【連載】インカレ直前特集『TRUST』第6回 萩原美樹子ヘッドコーチ×藤生喜代美アシスタントコーチ

女子バスケットボール

 『信頼』――。この特集で取り上げてきたどの選手もがチームから得ているものであり、チームに対して持っているものだ。そしてこの2人と選手たちの間には、確固たる信頼が存在する。萩原美樹子ヘッドコーチ(平17二文卒=福島・橘)と、藤生喜代美アシスタントコーチ(平25スポ卒=福井・足羽)だ。チームの状況を誰よりも理解し、選手たちの力を引き出すために力を尽くす2人に話を聞いた。

※この取材は11月22日に行われたものです。

「リーグ戦を通してチーム全体として成長した」(藤生アシスタントコーチ)

ハーフタイム中、選手に指導する藤生コーチ

――リーグ戦を振り返っていかがですか

萩原 優勝という結果はすごく良かったなと思いますが、内容的に見ると一つ一つのゲームで危ないゲームもあったので。でもそこはすごく本人たちが我慢をして、特にリーグ戦の序盤に星を落とさなかったのが大きかったかなというように思いますね。競ったゲームをずっとものにし続けたという意味では、本人たちがしっかり戦ってくれたなというように思います。ただ競らなくてもいい場面で競る弱さがあったかなというようには思います。

藤生 負けてもおかしくなかった試合がいくつかあって、リードされてちょっと厳しいかなという試合から、また息を吹き返して勝ちに最後つなげるゲームがいくつも経験できたこと、それは主力で出ている子が頑張った試合もあったし、厳しいなというときにベンチから出た選手が、こちらが期待する以上の動きをしてくれてゲームが取り戻せた試合もあったので、本当にチーム全員で戦った結果出てきたことだったのかなと思います。

――リーグ戦で見つかった課題はありますか

萩原 抽象的な言い方なんですけど、ゲームの流れが読めないところがあるかなという感じがして。いまちょっと我慢しなきゃいけないというときに慌ててシュートを打ってしまったりとか、いまはオフェンスが上手くいかないのでディフェンスでもうちょっと踏ん張って欲しいなというところであっさりやられちゃったりだとか。そういう意味では私はみんながキャリアがある選手だと思っているので、もう少し考えながら、ゲームの流れを読みながら試合を進めてくれるといいかなと思います。ただこれは一朝一夕で簡単に良くなることではないので、インカレに向けてそれをリーグ戦とインカレの間の短い期間でどういうふうに改善していくか、というのはとても難しい話ではあるんですね。ただそれは常に選手には言っていますし、もうちょっと流れの中で自分たちで判断をして我慢をするところ、取るべきところはイージーシュートを外さないとか、そういうところは引き続き課題なのかなというふうには思いますね。あとは、オフェンスはセンターの桂(葵、社4=愛知・桜花学園)のところが起点になるので、今回のリーグ戦ではそこを厳しく守られたというところがあって。それは普段の練習ではなかなかできないところだったので、そこは一つ桂のところを守られたときに周りがどう対応するかというのは課題ですね。

藤生 状況判断というのが課題かなと思っていて、それは私が感じたこともありますし、選手たちで話し合ったときも、オフェンスの場面のところ、ディフェンスの場面のところでも多々あって。こちらとしてこういう時はこういう守り方をしようとかこういうオフェンスをしていこうとかは、練習の中で具体的に示すじゃないですか。でもそこにその動きにとらわれてしまうときがあったので、その場その場で常に状況は違うわけだから、その次のステップとして相手の特徴を捉えて状況判断することが必要だね、というのは選手たちからも聞いた声で、やはりそこは感じてします。

――逆にリーグ戦で得た収穫はありますか

萩原 競ったゲームで諦めなかったということじゃないですかね。それに尽きると思います。ただ今回のインカレは一発勝負なので、競る必要のないところはしっかりぶっちぎるとかそういうことも必要になってくると思います。ただ競った場面で本人たちが最後まで本当に諦めないで戦うということは、一つ収穫だったんじゃないですかね。

藤生 最後まで諦めないということ。あとは、いままでだとリバウンド・ルーズボールとかそこを自分たちでもっと取りにいこうとか、気持ちでいけるよねということを反省に挙げる年だったり試合だったりがあったんですけど、そこに関しては、もっと気持ちでいけたんじゃないということはなかったなというふうに思っています。リバウンドはもうちょっと詰めていこうとか試合毎にあったと思うんですけど昨年の次のステップに来ているのかなと思っていて、終始リバウンド・ルーズボールに関しては取り組めたのかなと思いました。

