新チームの幕開けとなる早慶戦で勝利!

男子バスケットボール

 今年で第79回を迎えた早慶定期戦(早慶戦)。試合にかける両校の強い気持ちがぶつかり合う伝統の一戦は、第1Q(クォータ)から両者点を取り合う白熱した展開となった。第2Q開始後も、点差が開かないまま試合が進んでいく。しかしこのクォータの中盤、高さを活かした機動力あるバスケットで早大が徐々に流れをつかみはじめると、48―37で前半を折り返す。早大の流れは第3Qに入っても続く。粘り強いディフェンスとリバウンドからオフェンスにリズムをつなげ、慶大に22点リードして第4Qへ。慶大は気迫こもったプレーで得点を演出するが、早大も落ち着きのあるプレーで着実に得点を重ねる。ベンチメンバー全員の出場を果たした早大は、そのまま点差を保ち、91―72で伝統の一戦を勝利で飾った。

 第1Qは、F兪龍海(スポ2=神奈川・桐光学園)とF津田誠人主将(スポ4=京都・洛南)の4連続得点で幕を開け、早大がリズムをつくりだすかと思われたが、慶大の水谷祐葵はそれを許さない。水谷に連続得点を決められると、その後は両者とも交互に得点を重ねる拮抗(きっこう)した展開となり、19―19の同点で第1Qを終える。続く第2Q、試合の流れを変えたのは早大。「声を出して自分たちの流れをつくろうと意識しました」と語るF星川堅信(スポ2=京都・洛南)がスリーポイントで第2Qの先制点を演出すると、その後は高さと走力を活かして、今年の強みと語る「機動力」のあるバスケットを体現。途中出場のF石坂悠月(スポ1=東京・国学院久我山)がアリウープを決めて会場を沸かせるなど、多種多様なオフェンスを披露し、早大はこのクォータだけで29得点。しかし慶大にも外角からのシュートを中心に得点を重ねられ、48―37と十分なリードを奪いきれず前半を折り返した。

主将としてチームを引っ張った津田

 少しずつ堅さがとれてきて臨んだ第3Qでは、ディフェンスやリバウンドなどの泥臭いプレーからリズムをつくり16点差まで広げるが、ここで慶大がゾーンディフェンスを仕掛ける。対策が十分でなかった3―2のゾーンに対して、パスミスなど浮き足立つ部分が見られた早大。しかしF宮川丈クレイトン(商3=愛知・千種)のレイアップシュートや星川の1対1からのミドルシュートから得点を奪うと、落ち着きを取り戻した。このクォータを通して、堅いディフェンスから得点につなげることができた早大は、71―49と22点差に広げて最終第4Qへ。クォータ開始2分で早大はチームファウルが3つと苦しい展開を強いられる。しかし途中出場の1年生らの積極的なプレーが攻守で光り、流れは渡さない。試合終了まで残り2分、4年生全員がコートに立った。津田がバスケットカウントで会場を沸かせれば、G萩原圭(先理4=東京・早実)はクイックなドライブから得点を演出。試合終了のブザーが鳴り、最終スコアは91―72。序盤は少し堅さが見られた早大だが、中盤からは早稲田らしいバスケットを体現し、伝統の一戦を勝利で収めた。

大きな活躍を見せた星川

 「諦めずに粘り強くプレーできた」(津田)と振り返るこの試合は、4年生にとって最後の早慶戦となった。けがの影響で4年生の出場時間が限られたが、最後には無観客とは思えないほど、今年の早慶戦は盛り上がりを見せた。早大は来週から関東大学選手権(トーナメント)に出場する。この大会、初戦の相手が再び慶大となる可能性もある。トーナメントへの思いを「『勝って兜の緒を締めよ』というように気持ちを引き締めて」勝っていきたいと語る津田主将。早慶戦の勝利で勢いに乗り、トーナメントの目標と語るベスト4をつかみ取りたい。

(記事 落合俊、写真 大滝佐和、宮下幸)

※掲載が遅くなり、申し訳ありません。

◇早大スターティングメンバー◇

第79回早慶バスケットボール定期戦 6月27日(vs慶大)
   1Q 2Q 3Q 4Q 合計

早大

19 29 23 20 91
慶大 19 18 12 23 72
◇早大スターティングメンバー◇
F#8 津田誠人主将(スポ4=京都・洛南)

G#12 土家大輝(スポ3=福大大濠)

F#13 星川堅信(スポ2=京都・洛南)

F#14 小野功稀(社1=新潟・開志国際)

F#15 兪龍海(スポ2=神奈川・桐光学園)

コメント

F#8 津田誠人主将(スポ4=京都・洛南)

――今日の試合を振り返っていかがですか

技術面よりは気持ちの勝負、意地のぶつかり合いで、最後まで早稲田が諦めずに粘り強くプレーできたことが勝因かなと思っています。

――今年で最後の早慶戦となりましたが、どのような気持ちで試合に入りましたか

僕が1年生2年生の時は3000人以上の観客が動員されている状態でプレーするというのがデフォルトでした。しかし昨年度と今年度はそういうわけにもいかず、今の1年生2年生に早慶戦がどういう大会なのかを伝えられていないというところで、意地のぶつかり合いや、早慶戦に限らず泥臭くやった方が勝つというのを伝えたいなと思っていました。4年生が出場できたのは良かったと思いますが、はじめから出そうと思ったわけではなかったです。

