今季のワセダを率いる4年生、G森仁美主将(スポ4=大阪薫英女学院)、F加藤千尋副将(スポ4=山形市立商業)、F小原みなみ(社4=神奈川・金沢総合)、F本多真実(スポ4=愛知・桜花学園)。最後の関東大学女子リーグ戦(リーグ戦)を3位で終え、全日本大学選手権(インカレ)優勝への思いはさらに強いものとなった。ラストシーズン最大の戦いを目の前に控えた4人の、今の心境を聞いた。
※この取材は10月31日に行われたものです。
和やかな雰囲気で取材に応じる4年生
「4年生の意地」(森主将)
1年間チームを引っ張ってきた森主将
――リーグ戦を通しての感想と、ご自身に点数を付けるなら
森 リーグ戦の感想は、当たり前なんですけど、あっという間、というのが一番の感想で。収穫のあるリーグ戦だったな、とすごく思います。個人の点数を付けるんやったら、63点。
本多 きわどい(笑)。
森 ここがポイント(笑)。このリーグ戦は最初の方からあまり個人的にシュートの調子が上がらなくて入らない試合が多かったので、それで60点という低い点数です。けど、残りの3点は…。
本多 最後3点決めたから。当たり?
森 ではなく(笑)、最後の白鴎大戦で4年生としての意地を見せられたかなと思ったので、自分に3点をあげました。
小原 リーグ戦は、最初の下位のチームとは黒星を落とさずに戦えていたのはチームとして良かったかなと思います。でもやっぱり目標は優勝だったし、しかも2位ではなく3位という順位に終わったので、そこはすごく悔しいです。個人の点数は60点。ちょくちょく一発屋みたいな感じで出ていたんですけど、もうちょっと試合に前半から絡みたかったなというのと、もうちょっと個人的にプレータイムを増やしたいなという思いがあります。
本多 チームとして私たちの中では監督賞をあげたいという気持ちがあったので、自分はそれをずっと頭に入れてやっていたから、やっぱり優勝して監督に監督賞をあげられなかったことに一番悔いが残っています。自分の点数としては60点で、みんなと一緒なんですね。要のところで仕事ができなかったというのがすごく悔いが残っていて。他のチームだと、誰々がいる、というふうなのがあったのに、ワセダでは自分がそういう役割を果たさなきゃいけないところでそれが果たし切れなかったので。まだまだだなということで60点ですね。
加藤千 私はリーグ戦2試合目でけがをしちゃって出られてなかったんですけど、けがする前も結構このリーグ戦に懸けていて。というのも、リーグ戦が一番チームの一体感が出ると思うので。スタートだけじゃなくて、控えも相手チームのスカウティングとかやらなきゃいけないし、それを3年間ずっと経験してきたので、自分はスタートじゃないけどそれを控えの子たちに伝えたいものがあって。けがする前も自分で体張って表現したりとかできていたと思っていたんですけど…。けがしたときは一瞬悔しかったけど、けがしても自分のことやらなきゃ、と思って、4年生として引っ張ろうということを考えて自分自身が声を出したりしていたので。自分的には、試合は出ていないんですけど、80点。けがをしたけど、リーグ戦自体には悔いがなくて。残りの20点は、試合に出られなかったことです。
――リーグ戦を通してチームで成長できた点はありますか
加藤千 春から当事者意識を持ってやろうと言っていたんですけど、トーナメント(関東大学女子選手権)だとやっぱりスタートで出てる人の方が意識強いかなと思ったんです。リーグ戦に入ってから一人一人が自分の役割を、例えば相手チームのエースになりきってとか、ポイントのところとか目的を持ってやっていたので、みんなが同じ方向を向いて取り組めていたのがリーグ戦を通してすごく成長できた部分だと思います。
シュートを狙う加藤千副将
――後輩たちの活躍として、C桂葵選手(社3=愛知・桜花学園)が昨年と比べ大きな成長を遂げていますが、その成長を4年生から見て
