【特集】早慶戦前対談 神田誠仁主将×土家大輝副将×宮川丈クレイトン×ホセイン剛

男子バスケットボール

 第80回早慶定期戦(早慶戦)が7月2日、3年振りの有観客で東京・代々木第二体育館で開催される。早慶戦を間近に控える中、最後の早慶戦となる4年生の神田誠仁主将(社4=静岡・浜松開誠館)、土家大輝(スポ4=福岡大大濠)、宮川丈クレイトン(商4=愛知・千種)、ホセイン剛(教4=東京・早実)にお話を伺った。

※この取材は6月17日に行われたものです。

ここまでを振り返って

トーナメントを振り返るホセイン

――東京六大学リーグ戦(六大学)の印象は

神田 六大学は大輝(土家大輝)と堅信(星川堅信、スポ3=京都・洛南)が出場してない中で、1年生の活躍が一番大きかったと思っています。特に、東山出身(堀陽稀、スポ1=京都・東山と堀田尚秀、スポ1=京都・東山)と洛南出身(岩屋頼、スポ1=京都・洛南と高田和幸、商1=京都・洛南)の2人ずつの活躍でチームに新しい風というかアップテンポなバスケットをやっていくんだという意志が見られたというか、そこが収穫でした。

――関東大学トーナメント(トーナメント)については

土家 個人としては、コロナで練習が思うようにできない中で、100パーセントの力を発揮できなかったです。新チームになって、チームづくりの面で苦しんだこともあって、下級生と話し合うことも多かったので、自主練に割ける時間も少なかったですし、チームルールの徹底は1年生に浸透できていませんでした。その部分では、チームとしても個人としても完成度が低かったなと思います。

――全体練習が思うようにできていなかったとお聞きしました

神田 トータルでチーム練習が14日間くらいしかできなかったです。それは大きかったかなと思います。

――他の方はいかがでしょう

宮川 あの試合はすごくやばくて、ミスったなというのはありました(笑)。それまでの練習でいろいろあった中で、4年生としての自覚に関して大輝、誠仁(神田誠仁)を筆頭に刺激を与えられて。それを意識して練習していたつもりでしたが、試合で体現できなかったと思います。ゲーム感がなかったのと、ウエイトしすぎでやばかったです。

神田 チームづくりの面に時間を割いていたので、個人のパフォーマンスにフォーカスできなかったです。あとは、12月にインカレ(全日本大学選手権)が終わってから、大輝と堅信が戻ってきて、全員がそろってのゲーム感がないままで、大東大と戦いました。チームとしての完成度が圧倒的に低かったです。チーム練習も少なく、練習試合も1試合くらいしかできていませんでした。そういう中だったので、難しかったなと思っています。

ホセイン トーナメントまでコロナで止まったりしていて。いろいろあったので大丈夫かなと思っていたんですけど、なんとか全員揃いながら戦えました。課題は残りましたが、1年生が新しい風を吹かしてくれて、可能性を感じるトーナメントでした。個人としては、出場はできませんでしたが、外から見ていて可能性があると思いました。そこに絡めないといけないと思いました。あとは、声が出せなかったのがつまらなかったですね(笑)。応援って本当にすごいんだなと思いました。

1年生の印象は?

1年生について話す神田

――1年生の印象は

土家 みんな強みを分かっているし、チームに求められていることも分かってきていると思います。京都組(岩屋、高田、堀田、堀)は仲もいいので、その雰囲気はチームにいい影響を与えてくれているというか、プレーだけでなくて、プライベートの仲の良さも与えてれていると思います。

宮川 動きやプレーの噛み合わせが4人は特にすごいなと思います。それに対して、僕が一緒に出た時は分からないというか、お互いに合わなかったです。合わせることの難しさはありますが、4人の親和性はすごいなと思います。

神田 大輝が言っていたように特徴がはっきりしている選手が多くて。ヨリ(岩屋頼)は安定感があってボールを失わないところが良くて、ナオ(堀田尚秀)はスリーポイントを武器にやっているし、陽稀(堀陽稀)はリバウンドととにかくリングにアタックする姿勢が良くて、カズ(高田和幸)もジャンパーを精度高く決められるし、特徴を自分でわかっていてそれを出せる能力があるなと思います。なので、フィジカル面以外に関してはとても完成度が高いと思っています。かつ、その中での親和性が高くて、新人戦直が出られなかったのが残念だったんですけど、見てもらった通りいい選手がそろっているなという印象です。

