【連載】インカレ直前特集『BELIEVE』 第3回 細溪宙大主将×三浦健一

男子バスケットボール

 第3回に登場するのはF細溪宙大主将(教4=東京・早実)とF三浦健一(スポ1=京都・洛南)の2人。声やプレーでチームを鼓舞する熱い姿が印象的な2人に、関東大学リーグ戦(リーグ戦)の振り返りや全日本大学選手権(インカレ)への思いなどを伺った。

※この取材は11月17日に行われたものです。

お互いの紹介

細溪

――最初に他己紹介をお願いします

細溪 健一は、バスケットは見ての通り才能があって上手いし、強いし、みたいな、すごい選手になる素質しかないと思います。私生活は、そういう選手にありがちですが、生意気でお調子者です(笑)。

三浦 みっちーさんは、4年生が2人しかいない中で、キャプテンとしてやるべきことを、日頃の練習とか試合で常にやってくれているところがすごいなと思います。

――初対面の時の印象は

細溪 健一はいつ来たっけ?

三浦 3月くらいです。

細溪 まじで覚えてないな。

三浦 何やったっけ…。怖くはないやろなって思いました。

細溪 1年生は人数が多かったので、次から次に新しいやつが入ってきて…(笑)。でも、洛南の推薦(の選手)がやっと来たんだっていう感じはありました。卒業式が終わってからこっちに来るので。

――最近ハマっていることは

三浦 僕は、今まであんまりしてこなかったことをしてみようと思って、ちょっとですけど本を読んでいます。

――どんな本ですか

 今読んでいるのは、「親に読んで欲しい本」みたいな本です。親向けの本ですが、おもしろいなと思って読んでます。みんなに「親じゃないのに読んでるんや」って言われます。

――細溪選手は三浦選手が本を読むイメージはありましたか

細溪 無いです。一番遠い(笑)。

三浦 絶対無いです(笑)。

――細溪選手のハマっていることは

三浦 スプラトゥーンです。

細溪 趣味はゲームですね。

――「PlayStation」と書かれた服を着ていますね

細溪 部活のやつらにはバカにされるんですが、僕はお気に入りですね。可愛いです。最近ハマっていることは、歌が下手だから、上手くなりたいなと思って、この間初めて1人カラオケに行きました。やっぱり練習していかないと上手くならないので、これから練習していきたいと思います。

 

リーグ戦の振り返り

三浦

――リーグ戦を振り返っての率直な感想は

三浦 リーグ戦を初めて経験して、勝ち負けよりも、どんな状況でも戦い抜く、最後までやり切ることがリーグ戦の最初から最後までできなかったかなと思います。リーグの序盤はケガで出られなくて、リーグの折り返し地点の少し前くらいから徐々に出られるようになりましたが、リーグ戦の1試合目に焦点を合わせて、勝ちにいくという準備が、精神的にも肉体的にも足りなかったのかなと思いました。

細溪 結果チームを2部に落とすということになって、本当にふがいないという思いがあります。どうしたらこういった結果にならなかったのかなと考えた時に、要所要所で落としてはいけないゲームがあった中で、それをことごとく落とし続けて、結果2部降格となってしまったという感覚がありました。色々話しながら、どうしたら良かったか反省をしていく中で、バスケットが急に上手くなることはないから、大事な試合の前にチームでミーティングをする時間をもっと作っていたら、良かったのかなと思います。僕はプレータイムが長いわけではなくて、もらえて数分という中で、どういったことをチームのためにやるべきだったかなと考えて、そういうところをやっておけば良かったなと感じています。

――2部降格を受けてチームで話したことは

細溪 山梨学院大戦で負けて、その日の夜に拓殖が勝ったことで降格が確定して、その日が日曜日だったので次の練習が火曜日でした。(火曜日の練習は)ミーティングから入ったんですけど、4年の方ではとりあえず中央戦(リーグ最終戦)まではやりきらないとだめだよねという話がまず出ました。その時はまだインカレのことは考えていなかったので。僕個人としては、その時はどんどんマイナスな方向に行ってしまっていたので、2部に落としてしまった主将に何ができるんだろうという気持ちが大きくて…。後輩からしたら、言い方は少し違うかもしれないけど、恨まれて当然だし、中央戦も消化試合になってしまうんだったら、堅信(星川堅信、スポ4=京都・洛南)も出さずに新しいチームでやったほうがいいんじゃないかという思いもありました。そういう話を4年としていた中で、「そうじゃなくて」というふうに諭されて。「最後までやり抜く姿を見せるのが必要なんでしょ」っていうふうに言われて、たしかにそうだなと思いました。それで中央戦までやり切って、インカレも決まって、インカレもやり切るしかないなと思っています。