本多 一人ずつビシバシいく?(笑)スタートとしての責任感というのは昨年には持ちたくても持てなかったことの一つではあると思うんですけど、トーナメントのときに比べたら、責任感という面では彼女にもついたのかなとは思います。ただ欲を言うならば、まだ細かいところ、ルーズボールだとかリバウンドだとかの活路を見出せていないので、そこは4年生が主体的にやっていくから、それについてきてくれると彼女自身もプレーが上がるし、チームとしてもすごく助かるので、そこですね。お願いしたいです。
小原 インカレに向けて目指したいところを一人ずつ言う機会があって。そのときに彼女が「記録にも残る選手、記憶にも残る選手になりたい」というのを言っていたんです。記録というのはリバウンドとかもあると思うけど、リーグ戦で得点を争っていて。そこの得点にこだわる部分と、あとはいま本多が言っていたルーズボールとかそういう部分で、そこも頑張る桂という、観客の記憶に残るプレーヤーになると言っていたので、期待しています。
森 チームの中でセンターって、何年生であろうとすごく重要な存在というか大黒柱としてチームに必要な存在なんです。彼女自身ももがき苦しみながらチームの大黒柱として、そういう存在感を見せようとしてきた取り組みを見てきたので。欲を出せばさっきみんなが言っていたところもやってほしいなとは思うんですけど、ここまでこんなに頼りになる存在になるとは正直最初は思っていなかったので、苦しんできた分本当に成長したな、と思います。
――リーグ戦の中で、このワンプレーが印象に残っている、というベストプレーはありますか
森 はいはい!あるよ!あれやろ!
本多 あれな(笑)。
小原 やめよやめよ(笑)。それ面白くないから。みんな覚えてないから。
森 筑波大戦で、誰かがはじき出したボールから小原が一番近かったんですね。で、ソウ(小原)が取りに行こうとしたんですけど、なかなか前に進まなくて。取ろうとしたときに本多が、多分もう取れないと思ったんだろうけど、ビュンって横から来て奪い取ったっていう(笑)。
本多 なんか、正直言ったらもうあと2、3歩で取れるんですよ。でもなんかこれ間に合わんやろ、と思って。シュッて。そしたらもう小原そのまま立ちんぼやったもんな(笑)。
小原 よし、いいぞ行け行け、って(笑)。
本多 結局ブレイクにも参加できず(笑)。
森 そのプレーをトレーナーの小林(小林夏実、スポ4=都駒場)が編集してくれて。何回も再生になるような、スローとかのムービーをみんなに送ってくれて。
小原 いじめだよ、いじめ(笑)。
森 みんなのやる気をそれで出させてくれた。よし、ルーズボール大事だよね、みたいな(笑)。モチーベーションビデオです。
本多 4年生体張ったなー。
小原 そうだよ。張った張った。くだらないベストプレーだ(笑)。
本多 ほんまにね。もっとあったやん!
森 白鴎大戦の最後の試合の小原のリバウンドとかルーズボールの一本一本には、私はコートの中にいたんですけど感動しました。
小原どうもありがとうございます(笑)。
「どういう雰囲気で取り組めるかが大事」(本多)
本多の華麗なレイアップシュート
――4年生はどのような学年ですか。また、最上級生になって変化はありましたか
加藤千 ことしの4年生は一人一人がすごく個性的で。先輩方は毎年特徴的な方がいたんですよ、すごく声を出すとか。うちの学年は抜きんでてわーわー言うというよりは、平均的にみんな同じなプレーだしまとまっていますね。それがスタッフもそうなんですよ。プレーヤー4人にスタッフ4人なんですけど、どっちも個性が強くてバランスよくて助かってます。
本多 助かってる?(笑)
加藤千 すごくバランスがいい学年だと思います(笑)。
小原 うちのチームはスタッフさんがすごく優秀で…。
本多 あー、これ裏から手が回ってますからね!(笑)
小原 本当にいつも助かってるんですよ!トレーニングのメニューも細かいところまでやってくれるしマネージャーの人もしっかりやってくれるし、特にうちの学年はちょうどプレーヤー4人スタッフ4人…。
本多 名前言っていこうか!
