日本の頂点を決める戦いが幕を開けた。各リーグの上位チームが集結し、カテゴリーの垣根を越えて激突する皇后杯全日本総合選手権(オールジャパン)。今大会で4年生が引退するため、早大にとってはこのチームで挑む最後の大会となる。初戦の相手は、1回戦を接戦で勝ち抜いてきた鶴屋百貨店。序盤から両者譲らぬ攻防を繰り広げるものの後半でじりじりと点差をつけ、そのまま逃げ切った早大が勝利を手にした。ブランクによるぶれはあったものの早大らしいバスケットを見せ、あすの3回戦へ駒を進めた。
ポストプレーを武器に得点源となった桂
開始直後はC桂葵(社3=愛知・桜花学園)のポストプレーで得点を重ね、回りの速いディフェンスから速攻が飛び出す良い流れで試合を展開。しかし徐々にミドルシュートなどのイージーシュートがリングに嫌われ始め、鋭いボールサイドカットで確実に得点してくる相手との点差を開くことができない。それでもオフェンス、ディフェンスともにリバウンドを制することで、相手に主導権を握らせることはなかった。第2Q残り10秒、PG本橋菜子(スポ2=東京・明星学園)がハイピックからのドライブをしっかりと決め、38−35で前半を終える。
突き放したい早大であったが、なかなか運動量が増えず相手を振り切ることができない。第3Q残り5分でオールコートプレスを仕掛けられると、一瞬の焦りからミスが相次ぎ一気に点差を詰められる。しかし悪い流れになりかけたところでF根岸夢(スポ2=東京成徳大)のバスケットカウント。このプレーでチームは落ち着き、プレスを突破する速いパスがつながりだした。60−54と6点のリードで迎えた最終Qでは、足が止まりつつも鶴屋百貨店の追随を振り払う。残り2分で5点差まで詰められるが、F本多真実(スポ4=愛知・桜花学園)がチャンスをしっかりと得点し、この試合を79−72と7点差で逃げ切った。
ミドルシュートを放つ本橋
4年生にとって最後である今大会、「ワセダらしく戦う」(桂)ことを選手達は目標に掲げている。まず初戦は、リバウンド、ルーズボールに飛び込んで行くワセダらしさが見られた。次戦の相手は、日本代表選手を数多く輩出している強豪、JX-ENEOSサンフラワーズだ。優勝候補を相手にチャレンジャーとして挑む次戦、早大はどこまで「ワセダらしさ」を見せてくれるのか。
(記事 宮西祐香子、写真 巌千咲、藤巻晴帆)
第80回皇后杯全日本総合選手権 | ||||
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早大 | 79 |
23-23 15-12 22-19 19-18 |
72 | 鶴屋百貨店 |
【スターティングファイブ】 G 本橋 菜子(スポ2=東京・明星学園) G 森 仁美(スポ4=大阪薫英女学院) F 根岸 夢(スポ2=東京成徳大) F 本多 真実(スポ4=愛知・桜花学園) C 桂 葵(社3=愛知・桜花学園) |
結果
○早大79-72鶴屋百貨店
F本多真実(スポ4=愛知・桜花学園)
――ワセダとして最後の大会になりますが、この大会にかける思いとはどのようなものですか
普段だと正直この時期はモチベーションが下がっちゃって、チームで臨める体勢ではない大会なんですけど、ことしは4年生も残るということで、みんなできちんと戦おうという目標を持って臨んだ大会だったので、しっかり勝ち切れて良かったと思います。
――久々の大会でしたが、コンディションはいかがですか
心に体がついていっていなくて。しばらくゲームをしていなかったので、コンディションとしてのゲーム体力という部分では、なかったかなと思います。
――きょうの試合について、最初は競っていましたが後半になって点数に差をつけることができた原因というのはどのようなものでしょうか
前半はイージーシュートを落としていたので、きちんと決められるシュートをきちんと決めていたら、もう少し離せていたかなと思います。
――後半は、イージーシュートが決まるようになってきていたということでしょうか
そうですね、はい。
――第4Qの詰めの部分で、やはりエースとしての活躍をされていましたが
前半の流れ的に、インカレ(全日本大学選手権)の大体大戦がよみがえってきて。このままではあのときから成長していないな、と自分で感じて、後半はしっかり切り替えてチームを鼓舞していこうと思いました。
――あすはJX-ENEOSサンフラワーズと戦います。特別な思いはありますか
そうですね、高校のときの同期もいるので、楽しみながら。でも目標はチーム内できちんと決めているので。勝つ等々よりも、ワセダらしくプレーできることに懸けていきたいですね。
C桂葵(社3=愛知・桜花学園)
――今季最後の大会を迎えましたが、どのような意気込みで初戦に臨みましたか
インカレ(全日本大学選手権)でああいう戦い方になってしまったので、最後はワセダらしく戦おうということをキーワードにやってきました。
――前半はシーソーゲームでしたが、入りとしてはどうだったのでしょうか
相手が初めて対戦するチームでどのような戦い方をしてくるかわからなかったので、最初は様子を見るのではなく、自分たちのバスケットをするようにしようと言っていました。最初に相手にやられてしまっても焦らず粘っていけばいい、ということだったので、点数としては競っていたんですけど気持ちは焦っていなかったです。
――第3Qに点差が開いた要因は
前半に点差が開かなかったのはシュートがしっかりと入らなかったからなので、点差が離れたところは最後の部分のシュートがしっかりと入っていたんだと思います。
――久しぶりの実戦となりましたが、コンディションはどうですか
めちゃめちゃバテました。すごく疲れて。インカレが終わってからすごく喪失感があったんですけど、それでもみんなでなんとか頑張っていこう、と話し合っていました。このチームでできる最後の大会なので、ちゃんと取り組もうと思っていました。周りの人には体力的な部分でインカレほど調子を上げられていないと思われるかもしれないんですけど、このチームとしては同じ方向を向いているというか、最後は笑顔で終われたらいいなと思っているので、すごくまとまりはあると思います。
――あすの試合はどのように戦っていきたいですか
難しい相手だと思います。でもリーグ戦(関東大学女子リーグ戦)やインカレを含めて、今までは勝たなきゃいけない試合というか勝ってなんぼという感じだったけど、今回は本当にチャレンジャーとして臨めるということは逆にプラスの要素として捉えています。勝つに越したことはないですけど、チャレンジャーとして、もし自分たちが負けても笑って追われるような終わり方ができたらいいのかなと思います。
G本橋菜子(スポ2=東京・明星学園)
――今大会にかける意気込みは
4年生とできる最後の試合なので、インカレで自分たちのバスケができなかった分、ワセダらしく最後に4年生と終われるようにやりたいです。
――久しぶりの試合ということでしたが、調子はいかがでしたか
試合をしていなかったのでゲーム体力というものがあまりなく、体力面では自分たちの方が年齢的に若いのでもう少し走ったりできたかなと思いました。
――接戦でしたが、オフェンス時に特に意識したことは
相手より自分たちの方が身長が高いので中を狙うことと、前を張ってきたのでバックスクリーンを狙うことを意識してやりました。
――後半は徐々に流れをつかんできたように感じましたが、その中でも課題などはありましたか
前半も後半も決められるシュートを決めていなかったためにこういった展開になってしまったので、やはり決めるべきシュートをしっかり粘り強く決めきることが課題だと思います。
――あしたはついにJX-ENEOSサンフラワーズと対戦ですがどのようなお気持ちですか
JX(-ENEOSサンフラワーズ)と試合をやらせていただくことはめったにないことなので、自分たちのバスケットをできるようにやっていきたいと思います。