――三浦選手は2部降格を受けて何か考えたことはありますか

三浦 1年生として、リーグ戦という長い戦いでいろんな大学と試合をさせてもらって、それは来年の1年生にはわからないことだから、自分の財産として残しておくべきだし、無駄にしてはいけないと思いました。来年2部で戦うというかたちになって、チームの方針としてはまず1部に昇格するということが第一の目標です。それは簡単なことじゃないというのもわかっていますが、それと向き合わないかぎり、変われないのかなと思っています。まだ今シーズンが終わっていないから、来年のことは何とも言えないですが、2部で戦うという覚悟を今年以上に持たないと、いろんな面でしんどいのかなと思いました。

――リーグ戦で印象に残っている試合は

三浦 東海戦ですかね。連敗していた中、1巡目の最終節で東海相手に勝てたっていうのは一番印象に残っています。

――東海大戦の勝因は何でしたか

三浦 僕は前の日の白鷗戦で5ファールで退場して、なかなかうまくいかへんなぁという感じでちょっと落ち込んでいたんですが、その次の日の東海大戦で、森さん(森一史アシスタントコーチ、令4スポ卒)が「自分が入学して以来東海相手に勝ったことが無くて、今年は上位・下位リーグに分かれるから2回できる機会も無いし、ここで絶対に倒して卒業したい」ということをおっしゃっていて、チームのためにも森さんのためにも頑張ろうと思えました。チームとしては、どんなに接戦でも粘るという姿勢が他の試合よりもはるかにあったところが勝因の一つだったと思います。

――細溪選手の印象に残っている試合は

細溪 あまり良い印象ではないですけど、2巡目の一発目の神大戦です。2点差で負けた試合なんですが、2巡目は現実的に勝てる相手が続いていく中で、その一発目、勝ちにいこうというふうに倉石さん(倉石平ヘッドコーチ、昭54卒)からも話がありました。自分たちの気持ちも、決起というか、そういう思いで臨んでもなお負けてしまって…。シンプルにバスケットの力不足で負けてしまったという感じでした。その時は、まじで先行きやばいんじゃないかと思いました。でも試合は待ってくれないし。そういう意味で印象に残っています。

――リーグ戦で見つかった課題は

三浦 チームとしては、難しいけど、勝ち切るということが大きな課題として挙げられると思います。試合を通して、我慢する場面が何回かある中で、そこで我慢し切れずに、大きくリードされて、気持ちが折れて、ということが何回かありました。そこをもっと我慢できていたら、もうちょっと勝ちが増えていたのかなと思います。

細溪 バスケット的な課題としては、うちはディフェンスの時にスリーポイントでやられる本数が圧倒的に多かったと思います。最後の中央戦でも、コーナースリーをやられ続けるシーンがありましたし、山梨学院戦でも、同じシューターにタフにスリーを決められてしまいました。ディフェンスでローテーションしていく中で、結局最後に1人空いちゃうみたいな場面が多くて、相手がそれをわかってやってくることが多かったです。それは改善できなかったところです。オフェンスでは、負け癖と言ったらあれですけど、心のどこかで自信がなくなっていってるなというのを感じていました。それがシュートをどれだけ打ったかに表れていると思っていて、それこそスプリングトーナメント(関東大学選手権)ではスリーポイントの本数が多かったんですよ。(シーズンの初めは)自信を持って打っていましたが、リーグ戦後半になるにつれて、スリーがあまり入っていないという事実から、どんどん自信を持って打てなくなっていっていて、明確に本数が減っていました。打っているスリーは、出場したシューターが思い切って打つしかないよねっていうスリーか、健一とか、堅信がアイソレーションでスリー打つかみたいなシーンが多かったです。そこは課題だし、もっとスリーの精度は上げれたんじゃないかと思います。

――逆にリーグ戦を通して良くなった部分は

細溪 リーグの後半にかけて、感情が出るようになったなと思っています。拓殖戦のあとだっけ。倉石さんの方から「やってやろうっていう気持ちとか、負けて悔しいとか、リバウンド取られて悔しいとかそういう気持ちが感じられない」みたいなお話をされて、それはベンチからもうすうす感じていることではありました。それをチーム全体で話して、セレブレーションとか、エンドワン決めてほえるとか、そういうの無いよねという話になりました。それでもっと感情出していこうよと話して、リーグ後半にかけては、健一がスリー決めてセレブレーションしたりとか、城戸(賢心、スポ1=福岡第一)がエンドワン決めてほえたりとか、ああいうシーンが増えたっていうのは良かったかなと思いますね。