――昨年のチームから変わったことは

萩原 そんなに変わっていないとは思うんですけど、ただきょねんの攻守の要だった本多(真実、平26スポ卒=愛知・桜花学園)が抜けた穴というのは5月の関東大学女子選手権(トーナメント)あたりまで私の感覚としてはありました。でもそこからリーグ戦につなげていくところで本多の穴が埋まったというよりは、違うかたちで回るようになったという感じですね。

――リーグ戦で印象に残っている試合はありますか

萩原 専大戦じゃないですかね。絶対負けたと思いましたもん。白鷗大の延長戦も印象深いんですけど、専大のゲームは1ピリ2ピリでだいぶ差が付いたんですよね。20点差ぐらいになったと思うんですよ。これはダメだわと思った試合で、取り戻したというか、ほとんど最後は奇跡の逆転だったので、あれは印象深いですね。

藤生 15点ぐらいリードされた試合でひっくり返したのが筑波大と専大と白鷗大の3つだったと思うんですけど、その3つですね。筑波大戦は最初の出だしで開幕戦だったと思うんですけど、「あれ?こんなになっちゃうの?」みたいな空気があった中であんなゲームでも盛り返して勝てたってことは、力があるのかな、あとは安定感なのかなと思いながら見ていました。専大戦は相手も強い中で、地力でもいい勝負になるのかな、そこから諦めかけたところから勝って、白鷗大戦は王座の戦いでどっちがチャンピオンなんだという試合になったと思うんですけど、それで1試合負けて、「きょうはやれるぞ」という空気の中でいった試合が「あれ?リードされてる。厳しいのかな」というところから、本当に。最後逆転にかかる時間も短かったですよね。3、4分だったと思うんですけど、あの時間帯で十何点差開いているというのは…

萩原 だからさ、おかしいんだよ(笑)。始めからやってくれればいいのに。

藤生 延長の5分で、10分で取れなかった点数以上の点数を取るんですよ(笑)。本当に面白いなと思います。勝ったから面白いと言えますけど(笑)。

――今季成長したなと思う選手はいますか

萩原 桂は成長したと思いますね。もちろん「あれ?なんで?」と思う時も多いんですけど、でもある程度計算できる。オフェンスの中で桂を起点にしておけばなんとか回るので、きょねんよりも存在感は出てきたなと思います。あとは関根(彩乃、教3=千葉・昭和学院)がよくなったかな。根岸(夢、スポ3=東京成徳大)、本橋(菜子、スポ3=東京・明星学園)はずっと使い続けているのであれですけど、リーグ戦の序盤は本当に関根に助けられた部分があったので、そこはことしすごくよくなったと思っています。

藤生 リーグ戦を通してチーム全体として成長したので、それぞれに幅はあるけど成長できた選手はたくさんいたなと思っていますね。

――リーグ戦では下級生の活躍も大きかったと思いますが

萩原 今仲(杏奈、スポ1=大阪薫英女学院)それから林(靖子、社1=福井・足羽)は、桂がどうしても出場時間が長くなるのでそこをいかに休ませるかというのがことしの課題だったんです。彼女たちを出してそこで試合が多少崩れることもあったんですけど、全体的に見れば合格点じゃないかなと思います。専大戦のときは桂が良くなくて、林で追い付いたんですよね。すごくよくやってくれたかなと思います。

藤生 1年生は試合に絡んでいるのが今仲と林だと思うので、桂も成長してきたとは言えまだ波があった中で、(ベンチに)下げて落ち着かせることができるのは交代するメンバーがいるからで。一回ベンチ帰ってきて冷静になると自分で気付いて修正できるようになってきているので、それができるというのは、下げられないとできないことなので、すごく大きいと思っています。

――ことしのチームの特徴は

萩原 真面目。やんちゃがいないと言ったらあれですけど、きょねんのチームとかは本多は割とやんちゃが入っている、それから森(仁美、平26スポ卒=大阪薫英女学院)もそうだったんですね。「オーさんああ言ってるけど」みたいな感じで。それでもいいんですけど、それぐらいじゃなきゃゲームのときは私がやるんじゃくて選手がやるから。私が常に言っているのは、私の肩幅を超えて欲しいという点で、練習の中ではある程度こっちがやっぱり指示するわけですよね。こうして欲しい、ああして欲しいとか。それをすごく守ろうとしすぎちゃう、自分でもっと色々判断できるはずなのに、見えなくなっちゃうところがあって。そういう意味ではくそ真面目というかバカ真面目というか、やんちゃがもうちょっとあってもいいかなと思うところはありますね。ただそういう真面目さがすごくリバウンド・ルーズボールに飛び込むとか、最後まで諦めないとか、そういう雰囲気を生み出しているのは神﨑(由香主将、スポ4=大阪薫英女学院)なんですけど、そういうチームカラーなんじゃないかなと思います。