小原 はい(笑)。主務・桑野(百合子、スポ4=福岡・筑紫が丘)、トレーナー小林、トレーナー花井(彩、スポ4=シンガポール・早稲田渋谷シンガポール)、コーチ藤生(喜代美、スポ4=福井・足羽)。4人いて、こっちはプレーヤー4人で。いつも取材されるのはプレーヤーだと思うんですけど、スタッフさんって本当にチームの支えになってるな、と。
――4年生で遊びに行くことはありますか
本多 遊びに行くっていうよりは、家に集まってパーティーですね。
――スタッフも含め仲が良いということですか
本多 それは間違いないですね。誇らしいです。
――休みの日はいっしょに過ごすのですか
森 いや、休みの日は…(笑)。
本多 私はディズニーランド行ったり動物園行ったり、けっこうアウトドアなんですけどー。
森 いやいやいや、真逆(笑)。本田はオタクで陰キャラです(笑)。ずっと家にいます、引きこもりです(笑)。ディズニーランド行こうって言って…。
小原 え、行ったんじゃないの?
森 と思うやん?混んでるのを言い訳に行かなかったんですよ(笑)。
本多 誰が100分も待つねん、行かんやろ!(笑)100分あったらなにできるんよ。
小原 2年生のときにみんなでディズニーランド行きました。今思うと奇跡でしたね(笑)。
本多 8人で。全員で行ったね。
森 全員で集まってクリスマスパーティーとか、ハロウィンパーティーとか。
小原 誕生日もやるよね。
本多 イベントごとに集まりますね。
――きょう(取材日、10月31日)はハロウィンですが、この後は
森 なんかもう、練習疲れすぎて(笑)。昨年とかは練習終わってから飲み行こう、とかあったんですけど、ことしはもう帰ってゆっくりしようと。
本多 もう歳やな(笑)。
――練習の話が出ましたが、一番きついメニューは
小原 5分じゃない?
加藤千 あー、5分間走。
本多 あれはメンタルも体力もやられます。ただただ5分間走るんです。
小原 しかも小さいバレーコートの周りを。
加藤千 自分との勝負って感じですよね、いつ来るかわからないし。そろそろ来そうだけど…、きょうは来ないか、みたいな。
小原 記録計るしね。抜き打ちテストみたいな。
本多 それが、今週の火曜日にあったんですよ。まじでやられたな。
森 もうボロボロです(笑)。
――そのようなきつい練習のときは、どのようなことを考えて乗り切っていますか
本多 5分のときさ、うち、歌っとんねんけど。
森 まじ?(笑)
小原 だからちょっと笑ってるんだ(笑)。にやけてるんですよ。
加藤千 この前めっちゃ笑ってたよね(笑)。
小原 何の歌なの?
本多 そのときによって違うけど、5分って2曲歌えるんですよ。Aメロとサビ、とかだけ歌ってると。終盤になると、サビがくるんですよ、残り1分くらいで(笑)。そうしたらめっちゃテンション上がって、頑張れる(笑)。
加藤千 1分切ってからめっちゃ早いもんね(笑)。
森 キー(本多)頑張れ、とか言っても聞いてないんだね(笑)。それ知ってたら私ももうちょっと頑張れるかも。
本多 後輩に伝授しときます(笑)。
――みなさんが練習中に一番大事にしていることは
小原 全力。
森 ひとことやな(笑)。
本多 その日によってひとりひとり目標決めてるよね。
森 自分が練習で一番意識してることは、キャプテンなので、やってる姿勢を見られていると思うので、プレーがうまくいく、うまくいかないとかじゃなくて、やろうとする姿勢を見せる。私けっこう監督から怒られること多いんですけど…。
小原 ナンバー2くらいだね。
本多 怒られキャプテンやな。
森 うるさい(笑)。怒られたときにしょぼーんとして自分のことでいっぱいいっぱいになるんじゃなくて、チームのことにも目を配るように意識しています。
本多 最近だと、雰囲気作りに徹しようかな、と思っていて。前までは、プレーできていればいいかな、って考えだったんですけど、4年生だし、最後このチームでどういう雰囲気で取り組めたかっていうのが大事だと監督にも言われたので。具体性のあることを発言したりだとか、プラスになるようなことを発言していければいいなと思っていて、最近は意識してやっています。
