美しいフォームから繰り出される正確なシュートが持ち味のC今仲杏奈(スポ1=大阪薫英女学院)、インサイドの激しいぶつかり合いに負けないアグレッシブなプレーを見せるC林靖子(社1=福井・足羽)。入部当初から試合に起用されてきた1年生コンビに話を聞いた。ともに早大の次世代を担う逸材なだけに、今後の目標ではその高い意欲を話してくれた。
※この取材は11月14日に行われたものです。
「甘えをなくしてこられた」(林)
ゴール下の得点力はチームでもトップレベルの林
――6月の関東大学女子新人戦では1点差で優勝を逃すという悔しい結果に終わりましたが、振り返ってみていかがですか
今仲 普段より試合に出る時間も多かったですし、1点差で負けてしまったんですけど、悔しさというより楽しさというものが残っています。試合後のミーティングでも、絶対これを次につなげようという話し合いをしたので、悔しいというよりも、この試合を経て得たものがすごく大きいなと思っています。
林 1・2年生だけという状況で、若々しく行こうという感じでやっていました。人数が少ない状況でやった大会だったんですけど、少ないからこそすごく盛り上げようという雰囲気でできたと思います。
――関東大学女子リーグ戦(リーグ戦)は創部以来の初優勝でしたが、全体を振り返っていかがですか
今仲 いや…なんかもう、本当に先輩たちのおかげっていう感じですね。(笑)
林 1年生で入ってきてすぐに、リーグ戦という大きな大会で優勝できたということは、すごく嬉しかったです。でも、それが同時にプレッシャーにもなりましたね。
――リーグ戦の終盤のチーム状態というのはどのような感じだったのでしょうか
林 最後の方は、優勝っていうのがまだ決まってないんですけど、ほぼ決まったみたいな雰囲気になってしまって、ちょっとピリピリした感じにはなっちゃったんですけど…。
今仲 でも最後の試合は、前日にもう優勝が決まった状態での試合だったので、優勝にふさわしいチームになろうということで、最後までやり続けようっていう気持ちでした。
――リーグ戦を通して見つかった、個人的な課題などはありますか
今仲 途中ケガで1週間抜けて、そこからあまり調子が上がらなかったので、これからは長期の試合が大学では多いので、ずっとコートで戦い続けられる体力とメンタルの強さとかも課題かなと思いました。
林 自分は具体的にディフェンスの面で、悪い流れのときでもディフェンスでしっかり守っていれば、と言われているので、自分より大きい人に対しても小さい人に対しても、両方のディフェンスをしっかりできる足をつくっていきたいと思いました。
――逆に、一番成長したと思えることはありますか
今仲 責任感は生まれたと思いますね。最初の方のトーナメントの試合とかは、ただ出て一生懸命やるという感じだったんですけど、リーグ戦になってから少し責任感とかも感じてきて、その状態で練習とかもできるようになったので、そこは成長できたかなと思います。
林 自分は、甘えをなくしてこられたかなと思っています。責任感と似ているんですけど、ほんとにトーナメントのときは付いていくということに必死だったんですけど、リーグ戦では交代して入っても流れを維持できるように気を付けてやってこられたので、そこは成長できた部分かなと思います。
「4年生がすごく引っ張ってくれている」(今仲)
シュートという確かな武器を持つ今仲
――バスケットを始めたきっかけは
今仲 姉がやっていて、「楽しいから来て」と言われて。最初は嫌で行かなかったのですが、1回無理矢理連れて行かれてそれから続けるようになりました。
林 私は父が指導者だったので、その地区のミニバスのコーチの方たちとも知り合いで、それがきっかけでした。
――2人ともセンターという同じポジションですが、なぜそのポジションにつくことになったのですか
今仲 始めた頃は身長が一番高かったからセンターという感じだったのですが、中学高校ではセンターというより、ちょっとフォワード気味でした。シュートが好きだったので。でも大学に来たらワセダでも身長が高い方なのでまたセンターになりました。
林 私は逆にいままでずっとセンターだったのですが、大学ではこの身長が低いということで。高校のバスケを終える頃からスリーポイントやドライブというようにオールラウンドで動けるように練習を重ねています。