藤生 早大は毎年明るいチーム、というのは自分でも思っているんですけど、本当にイフ(神﨑)を中心に試合前の円陣でワン・ツーってやる時の表情が、チームみんないい顔しているのを見るとすごく嬉しくて。円陣の前に声かけして盛り上げているのがイフとかなんですけど、真面目ってオーさんも言っていたそれが根底にはあるんですけど、その中でも雰囲気を作っていこう空気はイフを中心にあるのかなと思っていて。それを見た下級生とか他の選手も、あんなようになりたいとかいう選手も出てきていますし、真面目さと明るさと両方あるのかなと思いますね。

――プレーの面で求めていることは

萩原 自分で判断して欲しい。さっき状況判断ということも触れましたけど、もっとこういうプレー出てくるでしょとか、いまディフェンスこうだったでしょとかそこを見切れないとかがあって。もっと面白いはずだよ、ということが私の中にあって、決められたプレーからオプションを選ぶのだとあんまり面白くないと思っているんですよね。うちのチームはフリーランスというか自由に色々判断する要素を大きくしていて、だからこそゲームが安定しないというのがつながることもあるんですね、決まった動きが少ないので。だけどその分選手一人一人の能力的なものが状況判断力にかかることがすごく多くて、裏を返せばとっても面白いことなんですよね。その面白さというのがリーグ戦を通じて何となくわかったという感じもあるみたいで、「フリーランス、上手くいくと面白い」っていうように言っていることもありながら、まだもうちょっと見つけることはあるかなっていうことはあって。それはことしのチームはできると思うんですよね。力はあるから、試合の中の状況状況で判断してディフェンスが守れないようにとか、スペースを生む動きだったりとか、そういうのはもうちょっとやれたらなと思いますよね。

藤生 昨年のチームとの違いにも通じるところもあるんですけど、点を取る人がたくさんいて、ことしは桂のインサイドだけではなくてどこからでも点が取れるようにしていきたいというのは、春からプランとして掲げていて。桂が点を取って制する試合もあるとは思うんですけど、それに相手チームが対応してくる。そのときに周りは何ができるの、というのがあって、フリーランスの中で状況判断で次はどうしていくかを決めるというのはあると思うんですけど、点を取る選手が多いというかどこからでも攻められる。見ていて面白いし、本人たちも面白いしというのはありますね。

「彼女なしにはことしのチームはなかっただろうな」(藤生アシスタントコーチ)

チームについて語るコーチ陣

――チームにおいて、神崎主将が果たす役割はどのようなものでしょうか

萩原 いないとダメですね。プレーもそうだし、チームの雰囲気づくりという面でも。それはもう少し、神崎ではない子たちがそこを請け負ってほしいと思うところはあるのですが、神崎もそれですごくしんどいときがあると思うので。自分のプレーがうまくいかないのに、チームを引っぱらないといけないという。本当はそこは4年生に、桂はゲームに出ているので仕方ないですが、井関(夏実、社4=神奈川・金沢総合)とか伊沢(なつみ、スポ4=東京成徳大)とか平田(彩乃、社4=長崎西)とか、もう少し手伝ってくれればいいなと思うときがあるくらい、神崎がだいぶ頑張っていますね。

藤生 同じですね。彼女ひとりのチームではないのでこう言うと語弊があるかもしれませんが、彼女のキャラクターが存分に反映されているチームではないかと思いますね。彼女なしにはことしのチームはなかっただろうなと。

――桂選手についてはいかがでしょうか

萩原 彼女はずっとゲームに出ていて、その意味では神崎よりも試合に出ている時間は長いですね。具体的に戦術上の役割は桂にかかる部分が大きいので、ゲームキャプテンのようなところがあるかなと思います。ことし見ていて面白かったのは、神崎をスターターにすると、桂が落ち着くというのがあって。いままで桂は頑張りたい、4年生として存在感を持ちたいけれども、結構感情の波があるのでダメになっちゃうと沈んでしまい、その後どうしたら良いかわからないというところがありました。神崎をスタートにしてからは桂が落ち着いて、本人が頑張ろうとしている気持ちに対して神崎がそれを補強するというようなバランスになっていて。さらに頑張らないと、という気持ちを出せるようになっているかなと思います。