――第1Qは拮抗(きっこう)し、第2Q以降に点差を離していきました。クォータ間にどのような話をして、どのように修正したのですか

倉石さん(倉石平ヘッドコーチ=昭和54年教卒)から「シュートは入るときは入るから、落ちはじめるまで待とうね」という話があって、その先に自分たちが我慢して、フレッシュな1年生たちが走り勝ってくれたことが、結果につながったのかなと思います。

――最後4年生をコートに迎え入れていました。どのような気持ちでしたか

インカレ優勝を目標にやっているのですが、早慶戦は特別な大会だと思っていて、その場に4年生3人がプレイヤーとして立てたのは良かったと思います。

――トーナメントの目標を教えてください

昨年度はインカレで8位になったので、それ以上の記録としてベスト4以上を目指しています。初戦は慶大ですが、『勝って兜(かぶと)の緒を締めよ』というように気持ちを引き締めて、どこのチームにも油断せずに勝っていきたいと思います。

F#13 星川堅信(スポ2=京都・洛南)

――今日の試合を振り返って、勝因を教えてください

トーナメントの前に早慶戦があったので、トーナメントを見ずに、目の前の早慶戦に向かって頑張れたことが良かったのかなと思います。

――津田選手と同じように、メンタル面で強い気持ちを持てたということでしょうか

(慶大は)ここで打つのかというようなシュートが入るので、流れを感じていたのですが、昨年を経験して、そこは僕らもちゃんと話し合って声を出して自分たちの流れをつくろうと意識しました。気持ちの面としては、今までは自分のできることを増やしたり、シュート練習をしてきたりしました。けれどその中で、試合前になったら今の技術が格段に上がることはなく、今持っている力をどれだけ発揮できるかというところだと思います。なので、僕は気持ちで勝って、自分の持っているものを100%に近いかたちで出せたらなと試合前に考えていました。

――第3Qで慶大がゾーンディフェンスをしかけてきましたが、その時はどのようなことを意識して攻めていましたか

僕は2ー3のセットはやっていたのですが、3ー2はやっていませんでした。そこはトーナメントまでの一つの課題かなと思います。

――1対1から点を取っているようなイメージがありましたが、自分が点を取ろうという意識があったのですか

実のところ、他に何も思いつかなかったから1対1をやってしまおうという感じでした(笑)。うまくいったので良かったですが、解決策はこれからの課題ですかね。

――トーナメントに向けた目標を教えてください

チームの目標は、津田さんが仰っていたベスト4以上です。僕としては、昨年、1年生の時に先輩たちに引っ張ってもらっていました。2年生になった今、1年生をはじめとしたみんながプレーしやすい環境づくりというか、そういったことを練習の中でより心がけていきたいです。あとは、なるべく多く勝ちたいですね。

F#15 兪龍海(スポ2=神奈川・桐光学園)

――今日の試合を振り返って、勝因を教えてください

勝因はみんなが早慶戦という伝統のある戦いを一生懸命頑張ったことです。試合前から話していた、泥臭いところをいかに早稲田らしくできるかということを徹底できたことだと思います。

――試合開始から得点を重ねていったと思います。どのような気持ちで試合に入りましたか

今4年生で怪我している7番の宮本さん(宮本一樹、スポ4=神奈川・桐光学園)は僕の高校の2個上の先輩で、彼がリハビリ明けでも、最後試合に出られるように試合序盤から頑張りました。

――ハーフタイムではどのようなことをお話しされていたのですか

ハーフタイムでは点差はついているかもしれないけれどまた振り出しに戻っているかのような、0―0からのスタート、というのをみんなで意識していました。

――第1Qは拮抗(きっこう)した展開となりましたが、第2Q以降は徐々に点差を離していきました。どのような点を修正していきましたか

このチームになって初めての公式戦だったので、最初はやはり堅さがあったと思うのですが、徐々にとれていきました。チームで練習していた動きが少しずつ出るようになってから良くなっていったと思います。

――今年度初の公式戦となる早慶戦でした。感想を教えてください

まずは勝てて良かったです。全員が得点することはできなかったのですが、ベンチに入っている人は全員コートを踏めたと思います。練習の中で早慶戦や公式戦での緊張感を出せていけたらいいなと思いました。

――関東大学選手権が2回延期されましたが、モチベーションはどのようにして保っていたのですか

僕と星川と土家さんの下級生3人が特別指定(選手)から戻ってきて、大学のリーグでどのくらい上までいけるかというのを正直楽しみにしていて、そういうところでモチベーションを維持できていたのではないかと思います。

――トーナメントに向けて、考えていることはありますか

試合に出られる人数が限られている中で、いかに精度の高いバスケットやシュート、特にディフェンスで言うことができるのですが、みんなで精度の高い、監督の目指しているようなバスケを実行できるかだと思います。