――お2人がワセダに進学することに決めた理由は何ですか
今仲 きょねんの卒業生で自分の高校の先輩がいて、試合を見たときにすごくワセダが盛り上がっていて、監督の萩原さん(萩原美樹子ヘッドコーチ、平17二文卒=福島・橘)もたくさん褒めてくださる方で。楽しい雰囲気が印象的だったのでいいなと思って、高3になったときに監督に直接お話をしました。
林 私はアシスタントコーチの方が高校の先輩で、高校のバスケのスタイルとワセダの雰囲気がとても似ているので、その話を聞きました。あとは、ワセダは文武両道で両方に力を入れていると聞いたので、ワセダでバスケをしたいなと思って入学しました。
――普段の生活でお互いの印象はいかかですか
今仲 林さんはお母さんみたいな感じです。1年生がやんちゃっていうか子どもっぽいところがあるのですが冷静な対応で。たまにのってきてくれるんですが、結構つっこんでくれることが多くて。1年生の中ではしっかりした人間だと思います。
林 今仲さんはすごくやんちゃです!(笑)やんちゃのなかの1人で1番やんちゃだと思います!(今仲さんは)関西出身なので独特のノリでその場の空気をすごく和ませてくれます。
――オフの時はなにをして過ごしていますか
今仲 最初の方はいつも疲れて寝ていたのですが、最近は近くの温泉に行ったり、お台場とかちょっとショッピングにも目覚めるようになりました。(笑)
林 私も寝て過ごすことが多いのですが、最近は近場なら出てみようかなという感じです。ちょっと東京散策みたいな感じで。
今仲 この間映画行ったよな?
林 映画行きました!2人でドラえもんを…。
――オフの時もバスケ部と過ごすことが多いですか
今仲・林 そうですね。
――部内では特に誰と仲が良いですか
今仲 うーん、難しい(笑)。私は多分萩尾(F萩尾千尋、スポ1=愛知・桜花学園)と砂川(G砂川夏輝、教1=沖縄・西原)ですかね。3人同じ寮なので。行くときも帰るときも一緒で、寮でも一緒なので仲良しです。
林 由希子かなぁ。小島さん(C小島由希子、教1=岩手・一ノ関学院)とはよく行動が一緒です。
今仲 でも特定の誰かというよりかはみんなで一緒にいて仲良くやっています。
――普段の練習の雰囲気はいかがですか
今仲 休むところがないというかいつも3時間半とか内容の濃い練習で、今でも結構ついていくのに必死で。けどその中で得るものが多くて毎日刺激的な生活です。
林 やっぱりキャプテンの神崎さん(G神﨑由香主将、スポ4=福岡・中村学園女)が一番声を出していて、すっごく盛り上げてくれて引っ張ってくださって。怒られてしゅんとなっているような時でもすごく声出しているので、そういうピリピリした空気の中でもいい空気をもたらしてくれます。
今仲 4年生がすごく引っ張ってくれているという感じです。
――尊敬している先輩はいますか
今仲 桂さん(C桂葵、社4=愛知・桜花学園)です。桂さんは1、2年生の時に結構練習をさぼっていて、という話を聞いていたのですが、やっぱり4年生で試合に出て活躍していて大黒柱で。プレーは本当にトップレベルで。それなのに私生活では本当におもしろくて。いつも笑わせてくれて完璧です。(笑)
林 桂さんと…あと、いっぱいです(笑)。神崎さんも。
今仲 神崎さんもです。
林 あと関根さん(F関根彩乃、教3=千葉・昭和学院)です。関根さんは、リーグ戦の時にあまりプレーに波がなくてコンスタントに点を取ったりしていたので、オフェンス面でのドライブとかを見習いたいです。あと加藤さん(F加藤臨、スポ2=山形商業)はディフェンスがとても上手くて。自分はディフェンスを課題にしているのでそこを尊敬しています。
――お互いのプレーについての印象は
今仲 林さんは力強いプレーが印象的で。ボールを中に入れたら絶対決めてくれるという感じで。新人戦も一緒に出たのですが、自分はあまり中が得意ではないので、本当に信頼できる選手です。
林 今仲さんはどこからでも点が取れる選手なので、中でプレーしたりドライブしたりしたときでも、合わせて外パスを出したら高確率で点を決めてくれるので、すごくシュートタッチがいいな、と思います。
「自分のプレーをしにいきたい」(林)
取材が進むにつれて笑顔が見られた
――全日本大学選手権大会(インカレ)に向けてどのような練習をしていますか