藤生 入ってきた頃を思い出すと、本当に成長したなと(笑)。

萩原 どうしようこの子、と思ったもんね。何度折れかけたか、こっちが(笑)。本当に良かった。まあ、頭が良いからね、あの子。

藤生  そうですね、頭が良いので、自分なりの意見と考えを持っていて、それに変にこだわりすぎてしまって打開できないというところがありました。でも修正能力、柔軟性がついてきて、こだわり過ぎずに「他の人がこう言っている、じゃあ変えてみよう」とできるようになったかなと思います。

萩原 人の言うことを聞くようになったのだと思います。彼女なりにこだわっている部分があったけれど、「とりあえず言われたことをやってみるか」となった。それは大きいよね。

――3年生以下、下級生が果たしている役割が大きいところもありますか

萩原 ゲームに出ているのは3年生が多いですからね。もうちょっとしっかりして欲しいですね(笑)。

――雰囲気の面では下級生はいかがでしょうか

萩原 もうちょっと3年生のゲームに出ている子たちが、頑張っていないわけではないのですがマイペースに頑張る子たちで。周りを巻き込むということが不得手に見えるのですね。だからどうしても雰囲気が悪くなってしまったり、うまくいかなくなってしまったりすると、一人一人が自分の中で戦いを始めてしまう。そういうときに周りを巻き込んだり、ある意味バカになったりというのができると良いかなと思うところはあります。性格的な部分なので難しいかなとは思いますが。2年生では加藤(臨、スポ2=山形市立商)、田村(未来、スポ2=愛媛・聖カタリナ女)と中村(和泉、社2=山口・慶進)ですね。ゲームに絡んでいることは多くありますが、なんといってもその意味では田村は良いムードをつくるときがあって、ただ彼女も感情の波があるタイプなので、沈んでいるときはどこにいるかわからないくらいで(笑)。田村が良いときは、4年生のやりたいことを後押ししてくれていますね。あとはもう少し他の4年生と2年生3年生が、神崎が頑張ろうとしているところをわかって、自分の殻に入らないでバックアップしてあげられれば、もう少し良いなとは思うのですが。

藤生 印象としては同じように思っています。ことし夏合宿に行くときに全員連れて行くことができず、合宿に行くチームと学校に残るチームと2つに分けたのですが、合宿に行く組は実業団のチームと対戦することになって。どれだけやり合えるかを見ていたのですが、試合の中で本人たちもどんどん成長していいました。このレベルをいかに日々の練習でつくり出すことができるか、を本当に自分の中で大きな必要性として感じました。そうなれば、試合に出る子たちだけでなく、それを脅かす子たちがどれだけ成長できるかということを強く思って。どれだけ力をつけられるか、それがこのリーグ戦で心がけたことでもありました。それが練習の中で取り組めた試合はきちんと準備ができたと思います。それに加えて状況判断は必要になって、それがうまくいかなかったり対応が遅れてしまったりする反省はありましたが。そういう意味で、その子たちが自分たちの役割、いまは何に取り組まないといけないのかということを考えてくれるようになったのかなと思います。

「選手がいい顔をして試合をやってくれればいいかな」(萩原ヘッドコーチ)

ベンチから選手に指示を出す萩原ヘッドコーチ

――リーグ戦とインカレを優勝するチームがここのところいませんが、それについて選手にはどんな話をされていますか

萩原 うん、仰る通りで、しばらくないんですよね。拓大の3連覇以来じゃないですかね。なので、それはすごくチャレンジをする価値があるよね、ということは言いました。

藤生 別物だと思っていて、その2大会を勝てる力というのが。なので、リーグ戦を優勝したから順調に行けば次も、というの感覚は、自分の中には正直全くなくて。オーさんも、リーグ戦が終わったときにその今言ったことを選手に言ってくれて、選手ももう一回気を引き締めて、というところになっていると思うんです。全く別のものを目指しているので、チャレンジャーであることに変わりはないというか。で、その中でちょっと若干「勝たなければいけない」みたいな空気がやっぱりあるように感じたので、それに対しては、「あくまでもチャレンジャーだよね、私たち」ということは伝えました。

――注目している対戦校はありますか

萩原 まあ全部。やっぱり怖いですよ。一発勝負だから。もちろんリーグ戦とインカレは別物とさっき言ったけれど、一応関東1位になっているっていうのは、相手からすれば、私だってやるもんね、何かひっくり返してやろう、とか、ちょっと一発やってやろう、とか。どうせ負けもとだし、って絶対考えるはずなので。やっぱりそれは怖いですよね。どこが、というのはないですね。本当に一戦一戦、戦っていった結果、というところでしょうね。