加藤千 私も、全力、というか、そこまでやるかっていうところに自分自身こだわってやりたいと思っていて、自分がルーズボールとかを先頭に立って追う姿を見て後輩たちについてきてもらいたいし。すごく応援してくれる後輩たちに、自分が残せるのはそれくらいだと思うので。常に全力でやってます。
『王座奪還』
強いフィジカルプレーが武器の小原
――3年間インカレを経験していますがどのようなイメージを持っていますか
森 1年生と2年生で全然違う。毎年違うよな、やっぱり。優勝した年はノリと勢いで決勝まで行って、「もう決勝?」みたいな。あっという間だったね。
本多 逆にきょねんはそれを重みに一戦一戦っていう感じで。ことしは王座奪還しにいかないといけないからたぶんまた違うな。
森 アウェーだからね。代々木(代々木第二体育館)じゃないじゃないですか。
小原 山口ってどこもアウェーな気がする(笑)。
森 関西のホームじゃないだけいいよ。
――最後のインカレですが今の気持ちは
本多 楽しみ。
小原 ワクワク。
森 ドキドキ。
加藤千 ハラハラ。
一同 (笑)。
本多 1人緊張しとるやん(笑)。こんだけきてて最後ハラハラって(笑)。
加藤千 本音が出ちゃって(笑)。
森 やっぱ臆病者ってところが出ちゃったね(笑)。
――インカレではどういうプレーをしたいですか
森 本多以外はバスケ人生の最後になるので、終わったときに燃え尽きたなと思えるくらい一つ一つのプレーを全力でやり切りたいです。
小原 ハッスルします。
森 一言にまとめたがるよね(笑)。
加藤千 プレーは全力なんですけど、それよりも簡単に言うと「つなぐ」ことです。何種類か意味があって。ベンチと声をつなぐことと、学年をつなぐこと、あとチームとスタッフをつなぐこと。あと卒業生がきょねんできなかったことを自分たちの目標としてやっていて、ワセダの全部をひっくるめてつなぐっていうことをやりたいと思います。
本多 どんなプレーって言うよりは、リーグで悔いの残った、要の選手が本当の要の選手にならないとチームも勝てないと思うので、苦しいときにしっかり仕事ができるようになりたいです。
――後輩たちに何を見せたいですか
森 リバウンドルーズです。リバウンドルーズを頑張る姿勢、派手なプレーじゃなくて泥臭いプレーを頑張るところを4年生が率先してやることで後輩たちに伝えていけたらいいなと思います。
――最後にインカレの目標をお願いします
森 『王』!
小原 『座』!
本多 『奪』!
加藤千 『還』!
森 せーの!
一同 『王座奪還』です!!
――ありがとうございました!
(取材・編集 森健悟、角田望、宮西祐香子)
全身でWの字を作ってくれました!
◆森仁美(もり・ひとみ)#49(※写真左)
1991年(平2)5月9日生まれ。主将。168センチ。大阪薫英女学院高出身。スポーツ科学部4年。ガード。コートネーム『リン』。今季のワセダを率いる森主将。4年生全員での対談取材は森主将の提案によるもので、仲間想いの主将の姿が垣間見られました。ラストイヤーのインカレに、今までの思いの全てをぶつけます!
◆小原みなみ(おはら・みなみ)#81(※写真左から2番目)
1991年(平2)5月5日生まれ。172センチ。神奈川・金沢総合高出身。社会科学部4年。フォワード。コートネーム『ソウ』。試合時には気迫のこもったプレーでチームを盛り上げる小原選手ですが、この日は他の4年生にいじられる新たな一面も。粘りのバスケットで点をもぎ取る、小原選手の勇姿に期待しましょう!
◆加藤千尋(かとう・ちひろ)#5(※写真右から2番目)
1991年(平2)7月19日生まれ。副将。171センチ。山形商業高出身。スポーツ科学部4年。フォワード。コートネーム『フウ』。けがで戦列を離れる期間の長かった加藤選手ですが、言葉の一つ一つに他の選手を支える献身的な姿が感じられ、非常に印象的でした。インカレではコート上で輝く加藤選手の活躍を楽しみにしています!
◆本多真実(ほんだ・まさみ)#9(※写真右)
1991年(平2)5月18日生まれ。174センチ。愛知・桜花学園高出身。スポーツ科学部4年。フォワード。コートネーム『キー』。ワセダ不動のエースプレーヤー。明るいキャラクターで取材をとても盛り上げてくれました。その名のとおり、ラストイヤーのインカレでもワセダの『キー』プレーヤーとなること間違いなしです!