今仲 毎日目標があって、ミーティングでもみんなで意見をシェアして、その目標を確実に果たすために練習中もその目標をお互いに声をかけたりしています。本当に最後のシーズンなので、集中は当たり前なんですけど、良い雰囲気でやっています。
林 1人1人が自分の役割というものを持って、それを明確にしようとする中で、プラスチームプレイということで、まとまりがあるように連携した動きとかをやっていると思います。
――ご自身で特に力を入れていることはありますか
今仲 自分はやっぱりシュートが得意、というか好きなんですけど、試合で打てるチャンスで打ったときにそのシュートが100%入れられるというくらいの気持ちでやりたいと思っています。なのでノーマークのシュートはもう確実に決められるように、練習中から試合を想定してやるようにしています。
林 自分はディフェンスのポジション移動と、あとは声を下から出すということです。ディフェンスになるとセンターの人たちは下の方になってすごく周りが見えるので、オフェンスがいる場所とかを知らせるように声と、厚みのあるディフェンスというものを目指して、ポジション移動の練習に取り組んでいます。
――初めてのインカレですが、今の心境は
今仲 まだ実感が湧いていないので緊張とかは全くないんですけど、4年生とバスケできる期間も限られてきたので、絶対後悔しないように、4年生と一緒に最後に笑えるように、今きつい練習でも頑張ろうと思います。
林 またリーグ戦とは違ってトーナメント形式なので、1戦1戦・1日1日を大切に戦っていきたいと思っています。初めてで緊張というよりは、楽しみというか、独特な雰囲気も味わえると思うので、すごく楽しみです。
――特に意識する相手校はありますか
今仲 専大ですね。リーグ戦でも残り4秒で逆転したりしてすごく上手いチームです。きのうもビデオを観てそのチームを研究して、結構練習中でもそのチームの名前が出てきたり、相手チームを想定した練習とかもしているので、やっぱり一番気になる相手です。
林 一緒ですね。やっぱり今の専大の4年生は新人戦で優勝を経験したチームだと聞いているので、すごく上手くて自分たちのバスケットを確立してやっているという感じなので、一番注意したい相手だと思います。
――専大を想定した練習というのは、具体的にはどのようなことをやっていますか
今仲 センターでも上からドライブとか、フォワードみたいな動きをするので、自分たちで相手のメンバーになったときはセンターでもドライブをしたり、本当に全員がシュートを打ってくるので、そういうところを意識してやっています。
林 スクリーンが多いチームなので、専大の役になったときにはすごくがっちりスクリーンをかけて本当の専大を想定してやったり、あとは専大がディフェンスのときはスクリーンをしたあとにスイッチをいっぱいしてくるので、そういうところでもなりきって練習しています。
――インカレに向けての目標と意気込みをお願いします
今仲 目標は全国制覇です。意気込みは、(試合に)出たらとりあえず自分の役割は絶対果たすようにしたいので、思い残すことのない練習、中身のある練習をあと1週間ちょっとして、後悔のない試合にしたいです。
林 自分も目標は全国制覇です。キャプテンの神崎さんがおっしゃっていたんですけど、関東でリーグ戦との2冠を達成できるのはもう自分たちしかいないので、目標は全国制覇です。意気込みは、与えられた短いプレー時間の中で、コートの上で自分のプレーをしにいきたいと思います。
――ありがとうございました!
(取材・編集 橘高安津子、渡部歩美)
力強くガッツポーズを決める2人
◆林靖子(はやし・やすこ)#16(※写真左)
1995年(平7)6月3日生まれ。174センチ。福井・足羽高出身。社会科学部1年。センター。コートネーム『テン』。終始穏やかに質問に答えてくださった林選手は、仲間内では「お母さんのような存在」だそう。その普段とは全く違うコート上での表情も見逃せません
◆今仲杏奈(いまなか・あんな)#24(※写真右)
1995年(平7)7月18日生まれ。178センチ。大阪薫英女学院高出身。スポーツ科学部1年。センター。コートネーム『ロイ』。大阪出身ということで、いつもチームを楽しませてくれるとのこと。その高身長を生かした縦横無尽な動きと高確率のシュートは必見です