藤生 そうですね。全く一緒で、特にというのはなくて。一戦一戦、やりながら成長して次の試合、成長して次の試合、というふうにやりたいなというふうに思っています。

――いまのチームの状況はいかがですか

萩原 悪くはないと思いますけどね。リーグ戦が終わって練習試合を何本かしたんですけど、始めの相手との練習試合があんまり良くなくて。愛知学泉大とやったんですけど。あらららっていうくらい良くなくて。で、そこからもう一回なんかこう、「いや、こんなんじゃダメだよね」みたいな感じで取り組み直してきて。一応本人たちも、そういう意味では取り組んできた、というような気持ちはあるとは思うんです。だからあとはこちらがどう乗せていくか、それに尽きるかなと。まあでもキャリアはある子たちだと思っているので。でも緊張しいなんだよね。

藤生 真面目だから。

萩原 真面目だからね。ああ見えてね。ああいうのは難しいよね。例えばきょねんの本多みたいに、本多はお客さんが入るの大好きなの。インカレとかああやってお客さんがいっぱい来ると、もう嬉しくて嬉しくて、みたいな。そういう意味では、女の子なんだけど割とこう、やんちゃというか、そういうところもあったんですけど。ことしはね、意外にいないんだよね、本当に。神﨑を筆頭にね、「頑張ります」みたいな。そこがちょっと。まああと何日かしかないですけど、そこをやれたらと思います。でも本人たちは、やることはやってきたというようなイメージでいるんじゃないかなと思います。

藤生 いまオーさんが言ってくれたことと一緒になるんですけど、ずっとインカレまでに練習や練習試合が上手くいってインカレ、という方が怖かったので、まあ愛知学泉大とやらせてもらって、一回ガツンとなって。ちょっとリーグ戦前からずっと緩まずに取り組んできたことが通用しない部分があったな、と一回ガツンとやられて。で、もう一回気を引き締めて。その後の一週間かなりもがきましたよね。

萩原 うん。

藤生 六大学という大会もあったんですけど、そのチームを相手にもちょっともたもたしながら。でもこちらとしては5試合戦う体力をつけなきゃならないという部分もあったんですけど、とにかく乗り越えてほしいなと思いながらやっていて。で、いまはそこを抜け出して。まあ一発勝負だから分かんないよ、ということはオーさんと声かけはしているんですけど、私自身はちょっと楽しみになってきているので、選手もそう感じてくれていると嬉しいなと思います。

――最後に、インカレへ向けての目標と意気込みををお願いします

萩原 それはもう、優勝を目標に頑張りたいと思います。意気込みは、私はもういかに選手が試合で力を出してくれるかということをこれからは考えようと思っていますので、そうですね、結果はどうであれ、選手がいい顔をして試合をやってくれればいいかなというふうには思います。そういう状況をつくるというのが、私の意気込みですかね。

藤生 一戦必勝です。一年が始まったときに、インカレに向けてのそれまでのプロセスだと思っているので、この大会のためにやってきたので。いままで積み重ねてきたことを今度は、出していく、身につけてきたことを出していく、発揮していく。オーさんも言ってくれましたけど、いい顔をしてプレーしてくれたら、笑うとかだけじゃなくて、夢中になってボール一つ追いかけているだとか、ナイスプレーしたときにみんなが声をかけているなとか。そういうことも含めて、いい顔をしてプレーしている姿を見たいなと思っています。

――ありがとうございました!

(取材・編集 東哲也、芦沢仁美、宮西祐香子)

ガッツポーズを見せてくれました

◆萩原樹子(はぎわら・みきこ)(※写真左)

1970年(昭45)4月17日生まれ。ヘッドコーチ。福島・橘高出身。平17年二文卒。ニックネーム『オー』。選手に厳しい言葉をかけることもあれば、選手とともに笑顔で喜ぶこともある名将。インカレではどのような采配を見せてくれるのでしょうか

◆藤生喜代美(ふじう・きよみ)(※写真右)

1982年(昭57)5月2日生まれ。アシスタントコーチ。福井・足羽高出身。平25年スポ卒。コートネーム『シキ』。選手の調子の変化を見逃さず常にサポートし続ける藤生アシスタントコーチ。大きな声でチームを鼓舞する姿は早大にはなくてはならない存在です