インカレに向けて

――インカレが決まった時の気持ちは

三浦 正直、難しいというか、複雑な感情でした。自分たちで勝ち取ったインカレではないし、他のチームの力で、おまけで出られるみたいな感じが自分としては悔しかったし、納得いかなかったです。自分たちの力で出場したかったという気持ちが大きいです。

細溪 インカレ決まった時は、うれしいという気持ちは実はそんなに無くて。今年のキャプテンとして果たすべき責任は1部に残すことだったと思うし、その責任を果たせなかった中で、インカレに向けてやろうと思うのが難しいなと思っていました。早稲田を1部に残しました、インカレを決めました、最後の舞台ですってなったら、本当に楽しんでやるくらいの気持ちでいようと思っていたんですけど、それを果たせずにインカレが決まったので、正直複雑な気持ちがありました。自分の立場からどういう言葉をチームにかければいいのかもわからなくて。「せっかくインカレ決まったんだからやり切ろう」みたいな、そういう言葉は言えるけど、みんなどこかで来年2部で戦うことを考えざるを得ない状況だし、それがすごい難しいなと思ったのが正直なところです。

――インカレが決まってチームで話したことは

細溪 インカレまでの残りの期間をどういうふうに過ごすかについて各学年で話しました。リーグ戦の良かったところ、良くなかったところを話して、じゃあこの1カ月で良くなかったところをどうやって次につなげていくかという話をしました。

――1年生で話したことは

三浦 試合に出ている人はその分チームを背負っているという責任を持ってプレーするというのと、試合に絡んでいない1年生も、応援するという立場だけど、1年生としてのいろんな仕事があるから、最後まで1年生としてやるべきことを果たそうというふうに話し合いました。

――4年生で話したことは

細溪 今、体育館のホワイトボードに書いて掲げてあるんですけど、『役割を果たし切る』という言葉を掲げていて、残り3週間でやるべきこと、見せられる姿をそれぞれ考えました。その『役割』っていう言葉にいろんな意味を含んでいるんですけど、僕だったら、こういう状況で、最後まで声を出して、ハッスルして、という姿を見せ続けることが一つの役割だし、もっといろんな人間とチームの中でコミュニケーションを取ることも自分の役割だと思っています。それぞれみんな違う役割を持っているけど、4年生全体としての役割を果たし切ろうという話をしました。インカレが決まった時は複雑な気持ちでしたけど、そういう話し合いをした後、インカレの試合がどうとかではなくて、僕個人としてはインカレまでの期間で役割を果たし続けることをモチベーションにしてやっています。

――どんな気持ちでインカレに臨みたいですか。またインカレを誰のための大会にしたいですか

細溪 僕は下級生のための大会になればいいなと思っています。ラッキーで出られるインカレではあるけど、高いレベルでできる最後の機会なので。個人的には、下級生は来年以降の自分たちのことを考えて、そのためにやってほしいという思いがすごくあります。

三浦 インカレが決まった時は複雑な気持ちだったんですけど、今は対戦相手も決まったので、自分らがやらなきゃいけないし、試合は待ってくれないので、やるからには全力で倒しにいくというのがインカレに対する意気込みです。自分の成長につながる大会にもしたいし、チームとして次に進む時に、このインカレがあったから、今のチームがあるよねっていう大会にしたいです。このインカレを無駄にしたくないというのを強く思いました。

――ありがとうございました!

(取材・編集 権藤彩乃、落合俊)

◆細溪宙大(ほそたに・みちひろ)(※写真左)

2001(平13)年4月30日生まれ。186センチ。88キロ。東京・早実高出身。教育学部4年。リーグ戦では誰よりも声を出してチームを激励した細溪主将。最後の大舞台で見せる主将としての姿に注目です!

◆三浦健一(みうら・けんいち)(※写真右)

2004(平15)年9月7日生まれ。190センチ。85キロ。京都・洛南高出身。スポーツ科学部1年。リーグ戦では1年生ながら積極的に仲間に声をかけ、チームの士気を高める姿が見られた三浦選手。インカレでは高確率のアウトサイドシュートに期待です!