフェンスでやられないことが一番だと思います。
――あしたの意気込みをお願いします
勝ちます!
F関根彩乃(教3=千葉・昭和学院)
――きょうの試合を振り返ってみていかがですか
ディフェンスが試合を通して良かったので、試合展開が大きく崩れることがなかったのが良かったと思います。
――ディフェンスは具体的にはどんなところが機能したのでしょうか
相手のオフェンスに対して新しいこともやってきたんですけど、そこをちゃんと自分たちがアジャストして、守ることができたのが良かったです。
――ガードのところの1対1にはどのように対処しましたか
センターが早めに喋って、基本的に1対1で守ってもらうんですけど、最悪スイッチという形で、状況判断を早くしようということでやっていました。
――今回はその状況判断が成功したということですか
そうですね、はい。
――今大会関根選手はファウルトラブルに苦しんでいたようですが
正直3試合とも苦しんでいて。ファウルトラブルで自分のプレーが今日までできいなくて、前半は個人的にファウルに気をつけてやっていたので、きょうは大丈夫でした。
――きょうはオフェンスの面でも中心となって活躍されていましたが
いつもシュートから狙うようにはしているんですけど、この試合までファウルで自分のテンポがつかめていなくて。ファウルしなかった分、きょうはオフェンスはいつも通りできました。
――いよいよ白鷗大戦、ポイントとなってくる3選手に対してどのようなディフェンスで対処しようと思っていますか
その3人を中心に、きょうみたいに厚みを持ったディフェンスで全員で頑張っていきたいと思います。ただ、他のところでもはき出した時に得点力があるので、そこを集中しつつも最後までディフェンスし切れるように頑張りたいと思います。
F根岸夢(スポ3=東京成徳大)
――きょうの試合を振り返って
自分はゴール下のシュートをたくさん落としてしまって前半でもっと離そうと思えば放せたと思うのですが、大事なシュートを結構落としてしまった、という印象でした。
――相手の印象は
セットプレーが多いのでそこはアジャストできるから、どんなことをしてきてもそれを対応しようという感じでした。
――連日の試合となっていますがどのような意気込みで試合に臨みましたか
特に気負うこともなく、練習通りっていうイメージで臨みました。
――リバウンドで大きく貢献していましたが
相手は大きくて体も強いし、4ポジのところがミスマッチになってしまっているのでやっぱり自分が飛び込まないと取れないなと思いました。リバウンドを取っていると相手にボールを奪われないのでそういう面でリバウンドに徹しようと思いました。
――ディフェンスが良い試合でしたね
練習してきた通りに守れていたと思います。
――試合中盤にかけて大差をつけましたがプレーしていていかがでしたか
特に離れているから気が抜けるというわけではないので、もっともっと離せるようにと思ってプレーしました。
――あすは白鴎大との決勝となります。意気込みをお願いします
相手も自分たちも、相手のいいところをわかっているのでそこをいかに止められるかと、自分たちのプレーを自分たちらしくできることが大事になってくると思います。あしたもリバウンド勝負になってくるのでリバウンド頑張りたいと思います。
PG本橋菜子(スポ3=東京・明星学園)
――準決勝、強豪相手にどのように臨みましたか
東京医療保健大の特徴として、セットオフェンスがすごく多くて、そういうのに対しては絶対にアジャストできると言われていたので、そこをしっかりするところと、ここまできたら楽しんでやろうと。負けたらそこまでだったんだという気持ちで臨もうと話していました。
――第1Qを21-10で制しています。良かった点で思い当たるものはありますか
あんまり覚えていないんですけど(笑)、ディフェンスが対応できていて10点に抑えていたのがやっぱり良かったんだと思います。
――ハーフタイムには神﨑由香主将(スポ4=福岡・中村学園女)から声をかけられていましたが、どのような内容だったのでしょうか
内容は覚えていないんですけど、常に声をかけてくれるので心強いですね。
――連戦になります。きょうも長い時間出場されましたが、体力的の面で不安はありますか
きのうまでもそうだし、きょうもベンチメンバーがいろいろ出てくれて、交代で休ませてもらったのもあるし、あしたあと1試合なので、死ぬ気で頑張ります。大丈夫です。
――いよいよ白鷗大との決勝戦、どう臨まれますか
冷静に言うと、得点源が3人いるんですけど、自分のマークなのでそこをしっかりと抑えることと、あとはリバウンドやルーズボールといった細かいところで負けないようにすることと、絶対に接戦になって苦しい展開が続くと思うんですけど、嫌にならないでチームで一つになって頑張っていきたいと思います。
――気持ちの面では
4年生のためにも、ケガで出られない人もたくさんいるんですけど、そういう人たちの思いを背負ってコートで戦っていきたいと思います。