ホセイン 超上手いっす。見た目全然上手くなさそうなんですけど(笑)、一緒にやるとビビるぐらい上手いですね。安定性があるし強みがあるし、あうんの呼吸というかずっと一緒にやっているから、「そこ行くんだ」というようなパスも通ったりとか。そこは4年間でもっと高めてもらいたいと思います。

神田 単純にバスケット上手いよね。

ホセイン 頼(岩屋頼)は特に。見た目全然バスケできなそうな顔してるのにめっちゃ上手いです。エリートです。

宮川 頼天才。

神田 新人戦(関東大学新人戦)2試合目から頼が出て、1試合目とはゲームの安定感が全然違いました。

宮川 法大戦は頼いなかったら絶対負けてたね。

――どのように京都の4人の合わせ方とチームルールのバランスをとっているのですか

神田 ディフェンスに関してはたくさんルールがあって、チームを作る際に何度も時間をかけながらやってきて、オフェンスはセットプレーを多くせずに個人個人の判断に任せるようにしています。だから、オフェンスに関しては彼らの持ち味を出しやすいと思います。

ハマっていることは?

島根での思い出を話す土家

――昨シーズンから今シーズンが始まるまでの間はどのように過ごしていましたか

土家 僕は年末から3月中旬まで特別指定で島根(スサノオマジック)にいて、ひたすら一流選手のもと勉強させていただきました。安藤誓哉(島根スサノオマジック)さんという日本トップのポイントガードがいる中で、出場機会は少なかったんですけど、大学入ってから試合に出られないという経験があまりなかったので、悔しいという気持ちを持ちつつも、新たな学びがあったと思います。ベンチから見ていて誓哉さんのIQや勝負強さは勉強になったので、今年また特別指定いけたとしたら絶対に試合に出て活躍したいと思いました。

――島根観光しましたか

土家 出雲大社とか、温泉が多いので先輩たちと温泉行ったりとか、魚が美味しいので魚食べたりしました。

ホセイン コロナで止まったので自宅隔離が多くて。実家がレストランなので仕事してました。クレイトンはトランプにハマっていて、日曜日はウエイトまでの空き時間で僕以外の3人はずっとトランプをしています。

宮川 なんでお前が代弁すんだよ(笑)。就活が終わってからは遊んでいました。ポーカーとか、ウエイトしたり、飲みに行ったりしていました。

神田 僕は2月までは忙しかったんですけど、就活終わってからも社員の方と話す機会が多かったのと、今シーズンの理念を作り直したりチーム作りに時間をかけていました。あとウエイトして六大学の試合して、という感じでした。プライベートは、めっちゃ本読みました。人文科学系の本をずっと読んでます。

――ウエイトやるとやっぱり違いますか

宮川 違いますね。シュートめっちゃ飛ぶようになりました。僕シューターなんですけど、一時期筋肉で打ってたからボール飛びすぎて全部エアボールかバックボード当たるかみたいな感じでした。最近は筋肉使わずに打つコツがちゃんとわかったから大丈夫なんですけど。

――チームでノルマは決まっているんですか

神田 1月から4月までの体作る期間は週3でチームのメニューが決まっていました。宮川は毎日やっていたんですけど。今は週2が決まっていて、それ以外は各自です。

――さきほどトランプが流行っているとおっしゃっていましたが、他に何か流行っていることはありますか

ホセイン 僕らあまり4人で行動しないですから。

土家 温泉です。温泉っていうかサウナとか。

宮川 あ、俺もサウナ。好き。最近。

ホセイン うわ、ミーハーや。

宮川 いや、そうなんだよ。

一同 (笑)。

宮川 大輝もトランプめっちゃハマっているんですよ。僕が違うところでやっていて、その話したら急に俺もやりたいって言って。それでめちゃくちゃハマって。

神田 大輝は結構ノリノリよね。

土家 明後日もやりますよ。

ホセイン さっき言っていた日曜日のやつ。

――温泉はみなさんお好きなんですか

神田 温泉とか銭湯、僕も行ったりして。

――スーパー銭湯系ですか

神田 普通の銭湯ですね。あの雰囲気が好きですね、僕は。

――他に好きなことはありますか

ホセイン 僕、先輩と一緒に飲みに行くのめっちゃ好きです。いつもよくしてもらっている先輩がいるんですけど、その人と一緒に蒲田のカラオケバーを巡るっていうのを最近ずっとやっています。ピンク色の髪したマイケルってやつがいるんですよ。

一同 (笑)。

ホセイン 早稲田の先輩とかめっちゃいるんですよ。この前は68歳くらいの早稲田の先輩と一緒にマイケルのいるお店に行って、2時くらいまで一緒に飲んでいたりして。

早慶戦のイメージ

早慶戦について話す宮川

――次に早慶戦について伺います。まず早慶戦のイメージをお願いします

ホセイン 僕が1年生の時の早慶戦は早稲田アリーナでやって、3000人くらい来たんですよ。慶應と早稲田のOBとかもいっぱい来て。本当に僕らは勝てると思っていたんですよ。メンバーもめっちゃ多かったんですけど。でもなんか訳分からなくて全然シュート入らないミスとか起きたりして普段ないようなことが起きたりして。普段起きないようなことが起こる試合。いろんないい意味でも悪い意味でも。そんなイメージがありますね。

神田 そうですね。ここ4年目なんですけど、1年生の時は有観客で。剛が言ったような状態で。残りの2試合に関しては無観客で完全に実力通りの結果が出たというか。20点くらい離れたかな両方とも。そういう感じでやっていたんですけど、やっぱり独特な雰囲気というか、特に観客がいるときの魔物がいる感じがちょっと怖いイメージです。なので、無観客だったら何も意識せずにただ実力を出して2試合とも勝っていて。1年時は有観客で山崎純さんがいた時にすごい点数取られていました。そんな感じだったので、独特な雰囲気の怖さみたいなのを感じています。

宮川 全く同じくです。

土家 独特な雰囲気だからこそこっちが先手打って仕掛けないとずるずるやられるっていう怖さがあるので、本当にいかにスタートを気持ちを入れて入れるかが大事かなと思っています。

――代々木はバスケの聖地みたいなイメージありますが、代々木でやる試合と他の体育館でやる試合はどう違いますか

神田 すごくうれしいよね。僕はうれしいですね。

ホセイン 熱気がすごいっす。中学校か高校の時に一回早慶戦観に行ったんですよ。早実なんですけど。すごかったす。熱気もそうだし人数もすごいし圧迫感がやばいな。またあの感じが観ている側じゃなくて自分が立って味わえるのがすごく幸せなことですね。

宮川 構造上普通の体育館とちょっと違うから特別感はありますね。聖地感っていうのは分からないけど。でも特別感はすごくあります。

――構造が違うと、シュートの距離感は難しいですか

宮川 コーナーで決めているからあんまり変わらないかな。

――1年生の時は有観客でその後2年間コロナ禍で無観客でしたが、一番違うところはどういうところだと思いますか

宮川 観客がいるかいないか。

一同 (笑)。

ホセイン 燃えるんじゃないですか。

宮川 慶應の流れになりづらいっていうのがある気がする。一年生の時、僕出ていないですけど慶應のほうが圧倒的に応援がすごかった。早稲田は観ているだけみたいな。

神田 早稲田アリーナなのにね。

宮川 そうそう自分たちのアリーナなのにそれに押され続けて。

土家 流れが続かないっていうか、連続してポゼッションで点を取るっていうことが本当に難しいなと思います。それは多分今言ってくれたように応援のあれだと思うんですけど。そういったところではすごくやりにくい感じはしますね。

神田 流れを掴みづらいっていうか。お互いに流れを取りにくいのはあると思います。

――燃える感じですか

ホセイン 燃えるっす。テンション上がらないですか?(4年生が反応しない姿を見て)上がらないみたいです。

――3年ぶりに有観客ということでそれを踏まえて意気込みをお願いします

土家 ただ勝つのではなくて圧倒して勝つという目標をチームで掲げたので、そこはしっかり内容に拘ってその目標を達成できるように頑張りたいと思います。

宮川 これほどの大人数で試合ができる機会はプロに行く大輝以外はこのメンバー全員最後だと思うので、内容を詰めるというところもそうですし、かつ全力で楽しむっていうところかなと思います。

神田 家族も観に来てくれて、おじいちゃんおばあちゃんとかも来てくれるので、これだけ人がいる中で試合ができる最後の機会だと思っています。一種の恩返しの場にしたいなと思っていて。自分が16年間バスケットやってきた集大成の一つだと思って大会に望みたいと思います。

ホセイン 全力で楽しむことと、この4人で試合に出たいですね。最後の最後。そのイメージを最近ずっと持っていますね。

――ありがとうございました!

(取材・編集 落合俊、冷水睦実、臼井恭香)